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消費増税なら、やっぱり軽減税率導入は必須! 日本の景気が、増税に耐えられる保証はどこにもない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45473
2015年09月26日(土) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
■喫緊の課題、と理解はできるが…
安倍政権は、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げる方針だ。この引き上げ措置については、「経済情勢次第で見送る可能性がある」との景気条項は削除されており、基本的に景気の状況に拘わらず消費率を引き上げることになっている。
わが国の財政状況を考えると、財政再建が喫緊の課題であることは国民もそれなりに理解している。
しかし足元で、中国経済の減速により世界経済の景況感は少しずつ悪化している。2017年までは時間があるものの、先行きの景気は不安定に推移することが想定される。2017年4月時点で、わが国の景気が消費税率引き上げに耐えられるか否かはわからない。
その時の経済状況に拘わらず、闇雲に消費税率の引き上げを行なう方針は適切ではないだろう。政府としては、経済状況や金融市場の動向などを慎重に吟味する姿勢が必要がある。
もう一つ懸念されるのは、17年4月の消費税率引き上げの影響を緩和するために、財務省が構想する還付制度などの措置だ。財務省の案によると、マイナンバー(税と社会保障の共通番号)を使い、事後的に消費税の2%分を払い戻す還付制度を検討しているという。
ただ経済専門家などの間では、この案に疑問を示す声は多い。事後的に還付することに伴う手続きの煩雑さ、消費者が軽減措置を感じにくい懸念、そして、小売店舗が専用の端末を設置するなど不便な点が多いことが主な理由だ。特に、中小企業にとっての負担は軽視してはならない。
財務省が考えた還付制度が提案された背景には、消費税の逆進性を抑えたいという考えがあるのだろう。相対的に所得の低い人と所得の高い人が同じものを購買した場合、所得に関係なく消費税負担は同額になる。
所得水準の高い人の税負担が、高い人よりも相対的に重くてしかるべきなのだが、消費税の性格上、同じものを購買する場合にはそうした税負担の原則を満たすことができない。そうした税負担の逆進性を是正するために還付という手法を編み出したのだろう。
■軽減税率導入の本格検討が必須!
ただ、当事者にとってかなり煩雑だ。そうした方法ではなく、諸外国でも使っている“軽減税率”の導入を本格的に検討する必要があるだろう。今のところ、財務省は軽減税率の対象となる品目の線引きが難しいとして導入には消極的だ。
しかし、消費者心理にとって重要なことは、お金を払う時点でどれだけの税負担の軽減を感じることが出来るかだ。還付制度の場合、経済効果は同じでも消費者が軽減措置を感じづらい側面がある。
2014年4月の消費増税でも確認された通り、消費増税後の景気は不安定になりやすい。特に生活必需品の分野では、消費税の逆進性の影響は大きくなりやすい。そこで、品目別に軽減税率を導入する意義は大きいと考えられる。
品目の分け方が容易ではないという指摘もあるだろうが、“生活必需品”として分類できるものを軽減税率の対象にすることは、消費増税後の景気を安定させることにつながるはずだ。
政府や関係省庁は、消費者の行動や心理、中小企業の経営動向などに留意して効率的な策を検討すべきだ。消費増税後の景気の落ち込みを回避し、税収基盤の強化に対する国民の理解を取り付けるためにも、一定の金額以下の食糧品や衣類など必需品の品目別の軽減税率導入は、重要な選択肢の一つと考える。
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