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独Vワーゲン不正 “提携解消”で際立つスズキの千里眼〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/138.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 30 日 08:41:30: igsppGRN/E9PQ
 

独Vワーゲン不正 “提携解消”で際立つスズキの千里眼〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150930-00000003-sasahi-bus_all
週刊朝日 2015年10月9日号


 ドイツを代表する自動車メーカーで、販売台数首位をトヨタと争うフォルクスワーゲン(VW)。同社で排ガス規制をめぐる不正が発覚、環境大国ドイツのブランドをも大きく揺るがしている。

 問題は、ディーゼルエンジン車の排ガス規制逃れ。不正ソフトを使い、検査時には窒素酸化物(NOX)の排出を基準値以下に抑えるが、走行時は基準値の最大40倍も排出していた。対象車両は全世界で1100万台に及ぶ。

 今後、VWは多額の罰金や損害賠償訴訟に見舞われるだろう。BNPパリバ証券アナリストの中空麻奈氏の試算では、その額は130億〜200億ドルになる見込みだ。

 中空氏は、「財務状況がよいVWにとって大した額ではない」と言うが、デフォルト(債務不履行)のリスクが全くないとは言い切れない。

「今後の調査で不正の悪意性が高いとわかったり、欧州の他メーカーでも不正が発覚して業界全体の問題となったりしたら、VWの経営危機や業界再編につながる可能性もある」(中空氏)

 欧州では、日本と違ってエコカー技術としてディーゼル車が幅広く普及している。ダイムラーなど他の欧州メーカーもディーゼル車に注力している。こうした自動車市場が一変するかもしれないと言うのは、国際エコノミストの今井澂氏だ。

「ディーゼル車市場が縮小し、電気自動車やハイブリッド車の市場が広がる潮目になる可能性もある。そうなると、これらを手掛ける日本勢は売り上げが伸びるでしょう」

 加えて今回の事件で特に注目を集めたのが、VWとの資本提携解消を8月30日に発表したスズキだ。両者は2009年に資本提携したものの技術供与などで折り合わず、11年にスズキが提携解消を申し入れ、国際仲裁裁判所を通して係争が続いていた。

「提携が続いていればスズキのブランド価値に傷がついていたでしょう。火の粉を回避できたのは、スズキが千里眼を発揮したとしか思えません」(中空氏)

 不正発覚後、VWの株価は約30%も下落。提携解消に伴い、スズキは保有しているVW株(439万7千株)をポルシェに売却する。

 VWの窮地を嗅ぎ付けたのか、それとも偶然か──。同社広報に提携解消のタイミングの良さについて水を向けると、「我々で決められることではないですので」。そっけない言葉に安堵(あんど)の空気が流れていた。

 

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コメント
 
1. 2015年9月30日 10:29:25 : X1cFZvoInw
浜岡原発の再稼働に反対を明確にた原発再稼働に反対する唯一の大企業。
その見せしめに軽自動車税増税なんて噂も出たが、お上を頼らないと言うことは自分たちは自分たちの力で生き抜いていくという企業体質で、VWの危うさを若しかして知っていたのかも知れないな。

ディーゼルに限らず燃やせば排ガスは出るので、ディーゼルをやってないスズキの技術者でもVWの仕様を見てクリーンディーゼルに疑問を持っていたとしても不思議じゃないと思う。


2. 2015年9月30日 12:43:34 : jXbiWWJBCA
山崎元のマルチスコープ
【第395回】 2015年9月30日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
企業の不祥事に社員が違法と知りつつ関わる理由
日本も米国もドイツも──
不祥事は国民性もガバナンスも超越する


VW、東芝、金融機関──。なぜ経営者や社員は問題を知りつつ不祥事に関わってしまうのか
 ドイツを代表する企業であるフォルクスワーゲン社(VW社)の、クリーンディーゼル車をめぐる不正ソフト使用の問題は、まだ全貌が見えない。問題は、米国だけでなく、お膝元である欧州市場にも広がりつつあり、当局による制裁金に加えて、大規模な集団訴訟も準備されているようだ。VW社が今後支払う金額は途方もないものになりそうだし、イメージの上でのダメージも小さくはあるまい。ドイツの雇用や経済にも影響が及ぶ可能性がある。

 これほどの大問題だが、これまでの報道によると、2011年時点で社内の技術者が違法な規制逃れを指摘した文書を監査役会に提出しているなど、VW社内で問題の所在は以前から知られていたようだ。問題のソフトをVW社に提供した自動車部品大手のボッシュ社も、ソフトはあくまでも社内用で規制対策に用いるのは違法だと文書で警告していたという。

 VW社の問題はまだ始まったばかりだが、財政赤字に厳しく、過去のナチスに関わる歴史問題でも自国に厳しいドイツは、融通がきかないけれども正直な国民性なのかと思えば、ビジネスの世界では違うらしい。

 実は、1990年代には日本の金融機関が不良債権を隠すなどの会計操作をしていたことについて、市場による会社の監視が強力に働いているとされた米国との対比で批判されたことがある。

 しかし、その後、エンロン社、ワールドコム社などの大規模な会計粉飾が発覚し、米国の企業や制度の下でも大規模な不正は起こりうることが、事実をもって雄弁に証明された。

 ついでに言うなら、2007年に「サブプライム問題」として顕在化し、翌年のリーマンショックから金融危機に至る大問題のきっかけとなった、住宅ローン債権が「ヤバい」ことは、金融の当事者なら大なり小なり分かっていたはずだ。問題を知りつつも、自分だけは儲けようとした、個々の金融マンにとっては経済合理的な行動が、巨大なバブルとその後の経済危機を生んだ。

 日本企業・日本人、米国企業・米国人だけでなく、ドイツ企業あるいはドイツ人も十分汚いことをするのだという事実には、社会的には歓迎できないことながら、人間とビジネスの普遍性を感じて、ある種の感慨を覚える。

 付け加えると、日本型、米国型、欧州型、いずれのコーポレートガバナンス(企業統治)も、不祥事の誘惑の前には無力だったということは覚えておきたい。また、こちらも問題が現在進行形だが、我が国の東芝は、現在の先進的とされる日本型企業ガバナンスでもやはり無力であったという事例を付け加えている。

 不祥事は、国民性やガバナンスくらいで抑え込むことができるヤワな生き物ではない。

不祥事を育てる3つの心理
経営者・社員の倫理観はなぜ麻痺するのか

 経営者を含む社員が、不祥事に関わるのはなぜなのか。煎じ詰めると、個人にとってそれが合理的に思えるから、ということだろう。しかし、結果から見て合理的でない場合もあるし、判断に当たって特有の心理的な歪みが発生しているのではないだろうか。

 全ての企業不祥事に共通とまでは言えないが、多くのケースで共通する心理として、

(1)個人が組織から受ける重圧

(2)組織を建前とする個人の責任意識の希薄化

(3)問題を軽視する現実認識の楽観的歪曲

 の3つを挙げたい。

 例えば、東芝の不適切会計問題(そろそろ「粉飾決算」と呼ぶべき時期だろうが)では、上からの要求なので、各部門は「チャレンジ」(利益の水増しのこと)を断れなかったろうし、数字を作る現場の社員も部門のマネジャーの指示に従ったのだろう。そこには、彼らの、個人的な人事評価や出世、ボーナスなどを考えた利害だけには還元できない心理が働いていたのではないか。

 加えて、多くの不祥事にあって、不正を知る立場の社員は、自分がやっていることは、上の命令でもあり、「会社のため」にやっているのだから、悪くはあってもやむを得ない、自分個人が悪いわけではない、という意識が働いているように思う。考えてみるに、人間は、「お国のため」なら人殺しができるし、「会社のため」なら不正ができる、かなりいい加減な生き物なのだ。

 例えば、1980年代の末期にかけて、信託銀行ではファンドトラストと呼ばれる運用商品(信託銀行が顧客から資金を預かって運用する仕組みの商品)で、本来違法な「握り」と呼ばれる利回り保証を付ける営業が広まっていた。加えて、保証利回りを達成するために、資産運用の部署(「受託資産運用部」といった名称)にあっては、顧客の口座間で利益の付け替えを大規模に行っていた。

 営業から、運用に至るまで、多くの行員が関わっていたが、個々の行員は本来違法な行為であることを知りつつも、自分は銀行員として関わっているだけだという理解の下で、罪の意識は希薄だったように思う。

 信託銀行員だった筆者は、この問題について、社内のある会合の場で当時の社長に質したことがあるが、それは主として利回り保証の経済的なリスクの観点を問題としたもので、違法行為としての問題性に主たる関心があるものではなかった。振り返ってみると、筆者も、経済倫理的に適切な意識を持っていたとは言いがたい。

 なお、筆者自身は不正に一切手を染めなかったなどと言いたいわけではない。記憶にある限りでも、例えば、先物のトレーディングで利益が出た売買を後から重要顧客の口座に付け替えるような不正(通称「花替え」という)を行ったことが何度かある。「会社のためだ」と思うことで、倫理観が麻痺する心理には、身に覚えがある。

 ところで、ファンドトラストの利回り保証の運用リスク・経営リスクを問われた当時の社長(信託銀行では「頭取」ではなく「社長」と呼ぶ慣例だった)は、「そのリスクを何とかするのが、運用部門のノウハウであり努力だ」と答えた。経済的リスクに関しても、法的な問題に関しても、経営トップの現実認識は過度に楽観的だった。

 VW社のケースでは、問題を社内のどの範囲まで把握していたのかが今後大きな問題になりそうだが、「我が社の場合は、たいした問題にはならない」という楽観が関係者にはあったのではないか。

「飛ばし」で自主廃業に至った
山一證券を題材に復習しよう

 現在、WOWOWで自主廃業前後の山一證券を題材にしたドラマ「しんがり〜山一證券最後の聖戦〜」(日曜夜10時。原作は「しんがり 山一證券 最後の12人」清武英利著)が放映中でもあり、山一證券を題材に、前記の3つの心理について、復習しておこう。筆者は、詳しい事情を知る立場の社員ではなかったが、自主廃業が発表された1997年当時、同社に勤めていた。

 山一證券が自主廃業せざるを得なくなった直接の原因は、3000億円近い「飛ばし」(損失の意図的隠蔽)が発覚したことだった。「飛ばし」は、重要顧客に対する利回り保証付き運用の補填から発生したが、何年にもわたってこれが水面下に存在するにあたっては、当然飛ばしの面倒を見る担当者がいたはずだ。

 しかし、彼らは、違法だと思いつつも、「会社のためにやらねばならない」という重圧の下で、飛ばしを継続していたはずだ。

 一方で、関係する担当者も経営者も、「会社のためだ」あるいは「日本の証券市場・証券行政のためだ」といった理屈の下に、飛ばしを続けることに関して、個人的な罪の意識は希薄だったのではないか。山一が飛ばしを認めると、当時の大蔵省の証券行政にとっても大変な問題だ、という意識もあった。

 山一に「表面化させることができない巨大な含み損がある」というストーリーは自主廃業の何年も前からマスコミで記事になっていたし、多くの山一社員が「当社には世間に隠している何かがある」という認識を大なり小なり持っていた。

早い段階で表面化させて処理すれば
会社は潰れずに済んだ

 だが、自主廃業発表の直前まで、社員にとっては「大手証券だから潰れまい」(当時「四大証券」という懐かしい言葉があった)、「準大手証券など他社の方が先に潰れるだろう。当社はまだ大丈夫だろう」といった考えにリアリティがあった。当時の筆者の上司(本社の部長)は、「ウチに例の問題があるのは、ご存じの通りだが、もふ(「MOF」、当時の大蔵省の通称)もご存じなのだから、あいつらはウチを絶対に潰せないよ」と話していた。

 恥を晒すと、筆者も、当時、日本長期信用銀行がSBC(スイス銀行)の傘下に入ったように、山一も外資系の金融機関に買われるのではないかと、自主廃業を発表するぎりぎりまで、そう思っていた。外資系企業から見て、山一のビジネスには丸ごと買う価値があると思っていたからだ(上手く交渉すれば潰さずに済んだのではないか、潜在的買収者にとって潰すよりも存続させた方が経済的にプラスだったのではないか、という意識は今もある)。

 いずれも、「今日まで続いてきた会社が、明日も続くだろう」と、悪い可能性を十分に探ることなく楽観していたにすぎない。

「飛ばし」は、何年にもわたって存在した訳だが、初期の段階、あるいは山一に体力がある時期に表面化させて処理しておいたなら、会社は潰さずに済んだのではないか。今もそう思うと残念である。
http://diamond.jp/articles/-/79175


3. 2015年9月30日 12:44:30 : jXbiWWJBCA
ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹
【第34回】 2015年9月30日 渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
VWのエリートたちを暴走させた“集団の狂気”
不正の規模は「個人では不可能」
世界トップシェア争いが組織を狂わせた

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 独フォルクスワーゲン(VW)の衝撃的なニュースが報じられて以降、様々なコラムやニュースで、その影響や原因が議論されている。


小さな心理学的失敗が積み重なり、組織が暴走する。タカタや東芝の不正にも共通する組織の危うさだ Photo:picture alliance/AFLO
 事件の影響については、VW倒産説から賠償額、CEOは刑事責任を問われるか、等々が報じられるが、原因については、誰しもが「なぜ、自らの首を絞めるような大規模不正をVWが行ったのか」を皆、「謎」としている。

 そのうえで、欧州における排ガス規制のダブルスタンダード(試験走行と現実の走行との隔たり)や、EU内でのチェックの厳しさ等を主な理由に挙げている。

 そういった、政治経済的環境要因は他のドイツ車メーカーも同様である。もしかするとBMWやダイムラーが同様のことをしている可能性はなくはないが、少なくとも現時点ではBMWの1車種のみの不正疑惑が報じられただけで、VWのような大規模不正の可能性は少ない。

 とすると、VWだけが持っていた不正の「病巣」がどこかにあるはずだ。今回はそれを心理学の視点から分析してみたい。

 これまでのニュースやさまざまなソースを見る限り、VWの不正の陰には、少なくとも5つの社会心理学的現象が起こっている。それらは、@集団主義、Aフレーミング効果、B集団思考、C権威主義、D社会的手抜き――と呼ばれるものだ。順に解説する。

@集団主義

 集団主義の正確な定義は、専門家の間でも意見が分かれるが、はっきりしているのは「個人の利益よりも集団の利益に価値を置く」という点だ。

 集団主義は「社会のため、組織のために、皆が一丸となる」という良い側面がある一方で、「集団のためには個人を犠牲にする」という負の側面がある。今回、VWの不正について、わずか数人だけが知っていたというCEOの「言い訳」は、にわかには信じられないだろう。日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEOも、「あれだけの規模の不正を個人ではできない」と話している。

 そうならば、皆不正については感づいているのに、集団利益のためにそれに反することができない、という膠着状態にVWが陥っていたと見るのが妥当だろう。

 そして重要なのは、そういった過度な集団主義が起こった理由だ。それはVWが世界トップシェアめぐってトヨタと熾烈な競争をしていたことが要因だろう。

 社会心理学の古典的な研究に、アメリカの研究者ムザファー・シェリフの行った「泥棒洞窟実験」がある。これは、ボーイスカウトキャンプを使った野外実験で、シェリフは少年らをランダムに2つのグループに割り振り、キャンプ中のさまざまな部分でグループ同士が「競争」するように仕向けた。

 その結果、もともとお互いに何の感情も持っていなかった2つのグループは互いに、いがみ合い、さまざまなもめ事も起こした。その一方で、グループ内での結束は高まり「集団主義」が芽生えたのである。そしてグループ間の対立と集団主義は、お互いに協力し合わないと解決しないような「大問題」が出てこない限り、解消されることはなかったのである。

「ちょっとだけ…」がエスカレート
人はなぜモラルを失うか

 この実験が示すのは、強力なライバルや競争相手のグループが存在するとき、人は自分の集団に対する協力度があがり、集団主義になりやすくなるということだ。VWはハイブリッドではトヨタをはじめとする日本メーカーに後れを取っていた。その有力対抗馬として開発したのがいわゆる「クリーンディーゼル」だった。

 トヨタらに勝つためには、クリーンディーゼルは最後の切り札といってよかったのだろう。こういった状況では、いくら不正だとわかっていても、自らVWが負けるような選択をする社員はいないだろう。ライバルとの激しい競争が生んだ集団主義がVWを狂わせたといっていい。

Aフレーミング効果

 しかし、それだけでは、あのような大規模な不正は起こらない。通常、企業やグループはそういった集団主義に基づく「集団のプレッシャー」の罠から逃れるように、さまざまな工夫をしているからだ。例えば、今回の事件を受けて「VWの苦境に乗じて火事場泥棒をするな」と言明した豊田章男・トヨタ自動車社長の言葉は、集団主義の暴走を抑える役目を果たすだろう。

 VWが不正に手を染めることになった2つめの理由は、「少しならば基準値を超えても問題なし」という考えから、徐々にエスカレートしてしまったことにある。もともと、欧州の排気ガス基準は、実際の走行とテスト走行にかなり違いがあり、そのダブルスタンダードについては批判があった。つまり開発者には「テストさえ乗り切れれば問題なし」という意識が芽生えやすい環境があったと考えられる。

 こういった場面では、どんなにモラルがある人でも「ちょっとならばいいか」という考えを持ちやすい。だが、いったんちょっとした違反を行うと、徐々にそれがエスカレートしていく。

 これは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンが提唱した「フレーミング」という現象だ。レベル1の違反を行ってうまくいくと、そのレベル1が「当たり前」になり、いつしか「レベル0」だと思い込む。そうすると「レベル2」の違反を行っても、本人はまだ「レベル1」の違反しか、主観的にはしていないことなる。

 これが繰り返されると、とんでもないレベルの違反をしているのに、本人たちは「いや、これまでもそうだったのだから」という理由で、大したことをしているようには感じない。つまり、物事をみる「フレーム(枠組み)」が変化しているのだ。

 少額の横領がやがて億単位になるケースや、いじめがエスカレートしているケースなども、フレーミング効果の例といえる。どこにでもありふれた現象なのである。VWの場合、これほどの大事だということに、当事者たちは発覚して初めて気づいたと思われる。当事者の「犯罪意識の欠落」は、もともとモラルが低いから起こるのではない。こういった小さなプロセスの積み重ねで起こるのである。

“善人”でも集まれば“悪人”化!?
人の良心を狂わせる「集団思考」の罠

B 集団思考

 先に述べた通り、この事件は、個人または少人数グループが単独で起こしたとは考えにくい。常識的に考えれば「組織ぐるみ」の可能性が高いだろう。組織ぐるみだった場合、通常ならば、どこかで不正には歯止めがかかるはずだ。VWの役員やエクゼクティブ全員がモラルの低い悪人である可能性もまた、低いからだ。

 しかし、不正を集団で処理するときに、往々にして陥りがちなのが「集団思考」という現象だ。これは集団で意思決定をするときには、個人で決定するよりも悪い決定を行いやすいという現象である。

 社会心理学者のジャニスは、ケネディ政権がキューバ侵攻の際に犯した大失策を細かに検討した結果、集団での意思決定がその原因であることを突き止めた。集団の圧力をおそれ、集団の利益になることだけに目を向けて、大勢に逆らわない。そういった個人が集まると、とんでもなくリスキーな決定でも可決してしまうのである。

 VWの役員らがこのことについて話したとしても、世界一のシェアを手放してまで、不正を正すかというジレンマに直面した個人は、集団になると、よりリスクの高い決定でも受け入れてしまいがちになる。

C 権威主義

 いうまでもなくVWはドイツの会社だ。ドイツ人気質といえば、真面目で武骨、質実剛健といったイメージがある。だが、その一方で、第二次世界大戦後の研究結果で、ドイツは欧州の中でも特に権威主義的だ、という報告がある。

 もともと、権威主義という概念は、アドルノを中心とする、フランクフルト学派とよばれる欧州系アメリカ人社会科学者によって生み出されたものだ。彼らは、ナチスドイツという「非常識」な社会現象がなぜ起こったかを説明しようとし、その主要因として「権威を重んじ、権威につき従うことを是とする考え方」、つまり権威主義に注目した。

 それから70年経つが、文化は簡単に変わるものではない。権威主義的傾向が強いほど、上の決定に逆らえず、上の決定の是非を問わないということが起こりやすくなる。たとえ、不正を止めるべきと意見を持つ社員や役員がいても、上の決定には逆らえなくなるのだ。

 日本や韓国、中国などの東アジア諸国も、相対的に権威主義の程度が高いことがわかっている。VWの事例は他人事ではない。東芝の不正会計の背後にも、ここで述べているそれぞれの要因は深く関わっていると、筆者は考えている。

タカタや東芝にも共通する
不祥事を引き起こす組織の病

D 社会的手抜き

 現時点のVWやEUの状況を見る限り、関係者はなんとか自分の責任を逃れようとしているように思える。もちろん責任を認めれば、大変なことになるのだから、ある意味当然だが、この問題が発覚する以前から彼らは「自分に責任はない」と考えていたと思われる。

 その理由は、おそらくこの不正にかかわった人々が相当な人数に上るからだ。社会心理学者のダーリーとラタネは、集団で実験を行う際に、わざとアクシデントを装って参加者の1人(実はサクラ)が、気分を悪くして倒れる、という状況を作った。実験の本当の目的は、そのときに、どれだけの人が自主的に助けようとするか、を調べることにあった。

 結果は、集団の人数が多いほど、一人ひとりは助けようとはしなくなる、というものだった。彼らはこの現象を「社会的手抜き」と名付けた。

 社会的手抜きは、「誰かがやってくれるだろう」「たくさん人がいるのだから、俺の責任は軽いし」といった「責任感の拡散」が主な原因で起こる。VWでも同じことが起こっていたことは、発覚後の当事者たちのコメントをみればよくわかるだろう。

 ここまでお読みいただいてわかる通り、ひとつひとつの現象は、どこでも起こるものだ。つまり心理学的には非常に「ありふれた」失敗だ。そして、これらは一言でいえば「大企業病」ということになる。それはつまり、日本の企業も、少し油断すると、このようなことを起こしかねないということを意味する。

 三菱自動車のリコール隠し、タカタのエアバッグ問題、東芝の不正会計等、日本企業も同じようなメカニズムで問題を起こしてきたと考えられる。日本とドイツは文化的にも似通ったところが多いという指摘もあり、それはすなわち権威主義や敵を作った場合の集団主義の高揚などについてもいえるだろう。

 そして、上記のメカニズムが示す最も重要なのは、モラルある人々の組織でも、VWのような不祥事が起こる可能性は常にある、ということだ。その意味で、この事件は日本組織とって他山の石とすべき出来事なのである。
http://diamond.jp/articles/-/79178


4. 2015年9月30日 16:20:39 : 0RngjpCvcI
スズキの車は燃費がいいよ。トヨタのハイブリッドは重い電池を積んだりかなりコストアップになっているがスズキの方式はメカも簡単で重量も軽い。車両価格もそれほど上がらない。

5. 2015年10月05日 17:37:43 : p2aQmubjL6
ほんとかなー?

ジャックログ

カルロス・ゴーン「VW排ガス不正はアメリカの陰謀」

2015年10月05日
企業
http://jacklog.doorblog.jp/archives/46482350.html


6. 2015年10月05日 17:39:37 : p2aQmubjL6
14:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2015/10/05(月) 08:53:23.71 ID:0.net

こりゃ日産&ルノーも何かやってんな
でなきゃこんなとんちんかんな発言出てこないわw

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