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訴訟合戦に発展した日本郵政とソフトバンク。写真はソフトバンクグループ社長の孫正義氏(左)と日本郵政社長の西室泰三氏
日本郵政VSソフトバンク訴訟合戦の行方は… 孫正義社長の「深謀遠慮」は通用するのか?
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150921-00000503-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2015/9/21 11:03
ソフトバンクモバイル(7月1日にソフトバンクに社名変更)が、日本郵政グループの5次PNET(総合情報通信ネットワーク)における拠点ネットワーク部分を3カ月遅れて6月末に完成し、運用を開始した。ゆうちょ銀行のATM(現金自動預払機)2万6000台を含む2万7000カ所を結ぶ国内最大級のネットワークだ。しかし、その一方でソフトバンクと日本郵政グループはネットワーク構築の遅延による損害賠償や追加支払いを互いに要求して東京地裁に提訴。期せずして、東京証券取引所が日本郵政グループ3社の上場を承認した9月10日に訴訟の審理が始まった。
ソフトバンクが競合したNTTコミュニケーションズの半値以下で落札した2013年2月、心配する日本郵政首脳に「赤字覚悟でやります」と豪語した孫正義ソフトバンク社長(現ソフトバンクグループ社長)は頭の中で、民営化を進める巨大企業グループに食い込めば元は簡単に取れるというそろばんを弾いていたのは想像に難くない。ソフトバンクは、株式上場を控える日本郵政グループにとって海外企業との関係が広い新たなパートナーになるのか、トラブルを頻発する獅子心中の虫になるのか、日本郵政幹部の間でもさざ波が立っている。
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日本郵政グループの5次PNET更改プロジェクトで、光回線接続工事の納期遅れによる損害賠償を求めて日本郵政グループがソフトバンクに対し、ソフトバンクが日本郵政グループに追加支払いを求めて、それぞれ提訴したのは4月30日。訴訟合戦に至った経緯は、関係者の話を総合すると、納期の今年3月31日まで1カ月を切った3月初旬に、ソフトバンク側から納期が「6月末にずれ込む」との申し出があったのが端緒。日本郵政側がソフトバンク側に損害賠償を求めたが、拒否されたことから、4月9日に訴訟の方針をソフトバンク側に通達した。当初は高をくくっていたソフトバンク側も日本郵政側の強硬な姿勢に驚き、逆に「移行管理・調整業務の遅延によって発生した追加業務の報酬」を求めて、日本郵政側より半日早く提訴。同日夕方に日本郵政側が提訴する形になった。
5次PNETの競争入札では、これまでの経験と実績からNTTコムが最有力候補とみられていたが、NTTコムの半値以下の価格で落札したのはこれまで日本郵政グループのネットワーク構築で経験のないソフトバンクだった。日本郵政側は、入札基準の技術点に重きを置いて点数化したが、蓋を開けてみれば価格点で圧倒的な差を付けたソフトバンクが落札。NTTコムも日本郵政も驚いた。
日本郵政グループは、ソフトバンクのシステム管理能力を不安視して、4次PNET構築の経験もあるIT業界大手の野村総合研究所(NRI)にネットワークの移行管理・調整業務を委託。万難を排した、はずだった。
2013年2月、落札後、日本郵政の坂篤郎社長(当時)に呼ばれた孫正義ソフトバンク社長は「赤字になるが、しっかりやります」と胸を張った。ソフトバンクのネットワーク構築能力を不安に思う坂社長が「しっかりやってもらわないと困ります」とクギを刺したことに自信満々に答えた。関係者によると「100億円規模」ともいわれる赤字を被っても、日本郵政のネットワーク構築と運用を担う価値は大きいと、孫社長が計算していた可能性はある。
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しかし、現場部門が損失を極小化しようとするのはシステム開発プロジェクトにおける必然的な流れ。日程、コストとも余裕のない工程管理の中で、工事や手続きの小さな遅延が積み重なったであろうことは当然ともいえる現象だ。
訴訟の概要は、ソフトバンクが日本郵政グループのシステム開発子会社、日本郵政インフォメーションテクノロジー(JPiT)を相手取って4月30日に追加業務の報酬約149億円を求めて提訴。JPiTはソフトバンクと管理業務請負のNRIに、発注業務の遅滞による損害賠償約161億円を求めて提訴した。東京地裁は双方の弁護士と協議して2件の訴訟を併合し、9月10日の書面交換を経て本格審理がスタートした。
郵政側は納期が今年3月末から6月末に遅延したことによる損害は、ソフトバンクが接続工事の遅れをぎりぎりまで報告せず、NRIも管理業務を怠ったとしている。一方、ソフトバンクは納期が遅れた原因はJPiTとNRIが管理業務を怠ったためで、そのために生じた追加業務の報酬を求めている。さらにソフトバンクは光回線を借りたNTT東西地域会社の手続きの遅れも「遅延の要因だ」と問題視しているようだ。
NRIの担当者は今回の契約時、郵政側に「どこにリスクがあるか分かっている。(4次PNETで)経験のある人を集める」と自信を示したが、接続工事の遅れが納期の数週間前に露呈するまで見抜けなかったという。
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ソフトバンクは民営化を進める日本郵政グループに「是が非でも食い込みたいとの思いが強い」(総務省幹部)とみられており、赤字で落札しても日本郵政側とのビジネスが拡大すれば十分元は取れると判断したようだ。1〜4次PNETを受注したNTTグループは「ソフトバンクが安く応札しても技術点で落札できる」と踏んでいた節がある。
ある面で、日本郵政側の懸念は当たったことになる。しかし、2年半の大型プロジェクトで数カ月程度の遅れやその負担を巡る交渉が難航することはIT(情報技術)分野のネットワーク受発注では珍しいことではない。話がもつれた背景には、日本郵政の経営体制が大きく変更されたことによる影響もありそうだ。
安倍晋三政権発足直前の2012年12月に就任した旧大蔵省出身の坂社長は自民党の批判を受けて13年6月に退任。郵政民営化委員会の西室泰三委員長を後任社長に迎え、「ソフトバンク嫌いの総務省出身者」(日本郵政幹部)が経営の中枢を占めたことで、「対応が変化して訴訟も辞さずの姿勢に変わった」(同)といわれている。ソフトバンクにしてみれば、タダでさえ赤字覚悟で取り組んでいるネットワーク接続作業の遅れに損害賠償を求められて、逆襲に打って出ざるを得なかった。
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東京地裁がどのような判断を下すかは不明だが、JPiT、ソフトバンク、NRI、そして光回線を貸し出したNTT東西地域会社が複雑に絡むシステム移行・接続工事の責任の所在を解きほぐすのは容易ではなさそうだ。
裁判の審理の行方にかかわらず、ソフトバンクは日本郵政グループの要であり、ゆうちょ銀行が抱える2万6000台のATMを結ぶ重要なネットワークの運用を任されたという点で、孫社長の思惑通りの展開ともいえる。ただ、日本郵政グループの「反ソフトバンク派」の反攻の火種はくすぶる。
日本郵政グループの日本郵便は米IBM、米アップルと協力して今年10月から高齢者向け情報支援サービスの実証実験を始める。アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」約1000台を無償で貸し出して見守り支援や買い物支援など各種情報サービスを提供する予定だが、肝心の通信事業者は未定だ。
日本郵政グループの関係者によると、「ソフトバンクに決める予定だったが、訴訟相手を選ぶ必要があるのかと一部の幹部が反対して白紙に戻った」という。事実だとすれば、ソフトバンクとしては痛し痒し。「長い目で見れば、訴訟が良かったかどうか」(ソフトバンク関係者)という声も聞こえてくる。巨大上場が目前に迫った日本郵政とソフトバンクの関係が今後どう変化していくのか、しばらく目が離せない。(芳賀由明)
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