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田原総一朗:独VW不正問題で改めて思う日本の「総括できない」体質
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151002-21545816-collegez-pol
BizCOLLEGE 10月2日(金)5時59分配信
独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス試験の不正をしていた問題で、マルティン・ヴィンターコーン社長が9月23日に辞意を表明した。25日には、同社の最高意思決定機関である監査役会が、ヴィンターコーン氏の後任となる最高経営責任者(CEO)に、グループ内の独高級メーカー「ポルシェ」のマティアス・ミュラー社長をあてることを決めた。
●社内でソフトの違法性指摘も担当幹部は対応せず
独メディアなどの報道によると、VWは米国事業を立て直すため2005〜06年時点で、ディーゼル車の排ガス試験のときだけ排ガス量を違法に減らすソフトを使うことを決めたという。
不正試験があったとされるのはVWとVW傘下のアウディの直列4気筒ターボディーゼルエンジンで、その対象車は全世界で1100万台にも上る。2011年には社内の技術者がこのソフトの違法性を指摘したが、乗用車の開発部門を率いていた担当幹部は対応しなかったという。
今回、排ガス不正試験の疑いがあると発表したのは米環境保護局(EPA)だった。9月18日に発表されると、5日後にはヴィンターコーン社長は辞意を表明した。VWはその後、対策費用として65億ユーロ(約8700億円)の特別損失を計上するとしたが、制裁課徴金などでそれをはるかに上回ることが予想され、今後、この事件はVWの経営にきわめて深刻な影響を与えることになりそうだ。
■続報に触れて「さすがドイツ」と感心
「まさか、あのVWが……」。不正事件を耳にしたときは信じられないというのが正直な思いだった。新車販売台数でトヨタ自動車と激しく競り合うドイツの名門企業である。事件発覚後には「世界一」の呪縛がVWを焦らせたとの見方もされているが、しかし第一報に触れたときには、世界の自動車業界の信頼性を大きく揺るがす事件にもなりかねないため、驚き以外の何ものでもなかった。
ところが事件の続報に触れ、「さすがドイツ」と感心させられた。事件を徹底的に究明しようという姿勢が明確に示されたからだ。
ドイツの検察当局は9月28日、社外の告発に基づいて「排ガスのデータを改ざんして販売した詐欺容疑」で前社長の捜査をするとの声明を発表した。すでにVW本社から関係書類の押収を始めているといい、今後、関係者の事情聴取を進め、真相究明を徹底的に行う考えのようだ。
こうしたドイツの対応に比べると、日本はどうか。名門と呼ばれた東芝が税抜き前利益を水増ししていた「不適正会計」問題で、9月7日に発表された修正報告では、09年3月期から14年4〜12月期までの約7年間の累計で、最終的な修正額は2248億円にも膨らんだ。
30日に開かれた東芝の臨時株主総会で、室町正志社長が「関係者の信頼を裏切り、市場を混乱に陥れたことを深く反省し、深くお詫び申し上げます」と陳謝したものの、株主からは怒りの声が多く上がった。
■第二次大戦を総括したドイツ、総括しない日本
東芝の事件はどう考えても「不適切会計」ではなく、「不正会計」であり「粉飾決算」ではないかと思えるのだが、しかも、事件が報じられてからまだ日が浅いのに、事件はすでに一般の間では関心が薄くなっている。
VWと東芝、2社の事件を比べると、どうしてもドイツと日本という国の違いを感じずにはいられない。
ドイツは、第二次世界大戦の総括を徹底的に行った国だ。ナチスを率いたヒトラーという確信犯の存在があったため、総括しやすかったということもあるだろう。
しかし、徹底して総括し、独立回復後の西ドイツ政府は非ナチ化裁判をとことん行った。今もドイツはナチスの犯罪を許していない。
それに比べて日本は、昭和の戦争、つまり第二次世界大戦についての総括を、国としてついに行わなかった。連合国が東京裁判(極東国際軍事裁判)を開き、日本の指導者の戦争責任を問うたが、日本政府としては総括をしないまま終わっている。
このような国の違いを、VW事件に触れて改めて感じたのである。
■イラク戦争を間違いだったと総括した米国
第二次世界大戦あるいは太平洋戦争と言ったら少し遠い出来事になるため、今の若い人たちにはピンとこないかもしれないが、「日本として総括しない」ということでは「近い戦争」でも同じだ。
近い戦争とは、2003年に米国がイラクに軍事介入し、フセイン政権を倒したイラク戦争のことである。米国のイラク攻撃に対し、ドイツやフランスは強く反対したが、日本は、当時の小泉純一郎首相が「アメリカの武力行使を理解し、支持する」と表明した。
このとき、実は外務省はイラク戦争に「不関与」の立場だった。外務省が作成した文書は「理解する」という表現に抑えられていたが、小泉首相自ら「支持する」という踏み込んだ文言を用いたのである。
これにより日本は「人道復興支援活動と安全確保支援活動」を目的として自衛隊をイラク南部のサマワへ派遣した。活動内容は給水、医療支援、学校等の復旧・整備などだった。
ところがその後、米国はイラクへの侵攻は間違いだったと総括する。そのため、共和党のブッシュ政権は終わり、イラク戦争に反対していたオバマ氏が大統領に選ばれ、政権交代が行われた。イラク戦争をめぐる議論は米国ではいまだに続いている。
しかし、首相が米国の武力行使を支持して自衛隊を派遣した日本はと言えば、何も総括していない。これは今後に残された大きな問題である。
■グレーゾーンに慣れた日本人の感覚に懸念
VWの不正排ガス試験事件と東芝の不正会計事件を比べ、そこに浮かび上がる日本の「総括のなさ」、あるいは何ごとについても「水に流してしまう」体質を今、改めて感じている。
この日本のあり方はよくない。そう言わざるを得ないだろう。
私はドイツ人と何度か議論をしたことがあるが、彼らは「白か黒か」をはっきりつけようとする。ところが日本人には、白と黒の間に「グレー」という長いゾーンがあって、白黒をはっきりとはさせない。
多くの日本人はグレーゾーンの中で勝負している。だからこそ日本では生活しやすいと言えるのかもしれないが、グローバル化が進む世界の中で、日本人はグレーという環境に慣れ過ぎていないだろうか。
世界から見たらやや異質な、その感覚が、企業の海外活動、そして特に外交問題では影響が出てくるのではないかと懸念する。南シナ海問題や人権問題で双方が譲らない米国と中国、シリアのアサド政権をめぐり支持と不支持で対立するロシアと米国。このように世界各国の意思が鮮明になる中で、日本はどのように振る舞うのだろうか。今後、それが強く問われる。
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