9. 2015年10月02日 14:44:31
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雇用と物価の均衡目指すFRB 失業率がもっと下がれば、インフレ圧力が高まりかねない(ミシガン州の就職説明会) ENLARGE 失業率がもっと下がれば、インフレ圧力が高まりかねない(ミシガン州の就職説明会) PHOTO: LAURA MCDERMOTT/BLOOMBERG NEWS By SPENCER JAKAB 2015 年 10 月 2 日 13:30 JST 米経済は次第に慎重に対処しなければならない状況になりつつある。 投資の専門家たちは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは早くても12月になるとみている。金利をゼロ近辺に約7年間とどめるだけでなく、米経済は低失業率というもう一つの極端な状況が続くことになるだろう。 一般に豊富な雇用は純粋に好材料とみなされるが、エコノミストは好材料が多すぎるとどうなるかも理解している。ただ、好材料が物価上昇圧力という悪材料になる転換点は、議論が分かれるところだ。この転換点は一般に5.1%程度の失業率だとみられている。これは現在の水準だ。 この転換点が何らかの理由で下がるとしても、失業率の動向をみると戸惑うはずだ。ウォール・ストリート・ジャーナルが行ったエコノミスト調査では、2日発表の雇用統計では9月に20万人の雇用が増えたとみられている。過去12カ月の平均は24万3000人だった。この動向が来年暮れまで続くならば、失業率はさらに低下するだろう。 雇用の伸び(12カ月平均)の推移 ENLARGE 雇用の伸び(12カ月平均)の推移 PHOTO: THE WALL STREET JOURNAL アトランタ地区連銀の分析モデルによると、労働参加率が横ばいならば、16年11月までに失業率は3.8%に達するだろう。これはハイテクバブル期の2000年4月につけた過去20年間で最低の水準に並ぶ。 FRBは16年10-12月期までに失業率がこれよりもインフレ懸念の少ない4.8%までしか下がらないと予想している。だが、それではつじつまが合わない。 FRBは同時に、来年末のFF金利は現在よりも約1%高い水準にとどまるとみている。 だが、FRBの失業率の見通しは、来年の雇用の伸びがはるかに減速し、過去12カ月の平均よりも10万人程度少ない状態と一致している。雇用の伸びがそのように減速すれば、FRBの積極的な利上げを想定するのは難しいだろう。 FRBが12月までに利上げするとしても、その後の道筋はこれまで以上に不透明だ。インフレに追いつく展開になるか、あるいは反転を余儀なくされる可能性もある。 米利上げ、早ければ10月にも=ウィリアムズSF連銀総裁 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁 ENLARGE 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁 PHOTO: JASON HENRY FOR THE WALL STREET JOURNAL By DAVID HARRISON 2015 年 10 月 2 日 08:41 JST 【ソルトレークシティー(米ユタ州)】米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は1日、米経済が完全雇用に近づく中、早ければ10月にも利上げがあるとの見通しを明らかにした。 連邦準備制度理事会(FRB)が行動を起こす上で新たな経済指標はあまり必要ないとし、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見送りが決まったことについて「極めて際どい判断」だったと述べた。 総裁は当地での講演後、記者団に対し「このような際どい判断を下す場合、たくさんの情報がなくても情勢は変わるものだ」と指摘し、今月のFOMCで利上げが決まる可能性を示唆した。10月に利上げを決める可能性は「十分あると思う」と語った。 利上げの鍵を握る重要指標の一つが、米労働省が2日発表する9月の雇用統計だ。総裁は新規雇用者がこれからも毎月大幅に増えるとの期待は禁物だと警告した。直近8月の失業率5.1%は総裁が完全雇用と考える5%に迫る水準だ。 「雇用市場が着実かつ持続的な改善を見せ、景気回復が継続するだけで十分だ」とし、非農業部門就業者数の伸びは「10万人超か15万人なら私は満足だ」と話した。 就業者数は年初来、1カ月当たり平均21万2000人のペースで伸びており、総裁の言う10万人超から15万人という水準はこれよりもかなり少ない。だが、就業者数の伸びが減速するのは雇用市場がより完全回復に近づいている表れでしかない、というのが総裁の見解だ。 国際情勢については、FRB関係者らは依然注意深く見守っているとした上で、FRBでは、9月には海外の混乱を意識して利上げを見送ったものの、今は行動を起こす前に海外発のリスクがいくらか後退した兆候がないかを見定めているところだと説明した。 「世界の経済成長に大きく意気消沈したり悲観的になったりしたわけではない。ただ世界成長をめぐるリスクの高まりがうかがえるだけだ」と指摘した。 ウィリアムズ総裁の見解への注目度は高い。総裁はFOMC内の中道派とみられているだけでなく、イエレン議長の考え方に近い側近とされているからだ。
コラム:リーマン危機と違う「緩慢なショック」進行か 10月2日、日本では、生産の減少に歯止めがかからず、「緩慢なショック」現象が継続するリスクが浮上している。2013年7月、都内で撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai) 10月2日、日本では、生産の減少に歯止めがかからず、「緩慢なショック」現象が継続するリスクが浮上している。2013年7月、都内で撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai) 田巻 一彦 [東京 2日 ロイター] - 中国発の世界経済減速は、短期的に反転・回復基調に入るとの楽観論が日本の政策当局や一部のエコノミストから出ている。しかし、反転するとの確かな「証拠」は見当たらない。 そればかりか日本では、生産の減少に歯止めがかからず、「緩慢なショック」現象が継続するリスクが浮上している。リーマンショックとは違った展開のショックが進行しているリスクに、今こそ最大限の注意を払うべきだ。 <8月の国内生産計画、大幅下振れの裏側> 市場では、1日発表の日銀短観での業況判断の悪化が小幅で、設備投資計画も強気が維持され「想定より強めの内容」(国内銀関係者)との声が漏れている。日経平均.N225も1万7500円台を回復し、「地固め」という見方さえ一部の市場関係者から出ている。 だが、私の目からは、そうした楽観的な見方に立っている市場関係者が、日本の鉱工業生産の「変調」に気付かない素振りを見せていることに強い違和感を感じる。 多くの市場関係者は、8月生産が事前のプラス予想から前月比マイナス0.5%と減少したことに注目。「単月の振れが大きいので一喜一憂しない」(国内市場関係者)との受け止めが多かった。 だが、その見方は表層的だ。同時に発表された9月予測値は同プラス0.1%、10月が同プラス4.4%だが、経済産業省の試算では、7─9月は前期比1.1%低下と、2期連続の減産となる見通し。 同省幹部は「8月の生産計画と比べた実積率は4.2%も下振れた。これほどの見込み違いは東日本大震災以来であり、9月は前月比低下が濃厚、10月も4.4%上昇が低下に転じる可能性も否定できない」と述べている。 なぜ、そうした生産計画の大幅な下振れが起きているのか──。それは世界経済減速の「起点」である中国で、経済下押しの力が依然として継続しているからであり、その結果として周辺の東南アジア諸国の景気が、下方シフトしているからだ。 この景気下降トレンドは、短期的に終息するというのが、楽観的シナリオを支持する人たちの拠って立つ理由だが、どうも根拠が危なくなっている。 <中国の輸入・鉄道貨物輸送が大幅マイナス> 財新/マークイットが発表した9月の中国購買者景気指数(PMI)改定値は、製造業PMIが47.2と6年半ぶりの低水準となり、これまで堅調だったサービス業PMIも50.5と改善・悪化の分岐点となる50.0に接近してきた。 8月の鉄道貨物輸送量は前年比マイナス15.3%と大きく落ち込み、1─8月も前年比マイナス10.9%と国内での物流が停滞していることを示している。鉄道が道路輸送に貨物を奪われているとの指摘もあるが、それだけではなさそうだ。 と言うのも、8月の中国の輸入が前年比マイナス13.8%と大幅に落ち込み、マイナスも10カ月連続で減少しており、国内経済の停滞をうかがわせているからだ。 最近、日本企業の幹部の中でひそひそとささやかれていたのが、中国企業の収益がかなり打撃を受けているという話だ。自社の売り上げや利益水準の減少を懸念しているとの声を、直接聞いたという日本企業幹部に共通しているのは「かなり先行きは暗い」という印象だ。 実際、世界の市場を震撼とさせた9月28日発表の8月工業部門企業利益は、前年比マイナス8.8%と2011年の統計開始以来、最大の落ち込みとなった。 こうした中国経済の「スランプ」は、周辺国の経済不調へと波及。8月の中国輸入のうち、ASEAN(東南アジア諸国連合)からは前年比マイナス4.1%と前月の同プラス0.2%から急ブレーキがかかり、中国からASEANへの輸出も前月の同プラス1.4%から同マイナス4.6%へ急減。ASEAN経済の急減速ぶりを示した。 新興国の不振は、世界経済全体の勢いを削ぐ格好となっており、世界貿易機関(WTO)が9月30日に発表した2015年の世界貿易伸び率予想は、4月時点の3.3%から2.8%に下方修正された。 <自動車販売マイナスのなぞ> 一部のエコノミストは、中国の製造業は確かに減速しているが、個人消費は堅調だとの見方を崩していない。しかし、典型的な耐久消費財である自動車販売が、足元で前年比マイナスになっているのは、どう説明したらよいのだろうか。 中国汽車工業会によると、8月の国内自動車販売台数は、前年比マイナス3.0%。前月の同マイナス7.7%から落ち込み幅は縮小したが、同工業会幹部は、2015年の中国国内での自動車販売は、前年比マイナスに転落する可能性があると述べている。 また、強気派が最大の根拠にしている中国の国内総生産(GDP)に対しても、一部では懐疑的な目が向けられている。 ロイターが9月下旬に実施した多国籍企業の中国事業部幹部13人を対象にしたインタビューでは、9人が実際のGDPは公式統計で示されている7%ペースの成長を下回る3─5%ではないかと実感していると回答した。 人民元切り下げで輸出を振興し、供給過剰を緩和させる作戦も、8月の世界的な市場混乱で実施が当面、困難になった。その結果、「漢方」的なアプローチでジワジワと血行が良くなる治療法を取るしかないという状況に直面したのではないか。 経済対策を打っても、対症療法的なアプローチしか残されていないことを、多くの市場関係者はいずれ認識することになると予想する。 ジェイコブ・ソール氏の著書「帳簿の世界史」によると、かつて太陽の沈まぬ帝国と言われたスペインは、新大陸の銀山や銅山から産出される銀や銅の価値の2倍のコストをかけて、ネーデルランドの独立を抑える戦争をしていたが、正確な収支は当時の国王・フェリペ2世も把握していなかったという。 正確な経済データの把握が、妥当な経済政策選択の出発点であることは、今日も16世紀のスペインでも同じことだ。中国経済の実態が、正確に把握できたと世界の市場関係者が認識するまで、現在の混乱は継続し、「緩慢なショック」は進行する可能性があると指摘したい。 http://jp.reuters.com/article/2015/10/02/china-r-idJPKCN0RW06E20151002
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