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詐欺集団のマニュアルを入手! あなたの「マイナンバー」が狙われている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45290
2015年09月16日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
10月から各個人のもとにマイナンバー通知カードが届く。同時に、怪しげな問い合わせの電話があなたのところにもかかってくるかもしれない。個人情報と財産を守るために気を付けておきたいこと。
■「連中は絶好のカモだ」
「いまはマイナンバー制度を使って、どんな方法で一儲けできるか、皆で知恵を絞っているところ。これほどオイシイ情報に直結した制度は今までなかったからね。
古典的な手法から、まったく新しい手口までいろいろなパターンが出てきそうだ。マイナンバー詐欺は、間違いなく今後一番の流行になるよ」
懐に入ってくるだろう儲けを皮算用して興奮気味に語るのは、これまでもオレオレ詐欺や還付金詐欺などに関わってきた犯罪グループの関係者X氏だ。
9月3日、マイナンバー改正法が衆議院本会議で成立し、いわゆる国民総背番号制度がいよいよ本格的に動き出すことが決まった。10月からは個人番号を知らせる通知カードが、市区町村からあなたの元にも届くことになる。そして来年1月には個人カードの交付が始まる。X氏が続ける。
「一般人のほとんどは、まだマイナンバー制度のなんたるかがよくわかっていない。なかには通知カードが届いて初めて、なにか新しい制度が始まるということを知る人もいるはずだ。そういう連中が絶好のカモになる。
うちのグループでもすでに現場のプレイヤー(電話をかける人)がマイナンバーに関する電話を高齢者にかけて、どのような反応があるか探っている。いろいろ試して、実際に相手をだまし、収益が上がりやすいスキームを練り上げている」
「これなら通用する」という水準に達したスキームは、マニュアル化されて、ワードやエクセルの文書で保存される。印刷する場合は、必ず水溶性の紙が使われ、原則持ち出し禁止。詐欺グループの事務所には、必ず水の入ったバケツと電子レンジが置かれている。
「突然の家宅捜索に対応するためです。プレイヤーはマニュアルを見ながら電話をかけますが、いざというときには、紙をバケツに放り込めばいい。携帯はまとめて電子レンジでチンしてしまえば、昔駄菓子屋にあった煙玉のような黒煙を上げて完全に壊れるんです」(X氏)
■詐欺グループの「マニュアル」
では、実際にはどのようなスキームで詐欺が行われるのか。本誌が今回、入手したマニュアルによると、現段階で行われる見込みが高いのは大別して2つ。
1つ目は還付金詐欺の応用だ。相談相手のいなそうな高齢者に「マイナンバー導入に伴ってお得な節税法があります」とアプローチするもの。
司法書士や税理士を騙り、「300万円節税できるから、保証金として50万円支払ってください」などといってカネを振り込ませる。
2つ目は「あなたのマイナンバーの情報が流出しており、犯罪に使われる可能性があります」と脅す手法だ。
この場合は役所の事務員や警察官のふりをして実際に家におしかけ、「流出を止めるためにすぐに動きますので、銀行の通帳と印鑑、暗証番号をお預けください」と迫るという。
「これらのスキームは、我々がこれまで行ってきた詐欺の延長線上にあるもの。その意味で古典的な手法だといえる。10月から、こういう電話をバンバンかけることになっている。
しかし今後、マイナンバーに銀行口座やクレジットカード、年金や保険といったさまざまな情報が紐づけられることになると、詐欺の手口はぐっと広がる。今まで考えられなかったような大胆な儲け方ができる」(X氏)
■アメリカで頻発している「なりすまし詐欺」
当面は、マイナンバーが利用されるのは税務処理や雇用保険、児童手当の給付など行政サービスの分野に限られる。だから、仮に個人番号を盗まれたところで、直接的に金銭的な損害を被る可能性は低いと考えられている。
だが油断は禁物だ。'18年以降、マイナンバーの民間利用が予定されており、銀行、保険などの分野で使用されるようになると被害は甚大なものになるからだ。白鷗大学大学院法学研究科の石村耕治教授が警鐘を鳴らす。
「マイナンバーと銀行口座が紐づけられると大変なことになります。実際、社会保障番号(SSN)の民間利用が進んでいるアメリカにおいては『なりすまし詐欺』が頻発して、大きな社会問題になっているのです」
マイナンバー先進国である米国における詐欺の状況に詳しい、ID管理のコンサルティング会社会長のアダム・レヴィン氏は次のように語る。
「代表的な例は税の還付金に絡んだものです。番号情報を盗み、本人が気づかないうちに所得税の確定申告を済ませて、勝手に払戻金を受け取ってからトンズラするというものです。被害にあった人は、自分が確定申告しようとしたら、税務署に『すでにその番号の人の書類は提出されていますよ』と言われて初めて気付くのです」
他にも勝手に自分名義のクレジットカードが作られて莫大な金額を請求されたり、身に覚えのない医療サービスの請求が届いたりする被害が相次いでいる。
アメリカにおけるSSN詐欺の規模は、日本人の想像をはるかに超えるもので、'14年には1200万人以上のアメリカ人がなりすまし詐欺の被害にあっている。同年、不正に支払われた税の還付金は、58億ドル(約7000億円)に上る。
■情報流出は防げない
今後、日本でもマイナンバーの利用が拡大するにしたがって、今まで想像もつかなかったような詐欺の手口で財産を奪われる人が続出することは間違いない。前出のX氏によると、詐欺グループはすでにマイナンバー情報を集める計画を進めている。
「例えば社員や取引先の個人情報をカネで売りわたしそうな経営不振の会社を探しています。
また、大量のアルバイトを雇う飲食店チェーンなどを狙う手もある。数ヵ月単位で雇われているアルバイトの個人情報は、正社員の情報よりも管理が杜撰になる可能性が高いですからね」
さまざまな個人情報に紐づけられたマイナンバー情報が流出したらどのようなことが起こるか。
「医療情報や保険情報をうまく操れば、本人が気づかないうちに勝手に保険金を受け取ることだって可能になる」(X氏)
家族が亡くなって、生命保険を受け取ろうとしたら、書類上、その人はすでに何年も前に亡くなっていてカネもすでに支払われていたなんてこともあるかもしれない。
さらにX氏が続ける。
「マイナンバーを使ったなりすまし詐欺は高度なテクニックが必要ですが、成功すれば本人に気付かれないうちに大きな儲けが得られる。住所を勝手に変更したり、年金の受取先を変えたり、いろいろな手口がありえますね」
もちろん、行政や企業はこのような犯罪を防止するために対策を練る。
だが、日本には中小企業が385万社もあり、町の鮨屋や青果店といった個人経営の店から、ブラック企業や犯罪に関わっている会社まである。彼らに個人情報管理を徹底させるなんて土台無理な話だ。
それどころか、情報管理を徹底するのは大企業にとっても至難の業である。あるゼネコン幹部社員が語る。
「給与や扶養手当を支払うにあたって、社員本人や家族の番号データを集めなければなりません。人事担当はセミナーに通って付け焼き刃の知識をつけていますが、最終的にどの部署が情報を管理するのか、あるいは会計事務所の管理に任せるべきなのかといったこともまだ決められていません。
番号は金庫に入れて厳重に管理しなければならないので、手間やコストもかかります。しかも、マイナンバーが流出したら、最大4年以下の懲役、200万円以下の罰金が科せられるので、たまったもんじゃない」
他の大手メーカー社員は次のようにぼやく。
「つい先日、部署でマイナンバー情報をまとめる際の注意点が通達されたのですが、絶対に番号が見えないように厳重に封をして、しかもそれが誰の番号が入った封筒かわからないように集めろと言われました。誰が提出したのかチェックするだけでも一苦労ですよ」
将来的に預金情報との紐づけが予定されているので、当然ながら金融機関は今まで以上に徹底した個人情報管理が求められる。メガバンクの業務担当者が語る。
「国としては、年金や税を正確に把握して、名寄せも簡単になるのでメリットが大きいのでしょうが、企業にとっては前向きになる理由が一つもありません。
情報管理を徹底するためには、システムを一から作り直す必要がある。平均的な大手金融機関で10億円以上のコストがかかるという見積もりもあります」
どれだけコストをかけても、最終的には情報のやりとりに人が介在せざるをえない。情報を流出させるかどうかは、担当者の胸三寸なのだ。さくら通り法律事務所の弁護士・清水勉氏が語る。
「弱みを握られたり、カネの問題がからんだりして、情報を提供する人は絶対に出てきます。流出した情報はデータベース化されて、裏社会で売買される。現在、出回っている大学や企業の名簿よりもずっと確かで、犯罪集団にとって価値のある情報がやりとりされる」
■身内に騙されるケースも
情報が流出するのは、行政や企業からだけではない。意外なことにアメリカでは、被害者にとって身近な人間によるなりすまし詐欺事件が多発しているのだ。在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏が解説する。
「アメリカのなりすまし詐欺の被害者の30%以上が、家族や親密な友人、同僚などに騙されているのです。ちょっとしたおカネ欲しさに子供が親の番号を盗んでクレジットカードを作り、借金を膨らませてしまうなんてこともよくあります」
同様のケースは当然日本でも起きるだろう。このように、マイナンバー制度が動き始めたら、思ってもみなかった形で犯罪に巻き込まれる可能性が出てくる。詐欺被害に遭わないためには、何に気を付けておけばいいのだろうか?
監修書に『大事なことだけすぐにわかるマイナンバー制度』がある税理士の青木丈氏は次のようにアドバイスする。
「とにかく他人に番号を知られないこと。通知カードや個人番号カードを大切に保管するのはもちろんのこと、うかつに番号をメモなどしてもいけません。また、誰かから『マイナンバーを確認させてください』という電話がかかってきても、絶対に教えてはいけない」
もっとも前述のように、いくら厳重に警戒したところで、情報はどういった経路で漏れるかわからない。
X氏は次のように断言する。
「警察の取り締まりが厳しくなったこともあって、目端の利く人間は従来のオレオレ詐欺や還付金詐欺に代わる新しい儲け口を探している。そうしたグループが次に目をつけているのがマイナンバーであることは間違いない」
彼らの餌食にならないためには、制度の仕組みをよく理解し、銀行口座やクレジットカードに身に覚えのない変なカネの動きがないか常に目を光らせるしかなさそうだ。
「週刊現代」2015年9月19日号より
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