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大切なのは「自分の目や耳、肌で確かめること」(※イメージ)
入居者が臭ったらアウト?“ブラック老人ホーム”回避法〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150917-00000006-sasahi-soci
週刊朝日 2015年9月25日号より抜粋
再び起きた高齢者施設での虐待に、相次ぐ謎の転落死。民間の参入で乱立する施設と慢性的な人手不足の悪影響は、従来“高額でサービスが手厚い”と思われていた有料老人ホームにまで及んでいる。
把握が難しい介護現場の闇。組織ぐるみで隠蔽しているケースでは、なおさら表に出にくい。私たちに家族や自分の身を守る術はないのだろうか。
入居希望者の相談を数多く受けている、有料老人ホーム・介護情報館館長の中村寿美子さんが強調するのは「自分の目や耳、肌で確かめること」の大切さだ。まずは現場の人間からじっくり話を聞き、対応を見て、利用者の様子を観察する。
「見学時の営業マンのトークや、1泊だけの体験入居は施設のPRに過ぎず、真実は見えてこないのです」
しっかりした施設かどうかは、「具合が悪くなったときの対応」の説明が十分かどうかでも、ある程度はわかるという。
そのほかにも、「水回りなど共有部分が磨かれて、整理整頓されているか」「施設に入ったときに汚物などの異臭がしないか」をチェックすることで、職員の目が隅々まで行き届き、利用者への対応が十分であるかが推し量れる。
見学は最低でも2カ所以上を。その際の注意点は、施設側が募集する団体ツアーではなく個別に見学すること。これで“ブラックホーム”回避の確率はぐっと上がるはずだという。
「見学後の施設を比較する際に役立つのが、職員数と常勤職員数、有資格者数、年間退職者や採用者数などを記載している『重要事項説明書』です」(中村寿美子さん)
有料老人ホームの事業主には、重要事項説明書の作成・届け出が義務付けられており、各自治体のホームページで閲覧できる。東京都の場合、東京都福祉保健局のサイト→分野からのご案内「高齢者」→高齢者施設「有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)」→東京都有料老人ホーム重要事項説明書一覧、の順で見てほしい。ダウンロードや印刷もできる。
こうして見つけた施設に家族が入居した後も、大切なことがある。
「できれば、1カ月に2回程度は訪れてほしい」
と中村寿美子さん。
経験したケースでは、親の入居先に頻繁に足を運んでいた家族が、1週間以上入浴サービスを受けていないことを発見したこともあったという。
「これは単なる入浴リストの記載漏れでしたが、よく遊びに行っていた家族の『おばあちゃん、におう』という気付きがあったから、わかったことです」
もし虐待が現実のものとなったらどうするか。
「私だったら、すぐにその施設から移します。家族を守るのがいちばん大事ですから」(中村寿美子さん)
「介護・福祉系法律事務所おかげさま」の外岡(そとおか)潤弁護士はこうアドバイスする。
「監視カメラの映像が動かぬ証拠になります。目撃情報だけでは、なかなか警察は動いてくれません。プライバシーの問題もありますが、疑いがあれば設置したほうがいいでしょう」
さらに、高齢者虐待防止法に基づき、自治体に報告する。
監視カメラ設置については、『崩壊する介護現場』の著書もあり、介護現場に詳しいノンフィクションライターの中村淳彦さんも最終手段として賛成する。
「今回の川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」での虐待事件が明るみに出たのは、その様子を映像に残したところが大きい。有料老人ホームは基本的には個室なので、家族がカメラを設置しやすい。お泊まりデイサービスのような大部屋だったら発覚しようがない」
施設を移った場合、支払い済みの入居一時金は返してもらえるだろうか。
「入所後90日以内の退去なら戻ってきますが、それ以降だと償却されてしまうことが多い。ただ、刑事訴訟で虐待が認められた後に民事訴訟をすれば、入居一時金なども取り戻せる可能性があります」(外岡弁護士)
終のすみかで、心安らぐ人生の残照の日々を過ごすはずが……。ブラックホームの犠牲者にならないためにも、自衛を迫られる時代が到来している。
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