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マイナンバー導入で「困る人たち」って?(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・松永卓也)
マイナンバー導入で「困る人たち」っていったい誰?〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150925-00000008-sasahi-bus_all
AERA 2015年9月21日号より抜粋
お年寄りから赤ん坊まで、全国民を12ケタの番号で管理するマイナンバー制度が始まる。個人情報がごっそり盗まれやしないかとの不安は根強いが、税や社会保障をめぐる「不公平感」を解消するツールにもなりうる。
マイナンバー導入の効果として、政府の説明資料が真っ先に挙げているのが「より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公正化がはかられる」こと。つまり、税金の取りっぱぐれを減らすのが最大の目的の一つなのだ。
その肝になるのがマイナンバーと預貯金口座のひも付け。改正マイナンバー法が9月3日に成立し、2018年から本人が同意すれば預貯金口座にマイナンバーが登録されることが決まった。もちろん「任意」では、後ろめたいことをしている人は登録しない。政府は21年をめどに義務化を検討する方針だ。
今でも税務調査の対象者の預貯金口座を特定できれば、調査官は洗いざらい調べることができる。ただ、相手が口座のありかを隠そうとした場合、探し当てるのはそう簡単ではない。
国税OBで税理士の武田秀和さんによると、調査官は銀行との過去の取引記録や、自宅への立ち入り調査で見つけたカレンダーやタオルに書かれた金融機関名なども端緒に、自宅や職場の近くの金融機関などを回って口座の有無を照会したりして割り出す。
口座番号とマイナンバーが連結されれば、同一人物が持つ複数の預貯金口座の「名寄せ」と、お金の流れの把握がより簡単かつ正確にでき、不正を見破る強力な武器になる。将来的には、全国の金融機関の口座データを一括してマイナンバーで照会できるシステムを作る余地が出てくる、という見方もある。
「今でもサラリーマンの大半は所得をほぼ正確に税務署に把握されています。所得がガラス張りになって困るのは、税金をごまかしてきた人たちだけです」
『マイナンバーで損する人、得する人』(ビジネス社)などの著書があるフリーライターの大村大次郎は言い切る。確かに一つの勤め先だけから給料をもらい、税金が天引きされている人にごまかしの余地はほとんどない。「困るかもしれない」のは誰なのか。大村さんに「所得をごまかしやすい人たち」を挙げてもらった。
まず飲食業や風俗業、パチンコ業、ネット通販業を手がける自営業者と経営者。領収書をあまり出さなくてよく、不特定多数の客を相手にするといった共通点があり、税務署がお金の流れを把握するのが難しい。
複数の勤め先から収入があったり、株式や土地、美術品など多岐にわたる資産を持っていたりする富裕層も、所得や資産の全容を正確につかむのは一苦労だ。
サラリーマンでも、ブログの広告やネットオークションといった「副業」からの収入がある人は要注意。収入から経費を引いた所得が年20万円を超えると、基本的に確定申告して納税しなければならないが、「面倒だし大した金額じゃないからばれないだろう」と申告していない人も少なくないと言われる。
マイナンバーと預貯金口座番号との連結によって、このような人たちへの税務調査の効率は格段に上がる。見過ごされてきた税逃れが明らかになる可能性が高まるのは間違いない。
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