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物価マイナス転落でも日銀総裁はなぜ強気?(会社四季報オンライン )
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/153.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 30 日 16:55:10: igsppGRN/E9PQ
 

              物価見通しについて、強気の姿勢を貫く黒田・日銀総裁(撮影:尾形文繁)


物価マイナス転落でも日銀総裁はなぜ強気?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150930-00086454-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 9月30日(水)16時16分配信


 総務省がこのほど発表した8月の消費者物価指数は、生鮮食品を除くベースで前年同月比0.1%の下落となりました。これは、日銀が量的・質的金融緩和を開始した2013年4月以降で初のマイナスで、デフレ脱却のための「物価上昇率2%」の目標実現は遠のいています。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く)は長年にわたるデフレで下落が続いていましたが、日銀が量的・質的緩和に踏み切った翌5月にマイナス圏を脱してゼロとなった後、6月からはプラスに転じ、14年4月には上昇率が1.5%(消費増税による影響を除く)まで拡大しました。

 しかし、その後の上昇率は鈍化傾向を強め、今年に入ってからは0〜0.3%の低い水準で推移していました。それが今回の8月でついにマイナスとなったわけです。(14年4月〜15年3月は消費増税によって前年同月比の数字がかさ上げされているので、物価の趨勢を連続的に判断するには消費増税分を除いた数字を見る必要があります。)

 消費者物価がマイナスとなった最大の原因は原油安です。8月の結果を品目別に見ると、ガソリン(前年同月比17.8%下落)、都市ガス代(9.5%下落)、電気代(5.1%下落)などエネルギーが前年同月比10.5%の大幅下落となりました。これらが物価上昇を0.99ポイント押し下げています。まさに物価マイナスの“主犯”と言っていいでしょう。

 これを受けて市場では、「日銀が物価目標達成のため追加緩和に踏み切るのではないか」との観測が浮上しました。黒田日銀総裁はこれまで「物価目標の早期実現のために必要と判断すれば躊躇なく調整を行う」と発言しており、物価がマイナスとなって目標実現が遠のいたかに見える今はまさにその「調整」、つまり追加緩和が必要なときと見るこができます。

 しかも、8月の消費者物価が発表された9月25日の昼に安倍首相と黒田総裁の会談が行われ、一段と追加緩和観測を強めることになりました。安倍首相がその前日に「アベノミクス第2ステージ・新3本の矢」を発表したばかりというタイミングだったのも注目されるところです。

■ 「物価は着実に改善」

 追加緩和があるとすれば10月の可能性が高そうです。同月には金融政策決定会合が6〜7日と30日の2回予定されていますが、30日の会合では半年に1度の「経済・物価情勢の展望(いわゆる展望レポート)」を決定するため、それに合わせて追加緩和するというのが最も整合性があるからです。10月末と言えば昨年もサプライズ緩和があったので、「今年もその再来か?」という連想もあります。

 しかし、物価上昇率と追加緩和の可能性はそう単純でないのも事実です。黒田総裁は28日の講演で、物価の基調について「着実に改善している」と従来通り強気の発言をしているのです。消費者物価はマイナスになったのに「着実に改善している」とは矛盾するようですが、8月の消費者物価指数の中身をよく見ると「改善している」ことがわかります。

 品目別でエネルギーの下落が大きかったのは前出の通りですが、日銀によればエネルギーを除く指数だと前年同月比1.1%の上昇となっています。下落した品目が131だったのに対して、上昇した品目も339品目を数えます。つまり全体としては物価上昇が続いており、デフレ脱却の動きは持続していると言えるのです。

 そもそも物価というものは、コスト要因と需給要因によって変動します。コスト要因とは原油価格の変動などによるものですが、これは国内の景気や経済情勢とは別の原因で変動するものです。したがって現在のように「デフレ脱却かどうか」を判断するうえでは、需給要因が重要になってきます。エネルギー以外の品目で上昇した品目が多いということは、国内の需要がある程度しっかりしていることを示しているのです。

 こうしてみるとデフレ脱却に向けての動きも着実に進んでいると見ることができるわけで、そうであるならば急いで追加緩和しなくてもいいということになります。

 実は総務省が発表している消費者物価指数には、(1)総合指数(2)生鮮食品を除く総合指数(3)食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合指数、の3種類があります。(1)は全品目(現在は588品目)を対象としており、物価全体の動きという意味ではメーンの指標です。

 しかし、これに含まれる生鮮食品は天候などによって変動が激しいため、物価の基調的な動きを判断するには(2)(生鮮食品を除く指数)が適切です。日銀が目標としている「2%」も、(2)を尺度としています。

 ただ、これまでみてきたように、(2)も原油価格などの変動の影響を大きく受けることから、その要素を除いた(3)を見たほうがデフレ脱却の度合いをより的確に判断できます。(3)は「酒類以外の食料」も除く指数。食料も米シカゴ市場の先物相場の影響などで変動しやすいことを考慮したものです。実際、(3)は最近、上昇幅が拡大傾向にあり、5月は0.4%、6月と7月はいずれも0.6%、8月は0.8%でした。

■ 消費者物価にはさまざまな指数が

 これら3つの指数に加えて、日銀は「エネルギーを除く指数」の上昇率をまとめています。デフレ脱却の判断をより的確に行うには、(3)の「食料とエネルギーを除く」よりもエネルギーだけを除く数字が必要、という考えからです。「8月の上昇率が1.1%上昇だった」というのはこの指数のことです。

 このように、デフレ脱却の判断と金融政策の見極めには消費者物価の各指数と品目別などをさまざまな角度から分析する必要があります。消費者物価指数は基準年について5年に1度の頻度で見直しており、来年7月分から実施する予定です。これに伴い、調査対象のうち30品目余りの入れ替えも行う方針です。その内容と影響については次回以降に詳しく紹介します。

 ※岡田 晃
おかだ・あきら●経済評論家。日本経済新聞に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

岡田 晃


 

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コメント
 
1. 2015年9月30日 20:16:39 : jXbiWWJBCA
 
アベノミクス「新3本の矢」に見る真相(大前研一)
【日本】2020年へ「新3本の矢」発表 〜安倍首相〜
 安倍首相は24日、経済政策アベノミクスの新たな三本の矢を発表しました。強い経済、子育て支援、社会保障の政策を強化するもので、2016年夏の参院選をにらみ、安全保障から経済に政策運営の軸足を移す考えです。
 この新三本の矢についてはコメントする価値もありません。ただひとつ、総理のために言うならば、あれだけの乱闘国会の後に、よく準備していたと思います。この点については野党の一歩先を行っていると思います。

 しかもこれには2つの目的があります。1つは新しい時代を提案し気持ちを切り替えさせることです。これによって集団的自衛権問題ではなく、議論を呼ぶような内容を3つ提案したのでこちらに争点を移してくださいと言うメッセージです。
 もう一つの狙いは、古い三本の矢がうまくいかないので、これを忘れてくださいということです。消しゴムで消すわけにはいかないので新しい目標を提案したというわけです。そしてその新しい目標では、GDPの目標は600兆円です。子育て支援では待機児童ゼロを目指し、社会保障の面では、問題になっている介護離職をゼロにすると言うのです。言葉だけ聞くとすべてにいいね!をつけたくなるような政策です。しかし具体的に考えると、GDP 2%の増加ができないアベノミクスに600兆円が実現できると言うのでしょうか。まさに目くらましの三本の矢であり、目に矢を入れて見えなくしようと言う狙いなのです。
 そしてもう一つすごいことは、1億人を絶対維持すると言うのです。私も皆さんに、子供をたくさん増やして特殊生涯出生率は1.8%以上、実際は2%を超えないといけないと話していますが、政府は具体策についてはこれから考えるものの、一億総活躍大臣を作ると言っているのです。重要なテーマと思わせたいときには必ず大臣を1人呼ぶのが政府のやり方です。
 石破地方創生大臣は何一つやっていないにもかかわらず、地方創生が安倍首相の政策の中心ということでそのポストができるのです。予算は最終的に1000億円しかなく、数十億ずつ地方にばらまいてしまって終わりです。いまや新大臣は何でもよく、「一億総活躍担当大臣」などというものができるのです。やはり安倍首相は目くらましについて非常にしたたかだといえます。これによってなんとなく集団的自衛権よりもこちらを批判したくなるからです。安倍首相は批判されて良いのです。みんながこちらに論点を移し、SEALDsなどが静かになれば良いというわけなのです。
 三本の矢ですが、これまでの第一の矢は大胆な金融政策で、円をどんどん出したことで円安になりました。第二の矢は機動的な財政出動でしたが、これは東北などに消えていきます。そして第三の矢の成長戦略は新三本の矢では安心繋がる社会保障とされています。第一の矢でお金をじゃぶじゃぶにしたものの、経済に吸収されていないということで、マネタリーベースでは非常に大変な事態となっているのが現状です。
 そして、特殊生涯出生率をフランス並みにしようとしたら、GDPの3%、4%も費用をかけないといけないわけですが、日本は雀の涙で、奮発の仕方がぜんぜん違います。成人になるまでの給付と費用について見ると、赤い部分が経費で、国の補助を差し引きした正味では日本は第三子でもマイナスになっています。一方フランスの場合には、第三子になると1800万円も儲かるという仕組みになっています。ここまでするにはGDPの3%、4%というお金を使わなくてはならないわけですが、日本にそのつもりは全然ないのです。

 どうしたら子供を産んでもらえるようになるのか、私が提案しているのは戸籍の撤廃です。しかし安倍首相のような保守系の方々は戸籍撤廃などとんでもないという意見なのです。スウェーデンやフランスは戸籍の撤廃をしてから20年かかって今の状況があるのです。日本はそれとは真反対のことを考えているので、到底うまくいくとは思えません。
【日本】白熱するマイナンバー議論 軽減税率の再検討訴え
 公明党は15日、消費税率10%時の負担軽減策について、マイナンバーカードを使って2%分を還付する財務省案に反対する方針を固めました。これまで訴えてきた軽減税率に比べて消費者の負担軽減が限定的で、党内や支持母体の創価学会からの理解が得られないと判断しました。
 これは喜ばしいことです。以前、創価学会の問題で、雑誌などで公明党を非難したことがあったのですが、その時抗議してきた議員から、今後は直接意見して欲しいと言われていました。そういう経緯があったので、今回の件について、これをやったら公明党はまずいことになると電話で伝えました。すると公明党側も、財務省案が突然出てきて賛成できなくて困っているというのです。そこで、しっかり反対しないならまた記事で非難すると言って、まるで脅すような形になってしまったわけです。しかし、これは本当に、公明党は通してはいけない案なのです。
 財務省やサイバーゼネコンの罠にはまって、国民データベースで一年間の消費をトラッキングするなど、ビッグデータのような言葉にごまかされているのです。もう一つの問題は、希望者だけという点です。麻生氏は還付がいらない人はやらなくていいなどと言っていますが、それも間違いです。結果的には公明党が今回の財務省案を廃案にし、軽減税率で品目によって増税しないという形になるでしょう。
 ただ、どの品目が贅沢品かという微妙な問題が残ります。飲食店では牛丼チェーンで食べたら軽減税率の対象のような気がしますが、三ツ星レストランではどうなのか、こうした議論になると収拾がつかないのです。よって、低所得者は10%の消費税が困るということであれば、アメリカのようにフードスタンプを出すべきです。それもアメリカほどの額ではなく、今回言われている年間4,000円ほどのスタンプを購入時に使えるようにするという、かなり簡素化した形でなければうまくいかないでしょう。
 また、週間ポストが面白いことを書いています。財務省が狙っているのは実は、マイナンバーとデノミだという記事です。財務省はもとからそういったことを考えているのですが、やはり1ドル=100円は屈辱だというのです。戦前は1ドル=1円でやっていて、戦後にはハイパーインフレが起こってしまい360円で固定したわけです。円は360分の1になり、国の発行した戦時国債は360分の1になったので、国の借金がチャラになりました。そして今、財務省はハイパーインフレしかないと考えているのです。10倍のハイパーインフレになれば国の借金は10分の1になります。
 さらに、財務バランスを取ろうと税を上げようとすればあれこれ削れと言われ、国民や政治家がなかなかやらせてくれませんが、その点、ハイパーインフレになった場合には、これまでどこの国を見ても誰のせいだとは言えないのです。つまり、財務省は責任を取る必要がないので、ハイパーインフレ待望論が財務省にはあるのです。もう一つ、880兆円あるとされる現金・預金が世に出てくることになります。10倍のハイパーインフレになれば、1万円が千円になってしまうので、現金を持っている人は他のものに置き換え始めます。それにより、880兆円がマーケットに出てくることになるので、それにはデノミが好都合というわけなのです。
 財務省はもう1000兆円の借金対策はやりません。増税がいかに大変か、政治家がいかにだらしないかよくわかっているので、もう安楽死しようという方向に来ているのです。週刊ポストのこの記事は正しいと思います。こんなことは大新聞は書かないのです。
 アメリカのスタンダードアンドブアーズは16日、日本国債の格付けをAA-からA+に一段階引き下げたと発表しました。日本経済が期待したほどの速さで回復せず、所得も十分上がっていないことが理由です。
 アベノミクスが十分な経済成長に繋がらないからだと言っているわけですが、実はどういうことがきっかけでハイパーインフレが起こるのかというと、馬鹿な政治家や日銀総裁などが馬鹿なことを言った場合、それと格付け機関が政府は色々やっているがダメだと判断して国債をジャンク債に引き下げた場合、などがきっかけになるのです。
 今のところ一番確実なトリガーはジャンク債になることだと思います。まだそこまでではないものの、韓国や中国よりも日本国債は下の格付けなのです。由々しき状況ですが、安倍首相の話を聞いているとそうした感覚が全くなく、新しい三本の矢などと言っているのが現状なのです。
【ギリシャ】与党・急進左派連合が大勝 チプラス氏が首相就任
 20日に投開票されたギリシャ議会総選挙で、ツィプラス前首相の与党急進左派連合が得票率35.46%、145議席を獲得し、大勝しました。
 ギリシャの選挙では一位の党に50議席の余禄をくれるという制度なので、実際は95議席なのですが、それに独立ギリシャ人の10議席を加えて過半数をとったということになります。今回の選挙は、誰からも何の関心も呼ばなかったという点において、ある意味ツィプラス氏の巧妙なやり方がこれで固まったということになります。約束した通り、緊縮策も織り込んでやっていくという話になると思います。

 ただ、ギリシャの場合、何十兆という大規模な債務免除をヨーロッパが与えないと返済は不可能で、緊縮策だけでギリシャが復興するということはまずありえないと思います。次のステップが非常に重要で、ラガルドIMF専務理事はそのことを強く指摘していますが、メルケル独首相やショイブレ独財務大臣などは認めていないのでまだ距離があると言えます。
講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
8月23日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

その他の記事を読む

米国利上げ動向と金価格動向(近藤雅世)


http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20150930-2/ 


2. 2015年9月30日 21:08:10 : jXbiWWJBCA
田嶋智太郎の外国為替攻略法
2015年09月30日
波乱含みの10月はドル/円も大きく動く!?
いよいよ明日から始まる10月の外国為替相場は、比較的大きな動意が見られる可能性が高いものと思われます。周知のとおり、それは欧・米・日と中国において非常に注目度が高いイベントの日程が目白押しとなっているからです。代表的なものだけを見ても、10月22日にECB理事会、27-28日にFOMC、30日に日銀金融政策決定会合が予定されており、さらに10月中には中国で共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)が開かれる予定であると伝わっています。
ECBの定例理事会については、追加緩和(=債券購入プログラムの規模拡大)実施の決定の有無に市場は関心を寄せており、今のところ実施決定の可能性は低いと見られていますが、足下ではフォルクスワーゲン問題の影響なども懸念されており、ともすると市場の追加緩和期待が再び高まる可能性もあります。
FOMCについては、なおも10月米利上げの可能性が残されており、それまでに発表される米経済指標の結果などによっては、あらためて市場の思惑が強まる可能性もあるものと思われます。もちろん、10月の利上げが見送られれば、むしろ12月利上げの観測が一層強まることとなるわけで、いずれにしても当面のドルは比較的底堅く推移する可能性が高いのではないかと思われるところです。
日本では、足下の景気が停滞気味で株価も極めて不安定な状況にあることから、市場では常に日銀の追加緩和実施に期待する声が聞かれます。現実問題として、米利上げよりも先に日銀が動くことは難しいでしょう。とはいえ、仮に中国の五中全会で大胆な景気対策が打ち出され、市場のムードに大きな変化が生じるような展開にでもなれば、10月の米利上げと日銀追加緩和の"合わせ技"が繰り出される可能性もないではなく、この10月相場はかなり波乱含みの展開となる可能性がありそうです。
それだけに目下の外国為替相場は方向感の見出しにくい展開となっており、ことにドル/円については下図でも確認できるように、8月25日以降長らく保ち合いの状態を続けています。この三角保ち合いのようにも見えるこう着状態はすでに相当煮詰まってきているものと思われ、近いうちに上か下へと放れることとなるでしょう。よく見れば21日移動平均線(21日線)と絡み合う状況が続いており、当然、ボリンジャ―バンド(θ=21)の「収束」も強まっています。つまりは「拡散」のタイミングも近いということです。

次にドル/円が保ち合いから放れる場合、それは「上放れ」となる可能性が高いと筆者は見ています。中国の景気悪化懸念に端を発して世界的に株安の連鎖が生じ、一時的にも急激な円高・ドル安が進行した8月下旬から1カ月余りが経過し、この10月には主要各国ならびに当の中国から何らかの具体的な政策が発動される可能性が高いと見るからです。
仮にドル/円が目下の保ち合い状態から上放れるとすると、まずは一目均衡表の日足「雲」を上抜け、次に8月28日高値=121.73円を試すものと見られます。そうなれば日足の遅行線も再び日々線を上抜ける強気の展開となります。同水準をも上抜けた場合、次に意識されるのは今年1月安値と4月安値、7月安値を結ぶ以前のサポートラインであろうと思われます。その近くには現在、89日移動平均線(89日線)も位置しており、まずはこれらの水準を試す動きとなる可能性があるものと考えます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:米利上げの素地は着実に整いつつある!? −2015年09月16日

http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2015/09/30.html 


 
2015年09月30日
紅葉の前に雇用山本 雅文
<ポイント>
◆昨日は、アジア時間までは株価やコモディティ価格が前日の流れを引き継ぎ続落したことから、ドル/円や豪ドルが続落した。もっとも、株価や資源価格が欧米時間に下落一服・小反発に向かったことから、ドル/円や豪ドルが持ち直す展開となった。ブラジルレアル、トルコリラ、南アランドといった高金利新興国通貨も揃って反発した。
◆本日は、本邦8月鉱工業生産(8:50)、豪8月住宅建設許可件数(10:30)、英9月ネーションワイド住宅価格(15:00)、ユーロ圏9月総合HICP(18:00)、米9月ADP民間雇用統計(21:15)、カナダ7月GDP(21:30)、ダドリーNY連銀総裁発言(21:35)、米9月シカゴPMI(22:45)、イエレンFRB議長およびブラード・セントルイス連銀総裁発言(翌朝4:00)などが予定されている。
◆ドル/円は、金曜発表の米雇用統計を前に、連動性があるADP民間雇用統計に注目が集まり、素直に市場予想(+19.0万人)を上回ればドル買い、下回ればドル売りとなりそうだ。ユーロ/ドルや豪ドル/米ドルの同様の動きとなりそうだ。なお、今日もFed高官発言が複数予定されているが、今後の市場動向や経済指標次第で発言のトーンも変わり得ることから、市場の反応は限定的となりそうだ。
昨日までの世界:株安・資源安が小休止
ドル/円は、アジア時間から欧州時間入りにかけて本邦、中国の株価やコモディティ価格が前日の流れを引き継ぎ続落したことから、120円丁度近辺から一時119.25円へ続落した。もっとも、スイス資源商社グレンコア株など、株価や資源価格が欧米時間に下落一服・小反発に向かったことから、120円丁度近辺へ反発した。その後NY時間にかけては、119円台後半でもみ合いの展開となった。この間、米経済指標結果はまちまちで、S&Pケースシラー住宅価格は前年比5.0%と市場予想を若干下回った一方、消費者信頼感は103.0と予想外に改善し、今年1月につけた高値である103.8に近づいた。
ユーロ/ドルは、アジア時間は株安の中で強含み、1.1281ドルの高値をつけていた。もっとも、欧州時間入り後は、ドイツの各州分のインフレ率が発表され、17:00発表のヘッセン州分が前月の前年比+0.4%からゼロ%へ鈍化したことが明らかになって以降、反落基調となり、21:00発表の全ドイツ分も前年比-0.2%と、前月および市場予想を大幅に下回りマイナス圏再突入となったことから、ECB追加緩和期待が高まり続落、1.1194ドルの安値をつけた。但しその後は1.12ドル台後半へ反発した。マクチ・スロヴァキア中銀総裁が刺激策拡大の検討は憶測と述べたほか、バイトマン・独連銀総裁も金融政策決定にあたっては原油価格変動の影響を見越す必要があると述べ、追加緩和期待をなだめる発言が続いたこともユーロ反発の一因になったとみられる。
ユーロ/円は、ユーロ/ドルと同様にNY時間入りにかけて一時134円台前半へ軟化する局面も見られたが、概ね134円台後半での横ばい推移となった。
豪ドル/米ドルは、アジア時間は中国株安などを眺め下落基調となり、一時0.6937ドルと24日の安値を若干下回った。但し欧米時間にかけては、銅やプラチナなどのコモディティ価格、またスイス資源商社グレンコア株などが反発に向かい、欧米株価指数も下落一服となったことから、一時0.70ドル台を回復した。
豪ドル/円も、アジア時間に82.82円の安値をつけた後、NY時間にかけては一時84円台を回復した。
きょうの高慢な偏見:紅葉の前に雇用
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今週の経済指標カレンダー
ドル/円は、金曜発表の米雇用統計を前に、連動性があるADP民間雇用統計が注目となる。120円丁度を挟んだレンジ取引が続き、ポジションの偏りが小さくなってきていると見られる中、ドル/円は結果に対して素直に反応するとみられ、市場予想(+19.0万人)を上回ればドル買い、下回ればドル売りとなりそうだ。
ユーロ/ドルは、ユーロ圏9月総合HICP(前月は前年比+0.1%、市場予想はゼロ%)もドイツ分と同様にマイナス化するかが注目となるが、昨日ドイツ分の大幅下振れでマイナス化リスクはある程度織り込まれている可能性があること、更にその後ユーロは反発していることから、ユーロ圏分HICPがマイナス化してもサプライズではなく、下落は限定的となりそうだ。ユーロはECB高官からの異口同音の追加緩和慎重発言で下落モメンタムを失っており、ドル/円同様にユーロ/ドルも1.11-1.14ドル程度のレンジ内で方向感のない展開となるリスクが高まっている。
豪ドル/米ドルは、株価やコモディティ価格の下落が一服する場合には、0.70ドル丁度近辺での推移となりそうだが、中国景気減速懸念は払拭されておらず、上値は重い展開が続きそうだ。

https://info.monex.co.jp/report/fx-strategy-daily/index.html 


3. 2015年10月01日 14:09:26 : OO6Zlan35k

日銀は10月に追加緩和すべき、早急な景気対策が必要=自民・山本氏

[東京 1日 ロイター] - 自民党の山本幸三衆議院議員は1日、足元経済について「消費が落ちているために企業の元気が出ない」と述べ、景気・物価の下振れに対応して日銀は10月に追加緩和すべきとの認識を示した。ただ、来週の決定会合での判断は難しいだろうと語った。早急に景気対策を行うべきとも語ったが、規模についての言及は避けた。

自身が会長を務める議員連盟「アベノミクスを成功させる会」終了後、記者団に語った。

今朝発表された日銀短観では大企業製造業の業況判断DIが3四半期ぶりに悪化した。山本氏は「生産も良くない。消費が落ちているので、企業の元気がでない」と指摘。景気・物価の下振れに対応して10月に追加緩和すべきとの主張は変わらないかとの質問に対して「変わらない」と述べた。

ただ、来週6━7日に予定される日銀金融政策決定会合での判断は「難しいだろう」とも語り、経済・物価情勢の見通し(展望リポート)を策定する10月30日の会合が判断時期になると見通した。

また「アベノミクス第2ステージ」の政策の柱として、安倍晋三首相が強い経済、子育て支援、社会保障を新たな「3本の矢」と位置づけたことには「第1の矢の強い経済をしっかりつくらなければ、子育て支援も出来ない」と指摘。

第1ステージの大胆な金融政策と機動的な財政政策の役割は終わったのかとの質問には「そう思われては困る。(そう思われないように)逆に強化する方向を打ち出す必要がある」と語り、景気対策についても「すぐやる必要がある」と述べた。

山本氏は「アベノミクス」の仕掛け人のひとり。「アベノミクスを成功させる会」では主にリフレ派の専門家からヒアリングをして、第2ステージを成功させるために何が必要か検討を進めてきた。きょうまでに行った3回の勉強会を踏まえ、山本氏はなんらかの手段で「感じたことは総理に伝える」とした。

*内容を追加します。

(吉川裕子 編集:吉瀬邦彦)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/01/yamamoto-idJPKCN0RV3CN20151001


4. 2015年10月01日 18:24:15 : OO6Zlan35k

英国を席巻する「国民のための量的緩和」接近する中国発の大型台風

2015年10月1日(木)倉都 康行


「国民のための量的緩和」を唱える英労働党のジェレミー・コービン党首(写真:ロイター/アフロ)
 2013年5月から始まった「米国金融緩和の修正」と「新興国経済失速」の二つの懸念材料を前座に従え、今年6月以降の上海株の急落や人民元基準値修正という「中国経済リスク」が真打として登場し、8月中旬以降の株式市場には大幅な調整局面が訪れることになった。日経平均は6月のピークから約19%、米ダウも5月の最高値から約14%それぞれ下落した。

 9月の株式市場は一進一退の展開となったが、先般のFOMCでイエレン議長が利上げ見送りに関して中国を特に意識して説明したことは、FRBが「金融政策は国内要因で決める」という従来型の金融政策からの転換を余儀なくされた、という画期的な事実を示している。

 となれば、物価には上昇気配が見られない上に、中国経済が益々怪しげなムードになっている以上、10月どころか12月の利上げさえ疑問視されても仕方がない。イエレン議長は先月24日の講演で「年内利上げが適切だ」との姿勢を貫いているが、米国経済にも鈍化の気配が見え隠れし始めていることは否定出来ない。

 9月以降の米国経済指標のうち、議長に味方しているのは住宅市況と自動車販売くらいであり、製造業関連の指標や消費者の信頼感、設備投資、輸出入、そして企業の売り上げ見通しなどは押しなべて低調となっている。4-6月期GDP成長率の確報値は前期比3.9%に上方修正されたが、それも過去の話であり、アトランタ連銀のGDPNowが示す7-9月期GDPは1.8%成長と低調だ。

中国民の海外投資はキャピタル・フライト

 中国経済に関しても、海外市場の注目点は不安定な上海株への懸念や信頼出来ないGDPへの疑念から、人民元の先行き不安へと移っている。8月の人民元基準値算出方法の修正は確かに市場にショックを与えたが、その後の通貨急落を防ぐために人民銀行が巨額の元買い支え介入を行ったことや、その効果は限定的との見方が広がりつつあることに、もっと注意を払うべきだろう。

 中国の8月の為替市場介入額は1300億ドルに上り、9月も500億ドル以上のドル売り介入が続いたようだが、市場に台頭しつつある人民元の先安観は、株買い支えに失敗したのと同様に中国が人民元の防衛にも失敗する可能性を、投資家が感じ始めていることを示唆している。

 中国からの資本流出に、プラスとマイナスの両面あるのは事実である。前者で言えば居住者による積極的な海外投資であり、後者は海外マネーの逃避や人民元買い支えに伴う外貨準備の減少だ。

 だが同国民による海外投資の本音はキャピタル・フライトだ、と指摘する声は少なくない。中国経済の失速状況を鑑みれば、資本流出はやはりマイナス面を象徴するものとみるのが適切だろう。

 中国の外貨準備高減少は米国債保有高にも影響を及ぼしている。米財務省の統計に拠れば、同国の7月米財務省証券保有残高は前月比304億ドル減と大幅な縮小を見せている。中国の人民元買い介入と米国債売却は、先進国が行っている量的緩和とは正反対の「量的引き締め(Quantitative Tightening)」だと称されることも多い。自国通貨買い上げはマネーサプライ減少をもたらし、米国債売却はFRBによる米国債保有を帳消しにするものであるからだ。

 8月以降の株価急落の際に米国債利回りがそれほど低下しなかったのは、中国による米国債売却も一因だろう。QEならぬQTによって、米国の利上げ前に既に中国が代理人として実質的な金融引き締めを開始してしまったようにも見える。

 市場には、逃避的なキャピタル・フライトが加速すれば、人民元は他の新興国通貨と同様に対ドルで20%以上切り下がる可能性がある、との見方も出始めた。人民元安がもはや輸出のカンフル剤にならないことも以前に指摘した通りだ。そんな「テール・リスク」が現実のものとなるならば、8月に起きたショック程度では済まないだろう。

 バーナンキ前議長は退任後「自分の仕事の98%は市場との対話であった」と述懐していたが、イエレン議長の今年の仕事も「年内利上げ」と主張し続ける口先介入で終わってしまうのかもしれない。

デフレ・リスクの波及に敏感になる欧州

 中国で発生した大型台風が世界経済にデフレの波をもたらす、と懸念する機関投資家も少なくない。フィデリティは、2008-9年の米国発のデフレの波、2011-12年のユーロ圏発のデフレの波に続き、2015-16年には中国を起点とする新興国発のデフレの波が世界を襲う可能性が高い、と指摘している。

 因みに日本の9月コア消費者物価指数が前年同月比マイナス0.1%と2年4カ月ぶりにマイナスに転じたのは、原油安が主因と見做されているが、今後中国から吹き寄せる第三のデフレの波が食料やエネルギーを除くコアコア指数を押し下げ始める可能性も無いとは言い切れまい。

 もちろん、1990年代のように物価下落が先進国の購買力増加に繋がるというプラス面も想定しうる。だが、中国を含む新興国経済の世界に占めるGDPシェアが当時と比べて飛躍的に増大している今日では、日本だけでなく米欧などの実体経済に与えるマイナス効果は無視出来ないように思われる。

 こうしたデフレ・リスクの波及にいま最も敏感になっているのは、中国経済との関係が深い欧州である。中でも英国では、利上げが囁かれる中で全く正反対の利下げ論すら浮上してきたことが注目される。その口火を切ったのは、歯に衣着せぬ発言で有名な英中銀チーフ・エコノミストのアンディ・ホールデン理事だ。

 昨年来、英中銀のカーニー総裁は常に利上げ開始を念頭においた発言を繰り返しており、8月にも「年末には利上げ時期が明確になるだろう」と述べて、FRBと肩を並べて一足先に金利正常化に向かう姿勢を見せていた。

 だが、これにホールデン理事が真っ向から異議を唱えている。英国の消費者物価指数は6月には前月比横ばいとなり、7月にはマイナス0.2%にまで落ち込んだからだ。8月は0.2%のプラスに転じたが、とてもインフレを警戒するようなレベルではない。

 同理事は、次の政策変更は利上げではなく利下げかもしれない、と述べると同時に「今後2年間を見渡せば英国経済の方向性は下向きのリスクが増大しており、いずれマイナス金利も検討せねばならなくなる」と強い警戒感を示している。

 余談ではあるが、ホールデン理事はユーロ圏などで導入されているマイナス金利政策の限界に言及し、マイナス金利の効果を発揮させるには中央銀行が現金を廃止するしかない、といった過激な思想を披露している。

 その実務的な非現実性は兎も角として、今後も中国リスクの拡大などを背景に低成長やディスインフレ或いはデフレへの懸念が長期化するのであれば、マイナス金利の適用範囲が広がることも有り得るだろう。

 いま、物価目標から遠ざかるばかりの日銀やECBが、次の一手を迫られているのは周知のとおりだ。日銀は10月にも追加緩和を決定するといった観測が強まっており、ECBでも量的緩和の期間延長や規模拡大が水面下で検討されているのは確実である。

 だが株式市場はこれまでのサプライズの快感に慣れてしまっており、従来の政策拡張ではむしろ単に失望感を誘うだけかもしれない。米国にすら「QE4」の必要性が囁かれる中で、市場には「次なる危機の対策として金融政策は適切ではない」との声も出始めている。

 確かに、現時点で唯一の処方箋と見做されているにもかかわらず、限定的な効果しか生み得ず、かつ財政ファイナンスの危険性を伴うものと評判の悪い量的緩和の続行の意味を疑ってみることも必要だろう。この点でも注目されるのは、やはり英国である。

急進左派党首が主張する新しいタイプの量的緩和

 例えば、現在進行形の量的緩和は、恩恵がリスク資産市場に限定されただけでなく、その引き揚げを示唆するだけで市場の大混乱をもたらしたと批判的に見る向きは、今後は伝統的な財政政策に戻るべきだ、と主張する。確かに日本以外には、まだ財政拡張の余裕がある国が少なくないが、一般的に先進国は財政赤字拡大を許さない雰囲気の中にあり、英国もキャメロン政権の下で財政緊縮の最中にある。

 となれば、今後世界的景気後退が到来した場合には、新規の非伝統的金融政策に踏み込むほかにないかもしれない。最も手っ取り早いのは、正真正銘の「ヘリコプター・マネー」である。中央銀行が国債を市場から買い入れるといったまどろっこしいやり方ではなく、直接国民にマネーを配布する、いわゆる「禁じ手」である。

 こうした新奇の政策を主張していた英国労働党のジェレミー・コービン氏が、5月の総選挙で予想外の大敗を喫して辞任したミリバンド氏に代わって同党の党首に選ばれたことで、英国ではその政策主軸の一つである「国民のための量的緩和(People’s QE)」が一躍話題になっている。もっとも、同国内で話題になっているのは国民にポンド紙幣をばら撒く方式ではなく、インフラ投資事業を英中銀がファイナンスする、という新しいタイプの量的緩和である。

 因みに新党首に選ばれたコービン氏は、過激な左翼的言動で知られる古いタイプの労働党の政治家だ。「極左のマルキスト」とも称される同氏が二大政党の一つである労働党のトップに座したことは、英国中を驚かせている。

 一貫して緊縮財政を批判し、古色蒼然たる社会主義的理念を信奉するコービン氏が、保守党にまともに対抗出来ない政治家らに失望した党内不満分子や将来への不安を抱える若者世代らの支持を受けて最大野党の党首となったことは、欧米に広がる急進左派の波が英国にも到達したことを示すものともいえる。

 英労働党は、ブレア元首相が党内革命とも言える中道戦略を打ち出して政権を奪回した後、徐々に支持を失って現在に至っており、低迷を打破するには保守党との決定的な差別化を図るしかないとの判断があったようにも思える。

 終戦直後の労働党を象徴するような風情のコービン氏は、当初こそ嘲笑の的にすらなっていたが、結果的には59.5%という高い得票率を獲得して党首に選ばれた。同国内では同氏の党首生命は短命に終わるとの見方が大勢のようだが、先般の総選挙を勝ち取ったギリシアの急進左派連合シリザ、徐々に支持を広げつつあるスペインの左派政党ポデモス、そして米国民主党の大統領候補選でヒラリー・クリントン氏を急追している社会主義者バーニー・サンダース氏などの勢いは、金持ちが益々金持ちになるだけの従来の経済政策、特に金融政策への批判が強まっている世界的な潮流だ、と読み取ることも出来るだろう。

 だからこそ、「国民のためのQE」がいま話題になっているのだ。正統派エコノミストはこうした異端の政策を嘲笑乃至危険視するのがオチであるが、HSBCの前チーフ・エコノミストのステファン・キング氏は「救命道具が足りないタイタニック号のような世界経済にはそれが最後の拠り所になるかもしれない」と述べている。

 またFSA元長官のターナー氏ですら「厳しい制約条件が前提条件となるならば、金融政策が財政フィールドに踏み込むことも正当化され得る」と理解を示している。FT紙の著名なコラムニストのマーチン・ウルフ氏や、英国大手ヘッジファンドを率いるポール・マーシャル氏も、英中銀がインフラ投資をファイナンスする案を、限定条件付きとしながらも「検討に値する案だ」として支持を表明している。

左派の主張に反論するのは容易でない

 中央銀行が、国債発行ではなく自らのマネーでインフラ投資を行うという財政ファイナンスを積極的に支持することはないだろうだが、国債大量買入れの実施によって、金融政策と財政政策の間の距離を中央銀行が自ら一気に縮めてしまったことは事実である。

 現時点では「市場から資産を購入する限り量的緩和は財政ファイナンスではない」という理屈で、その金融政策は正当化されている。確かに中央銀行が保有債券を中途売却すれば、市中に流出したマネーは回収可能である。高橋是清が行った日銀による国債引き受けも、市中売却が前提となっていた。だが今日の量的緩和はその点、極めて怪しいと言わざるを得ない。

 利上げを検討しているFRBですら、現状での保有証券の中途売却は困難と判断し、利上げ後も再投資を継続する方針である。債券市場が今日の量的緩和を「事実上の財政ファイナンス」と見ているのは当然だ。主要国の中銀は既にルビコン川を渡ってしまったのだ。

 左派的な勢いが強まる中で、同じ財政ファイナンスであれば、株価吊り上げしか効果のない現行の手法よりもインフラ投資の方が国民にとって平等な利益になる、という主張に整然と反論することはそれほど容易ではない。

 また、低成長と低インフレの長期化構造においては、多少手荒なことをやってもインフレにはならない、という異端の考え方も徐々に支持を得始めている。実施するなら「国民のための金融緩和策を」と主張する声が、金融感覚で一歩先を行く英国内にじわりと広がりつつあるのは、決して不思議なことではないのである。

このコラムについて
倉都康行の世界金融時評

日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/230160/092800005/

[32削除理由]:削除人:無関係の長文多数

5. 2015年10月01日 18:36:43 : nJF6kGWndY

>>04財政ファイナンスであれば、株価吊り上げしか効果のない現行の手法よりもインフラ投資の方が国民にとって平等な利益

国債も通貨も0金利であれば、等価であり

政府も中銀も統合政府としてみれば、同じ経済主体だから

完全に旧アベノミクスだ

日本化が世界中に浸透しているということだな


6. 2015年10月02日 04:19:23 : O8A0dxPAI6
後戻り出来ないから、ブラフでも強気でいるしかない。


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