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防衛省に防衛装備庁が設置され、看板をかける中谷元・防衛相(左)と渡辺秀明・防衛装備庁長官=1日、東京都新宿区の防衛省
防衛装備庁発足、対中包囲網形成へ 官民連携で海外向け展開加速
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151001-00000000-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/10/2 08:15
防衛省の外局、防衛装備庁が1日発足した。これを機に防衛装備の輸出などの国際化に向けた政府と関連産業の取り組みが一段と加速する。政府は、急速な軍事力拡大を背景に海洋進出を急ぐ中国の脅威に対応し、欧米やアジアの親密国への防衛装備輸出や技術移転を通して結びつきを強め、安全保障体制の強化につなげる考えだ。国内の防衛各社も政府の政策に呼応し本
格的な海外事業展開に向け動き出した。
「装備の技術的優位確保、海外との装備技術協力、国内防衛生産技術基盤維持など課題は多い。関係省庁や産業界からの期待に全力で応えたい」。防衛装備国際化の司令塔を担う防衛装備庁の渡辺秀明長官(前防衛省技術研究本部長)は同日、こう決意を語った。産業界も「防衛生産・技術基盤の維持・強化に向けリーダーシップを発揮してもらいたい」(経団連)と新組織に期待をかけている。
すでに安倍晋三政権は昨春、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」の制定を機に防衛装備国際化への取り組みを本格化。日本の防衛装備や技術を相手国に移転する場合の枠組み協定の締結国は米国、英国、フランス、オーストラリアの4カ国に達した。このほか、インドやフィリピン、マレーシア、インドネシアとも事務レベル協議を行っている。
こうした取り組みの狙いの一つは、防衛装備の提供を通して親密国や友好国との連携を強め、共通の脅威に備えるものだ。アジアで海洋勢力圏拡大を急ぐ中国を念頭に置いたものであることはいうまでもない。
安全保障問題に詳しい森本敏・拓殖大学特任教授(元防衛相)はフジサンケイビジネスアイのインタビューで「装備技術協力は安全保障協力と表裏一体の関係」とした上で「今後は日米間で国際共同開発案件を増やしながら、できればアジアへのサプライチェーン(供給網)を作る必要がある。これが日米のインターオペラビリティー(相互運用性)を強化し、中国向け抑止力の強化につながっていく」と指摘する。
安倍首相はハワイ(米)、日本、豪州、インドを結ぶ「安全保障のダイヤモンド」を形成し中国の拡張政策を封じ込める戦略を描き、これらの国との防衛装備協力を推進している。豪州には三菱重工業と川崎重工業が開発、製造している通常動力型潜水艦「そうりゅう級」(4200トン)を、インドには新明和工業製の海上救難飛行艇「US2」をそれぞれ売り込んでいる。このほか、南シナ海で中国の脅威にさらされているフィリピンに対し、自衛隊を退役する哨戒機や巡視艇を供給するなど、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に対する「能力構築支援」も行っている。これらの国産装備はアジアの安全保障にどう貢献するのか。
そうりゅう級は、騒音が大きく、敵に探知されやすい欠点を抱える豪州の現役潜水艦「コリンズ級」とは反対に静粛性に優れていることが売り物だ。元海上自衛隊幹部は「豪州は仮に中国から攻撃されれば、勝てないまでも相応の打撃を与える“ハチの一刺し”戦法を抑止の基本としている。このための装備が、巡航ミサイル『トマホーク』を積んだ潜水艦だ。中国は、沿岸に近づいた潜水艦からトマホークで都市部を攻撃されることを最も恐れている。人心不安が政変に結びつきかねないためだ」と明かす。そうりゅう級は中国に対豪軍事行動を思いとどまらせる切り札になるというわけだ。
日米による装備の共同開発推進を求める声が出る中、注目されている案件がある。三菱重工が研究を進めている水陸両用車だ。自衛隊が調達を進めている水上速度7ノット(13キロ)の「AAV7」の3倍近い20〜25ノット(37〜46キロ)で沿岸に到達できる。「米軍が関心を持っており、両国で一致すれば共同開発につながる可能性がある」(防衛省幹部)という。共同開発が実現し、アジアの親密国向けに供給されれば、島嶼(とうしょ)が多い太平洋の安全保障に貢献しそうだ。
中国もアジア向けを中心に武器輸出を積極化し、輸出国への影響力を強めようとしている。9月3日に北京の天安門広場で行われた抗日戦勝70年軍事パレードでは、中国人民解放軍の陸上兵器の約85%もの映像を公開したとみられている。近隣国では、パレードには軍事力誇示だけでなく、「中国製武器の輸出先開拓に向けたショーケース」(印紙タイムズ・オブ・インディア)の狙いが込められたとの見方が出ている。
アジア太平洋地域の軍事産業に詳しいIHSジェーンのアナリスト、ジョン・グレヴァット氏(タイ・バンコク在勤)は取材に対し、「中国の軍事輸出の狙いは戦略的影響力の拡大であり、利益は二の次だ。輸出先との間で、軍事や貿易関係の強化を図る手段と位置付けている」と解説する。インドネシアの高速鉄道建設計画で、同国の財政負担や、中国が実施する融資に対しインドネシア政府の保証を求めないという破格の条件で中国が日本を破った根底にも同様の外交戦略があるとの見方を示した。日本にとって今回のインドネシア高速鉄道の決定は、東南アジアの安全保障をめぐる中国包囲網形成にくさびを打ち込まれた形となった。
防衛装備供与を介した外交戦略の重要性が増すのに伴い、装備の開発競争も激化しそうだ。北京のパレードでは「空母キラー」とも呼ばれる世界唯一の対艦弾道ミサイル「東風21D」が注目を集めたが、意外にも専門家の間では「中国が陸上からこうした長射程のミサイルを命中させられるようになるには、なお時間がかかる」(元自衛隊幹部)など評価は低い。米海軍大学が定期的に海外の専門家を招き開いている中国の装備に対する評価でも「『米国に追いつくには10年以上かかる』との見方が大勢を占めている」(日本の参加者)。それでも、こうした会合では「対策を本格化する必要がある」と、慢心を戒める意見が出始めているという。
IHSジェーンは1日、衛星写真の解析を基に、中国が大連の造船所で国産空母建造に着手した可能性があるとのリポートを発表した。中国はロシアで起工された空母「遼寧」を運用しているが、国産空母は初となる。グレヴァット氏は「中国はこれまで武器輸出先として米国による輸出先とは違う国をターゲットとしてきたが、武器の性能向上を図る中で、今後は日本や欧米各国が応札する国際入札への参入を目指すことになるだろう」と語り、武器輸出市場で先進国と中国の競争が激化するとの見方を示した。(佐藤健二)
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