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安川電機が江蘇省常州市で本格生産を開始した産業用ロボット工場で、青く塗装されたロボットアーム(右)の操作を体験する中央大学の学生(河崎真澄撮影)
中国経済最前線を視察する大学生を同行ルポ 産業ロボの需要拡大、日本のソフトパワーを改めて実感
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150922-00000501-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/9/22 12:00
「あるいはハードウエアで中国企業に追いつかれる日が来るかもしれないが、ソフトウエアの競争力はまだまだ強い」。安川電機が2013年5月に中国の江蘇省常州市で本格生産を始めた産業用ロボット工場で、現地法人の荒木伸弥社長は、日本から視察に訪れた大学生らを前に強い自信をのぞかせた。
「13億6000万もの人口を抱える中国で産業用ロボット工場がなぜ必要なのか」「生産ラインで金属表面を洗浄剤を使わずにドライアイスを吹き付けて洗浄する最新鋭の技術を中国で導入したのはなぜか」「製品技術を模倣される恐れはないか」などと鋭い質問が飛び交った。
訪れたのは、グローバル人材の育成を目指して中央大学(酒井正三郎総長・学長)が中国経済の最前線を自分の目で見てもらおうと企画した「企業研究プログラム@上海」に、学内で選抜されて参加した計14人の学部生と大学院生。9月6日から13日までの日程で江蘇省や上海市で政府機関、日系企業、中国企業などの話に耳を傾け、自分たちが進むべき道を探している。
この海外研修へは、上海在住の中大卒業生らが組織する上海白門会(大友志郎会長)のメンバーが訪問先を調整するなどして協力。上海理工大学の日本文化交流センター(何偉銘センター長)が受け入れ単位となって学生寮や討論会場を提供したほか、日本語を学んでいる中国人学生らとの交流を促した。
安川電機の工場で、学生らはロボットがロボットを生産する自動化の進んだ工程を見学した後、青く塗装されたロボットアームの操作を中国人従業員の指導で体験した。総合政策学部2年生の堀地綾さんは「日本企業が中国ですごく頑張っているなあと好感を持った。それに女性従業員が数多く生き生き働いている」と目を輝かせた。
2014年に約5万台だった中国の産業用ロボット市場は17年に10万台に倍増すると予測されている。安価で豊富な労働力を生かした労働集約型の製造業で急成長した中国だが、ここ数年は(1)人件費の高騰(2)労働力の確保が難しい(3)製造プロセス品質向上への要求−などの理由から、あらゆる製造業で産業用ロボットへの注目度が高まっている。これまで中国市場は高度な技術を持つ日本勢や欧米勢の独壇場だったが、中国企業との激しい競争が始まりそうだ。
一方、江蘇省常州市の安川電機ロボット工場を訪れた中央大学の学生たちは、産業用ロボットもやがて中国において「技術模倣問題」にさらされるのではないか、との感想を抱いたようだ。日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所を訪問した際に大学院理工学研究科2年の今井景佑さんは「価格が安ければ模倣品でもよいとの傾向が中国ではあるのだろうか」と疑問を投げかけ、三根伸太郎所長が「模倣が社会悪であるとの認識は低い」などとも答えていた。
電機大手の知財部門でインターンシップの経験がある理工学部3年生の山口由衣さんは「特許をいかに重視すべきか」について、中国に来てみて関心をさらに深めた様子。日本企業が先行する産業用ロボット。安川電機現地法人の荒木社長が考えている「ソフトウエアの優位性」も、しっかりと保護されていくことが前提となる。
産業用ロボット工場以外にも一行は約1週間の期間中、ジェトロに加えて、江蘇省や上海市で日系の建機大手や食品大手の現地工場、大手会計事務所や地元工業団地、中国資本の貿易会社など、幅広い分野を視察先としている。駐在員のみならず日本留学経験のある中国人ビジネスマンからも話を聞いた。
研究開発面から「中国人の頭脳に関心がある」と話すのは理工学部3年の奥田圭さん。奥田さんはレーザーなどを使った画像技術を医療に応用する分野の研究職を目指しているが、「各国が得意分野を持ち寄る研究開発の国際連携が進む中、中国と中国人の役割が今後、大きくなるのでは」と考えている。
海外で働くことに興味をもっているという法学部1年生の菅野葵さんは「中国に来てみて世界情勢や政治の動きが経済の世界も大きく左右していると感じた」。共産党一党支配の中国が抱える難しいビジネス環境に思いをはせたのだろうか。
日中関係や外交に関心を抱く法学部1年生の田中僚さんは、上海理工大学の学生との交流などを通じて、「中国の若者はアニメを中心にびっくりするくらい日本のことに詳しいが、日本人はどこまで中国や中国人のことを知ろうとしているのか」と疑問を持った。仮に歴史問題をめぐって論争になったとき、自分たちの知識が乏しければ、「反論すら難しいのでは」という。
政治的な交渉や外交を「ハードパワー」とすれば、アニメに限らず民間ベースで文化や考え方を伝え合う「ソフトパワー外交」には、なおも困難な局面にある日中関係を打開する力がありそうだと田中さんはみる。
産業用ロボットのハードとソフト、日中関係や外交のハードとソフト。意味合いは少し異なれども、日本の持つ「ソフトパワー」を強みとして認識し、弱点を補いながら磨きをかけて、中国との関わりの中でいかに応用していくか、といった共通性もある。
アニメなど中国でも人気の高い日本のサブカルチャーと並んで、安川電機のドライアイスを使った金属表面の洗浄など、環境汚染のない最先端の技術やノウハウもパワーを発揮するだろう。学生たちが中国での研修経験を将来にどう生かしていくか。その成果を見守りたい。(河崎真澄)
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