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年収3000万でも“下っ端”! 本物のお金持ちは「財布が4つ」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150923-00016155-president-bus_all
プレジデント 9月23日(水)10時15分配信
【前回までのまとめ】
第1回:富裕層が超富裕層になるのは比較的簡単。でも、ゼロから富裕層になるのは危険がいっぱい! だか ら、まず富裕層がどうやって超富裕層になるのかを考える練習からスタートしたほうが安全に資産作りできる。また、「始めの一歩」も変わってくる。
第2回:年収1200万〜年収3000万円の家庭には実は「高収入貧乏の谷 」があって、自ら転げ落ちる人が多くいて(消費行動の派手さなどが要因)、「富裕層」の域に達することがなかなかできない。
■なぜ、「高収入貧乏の谷」に転落するか?
前回(第2回)の年収1200万〜年収3000万円家庭がしばしば転落する「高収入貧乏の谷」のお話(http://president.jp/articles/-/15874)に対する読者の反応は2つありました。
ひとつは、「単純に倹約すればいいだけの話だから簡単だ」というもの(Aタイプ)。自分はしっかり倹約できていますよ、という読者です。
もうひとつは、真逆で、「そもそも倹約できれば何も苦労はしない」というもの(Bタイプ)。現状、とても倹約できる状況ではない、という読者です。
なぜ、このように意見が完全に2タイプに割れるのか。
Aタイプの人たちは、帰属集団の要求する所得が自分の所得より低い。つまり、仕事上の必要コストがあまりない。
Bタイプは、帰属集団の要求する所得が自分の所得と同じか、より高い。つまり、仕事上の必要コストがかなりかかる。
わかりやすく例を挙げて説明しましょう。
私が見たところ、ご主人の稼ぎだけで給与3000万円を稼ぎ出す世帯は、その社会属性と消費が不可分の関係にある場合(Bタイプ)が大半です。
たとえば、有名建築家がお客さんの注文住宅のコンペに参加するとします。コンペなので当然、他の建築家も現地を確認しに来ます。そんな際に、生活を切りつめて倹約している建築家がボロボロの使い古しの軽自動車で現れたら、注文建築の自宅を建てようとしている施主はどう思うでしょうか? 他の建築家に頼んだほうが信頼できる良いものができるのではないかと思うでしょう。
■削りたくても削れない「虚飾の経費」例
たとえば、数百億円のM&Aを手がける会計士が、クライアントの企業の会議室でデューデリ(財務状況や企業の収益性、法務リスクなどの調査)書類を会社の財務担当取締役とやり取りする際に、袖口からちらっと安物のデジタル時計が覗いていたら、どうでしょう。担当取締役は、この会計士は稼いでないのか? 会計事務所での立場は? といらぬ心配をするかもしれません。
たとえば、ドクターが学会に参加した後で、高級料理店で仲間内の情報交換も兼ねて勉強会の続きをやろうということになりました。そうでなくても学会の年会費やら参加費やら宿泊・交通費がかかります。学会もひとつだけ入っているわけではないし、そのうえ高級料理店での情報交換はお金がもったいないと考えたとします。そして、自分は倹約しているからと帰ってしまえば、貴重な情報の大半を得られないことになりませんか?
たとえば、アパレルバイヤーの人が節約のためにいつも同じ服や時計、靴を身につけていれば(ちょっと想像もできないことですが)、業界人としての適性を疑われてしまい、仕事が激減するかもしれません。
たとえば、高額歩合の外交、営業、外回りで年収3000万円も取るような人は、鞄は言うに及ばずボールペン1本に至るまで身の回りのアイテムをバリッとそろえ、遊びも豊富な知識と経験に裏打ちされた話題をお客さんに提供できてこそ、その年収が得られていることでしょう。遊びを削れば、話題も乏しくなり最新のスポットなどのお客さんとの話についていけなくなり、契約を落とす可能性があります。
前回の記事のあとで、直接僕のメールアドレスを探り当てて相談してきた方がいます。銀座のクラブママですが、彼女によれば、合計すると美容、飲食、衣類、ゴルフなど年間1億円ほどの経費がかかってお金が残らないと。これも、虚飾の経費をどう落としていくかということを考えるべきであって、虚飾をなくせば仕事もなくなるという関係にあります。それらは業務上必要なお付き合いなのですから。
これらの消費は「職業上の生命、および名声、信用」と、消費が密接不可分の関係にあって片方をなくせば片方を失うという関係にあるのが特徴です。
衣食住のみならず、遊び、虚飾に至るまで、その人の消費こそがその人を成り立たせている以上、消費と収入は切り離せません。
つまり、年収が上がるというのは単に収入が増加したというだけではなく、その社会的な帰属集団や自分のアイデンティティが変わってしまうから「単純な倹約」では物事は解決しにくいのです。
以上が、年収1200万〜年収3000万円の家庭が「高収入貧乏の谷」にひきずりこまれる主な要因です。
逆に、堅実なAタイプの筆頭格である、公務員の人などは自分を成立させている集団の中には消費(必要コスト)がほぼ介在しません。どんな時計をつけていようと、どんな靴を履いていようと、警察、消防、市役所の仕事にはほとんど何の関係もありません。
そのため、その気になればどこまでも倹約は可能です。
■なぜ、富裕層はカンタンに超富裕層になれるのか
さて、前回の記事が出てから、「ベントレーを経費でというくだりは自営業者だけじゃないの? 」という意見をサラリーマンの方からいただきました。
第1回のまとめを読んでいただきたいのですが、富裕層がどうやって超富裕層になるのかを想像してみてください。
富裕層はお財布がひとつだけなのでしょうか? そんな訳ないですよね。
まず個人の事業収入、不動産収入、配当収入、給与収入とお財布が4種類あります。それから、事業法人があって資産管理会社があって法人で使えるお財布もあります。
ここで、私が声を大にして言いたいのは、これらの財布はサラリーマンであっても作り出そうと思えば、今からでも準備可能だということです。
給与収入はすべてがガラス張りで経費がほとんど認められない世界です。
この給与収入は、他の収入を作り出すいわば「種の部分」だと思います。決して給与収入だけで富裕層になろうと思わないでください。この「種」を使って他の収入を作り出すことが必要だということです。ポイントはいかにして、給与収入が得られている間に、他の収入を作り出すかです。
近頃、給与収入というのは経済環境や自分の年齢などによって簡単に下がったり、失ったりします。その点、事業収入や不動産収入にもリスクはありますが、定年はありません。現段階で給与収入が他の収入より多いようであれば、富裕層・超富裕層への道はまだまだ長いと言わざるをえません。
サラリーマンの方でしたら、リーマンショック後は賃金カットなどに伴って副業禁止規定を廃止する企業も増えてきましたので、何らかの形で事業収入を作り出します(具体的に、どんな事業を手掛けるといいかというヒントは別の機会に原稿にしたいと思います)。
個人事業の良さは、何と言ってもサラリーマンと違っては経費が認められる幅がぐんと広がるということ。いままで使えないからと捨てていた領収書などが生きてくるという意味を持ちます。
個人事業の接待交際費は上限無制限です。学会(講演や勉強会など)への研修参加費だとか、旅費だとか、取引業者とのゴルフコンペだとか、経費負担が一気にこれで軽くなります。自宅を執務室としていれば、その分の家賃も経費で落ちます。
つまり、給与収入がガラス張りなのと違って、事業収入は自分の生活が事業と一体化する限りにおいて、経費の点では柔軟性があるということです。
たとえば、サラリーマンの人が、帰宅途中の酒場で同僚と上司の愚痴を言っても1円も経費にはなりませんが、同じ事を同業者として情報交換をしてもそれが事業の一環である以上は接待交際費となるということです。
不動産収入も経費の幅が大きいです。賃貸不動産に投資することで、購入検討物件の現場調査や既に保有している物件の管理会社の管理状況のチェックのためにベントレーが必要となれば不動産収入とのバランスの問題はありますが、サラリーマンでも経費で落ちます。これが、「ベントレーを経費で購入するのは自営業者のみでしょ」という冒頭の質問に対する僕の答えです。
「コンチネンタルGT」は2ドアだから落ちない? いえ、仕事で使えば落ちますよ。家族でも使うから落ちない? 家事按分を使って事業と私用を分けてはどうですか?
■「財布」を増やすことが、富裕層への第一歩
さて、そろそろ富裕層が超富裕層になるのが簡単で、ゼロから富裕層になるのが難しい理由の一部が読者のあなたにもわかり始めてきたとおもいます。富裕層は同じ支出項目であっても、どこから支出すれば経済的な痛みが少ないのかを心得ています。それに対して、給与収入というのはガラス張りですから、痛みを和らげる方法は限定されているというのが、ゼロから富裕層になるのが難しい理由の(全部ではありませんが)ひとつです。
サラリーマンだと経費で落ちないもの、個人では経費で落ちないけど法人では落ちるもの、逆に法人では上限が定められているけど、個人では無制限に落とせるものなど世の中の経費の仕組みはいろいろです。
いまのあなたは財布をいくつ持っていますか?
だから、かなり早い段階から武器をたくさんそろえるほうが「闘い」を有利に進められます。富裕層はすでにいろいろと武器を持っているから、同じ稼ぐにしても税のインパクトをやわらげる、たとえて言えば柔道の受身を上手にとるわけです。
行政書士、不動産投資顧問 金森重樹=文
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