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中国、国有企業を巨大化:国家主導で統合加速 市場を占有、ひずみも:状況変化に応じて必要ならまた分割すればいい
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/622.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 9 月 17 日 03:51:53: Mo7ApAlflbQ6s
 


中国、国有企業を巨大化
国家主導で統合加速 市場を占有、ひずみも

 【北京=阿部哲也】中国の習近平指導部が国有企業の「官製再編」を本格化する。現在110社ある中央直轄の国有企業を統合し、2020年までに40社程度への集約を目指す。過剰設備や重複投資を減らし、世界で戦える巨大国有企業をつくるのが狙いだ。民間の活力を採り入れる発想は乏しく、国家の意思で動く企業による世界市場の占有が進めば、競争をゆがめる恐れもある。

 「習総書記(国家主席)の度重なる指示を受け、改革の方向性と基本ルールを明記した」。国務院(政府)傘下で大型国有企業を所管する国有資産監督管理委員会(国資委)の張喜武副主任(次官級)は14日の記者会見で「国有企業改革を深化するための指導意見」を正式に発表した。

 「指導意見」は習指導部の行動指針となる重要文書で、今回は共産党と国務院が連名で公表した。国有企業の改革に関して意見書をまとめるのは初めてだ。「20年までに決定的な成果を上げる」としており、官公庁や国有企業に具体的な期限を課した。

 柱となるのが国有企業の大規模再編だ。

 「世界一流の多国籍企業を生み出す」。指導意見は目標をこう明記する。具体的な数値目標には触れなかったが、国資委内では「大型国有企業を40社にまで再編し、国際競争力を持つ企業集団を形成する」との計画が検討されているという。

 すでに鉄道や海運などの業界では再編・合併計画が相次ぐ。6月には二大車両メーカーである旧・中国南車と旧・中国北車が合併し、世界の地下鉄シェアで5割を占める中国中車が誕生した。足元では二大海運会社である中国遠洋運輸集団と中国海運集団などが経営統合の検討に入った。

 いずれも国内競争による消耗戦を避け「オール中国」として海外に打って出る狙いがある。鉄鋼や通信などでも合併に向けた動きが本格化しており、これに沿ったルールの整備も進む。

 「健全な淘汰や市場退出のための環境を整える」。指導意見はこう強調しており、過剰設備が目立つ業種を中心に国有企業の整理・統合を後押しする構えだ。

 1990年代に始まった中国の国有企業改革(きょうのことば)は、もともと非効率な国有部門の役割をできるだけ小さくし、民間部門の活力を引き出す狙いがあった。98年に就任した朱鎔基首相は国有企業の分割・民営化を進め、経済全体に占める民間部門の比率を高めることに改革の主眼を置いた。

 習指導部が打ち出した指導意見は、こうした過去の国有企業改革とは一線を画す。「引き続き党が指導的役割を発揮する」と明記し、国有企業に対する共産党や政府のコントロールを弱めるのでなく、むしろ強めることに軸足を置く。

 習氏は国有企業改革を反腐敗運動と連動させ、権力基盤固めに使ってきた。対抗勢力に連なる国有企業のトップを摘発し、自分に近い人物を送り込んできた。政府や共産党が意のままに動かせる国有企業を巨大化し、世界市場での影響力を強めて自らの求心力を高める狙いが透ける。

 中国中車のように国内市場をほぼ独占する企業が誕生するなど、国内的にも「市場化」に逆行する動きが出ている。

 指導意見は全国に約1万8千社あり、供給過剰業種が多い地方政府傘下の国有企業の再編には触れていない。中国経済の過剰生産体質の解消にはつながらないとの見方もある。

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既得権層の抵抗必至 新たな権力闘争の火種に

 【上海=土居倫之】市場では、中国政府が発表した国有企業改革に関する指導意見の実現性を疑問視する声が多い。国有企業改革はこれまで、既得権層の壁に阻まれて実現してこなかった歴史があるからだ。

 指導意見の発表を受けた14日の上海株式市場で総合指数は反落。終値は前週末に比べ2.67%安の3114となった。

 中国の株式市場では、国有企業同士の合併観測が相場を押し上げる材料になりやすい。実際、M&A(合併・買収)による収益力の改善を柱とする今回の国有企業の再編策は「対象となる国有企業の株価が上昇する要因になる」(上海の私募投資基金のファンドマネジャー)という。
 しかし、株価が下げたのは再編が一気に進むとみていないからだ。

 胡錦濤前政権は国有企業の再編を目指したが、党や政府高官とつながった既得権層の抵抗に遭い、思うように改革を進められなかった。国有企業改革を反腐敗運動と結びつけてきた習近平国家主席も再編を急ぎすぎれば反対勢力が勢いづき、新たな権力闘争の火種をつくる可能性がある。

 国有企業の再編は、減速する景気を一段と下押しする懸念もある。国有企業の再編は過剰な生産設備の削減に本来の目的があるため、新規の設備投資を抑える要因になる。大規模な人員削減につながれば、消費を下押ししかねない。

 上海・深圳両市場上場の国有企業で構成する「中証国有企業総合指数」は14日、同3.51%安で取引を終え、上海総合指数の下落率を上回った。

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中国の国有企業改革 揺り戻しの歴史

▽…中国の国有企業は大きく2種類に大別される。一つは中央政府が直接所管する「中央企業」と呼ばれる大型国有企業だ。石油大手の中国石油天然気集団(CNPC)、自動車大手の中国第一汽車集団、通信大手の中国移動通信集団などが代表例で、いずれも改革開放後の中国経済を支えてきたことから「新中国の長子(長男)」と形容される大手企業だ。

▽…一方、地方政府が所管する国有企業もある。自動車最大手の上海汽車集団や、トヨタ自動車などが合弁を組む広州汽車集団が一例だ。それぞれ上海市政府、広州市政府が出資・管轄しており、中央政府がその経営や人事を意のままにできないのが特徴だ。

▽…中国の国有企業改革は揺り戻しの歴史だ。1990年代後半に就任した朱鎔基首相の時代には、鉄道省傘下の大型車両メーカーを分割し、旧・中国南車と旧・中国北車が発足した。国内競争を促し、一般消費者の利便性を高めるのが狙いだった。だが習近平指導部が発足してからは、これに逆行するかのように国有企業同士の合併・統合の動きが相次いでいる。

[日経新聞9月15日朝刊P.3]

 

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コメント
 
1. 2015年9月17日 07:03:55 : jXbiWWJBCA
中国発の世界的リセッションは起きるか?
減速感強める中国経済、新しい輸出品は「景気後退リスク」
2015.9.17(木) Financial Times
(2015年9月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 

多くのエコノミストが中国経済は公式統計以上に減速していると見ている (c) Can Stock Photo
 世界経済はリセッション(景気後退)に入りそうなのか。もしそうだとしたら、何がその引き金になるのだろうか。大手金融機関シティグループのチーフエコノミストで、かつては本紙(フィナンシャル・タイムズ)に「Maverecon*1」と題したブログを書いていたウィレム・ブイター氏は最初の問いに「イエス」と答え、2番目の問いに「中国」と答える。

 同氏の見方は妥当に思える。だからと言って、景気後退入りを覚悟しなければいけないわけではない。だが、そのようなシナリオの実現も十分に考えられることは認識しておくべきだ。

 ブイター氏は、世界全体の総生産が減少するとは見ていない。同氏が予想しているのは「グロース・リセッション」、つまり約3%の潜在成長率を大きく下回る経済成長が続く期間の到来だ。2%かそれ以下というイメージだ。同氏の推計では、そうなる確率は40%だという。

 ブイター氏のシナリオは中国で始まる。その他多くの人と同様に、ブイター氏も、中国の公式統計は経済成長率を過大に表示しており、実際は4%程度かもしれないと見ている。これも一般に広く受け入れられているとは言えないが、十分に考えられることだ。

状況が悪化しかねない3つの理由

 この状況はもっと悪くなるかもしれない。第1に、成長率が7%の経済で投資が国内総生産(GDP)の46%を占めるというのは行き過ぎだ。成長率が4%の経済であればなおさらだ。

 第2に、この行き過ぎた投資は債務の大幅な拡大を伴っており、その債務の質にも疑問符がつくことが多い。おまけに、このレベルの投資を維持するだけでも、さらに多額の借り入れが必要になる。

 第3に、良好なバランスシートを持つ唯一の主体である中央政府は、投資減少の穴を埋めることに消極的かもしれない。一方で、国民所得における家計の割合やGDPにおける消費の割合は小さく、この穴を埋める力はない。

*1=「maverick」と「economist」「economics」をかけた「一匹狼エコノミスト」といった意味の造語

中国の投資が劇的に縮小したら・・・

 では、需要やバランスシートの制約が効いて投資が劇的に縮小したと想定してみよう。この時、世界経済にはどんな影響が生じる可能性があるだろうか。

 まず考えられるのは資本財の輸入の減少だろう。市場価格ベースで見ると、今日では世界の投資の約3分の1が中国国内で実行されているため、その影響は甚大なものとなり得る。日本、韓国、そしてドイツが悪影響を被るだろう。

 これよりも重要なのがコモディティー(商品)の貿易だ。コモディティー価格はこれまで下落してきたが、過去の基準に照らせば底値にはまだほど遠い。そして現在の価格水準でも、コモディティー輸出国は苦しんでいる。オーストラリア、ブラジル、カナダ、ペルシャ湾岸諸国、カザフスタン、ロシア、ベネズエラなどがその主なところだ。

 逆に、コモディティーの純輸入国であるインドやほとんどの欧州諸国は、この価格下落で利益を得ている。

 貿易へのショックは金融と互いに影響し合う。悪影響を被る企業の多くは多額の債務を抱えている。そのため、財務面にストレスが加わると、企業は借り入れと支出の圧縮を余儀なくされる。すると経済に直接ダメージが及ぶ。

 さらに、金融情勢の変化はそうした圧力を増大させる。最も重要なのは金利と為替レートの変動であり、国を含む借り手の健全さに対する認識の変化だ。資本の流れの変化、リスク・プレミアムの変化、そして重要な中央銀行の政策変更などはストレスを悪化させる。現時点で言えば、最も重要な変更は米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切ることだろう。

裸で泳いでいたのは誰?

 ウォーレン・バフェットが語ったように、「誰が裸で泳いでいるかは、潮が引いてみて初めて分かる」。

 国際決済銀行(BIS)によれば、米国外の銀行以外の借り手に対する信用供与額は今年の3月末時点で計9兆6000億ドルに達していた。ドル高になれば、いかなる通貨のミスマッチも高くつくことになる。

 最初に火の手が上がるのは非金融機関の企業のバランスシートかもしれないが、そこで生じる損失はやがて銀行や政府に打撃をもたらすだろう。従って、低利の借り入れで行われている「キャリートレード」の巻き戻しは大損害をもたらすかもしれない。

 交易条件の悪化や資本逃避、かつて流入した資本の引き揚げなどによる外貨準備の減少も、目に見える変化の1つだ。

 このため、中央銀行が安全性の高い長期債の売却に乗り出すことにより、金融の「量的引き締め」が引き起こされる可能性がある。

 すると、ショックが高所得国(米国も例外ではない)に伝播する可能性を備えた経路が1つ開かれる。もっともそれは、引き揚げられた資本が何に用いられるか、当事者である中央銀行がどんな政策を取るかによっても変わってくる。

実体経済と金融の連鎖

 つまり、ここで見られる可能性があるのは実体経済と金融との連鎖である。中国で投資とGDP成長率が縮小すると、中国による製品購入を頼みの綱としていたり、中国の買い付けによって決まる価格水準に依存したりしている国の景気が悪化し、為替レートやリスクプレミアムの変動、さらにはキャリートレードの巻き戻しがバランスシートにストレスをもたらすのだ。

 では、政策立案者はどのように対応するのだろうか。中国は外貨準備を減らし続けることはせず、人民元の為替レートを下落するに任せると見て間違いないだろう。

人民元、対ドル基準値6.7896元に 最高値更新
中国は外貨準備を減らし続けることはせず、人民元の為替レートを下落するに任せるだろう〔AFPBB News〕
 そう考えられる理由の中で特に重要なのは、実際に使用できる外貨は公表されている値よりも少ないということだ。

 中国の外貨準備とされている数字には、アフリカなどへのインフラ整備投資などすぐには売却できないものが含まれているのだ。

 ほかの新興国の政策発動余地は昔に比べれば大きいものの、無限ではない。ショックに抗うわけにはいかず、それに順応せざるを得なくなるだろう。

「メード・イン・チャイナ」のグロース・リセッション

 一方、高所得国が採用し得る政策の選択肢には限りがある。財政拡張政策はほとんどの国で政治的に排除されているうえに、中央銀行の介入金利は0%に近く、多くの高所得国では民間部門のレバレッジもまだかなり高い水準にある。

 景気の減速が小幅だったら、大した策は講じられないかもしれない。逆にもし減速が大幅だったら、最善の対策は「ヘリコプターマネー」になるかもしれない。中央銀行がお札を刷ってばらまき、支出を刺激するというやり方だ。

 だが、実際にこれが用いられることはほとんどないと思われる。昔からのやり方が幅を利かせているからだ。

 要するに、世界経済が「メード・イン・チャイナ」のグロース・リセッションに陥るシナリオは、実現することが十分に考えられる。もし本当に実現したら、FRBが今このタイミングで引き締めに乗り出すことは、完全にばかげた判断に見えるようになるだろう。

 世界金融危機を伴うほどの大きな災いがもたらされると言っているわけではない。しかし、中国がもっとバランスの取れた経済成長パターンへの移行を完了するまで、そして高所得国がそれぞれの危機から立ち直るまで、世界経済は逆境に弱い状態が続くことになるだろう。この弱さを克服できるのは、まだずっと先の話だ。

By Martin Wolf

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44806


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