8. 2015年9月22日 08:49:22
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このまま人口が増え続けたら世界はどうなるのか 片や日本の人口は減り続け世界30位の小国に 2015.9.22(火) 茂木 寿 ケニアで一夫多妻制法案を可決、男性議員が妻の拒否権削除 今後、世界でもっとも人口が増えていく地域はアフリカ。ケニアの首都ナイロビで結婚式を挙げるカップル(2013年9月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/SIMON MAINA〔AFPBB News〕 国連が2015年7月に発表した世界の人口統計および予測( "World Population Prospects 2015 Revision”)によれば、2015年の世界の人口は73億4947万人となった。世界の人口は今後も増加を続け、2100年には112億1332万人に達すると予測されている。 今回はこの人口増加が今後の世界にどのような影響を与えるかについて考えてみたい。 2056年に世界の人口は100億人を突破 過去5年間の世界の人口増加率は年平均1.18%増となっており、1970年代の2%台から徐々にではあるが増加率は低下している。しかしながら、今後も人口増加は続き、2056年には世界の人口は100億人を突破し、2100年には112億1332万人に達すると予測されている。ちなみに、2015年から2100年にかけての年平均の人口増加率は0.5%増となっている。 2015年現在の世界の年齢構成は、0〜14歳が26.1%、15〜19歳が8.0%、20〜24歳が8.2%、25〜59歳が45.4%、60歳以上が12.3%である。年齢の中央値は29.64歳で、平均寿命は70.48歳となっている。 ちなみに、日本の場合は年齢の中央値は46.51歳で、60歳以上の人口比率が33.08%を占める。日本は世界でも有数の少子高齢化国家であると言える。 2015年の日本の人口は1億2657万で、世界で11番目である。だが今後も人口減少は続き、2063年には1億人を割り込み、2100年には8317万人にまで減少すると見られている(2100年における人口ランキングは30位となっている)。 2015年から2100年にかけて、米国を除く先進国のほとんど、さらには新興国の多くでも人口のピークを迎える。地域別ではアジア地域、欧州地域、ラテンアメリカ地域の3地域で2100年までにピークを迎え、その後減少に転じる。ただし、アフリカ地域、北米地域、オセアニア地域は2100年までにピークを迎えない地域となっている。 表1は地域別人口比率の推移を示したものだ。比率が拡大するのはアフリカ地域およびオセアニア地域の2地域のみとなっている。 表1 地域別の人口比率の推移 人口が増加する要因としては次のようなことが挙げられる。 (1)医療技術の発達等に伴う幼児死亡率の低下、(2)医療設備・衛生状態の向上に伴う全体の死亡率の低下と平均寿命の上昇、(3)イスラム教等の宗教的教義に伴う避妊の否定による出世率の上昇、(4)災害対策・感染症対策等の発達の伴う死亡率の低下、などなどである。 逆に、人口増加を抑制する要因として挙げられるのは以下の通りである。 (1)生活における価値観の変化(多産から少産へ)、(2)食料供給能力の限界、(3)環境汚染などに伴う感染症等の増大、などなど。 このうちどちらが強く働くかで人口の増減は決まってくるわけだが、現状の予測としては、人口増大の要因の方が勝っているとの内容となっている。 今後、最も人口が増加するのはアフリカ 今後の世界の人口を大きく左右することになるのがアフリカである。 アフリカ地域の2015年の人口は11億8618万人で、全世界の16.14%を占めている。年齢の中央値は19.39歳となっており、極めて若年人口の多い地域である。そのため、今後の人口増加率は地域別で最大となっている。 ちなみに、アフリカ地域の人口は2039年に20億人、2063年に30億人、2088年に40億を突破し、2100年には43億8659に達し、全世界の39.12%を占めるとされている。 2015年現在、世界には人口1億人以上の国が日本を含め12カ国あるが、アフリカはナイジェリアの1カ国のみである。しかしながら、2100年には1億人以上の26カ国のうち、14カ国をアフリカ地域の国が占めることとなる。 そのため、アフリカの潜在性は極めて高い。例えば、消費市場、豊富な天然資源・労働力、インフラ整備需要の拡大などは大きな魅力と言えよう。 ちなみに人口を宗教別に見ると、世界はどのように変化していくのだろうか。 表2は宗教別人口比率の推移(予測)である。この表からは、イスラム教の拡大傾向が顕著であることが分かる(Pew Research Center)。 表2 世界の宗教別人口比率 人口増加が世界にもたらす正と負の影響 最後に、人口増加が世界情勢に与える影響を整理してみよう。 人口増加は消費市場の拡大という面では非常に大きなプラス要因となる。特に、アフリカ地域における人口拡大に伴い、同地域は非常に大きな市場に発展する可能性が大きいと言える。また、同地域においては、インフラ整備の拡大などの要因から、今後世界経済に占める地位も高まるものと見られる。 一方、人口増加はマイナスの面の影響も大きい。例えば、世界的な食糧不足、水不足が加速する可能性が高い。また、このことは、近隣諸国との地域紛争を助長する可能性がある。そのため、世界の政治状況に大きな影響を与える可能性がある。 最も大きな影響は、人口増加に伴い、地域・国の間の格差、国の中での格差を拡大させる可能性が高いことであろう。特に、格差の拡大が歴史的に社会を不安定化する要因となっていることは明白である。 また、宗教別ではイスラム教徒の拡大傾向が顕著であるが、このことは現状における世界のイスラム教徒の人口構成比が若年層が多いことを意味している。これまでの世界的な傾向を勘案した場合、若年層が相対的に拡大する時期において、社会が不安定化することが知られている。今後もテロ等の反政府・反社会的な活動が継続又は拡大することが懸念される。 さらに、自然災害の増加という面も無視できない。なぜ人口の増加が自然災害の増加を助長するのかというと、一般的に自然災害とは人間に影響を与える自然現象を指すからである。 例えば、南極で大規模な地震が発生しても、人に影響を与えない場合には、自然災害とはされていない。そのため、人口増加は直接的に自然災害の増加を助長することとなるのだ。 (本文中の意見に関する事項については筆者の私見であり、筆者の属する法人等の公式な見解ではありません) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44802
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