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行く末は孤独死…社会から孤立する「下流中年」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150919-00940183-sspa-soci
週刊SPA! 9月19日(土)13時51分配信
◆ふとした要因で簡単に孤立化。負のスパイラル
「年収は300万円。暇はあっても友達と飲みに行くお金はありません」
そう語るのは、IT企業に勤める佐藤大輝さん(仮名・37歳)。新卒で入った会社は、毎日終電のブラック企業。35歳で体を壊し、退職したのが運の尽きだった。再就職先はなかなか見つからず、年収を妥協して今の仕事に就いた。
「社会人になってからは仕事人間でしたから。大学時代の友人とも疎遠になっていた。気づけば周りの友人は結婚して家族持ち、飲み仲間なんてつくるお金もない。30代後半になって、猛烈な寂しさに襲われるようになりました」
昨今、下流老人が注目を集めているが、その序曲は35〜49歳の中年時代から始まっている。給与が横ばいの働き盛りの世代が今、下流中年化するケースが増えているのだ。そして彼らを下流化させる引き金となるのが、孤立化である。
SPA!が行なったアンケート「孤独を感じたことはありますか?」によれば孤独と感じる人は30.5%とまだ少ない。しかし、予備軍も含めると潜在的な孤立化する下流中年は、多いと見られている。ジャーナリストの溝上憲文氏も、労働環境の変化で「今後は下流中年の孤立化に拍車がかかる」と警鐘を鳴らす。
「IT化によって昔ながらのビジネススキルが通用しなくなるなか、今や大量採用の恩恵を受けた40代の半数はリストラ対象と言われています。一方、転職市場では年収3割減は当たり前で、一度でも非正規になれば正社員に戻ることは限りなく難しい。また、妻が自立している共働き世帯では、夫のリストラや親の介護が離婚に繋がるパターンも多く、ある日突然、人間関係が崩壊するリスクが40代に急激に高まるのです」
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Q1:孤独を感じたことはありますか?
YES:678人(30.5%)
NO:1547人(69.5%)
※全国都市部在住の35〜49歳(正社員・契約・派遣・公務員)で個人年収400万円台以下の男性2225人アンケートで「孤独」を感じたことのある678人(30.5%)から無作為に300人を抽出し、Q2のアンケートを実施
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また、「いないと『孤独』を感じる対象は?」というアンケートでも65%の人が「友人がいない」ことが孤独を感じる要因と回答。友人形成は学生時代など過去からの積み重ねであり、中年になってから実行するのは難しい。
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Q2:いないと「孤独」を感じる対象は?(複数回答可)
友人:65.0%
彼女:41.0%
家族:33.3
仕事仲間:28.3%
先輩:11.0%
後輩:10.3%
親:6.3%
その他:0.3%
※中年にも差しかかれば友人関係は構築済みで、家庭に愛着を持つ頃合いかと思いきや、友人が65%と突出。字面以上の“孤独の中身”の深刻さを物語る結果となった
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そして、下流中年の末に待ち構えているのは「孤独死」という冷たい現実だ。
「低年収でも社会と繋がっていれば問題ないのですが、企業が利益至上主義によって労働者の教育を放棄したことで『挨拶ができない』など“マナーの貧困”が深刻化しています。その結果、“なるべくしてなった孤独死”という側面も強くなってきた。この状況が改善されない限り、社会人として未熟にもかかわらず自立していると思い込み、孤独死に至るケースが減ることはないでしょう」(社会福祉学者・結城康博氏)
社会からの孤立化が働き盛り世代を下流中年の闇へと陥れ、それがまたさらなる孤独感を生むのだ……。
◆母親の介護のために、見知らぬ土地で孤立。メールも一切届かない
〜 白沢 譲さん(仮名・41歳)/食品工場社員/年収280万円 〜
「5年前、北海道に住む母親が倒れ、介護のために仕事を辞めて東京を離れました。以来、友人との付き合いはほとんどありません」
白沢さんは生まれも育ちも東京。父親が定年を機に移住した北海道とは縁もゆかりもなかった。
「父親は移住して間もなく亡くなり、東京の自宅は処分したので戻ることもできない。私は一人っ子ですし、自分以外に母親の面倒を見てくれる人もいないので……」
仕事もそれまでのSEから食品会社工場スタッフとなり、年収は150万円のダウン。ただし、それ以上にキツかったのは、見知らぬ土地での孤独感だったとか。
「職場は年上のパート女性ばかりで、数少ない同年代の男性社員は地元出身の既婚者。独身でヨソ者の私とは話が合わず、仕事以外での付き合いはほぼ皆無です」
現在、母親は日常生活を送れるまで回復したが、「今さら一人にはできない」と話す。介護負担は軽減されたが、逆に休日などの時間を持て余すようになった。
「お金も友達もいないので、いつも低価格パチンコで時間をつぶしていますね。虚しさを感じるのは昨夏に機種変した携帯にメールが一切届かないこと。どうせ誰とも繋がらないので、LINEもフェイスブックも未加入です」
親の介護を言い訳にしたくない。その葛藤が白沢さんを苦しめる。 <取材・文/宮下浩純 高島昌俊 撮影/西田 航>
※この記事は週刊SPA!9/22・29合併号特集『下流中年の危機』より抜粋されたものです。
【溝上憲文氏】
ジャーナリスト。経営、人事など労働問題、労働環境をテーマに活躍。著書に日本労働ペンクラブ賞受賞の『非情の常時リストラ』(文春新書)、『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)など
【結城康博氏】
社会福祉学者。地域包括支援センターで社会福祉士、ケアマネージャー、介護福祉士として勤務後、淑徳大学教授。著書に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護―現場からの検証』(岩波新書)など
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