スズキがフォルクスワーゲンと提携したのは、同社が持つ環境技術を得られるメリットが大きかったようだが、同社はスズキの求めに応じてくれなかったと言われている。でも、ネット上では興味深い情報も書かれている。

BLOGOS
2015年09月23日 22:01
VWとの提携を解消したスズキ会長の慧眼
http://blogos.com/article/135467/

●この記事によるとスズキは、フォルクスワーゲンの不正を知っていたということになる。スズキの技術陣が、フォルクスワーゲンの自動車の排気ガステストを行なったところ、基準を達成していないことが判明し、それを上層府に伝達した。この先が問題。

風通しの悪い会社なら、このような重要情報も上層部まで伝わらない。しかしスズキは上層部に伝わった。スズキでは、会社の重要案件には会長が必ず顔を出すという。海外に建てる工場でも、このレイアウトだと移動距離が長くなるから、ここを短くせよと、会長自ら指示すると言う。これにより、余計な生産コストがかからないようにしているのだと。

スズキがフォルクスワーゲンと提携しているのに、どうしてマジャール・スズキの生産車にフィアットのディーゼルエンジンを採用したのか。このあたりの経過を見ると、実態が浮かび上がってくる。多分、こんな感じだろうな。

「フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンを採用したら、基準を達成していないことがバレた時、こちらにも甚大な損害が及ぶ。こんな危ないエンジンは使えない。ならば、他社からエンジンを購入しよう。フォルクスワーゲンとの問題は、経営者同士で交渉するから、君たちは何も心配する必要はない。」

●鈴木修会長の慧眼は凄いと思う。だからこそ、浜松の小さなオートバイ、軽四輪メーカーが、今や世界でも大手の自動車メーカーに成長できたのだと。同社も1970年代の排気ガス規制の時は、存続の危機を体験している。
(註　スズキは当時、軽自動車に2ストロークエンジンを採用しており、これでは基準を達成できないので、トヨタに頼んでダイハツのエンジンを購入し、それで時間を稼いで、自前の4ストロークエンジンを開発した。)

その時の当事者は、若き頃の鈴木修会長であった。あの頃の排気ガス規制の苦労を知っているからこそ、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンを絶対採用してはならないと決定されたのだろう。その経営判断ひとつで、会社は救われたのである。