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景気不安定のなかで強引に消費増税突入、国民に甚大な煩雑さ強要…財務省の危険な横暴(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/647.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 18 日 00:28:20: igsppGRN/E9PQ
 

                      財務省庁舎(「Wikipedia」より/っ)


景気不安定のなかで強引に消費増税突入、国民に甚大な煩雑さ強要…財務省の危険な横暴
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11600.html
2015.09.18 文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授 Business Journal


 安倍晋三政権は、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げる予定だ。この引き上げにおいて、「経済情勢次第で見送る可能性がある」との景気条項は削除されている。つまり、政府は基本的に景気の状況にかかわらず消費税率を引き上げるとの意思表示を行ったのである。だが、消費増税時点の景気動向は不透明だ。小売業界の負担を回避しつつ消費者心理に働きかけやすい景気下支え措置の導入が望まれる。

 現在、消費増税の影響を緩和する措置として、マイナンバー(税と社会保障の共通番号)制度を用いて事後的に増税分の一部を払い戻すという還付制度を財務省が提示し、有力な方策としている。しかし、この制度については企業の負担や手続きの煩雑さに対する懸念が多く、経済専門家から批判の声も聞かれる。より効率的な策として、品目別の軽減税率導入を真剣に検討することが望ましい。

■17年4月の景気と対策の確認

 17年4月の消費税率引き上げについて、政府は景気条項を削除している。つまり、消費税率引き上げ措置については景気回復が大前提になっている。しかし、中国経済の減速により世界経済の景況感は悪化している。先行きの景気は不安定に推移しやすく、17年に日本国内の景気が消費増税に耐えられるかはわからない。消費増税を行うのであれば、景気への影響、その緩和策を慎重に評価すべきだ。

 それでも、わが国の財政再建のためには消費増税などを通した財源確保が不可欠だ。一方で消費税には逆進性があるといわれている。逆進性とは、累進性と異なり所得が低いほど、税負担率が高くなることを指す。

 この影響を緩和するために政府は財務省の案に沿って、マイナンバー制を使い事後的に消費税の2%分を払い戻す還付制度を検討している。ただこの案に疑問を示す声は多い。なぜなら、事後的に還付することに伴う手続きの煩雑さ、消費者が軽減措置を感じにくいという懸念、さらに小売店舗が専用の端末を設置するなど不便な点が多いからだ。特に、中小企業にとっての負担は軽視してはならない。

■消費税の還付制度は機能するか

 こうした指摘が出ている以上、還付制度が景気下支えになるのかは慎重に考えるべきだ。よりシンプルかつ現場の負担が少なく、消費者も軽減措置を感じやすい策を講じるべきだろう。

 還付制度が提案された背景には、消費税の逆進性を抑えたいという動機がある。確かに消費増税は低所得者の税負担を増やし、可処分所得を減少させる。それは景気にマイナスに働きやすい。一方、高所得者や富裕層の消費行動に対して、消費増税が与える影響は限定的だろう。特に、高額の支出は増税後も安定して推移する可能性がある。所得環境や保有資産の水準も考慮し始めると、逆進性をめぐる議論は容易には進まない。

 つまり、常に全世帯に逆進性の影響が出るとはいい切れないのである。逆進性の影響は慎重に考慮されるべきだが、これにとらわれすぎると効率的な景気下支えの策を議論する余地が狭められてしまう恐れがある。消費増税の影響を緩和するための負担軽減の手法は、シンプルかつ消費マインドに働きかけやすいことを重視して考えるべきだ。

■最も効率的な国民負担の軽減方法

 国民の負担を軽減する有力な方法は、軽減税率の導入だろう。財務省は軽減税率の対象となる品目の線引きが難しいとして導入には消極的だ。しかし、消費者心理にとって重要なことは、お金を払う時点でどれだけの税負担の軽減を感じることができるかだろう。還付制度の場合、経済効果は同じでも消費者が軽減措置を感じづらい側面があることは慎重に考えるべきだ。

 14年4月の消費増税でも確認された通り、消費増税後の景気は不安定になりやすい。特に生活必需品の分野では、消費税の逆進性の影響は大きくなりやすい。そこで、品目別に軽減税率を導入する意義は大きいと考えられる。品目の分け方が容易ではないという指摘もあるだろうが、生活必需品として分類できるものをひとまずは軽減税率の対象にすることは、消費増税後の景気を安定させることにつながるはずだ。

 財政再建を進める上で税収の引き上げは不可避だ。だからといって、景気動向や効率的な景気下支えの方策がまとまらないまま消費増税を実行することにはリスクが伴う。デフレ環境下、消費が軟調に推移してきたことを考えると、政府はそうしたリスクを冒すべきではない。

 政府、関係省庁には、消費者の行動や心理、中小企業の経営動向などに留意して効率的な策を検討することを期待したい。消費増税後の景気の落ち込みを回避し、税収基盤の強化に対する国民の理解を取り付けるためにも、品目別の軽減税率の導入を真剣に検討すべきだ。

(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)


 

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