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日本ガイシの本社ビル(「Wikipedia」より/Gnsin~commonswiki)
米国で日本企業が標的に…日本ガイシ談合で巨額罰金 前社長らに禁錮刑の可能性も
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11551.html
2015.09.15 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
日本ガイシが自動車部品の価格操作による反トラスト法(独占禁止法)違反(カルテル)の疑いを認めた。8月19日付米司法省HP発表資料によると、同社は司法取引に応じ、5210万ドル(約63億円)の罰金を支払うとされている。
日本ガイシは競合他社と共謀してスパーク・プラグなどの自動車部品で不正な入札を行い、顧客である自動車メーカーへ損害を与えたという。2000年7月から10年2月までの不正が確認されている。ちなみに日本ガイシの9月4日付発表では、罰金額が6350万ドル(約78億円)となっている。司法取引により9月3日に合意したものだという。8月19日以降、さらに問題が見つかった可能性もある。
■悪くない対応
今回の司法取引決定に至るまで、日本ガイシの対応は悪くない。まず4月時点で、15年3月期に「関連特損93億円」を計上したが、今回の罰金支払いに備えたものであった。司法取引では78億円で決着がついたので、前出9月4日発表のリリースでは、「今回の司法取引合意による罰金額の決定を受け、当該引当金との差額約15億円を営業外収益として計上する予定です」としている。
これを受け、株価は発表前日3日から8日まで8%ほど下げたが、米司法省が8月に発表していたこともあり、司法取引の金額が決定したことで悪材料出尽くしとなる可能性がある。「変更しない」とした16年3月期決算予想では売上高4200億円(対前年11%アップ)、最終利益は480億円(対前年比16%アップ)という好調ぶりだ。これに上記差額15億円が足し上がる可能性があるのだ。
経常利益率も16.4%と素晴らしい予想だが、もし「談合してまでそんなに儲けたかったのか」という批判が上がることになれば、名門企業の名誉も地に墜ちてしまうだろう。
■米国で禁錮刑の可能性も
本件で特異なのは、当該期間に日本ガイシのセラミックス事業本部長を務めた前社長ら3人が、司法取引で免責されなかったもようだということだろう(2015/9/4日本経済新聞)。本件調査に対して同社側が電子ファイルを削除したり、幹部のコンピューターを取り換えたりして捜査を妨害した疑いがあり、悪質だと判断されたという。
反トラスト法で免責されない場合は、米国で起訴となり有罪の場合、禁錮刑などがありうる。それが例外的かというと、矢崎総業の4人が11年に禁錮刑の判決を受けたのをはじめとして、実は結構存在する。外国人の禁錮刑は2年が最長と決められている。
司法省やFBIの捜査が佳境に入ったと見られる14年5月に、同社は社長交代を行っている。偶然なのかどうかは定かではないが、今回の発表時点で「現社長が訴追された」などという恥さらしを避けることはできた。
■「公正取引への執念」と「談合の闇」
日本企業の談合疑惑に対する米側の追及には、厳しいものがある。今回の事案だけでも、司法省の発表によると、「日本ガイシを含む28社と26エグゼクティブが有罪を認め、現時点で24億ドル(約2880億円)の罰金の支払いに合意した」という。10年にデンソーや矢崎総業などが摘発されて以来、毎年のように日本メーカーのカルテル行為がやり玉に挙げられてきた。12年に日本企業に課せられた罰金の合計は、反トラスト法で司法省が課した罰金総額の半分以上に達していた(パットン・ボッグス法律事務所のリポート)。
どうしてこれほどまでに、日本企業が狙い撃ちにされているのか。それには、アメリカにおけるフェアネス(公平)への執着、価値観を理解する必要がある。アメリカは移民社会として発達してきた国なので、参加者の間での競争における公平というのが必須の文化として醸成されてきたのだ。カルテルは、殺人や強盗と同程度の、FBIが乗り込んでくるクリミナル(重罪)なのだ。
一方、耕作民族として発展してきた日本は、ムラ社会の価値観として「関係者全員の調和と同律な利益享受」が形成されてきた。そのような文化背景では、談合はむしろ推奨されるような商行為だったわけだ。
この2つのビジネス文化の隔絶を、私は痛感してきた。米誌「フォーチュン」が毎年選出する優れた企業500社のうちの1社であるミード日本法人社長となって、米国への出張を繰り返した。毎年のカントリー・マネジャー会議で本社の社内弁護士が必ず1時間ほどセッションを行い、競合会社との会談、邂逅、立ち話について警告を発していた。
例えば、大手顧客が取引先を対象とするパーティを東京で開催した。そこで競合企業の社長たちと会えば名刺を交換するし、会話をする。しかし、それらは「情報交換」であってはいけないばかりか、ただちに米国本社の法務部に対して「競合のどんな立場の、誰と、どのような状況で会って、何を話したか」を報告しなければならなかった。
私が理解できなかったのが、日本の業界団体というものだった。「●●協会」などというものである。これらは私に言わせれば悪の温床で、実際日本で今までに摘発された談合事案には、業界団体での集まりから発展したものがいくつもあった。
各社及び業界全体の製造統計などの業務は、外部の業界紙誌がビジネス・ベースでやればいいことである。「和気藹々の競争」などは幻想であるし、結局不実な他の目的に使われてしまっている。
■株主代表訴訟
さて、会社としては当面まずくない対応をしている日本ガイシであるが、この後には株主代表訴訟が起こされることが予想される。前社長らに対して78億円の損害賠償をするように、まず会社が求められるだろう。それを会社が行わなかったら、前社長らが直接株主から訴訟を起こされる可能性が大きい。同社の場合、海外株主も多くいる。
本稿執筆段階では、前社長はまだ相談役として残っているようだ。私の問い合わせに対して日本ガイシ広報部は、「捜査中でもあるし、前社長のことも含めてコメントできない」とした。
しかしこんな状況で、「みんな仲良くムラ社会」では通用しないのではないか。談合は本当にペイしないということを、日本の経営者たちは肝に銘じなければならない。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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