http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/705.html
Tweet |
日本郵政の西室泰三社長。上場は投資家の納得を得られるか?
【大前研一のニュース時評】日本郵政上場 減衰している経常利益の推移 成長シナリオなく疑問だらけ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150920/dms1509200830004-n1.htm
2015.09.20 夕刊フジ
政府が株式を100%保有する日本郵政と、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の東証1部への株式上場が10日、承認された。政府は日本郵政の株式を、日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式をそれぞれ11%分、売り出す。上場日は11月4日。上場時に想定される時価総額は3社あわせて13兆円を超える見通しで、1987年2月に上場したNTTの約25兆円に次ぐ規模になる。
日本郵政の株式の売却益約1兆4000億円は、すべて東日本大震災の復興事業の財源に充てられることが決まっている。2005年、当時の小泉純一郎首相が郵政選挙に勝利し、郵政民営化法によって日本郵政は公社から株式会社になった。小泉元首相の郵政改革は本来、上場の売却益を日本の借金返済に使うことだった。しかし、11年に東日本大震災が起こり、その復興に充てることに変わってしまったわけだ。
日本郵政は、全国2万4000余りの郵便局のネットワークを使って郵便、貯金、保険事業を行い、この3月期の経常収益はグループ全体で約14兆円(純利益は5000億円程度)に上る。ただ、ゆうちょとかんぽはそこそこ利益を出しているが、郵便事業は同じ3月期で103億円の赤字だ。
日本郵便は、全体の決算では154億円の黒字になっているが、それは金融2社や他の金融機関から窓口での代理業務の手数料を受け取っているからだ。その額、およそ1兆円という。
今回、「全国一律のサービス提供が必要だ」ということで、日本郵便は上場しない。先行きの暗い郵便事業を隠して、ゆうちょ、かんぽの金融2社を表に出してきたわけだ。だが、上場されるゆうちょ銀行やかんぽ生命の株主から見れば、窓口代理業務という内部取引に膨大な支払いをしていることをどう説明するのだろうか。
内部取引である代理業務をいくらにするかで収益ががらっと変わる2つの企業を別々に上場し、さらにその2つを傘下に持つ日本郵政も上場する、というのは、いびつかつ異常で、株価が正しく形成されるかどうか、はなはだ疑問が残る。
将来、コンビニが窓口業務をもっと安い値段でやってあげましょうと申し出ても、ゆうちょもかんぽも乗り換えられない。つまり独立した意思決定のできる民間企業ではないものを上場する、という無理筋なのだ。
日本郵政グループの経常収益はここ数年、構造的に下がってきている。177兆円と大手銀行グループを上回るゆうちょ銀行の多大な預金の運用も、まったくできていない。かんぽも同様だ。運用できないのに資金を集めている。国営企業としては意味があったが私企業としては機能不全、と言われても仕方がないだろう。
上場後、資産運用の戦略はどう見直すのか。どこかに丸投げするのだろうか。こんな状況で、上場企業としてやっていけるのだろうか。問題は山積だ。少なくとも、減衰している経常利益の推移を見たら、成長シナリオなき上場であり、普通は売り出しが難しいカテゴリーに属する。
ということで、NTTやJR東日本、JTの上場に比べ、郵政3社はけっこう歪んだ形で上場することになる。時価総額13兆円のうちの1兆3000億円を復興事業の財源に充てるためにここまで市場を歪めていいのか、という議論をもっとしなくてはいけない。
幹事会社が必死に売っている姿を見ると、彼らもまた理解して売っているようには見えない。買い手の方の国内外の投資家の納得を果たして得られるかどうか、あとふた月あまり、注目したい。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民100掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。