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海外中銀の外貨準備取り崩し ドル建て日本国債に波及
邦銀のドル調達にも影響
行き過ぎた通貨安に悩む新興国の外貨準備が急減している。ドルを売って自国通貨を買い支える動きを強めているためだ。この流れは海外中銀が保有してきた「ドル建て日本国債」の取り崩しにも及ぶ。影響は邦銀がドルを調達する際のコストの上昇という意外な形で表面化しつつある。
邦銀のドル調達コストの動きが反映されるのは「ベーシススワップ」というデリバティブ取引だ。この取引では円とドルを一定期間交換したい投資家同士が、円とドルの金利差をやりとりする。ドルを欲しがる金融機関の方が多ければ、通常の日米金利差に加えてドルを調達する側が上乗せ金利を支払う必要がある。
上乗せ金利は現在0.57%前後(期間2年の場合)と、2012年6月以来3年3カ月ぶりの高水準だ。上乗せ金利は昨年半ばごろから徐々に上がっていたが、8月後半から一段と上昇が急になっている。
昨年からの上昇は海外で投融資を進める邦銀のドル需要が増える一方、金融規制の強化で欧米金融機関によるドルの供給が減ったことが主因だった。今年8月以降の上乗せ金利急上昇は「海外中銀による外貨準備マネーの取り崩しが影響している」。JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストはこう指摘する。
海外中銀は通貨防衛のための為替介入の時、外貨準備として保有する資産をドルの現金に換える。この結果、「ベーシススワップ」などのデリバティブ取引の市場からは、ドルが流出する。ドルの需給が金利形成に影響を与えるこの市場では、金利の上昇要因になる。
日本証券業協会によると、海外勢は今年7月時点で2兆4888億円の日本国債を買い越している。このうち短中期債の相当部分は海外中銀の保有分で、ベーシススワップの上乗せ金利の上昇に着目した「ドル建て日本国債」による運用だったと見られる。8月以降に「ドル建て日本国債」の取り崩しが増えた。
この結果、上昇傾向だった上乗せ金利は今年7月末時点の0.49%からさらに0.06ポイント上昇している。野村証券の中島武信クオンツストラテジストは「新興国通貨安に歯止めがかかるまで、コストの高止まりが続く可能性がある」と指摘する。
調達コストが上がると、邦銀はコストの低い別の調達手段を探そうとする。だが、MMF(マネー・マーケット・ファンド)規制の強化などを背景にコマーシャルペーパー(CP)や譲渡性預金(CD)など他の調達の手段にも不透明感が増しつつある。
邦銀は当面、コストが高くてもベーシススワップの取引を通じてドルを調達せざるを得ない。利ざやの圧迫は邦銀の収益の減少にもつながりそうだ。
(浜美佐)
[日経新聞9月15日朝刊P.17]
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