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コンビニの「無意味な」タッチパネル式年齢確認、かえってトラブル頻発
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11666.html
2015.09.22 文=平沼健/ジャーナリスト Business Journal
未成年者にたばこを売ったとして起訴されたコンビニエンスストアの運営会社と店員の双方に対し、高松高等裁判所が無罪としたことが大きな話題となっている。
この事件は、タッチパネル式の年齢確認で、成人であるとのボタンを押した当時15歳の少年にたばこを売ったとして、店員が未成年者喫煙禁止法違反に問われたものだ。1審では「少年は頬ににきびがあるあどけない顔で、一見して未成年者とわかる顔立ちだった」として罰金10万円の有罪判決が下された。
これに対して控訴審では「未成年者だと認識したと断定するのは困難」として1審判決を破棄して逆転無罪となった。
今回の事件では、未成年者がレジ上のタッチパネルで「20歳以上」と自己申告しているが、警察による店員の検挙や裁判における裁判官の判断ではほとんど意味をなさないことがわかる。
昨年2月にも、神奈川県川崎市内のコンビニで、成人確認のタッチパネルを押した16歳の高校生に対してたばこを販売したとして店員が逮捕された。
客が自ら20歳以上であると申告することで販売店側の責任が軽減されるとして、タッチパネルの有用性を説く見解があり、実際に多くの小売店で導入されているが、今後見直しが進む可能性がある。
実際に、流通業最大手のイオングループやコンビニチェーンのミニストップは昨年からタッチパネル方式の年齢確認を廃止し、一律にレジで店員が判断して販売する方法に切り替えた。
08年、たばこの自動販売機に成人識別カードのシステムが導入され、カードを持っていなければ自販機でたばこは購入できなくなった。そのため、コンビニなどの店舗で購入する人が増えたわけだが、それに伴ってトラブルも急増した。そこでタッチパネルによる確認はトラブル防止のために導入された。
それが逆に、年齢確認ボタンを押すように促されることに対して反発する人は多く、トラブルも頻発している。「文句を言う」「大声を出して威圧する」「店員に暴行する」「物を壊す」といったことが頻発している。
2012年には俳優で歌手の梅沢富美男がコンビニで、成人確認ボタンを押すように促されたことに対し、「オレが19に見えるわけねぇだろ!60過ぎているじじいをつかまえて押せとはなんだ」と、出演したテレビ番組内で怒りを爆発させて賛否両論が飛び交った。
■年齢確認と少年保護
未成年者にたばこの販売したことで店員や店舗運営者が処罰されるのは、「未成年者喫煙禁止法」という法律が根拠となっている。未成年者をたばこの害から守り、健やかに育てるとの趣旨で1900年に施行された法律だ。そして、たばこによる健康被害を防止する機運が国際的に高まったことを受け、2001年の法改正でたばこ販売者は購入者の年齢確認が義務づけられた。
年齢確認の方法については定められていないため、各販売者が独自にルールを策定しているのが現状だ。コンビニやスーパーでは、業務の効率化と接客レベルの統一などの観点から、タッチパネル式の年齢確認が普及した。
しかし、そのタッチパネルでの年齢確認が無意味ならば、どのようにするべきなのか。
多くの小売店の経営者たちからは、「法律や条例によって、身分証の提示を義務付けてほしい」との声が多い。
確かに、身分証の提示を義務付け、それが国民全体に浸透すれば、購入者はある程度あきらめて身分証を提示するようになるかもしれない。しかし、それでもトラブルはなくならない。今年2月には東京調布市で、たばこの販売を拒否されたとして店員に暴行を加えた少年5人が逮捕された。
未成年者喫煙禁止法では、未成年者へたばこを販売した業者だけが処罰される。立法の趣旨が未成年者を守ることに主眼を置いているためであるが、「成人である」と偽ってたばこを購入した未成年者が処罰されずに販売者が処罰される現状には違和感を抱く。年齢確認をせずに販売した場合は処罰されても仕方ないが、なんらかの方法で年齢確認を行った上で販売した場合には販売者ではなく、詐術を用いた少年を処罰するべきなのではないだろうか。
(文=平沼健/ジャーナリスト)
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