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年収1千万円超!? 「年下低収入男」を狙う“3K女性”〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150918-00000008-sasahi-life
dot. 9月18日(金)11時42分配信
今は結婚して家庭に入るのは、何も女性に限ったことではない。
まだ結婚すれば女性が家庭に入るという価値観が根付いていた1980年代後半から90年代初めのバブルの時代。女性が結婚相手男性に求める条件は「高身長」「高学歴」「高収入」――すなわち“3高”だった。
だが時代は移ろい、この3高は、男性が結婚相手女性に求めるものへと変わりつつあるようだ。“3高”ならぬ“3K”と呼ぶべき女性が出てきている。高学歴、高収入という条件はバブル期のそれと同じだ。異なるのは高身長に代わる「子どもあり」である。
高学歴、高収入、子どもあり――この条件を満たすのは都市部に住むオーバー40のキャリア女性に多い。そして、このキャリア女性の配偶者に、今、アラサー世代の“カネなし”“友なし”“彼女なし”、年収は高くても300万円程度という“ド底辺層”の男性がにわかに注目されているという。
「ずっとキャリアとして働いてきた彼女たちは、職場でもプライベートでも、そのベクトルは仕事。なので結婚しても配偶者を“サポートする”のではなく、“サポートされたい”という意識が強い。低収入の年下男性と年上のキャリア女性のカップルは、そうしたニーズに合致したものといえます」(大阪府内の結婚相談業者)
そんな”格差カップル”の結婚生活の実態を追った。
東京都内に住むサチコさん(42)とショウヘイさん(33)夫婦は、昨夏、結婚する際、「夫は妻を支える」「妻は夫を外に働きに出すことはしない」を条件に結婚した。
大手企業総合職の妻・サチコさんの年収は1200万円程度。前の夫との間に出来た小6の娘がいる。職場では管理職として多忙を極め、プライベートでは中学受験を控えた娘のために、進学塾や習い事の送迎など、とても自分の時間は取れない。だから、家事もままならない。とても再婚して夫である男性をサポートするなど無理だ。むしろ夫は専業主夫、“ハウス・ハズバンド”であることが望ましかった。
「娘のことを考えると父親がいたほうがいいに決まっています。でも、私が夫をサポートする結婚なら、また私への負担が大きくなってしまいます。なので私をサポートしてくれる、そんな条件での結婚を承諾してくれる男性をずっと探していました」(サチコさん)
ハウス・ハズバンド求む――そんな条件で、今週は異業種交流会、来週は合コンとマメに顔出し、婚活に励んだサチコさんが見初めたのがショウヘイさん(33)だった。
関西の名門大学の博士課程卒。だが研究職に就けなかった、いわゆるオーバードクターだ。ルックスこそジャニーズ系のイケメンだが、実質、無職。収入はパートタイムで行なうPCインストラクターと試験監督など大学内で院生向けに募集されるアルバイト収入のみ。知り合った当時の年収は150万円に満たなかった。ずっと研究生活ひと筋。だから友達もいない。もちろん女性との交際経験もない。
2人の共通の友人が主催する異業種交流会で、サチコさんはショウヘイさんの状況を聞き、「結婚するならこの人しかいない」と「天の声」が聞こえたという。
女性経験がないのなら私が彼を大切にすれば、きっと彼は私だけをずっとみていてくれるはずだ。研究活動は安定した生活があってこそ出来る。ならわが家にくればいい。彼には家事一切を担ってもらい、その合間に研究活動をすればいい。離婚以来、父がいないことで寂しい思いをさせてきた娘にとっても、いい父であり兄にもなってくれるだろう。何より博士課程卒の高学歴。中学受験を控えた娘にとってもいい話だ。友だちもいないのなら、居場所はわが家だけだ。皆が幸せになれる――そこにはこんなサチコさんの思いがあった。
以来、サチコさんからショウヘイさんへの猛アプローチがはじまった。日々、LINEでのメッセージ交換、自宅に招いて娘と3人で食事し、休日にはキャンプにも出掛けた。
「彼には、わが家の主人として、ただデーンといてさえくれればそれでいいのです。あくまでも私と娘を支える“主人”として。その主人と娘のために私は家計を担う。いい役割分担です。主人も誰に引け目を感じることはありません」
こう話すサチコさんに、両親は「息子がひとり増えた」と大歓迎。一方、娘も「お父さんというよりお兄さん」と手放しで喜ぶ。夫であるショウヘイさんの両親もまた、サチコさんに感謝の気持ちを表す。ショウヘイさんの母は息子の“嫁ぎ先”であるサチコさんについてこう話す。
「大学を出て職がない息子を養ってくれて。結婚はもう無理。だから孫の顔もみられないと諦めていたわたしたちにもサチコさん親子は幸せを運んできてくれました」
今では、ショウヘイさんの両親も、“初孫”である小6の娘の進学塾や習い事の送迎など、“お受験”のサポートに加わっているという。
兵庫県に住む公立小学校教諭のミドリさん(42)もサチコさん同様、3K女性だ。前々夫との間に設けた小4の息子が1人いる。離婚後、大学時代に所属していたサークルの先輩と再婚したが、前夫とその両親からは、「教職を辞めて家庭に入れ」と煩い。それが理由で再婚生活は2年と持たなかった。
「夫を中心とする家族――そんな価値観に縛られていたんですね。前の夫もその両親も。もちろん私も。前の離婚の反省を踏まえて、今度は私を中心とする家族を作ろうと。それでハウスハズバンドになってくれる男性を求めました」(ミドリさん)
離婚後、婚活に励むことにしたミドリさんは、早速、結婚相談所に登録、みずからの希望を相談員に告げた。そして3カ月で7人の男性と見合い。その相手は、皆、年収300万円から500万円の30代半ばの年下男性だった。ただし全員が大卒だ。子どもの父親になる相手なのでやはり大卒以上の学歴は欲しかったからだ。
そうした努力の甲斐もあって、福祉介護職のコウタさん(34)との結婚が決まった。都内の有名私立大学で社会福祉を専攻、新卒時からずっと激務の割に収入面ではまだまだ恵まれない福祉介護職に就いているという真面目な人柄に惹かれた。
大勢の不特定多数の他人の面倒をみてきた経験は、結婚して家族となり、「私と息子だけをみていてくれればいい」(ミドリさん)。
「ずっとわが家で私と息子だけをみていて下さい」というミドリさんの“逆プロポーズ”は見事実り、今は家族3人で暮らしている。
「最初の結婚では夫の女性問題で悩み、2回目の結婚では旧来の価値観に悩まされました。3度目の正直で自分らしい結婚生活を手に入れました。これで教育者としての仕事にもようやく打ち込めます」
幸せいっぱいの表情でミドリさんはこう話す。それに従うように、今はハウス・ハズバンドとなったコウタさんがミドリさんの言葉にほほ笑みながらひとつひとつうなずいていた。
紹介したサチコさん、ミドリさんのようにキャリア女性たちの結婚は、やはりサポート役となるハウス・ハズバンドが適しているのだろうか。企業の組織論に詳しい、ヘッドハンターでストラテジック パートナーズ ジャパンの兼本尚昌社長は次のように語る。
「ビジネスで成功している男性の配偶者は専業主婦が圧倒的に多い。他方、女性で成功している人の配偶者は、作家、ミュージシャン、芸術家の卵など、まだまだ『自称ですけど』的な人がすくなくなかったような印象はある」
国立社会保障・人口問題研究所の第14回出生動向基本調査(2010年)によると、「年上女性と年下男性」の婚姻は、20歳から48歳まで年々増え続け、その割合は女性が28歳時点では約30%、36歳では約40%、42歳では約50%、48歳では約70%にまで高まっている。つまり女性の婚姻年齢が高ければ高いほど、「年下夫」との成婚率が上昇するというわけだ。
年上男性が年下女性を養うという旧来からの婚姻形態は、この結果からもわかるようにとうの昔に崩れている。これからますます、今回紹介した婚姻が増えていくことは間違いなさそうだ。
※本文中、カタカナの名前は仮名です。
(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)
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