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フォルクスワーゲン(VW)のスキャンダルは同社のブランドのみならず、「メード・イン・ジャーマニー」にも傷をつけることになるのか?〔AFPBB News〕
VWの不祥事で傷つけられたドイツ国民の誇り 排ガス試験不正、高品質を象徴する「メード・イン・ジャーマニー」に打撃
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44855
2015.9.28 Financial Times JBpress
(2015年9月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
多くのドイツ人と同じように、カロリン・ルーダーさんにとっても、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正スキャンダルは個人的な問題だ。
若い慈善団体職員のルーダーさんはドイツの金融の中心地フランクフルトの中心部で、こう言った。
「悲惨な事態で、裏切られた気分です。VWや他のメーカー(ドイツの自動車メーカー)は、私が信じられると思った企業なのに、VWがそのイメージを台無しにしてくれた」
さらに、「(今回の不祥事は)VWのビジネスを傷つけ、そのイメージを傷つけ、結局は人々も傷つけたんです」と付け加える。
■「メード・イン・ジャーマニー」に対する世界の評価
ルーダーさんの意見は、普遍的ではないものの、広く共有されている。ドイツのメディアはほぼ結束して、VWが長年、米国の排ガス試験で不正を働いてきたという事実の露呈が「メード・イン・ジャーマニー」――特に製造業におけるドイツの品質の評判――に対する世界の評価に影響しかねないと警鐘を鳴らしている。
ドイツで最大の発行部数を誇るタブロイド紙のビルトは9月下旬の社説で、「ドイツを偉大にしたのは我々のエンジニアリングのスキルであり、機械工業に対する信頼だ・・・信頼が今、直接的にリスクにさらされている」と書いた。
政界の指導者はアンゲラ・メルケル首相以下、特に他のドイツ企業の名声を守るために、迅速な是正措置を講じるようVWに求めた。
ジグマール・ガブリエル経済相は「ドイツの自動車産業、そして特にVWが誇る正当な名声が苦しめられていることを我々は懸念している」と述べた。
一部のマーケティング専門家は、スキャンダルのダメージは社長が23日に辞任したVWにとどまらず、たやすく大きく広がってしまう可能性があるとの見方に同意する。やはりドイツのエンジニアリングの旗手であるBMWとダイムラーも、スキャンダルの渦中にあるディーゼルエンジン搭載車を生産している。
ベルリン自由大学のマーケティングの教授、ドリーン・ピック氏は確固たる悲観論者の1人だ。
「これは『メード・イン・ジャーマニー』のイメージをひどく損なうと思う。VWはドイツで最高のもの、つまり誠実さ、信頼性、効率性の同義語になっているからだ」
教授はさらに言う。「本当に重要なのは、自分がVWの車を所有しているから、あるいは、ここの環境が汚染されたと考えているからという理由で、ドイツ人が個人的に影響を受けたと思うかどうか、だ」
だが、不正を暴いた米国の当局からの強烈な法的攻撃はドイツ人を「ちょっとした愛国的・防衛的」反応に追い込む可能性があると同氏は指摘する。「人々は、環境などあまり気にしない米国人がなぜドイツの機関を攻撃するのかと問うだろう」
一方で、歴史は、適切に対応すれば企業は最大のスキャンダルをも乗り切れることを示しており、問題の企業の枠を越えて風評被害が広がることはめったにないと主張する向きもある。
■国のイメージは永続的なもの
「このスキャンダルはVWにダメージをもたらすが、『メード・イン・ジャーマニー』を損ねることは全くない。国のイメージというものは、非常に永続的なものだ。人々はまだドイツを、メルケルだけでなくヒトラーと関連付ける。イメージを変えるのに、どれほど長い時間がかかるか分かるだろう」。スイスのザンクトガレン大学のマーケティング研究所長を務めるスベン・ライネケ氏はこう言う。
同氏はさらに、「VW自体について言えば、このスキャンダルにどう対処するかによって決まる。手際が悪ければ、ブランドを台無しにするだろうが、うまくやれば、そうはならない」と付け加える。
危機が起き、経営陣が一掃された後に投資家と顧客の信頼を再構築することができたドイツ企業の例はたくさんある。
化学大手のバイエルは2001年、超大型薬の高コレステロール血症治療薬「リポバイ」に深刻な副作用があることが判明した時に大揺れした。
同社は3000件近い訴訟を和解に持ち込むために11億ドル支払い、経営陣を刷新し、事業を包括的に再編成し、今では株式時価総額でドイツ最大の企業になっている。
電機大手のシーメンスは、契約を勝ち取るための賄賂の支払いに裏金が使われたことが2006年に露呈した後、罰金と顧問料に20億ドル支払わねばならなかった。その結果行われた調査は会社を芯まで揺さぶり、数十人の上層幹部の退職とコンプライアンス制度の全面見直しにつながった。
2010年には、ダイムラーが諸外国で政府関係者に組織的に賄賂を支払ったという米国の告発を解決するために、2億ドル近い制裁金を支払った。同社はこれに対応し、「会社の品位と法的問題」を担当するために取締役会にドイツの元判事を任命した。
■過去にもスキャンダルを乗り越えたが・・・
VWは自社の過去の経験から、スキャンダルがいかに企業を傷つけるかを知っている。2008年、同社の労組代表が贈収賄スキャンダルで有罪判決を受けた後に投獄された。この人物は、VWの労組幹部らのために、売春婦と休暇の支払いに会社のお金が使われたことも明らかになった捜査の後、2000万ユーロ近い違法なボーナスを受け取ったことで有罪判決を受けた。
この事件があっても、VWはトヨタ自動車を抜いて世界最大の自動車メーカーになろうとする取り組みをやめなかった。だが、最新のスキャンダルは、それよりはるかに深刻だ。何百万人もの顧客に直接影響を及ぼすからだ。
ベルリンにあるドイツ経済研究所(DIW)のマルティン・ゴルニヒ氏は「VWが状況を明らかにすることができれば、まだダメージを制限することができる」と話している。
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