5. 2015年10月02日 20:00:23
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米雇用統計をめぐる神話、その真偽とは米雇用統計の神話、その真偽とは PHOTO: JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES By LISA BEILFUSS 2015 年 10 月 2 日 15:39 JST 毎月初めの金曜日には、米国の金融市場、政府そして実業界が一斉に同じものに注目する。米国で発表される多くの重要経済指標でも特に、労働省が毎月発表する雇用統計こそは最も熱心に分析され、最も大きな影響を市場に与える指標だ。ただ、この米雇用統計は、最も理解されていない統計の一つでもあるのかもしれない。 バンクオブアメリカ・メリルリンチの米国担当エコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は「完璧な統計など存在しない」と指摘しつつ、今週の報告で、同統計の非農業部門就業者数に関するいくつかの神話について検証を行っている。 神話その1(誤り)「月ごとの季節的要因には誤りがある。なぜなら、季節的要因は前年同月と同じではないからだ」。 バンカメがこの神話を誤りとする理由は、今年の季節要因が前年のそれと合致する必要などないからだ。労働統計局(BLS)は雇用統計について、予想可能な季節要因を織り込むための調整を行っている。こうした季節要因は変化するものだ。例えば、多くの祝日は年ごとに異なる日付となり、天候も変動する。つまり、前年の季節要因を今年の原データに当てはめ、新たな季節調整済み統計を作成することは誤っている。統計のばらつきをならすためには、季節要因に対する個別の修正が必要となる。 神話その2(誤り)「出生死亡モデルが、雇用統計の数値を過大にしている」。 マイヤー氏によると、この神話も誤りだ。企業の設立で創出され、倒産で失われる雇用の伸びをタイムリーに捕捉することなど困難だ。また、どの企業が破綻したのか、どの企業がそれを報告していないのかといったことを知るのも難しい。このため、BLSはいわゆる「出生死亡モデル」を使ってサンプルのエラーを抑制し、過去5年間の平均に基づいて、企業の設立および倒産の件数を推定している。両件数とも、年間の納税記録が確定するまでは確認できない。額面通りなら、設立と倒産の調整は見たところかなり大きいが、マイヤー氏はこの調整について、正しく理解されてはおらず、雇用統計ウォッチャーの多くが共通した誤りを犯していると指摘する。調整では、季節調整済みの非農業部門就業者数からこの企業数の調整分を差し引いているのだ。なぜなら、企業数調整には季節調整が行われていないからだ。 一方、このモデルそのものが推定値を押し上げているとは思われない。 BLSのエコノミスト、ケリー・レスリー氏は「企業数調整は予想値であり、モデルに基づいた値だとの批判も一部にはある」としつつも、年末の納税記録に基づいた調整はこれまでも小幅であり、また、調整は増加と減少のいずれも見られたため、モデルは有効に機能していると思われる、と指摘した。 神話その3(誤り)「5週目が存在する月は就業者数が過大になる傾向がある」。 これもバンカメが指摘する誤りの一つだ。雇用統計は二つの調査によって作成されている。家計調査と事業所調査だ。家計調査の実施期間は、その月の12日を含む週であり、事業所調査は12日を含む給与支払い期間だ。つまり、対象となる週が4週の月と5週の月が存在することになる。理論的には、この付け加わった週の分だけ雇用数は大きくなる。 バンカメによると、BLSは過去20年間、この要因を中和するために季節調整のプロセスを洗練させてきた。同銀のテストでは、5週ある月では雇用の伸びがやや高めに出るが、この差は統計的有意ではなく、単なる「ランダム・ノイズ」にすぎないという。 神話その4(正しい)「非農業部門就業者数の修正には上方バイアスがある」。 バンカメによると、これは実際のところ神話ではない。BLSもこれを認めている。BLSのゲーリー・スタインバーグ氏は、各企業が数値を提出する機会が複数回あるため、各月の統計は3回修正されると言う。場合によって、企業が数値を変更することもあるが、たいていの場合、BLSは新たな情報を入手している。過去20年間で見ると、非農業部門就業者数の修正値には明らかに上方バイアスが見られる。平均すると前月分の修正では約3万2000人、前々月分からの修正では2万7000人ほどの修正が行われている。バンカメによると、上方修正の頻度は高い。これは特に2回目の修正で顕著であり、3分の2近い確率だという。 BLSのレスリー氏は「われわれはこの修正について検証したが、具体的な理由は特定できなかった」と述べた。 このため、エコノミストやトレーダーが一様に非農業部門就業者数の移動平均に注目するのも当然だ。特に8月の場合は注目のケースだった。CRTキャピタルのアナリストらによると、8月の非農業部門就業者数は半分以上の確率で、平均5万7000人ほど予想を下回る傾向がある。今年8月の発表に際して、慎重な向きは同月の統計が季節要因(教員は新学期で職場に復帰する一方、大学生も夏休みのアルバイトから離れる)のため予想を下回る傾向があり、このため8月の非農業部門就業者数は特に測定が難しいことから修正を迫られる、ということを知っていた。 マイヤー氏によると、人々が理解していないのは、予想を下回る数値が出た後に上方修正される傾向は「9月の方がずっと大きい」ということだ。同氏は一つの説明として、早い時期にBLSに統計を提出した企業の方が季節的な人員削減を行う傾向が強いのかもしれないと指摘する。他の企業からもさらに統計が集まるにつれ、通常はこうした影響が薄まり、非農業部門就業者数は上方修正される。 全体として言えることは、雇用統計に対する懸念の一部については、確かに一定の根拠が存在するが、大半は誇張されたものであり、神話にすぎないということだ。 マイヤー氏は「サンプルに基づいた大規模な統計を行うのは難しい」としたうえ、BLSは同統計についての問題を認識し、これに対処すべく前進を続けていると述べた。また、調整プロセスについても一部で誤解がある。 同氏は「人々が自分自身の予想についてバイアスがある、ということに気づかないのは驚きだ」と述べた。 9月の米雇用統計、5つの注目点 9月の米雇用統計では米経済の底力を明らかにする見通し PHOTO: JOE RAEDLE/GETTY IMAGES By JOSH MITCHELL 2015 年 10 月 2 日 15:29 JST 米労働省は米東部時間2日午前8時30分(日本時間午後9時30分)に9月の雇用統計を発表する。株式市場の混乱や海外の景気低迷をものともしない米経済の底力を明らかにする見通しだ。ウォール・ストリート・ジャーナルが実施したエコノミスト調査では、非農業部門就労者数が前月比20万人増、失業率は横ばいの5.1%と予想されている。注目すべき五つのポイントを以下に挙げる。 米非農業部門就業者数(赤=前月比増減幅、青=3カ月移動平均) ENLARGE 米非農業部門就業者数(赤=前月比増減幅、青=3カ月移動平均) 1.長い目で見た傾向 8月の非農業部門就労者数は前月比17万3000人増で、増加幅は今年2番目の低水準だった。これは一時的な落ち込みだったのか、それとも長期に及ぶ減速の始まりなのか。9月の雇用統計からその答えの手掛かりが得られるだろう。就労者数が月ごとに大きく変動するのはよくあることだ。そのため、3カ月、6カ月、12カ月の傾向を見た方が情勢を把握しやすい。就労者数の伸びは現在、3カ月平均が22万1000人で、このペースで行けば失業率は今後も下がり続けるだろう。だが伸びが鈍化すれば、海外経済が問題を抱える中で米経済も失速しつつあるとの懸念が広がるかもしれない。 仕事を持っているか積極的に職を探している人たちのうち働き盛りの層(24〜54歳)が占める割合 ENLARGE 仕事を持っているか積極的に職を探している人たちのうち働き盛りの層(24〜54歳)が占める割合 2.労働力人口の減少 9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の時点で連邦準備制度理事会(FRB)は長期的な失業率を4.9〜5.2%と予想しているが、直近8月の失業率はすでにこの範囲内に収まっている。だが、失業率が速いペースで低下している主因の一つは、労働力人口の減少だ。就業しているか積極的に求職している人たちのうち、働き盛りの層(24〜54歳)が占める割合は実際、堅調な雇用拡大とは裏腹に、2014年1月時点の81%から80.7%に低下している。FRB関係者らが雇用市場のスラック(余剰資源)は消えていないと確信する一因は、この世代の労働参加率の低下にある。 3.賃金の謎 スラックについて言えば、失業率が低下しているにもかかわらず、賃金上昇率は依然として低い。民間労働者の時給の伸び率は1月から8月にかけて平均2.2%だった。これはリセッション(景気後退)明け以降の傾向とほぼ等しい。失業率が下がれば物価や賃金が押し上げられ、インフレ抑制のために信用引き締めが必要になる、というのがFRB関係者らの持論だが、賃金が伸び悩んでいる現状はこの理論と整合しない。賃金の伸びが強まれば、リセッション脱却から6年余りを経てようやく雇用市場が完全回復に近づきつつあるしるしとみることもできる。 フルタイムの職が見つけられないため不本意ながらパートタイムで働いている人の数(単位:百万人) ENLARGE フルタイムの職が見つけられないため不本意ながらパートタイムで働いている人の数(単位:百万人) 4.不完全雇用 不完全雇用は依然、FRB関係者らが抱く一つの大きな懸念材料だ。フルタイムの職が見つけられないため不本意ながらパートタイムで働いている人の数は、2009年初め以来19%減少した。だが、8月時点での人数(650万人)はリセッション前の水準をまだ40%近く上回っている。 産業別雇用者数、2014年8月からの増減率(左から石油ガス採掘、建設、製造業、小売業、レジャー関連・接客業) ENLARGE 産業別雇用者数、2014年8月からの増減率(左から石油ガス採掘、建設、製造業、小売業、レジャー関連・接客業) 5.産業別内訳 雇用者数の産業別内訳は、海外の景気不安が米国に与えている影響を知る手掛かりとなるだろう。主に原油安の影響で、石油・天然ガス採掘企業の雇用者数は1月から8月までに3%近く減少した。また、輸出需要の落ち込みとドル高が年初来、工場労働者の雇用を圧迫している。一方、ガソリン安で消費者の懐が豊かになったこともあり、小売業やレジャー関連産業の就労者数は増加している。 イエレンFRB議長の利上げ姿勢にまだ反対=サマーズ氏 By GREG IP 2015 年 10 月 2 日 16:01 JST
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の段階で、ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授は連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに対して声高に反対を唱えた。このFOMCでFRBは利上げを見送ったが、イエレンFRB議長をはじめとする数人の当局者は、まだ年内の利上げを計画していると発言している。サマーズ氏は、それは誤りだと考えている。 筆者は30日、ワシントンの全米エコノミストクラブでの会合でサマーズ氏にインタビューし、イエレン議長が最近の講演で提示した早期に金利をゼロ近辺から引き上げ始めることに対する根拠に関してコメントを求めた。 元財務長官でハーバード大学の元学長でもある同氏は、現在でさえ市場が織り込んでいる金利の道筋はFRB当局者が「ドットチャート」で示した予想よりもはるかに低いと指摘した。市場が織り込む金利の道筋がインフレ急上昇につながる可能性が高いならば、それが市場の期待に反映されるはずだが、そうはなっていない。 サマーズ氏が指摘したように、物価連動債の市場では実際、個人消費支出(PCE)価格指数でみるインフレ率は今後10年間、FRBが目標とする2%よりも1%に近い水準にとどまると予想されている。このように総じて金融市場が織り込んでいる水準は、インフレの上昇を回避するためのFRBによる利上げは過剰反応になることを強く示唆している。 サマーズ氏は、利上げに賛成する条件は以下の三つのいずれか一つだと述べた。一つ目は賃金か物価の「大幅な」加速。次は、生産ないし労働市場における不足の証拠が続きかつ広がること。三つ目としては、金融市場における「初期の気まぐれな強い高揚感」をあげた。 イエレン議長は、完全雇用になりインフレ率が2%に達するまで利上げを待つという考えを退けている、と筆者は指摘した。利上げを待つと、FRBは「景気が大幅に過熱しないよう、かなりいきなり」引き締めせざるを得なくなり、そうなれば「金融市場を損ない、おそらく経済を気づかずにリセッション(景気後退)に陥らせてさえしまう恐れがある」とFRB議長は述べている。 これに対してサマーズ氏はまず、インフレが2%以上に達するまで利上げを待つべきだと言っているわけではないと答えた。とはいえ、インフレが目標を大幅に下回っている中、FRBはインフレ率の目標回復を早めるためには、失業率が完全雇用を見込む水準を下回るよう望むべきだと語った。 次に、FRBがなぜこれほどまでに急激な利上げを心配するのか不思議だと言う。FRBは段階的に動きたいとしている。つまり利上げは毎回のFOMCではないということだ。逆に言えば、待てば毎回利上げする必要が生じるかもしれない。だが、サマーズ氏は、毎回の利上げは過去においてFRBが通常やってきたペースだと述べた。 サマーズ氏は駐米ブラジル大使館主催のイベントで、「(連続利上げが)どうして破滅的なことになるのか分からない。一般的に市場が引き締めの必要性を認識していれば、FRBは過去に通常引き締めたペースで引き締めれば良い。つまり1回の会合で0.25%だ」と語った。 同氏はさらに、FRBの2%のインフレ目標は対称性があり、目標をしばらく上回っても、過去数年間下回っていることほど悪くはないと指摘した。確かにインフレ率が2%をこれほどまでに下回ってきたことからみて、実際の物価水準は5年前にFRBが期待した水準をはるかに下回っており、当初の軌道に物価水準を戻すためには、数年間2%を上回る必要がある。 英国の生産性、ついに上昇の兆し 日立レールヨーロッパ社の高速車両AT300「Class800」シリーズの製造施設(イングランド北東部) PHOTO: BLOOMBERG NEWS By JON SINDREU 2015 年 10 月 2 日 15:48 JST 英国の4-6月期の生産性上昇は、8年に及んだ同国の弱い経済活動の末にその健全性が向上し始めたことを示唆するものだ。ただ、それでも他の西欧諸国経済には遅れをとっている。 英国統計局(ONS)の1日の発表によると、4-6月期の労働生産性は前期比0.9%上昇し、4年ぶりの高い伸びとなった。また、時間当たり生産高も過去最高水準に達した。 これは英国経済の今後にとって朗報だ。生産性は財やサービスの生産で人的、物的資源がどれだけ効率的に利用されているかを示すものだ。生産性の向上は経済の長期的な成長に不可欠の要素であり、人々の生活水準向上の原動力だ。 英国の生産性は近年、雇用が増え経済は成長しているにもかかわらず、ずっと低い水準に張り付いていた。エコノミストらはその現象を「生産性の謎」と呼んでいた。 IHSグローバル・インサイトのエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は「英国企業はここにきて社員を一層働かせると同時に設備投資を増やすことにより、生産性を上げようとさらに力を入れ始めた」と言う。その証左の一つとして、英中銀イングランド銀行が国内企業は数年にわたる過剰な慎重さと低賃金労働依存をやめて新技術に投資し始めていると報告したことを指摘した。 しかし、英国の生産性は依然、米国や他の先進国と比べ遅れをとっている。先月公表された公式統計によると、2014年の英国と他の主要7カ国(G7)の生産性ギャップは比較可能な推計が1991年に始まって以来、最も大きくなった。 エコノミストの間では、英国の生産性が低い一因は雇用者がリセッション(景気後退)期に必要数以上の従業員を抱え続けたことにあると言われているが、英経済に深く根付いた障壁(歴史的低水準のインフラ投資など)が残ると強調する声もある。 英国の時間当たり労働生産性の推移 ENLARGE 英国の時間当たり労働生産性の推移 PHOTO: THE WALL STREET JOURNAL イングランド銀行内では、最近の賃金上昇が同行の中期的インフレ目標である年率2%の達成をどの程度難しくするかについて意見が分かれている。8月までの3カ月間、消費者物価は横ばいだったものの、最近の統計は、労働需給の引き締まりにより基本給の伸びがこの6年間で最も高くなっていることを示している。生産性の伸びが労働コストの伸びに追いつけば、イングランド銀行は低金利政策をより長く続ける余地が生まれるとアナリストは言う。 コメルツ銀行のエコノミスト、ピーター・ディクソン氏は「(生産性の伸びは)イングランド銀行にもう少し裁量余地を与えるとの見方もできるかもしれない」としつつ、「ただ、他の要素も働いている。特にインフレ基調や海外経済の動向だ」と述べた。 しかし、1日の統計で単位労働コストの上昇が明らかになったことで、イングランド銀行金融政策委員会(MPC)のタカ派委員が警戒を強める可能性がある。スコシア銀行のアナリスト、アラン・クラーク氏は、雇用者にとって、政府の法定最低賃金の引き上げはすでにコスト増となっており、今後さらにコストを増やしそうだとみている。 関連記事 米利上げ、早ければ10月にも=ウィリアムズSF連銀総裁 10月の米利上げ開始も可能=リッチモンド連銀総裁 年内の利上げ開始、まだ可能性高い=NY連銀総裁 米利上げ、銀行について注意すべきこと 【特集】米利上げ観測 http://jp.wsj.com/articles/SB10138233731809603748804581268343293611516
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