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経済ジャーナリストの荻原博子さん
「金利20%の外貨預金」そのカラクリとは?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150914-00015962-president-bus_all
プレジデント 9月14日(月)10時15分配信
■大手銀行だから「安心」というワナ
みなさんは、投資商品を買うなら、名前を知らないような金融機関よりも、誰もが名前を知っているような大手の銀行や証券会社のほうが安心だと思ってはいませんか?
そんなみなさんの考えを180度変えてもらうために、今回執筆したのが『ちょい投資』(中央公論新社)です。これを読んでいただければ、そういった今までの「常識」に疑問を持つことでしょう。
たとえば、3大メガバンクの中のとある銀行。ここがつい最近まで展開していたのが、高金利を全面に打ち出した「外貨預金キャンペーン」です。この「おトクな金利キャンペーン」を見れば、アメリカ・ドル預金1カ月ものが金利15%(税引き後11.952%)、オーストラリア・ドル預金1カ月ものが20%(税引き後15.937%)となっています。それに比べて日本の預金金利は、0.02%。超低金利に慣れている私たちから見れば、金利が年15%、20%などと聞くと、なんだかあまりに高い金利で、思わずうれしくなってしまいますよね。
でもこのおトクなキャンペーンが、もし名前も知らないような金融機関がやっていたなら……多くの方は「うさんくさい」と感じて近づかないのではないでしょうか。でもこの場合は、日本を代表する3大メガバンク。分別を失って「大丈夫」だと信じこんでしまいます。
ただし、ここでしっかりと覚えておかなくてはいけないのは、銀行だって民間企業に過ぎないということ。彼らは採算度返しのサービスなど決してしません。つまり、儲からないようなキャンペーンは、やらないということです。
ところが、特に年輩方の中には、大手銀行は紳士であり、客のためにサービスしてくれると思い込んでいる人がまだいらっしゃいます。なぜなら、その昔、銀行は大蔵省出張所と言われ、官の監視のもとに、民でありながら、公のサービスをすることを強く求められてきたからです。その見返りとして、大蔵省は銀行を一行たりとも潰さない、いわゆる「護送船団方式」で庇護してきました。
しかし時代は変わりました。大手銀行といえども、うかうかしていたら合併、吸収、倒産の憂き目に遭う、弱肉強食の世界になったのです。
ここで前述の「金利20%の外貨預金」の話に戻りましょう。実際にこんな高金利を提供して、銀行はどうやって儲けるのでしょうか。
ポイントは、金利の数字に比べて小さく書かれている「1カ月もの」というところにあります。これは、1カ月定期ということを指しています。つまり簡単に言えば、「1カ月定期なので、最初の1カ月だけはドル預金をしてくれれば15%の金利をつけますが、2カ月目からは通常金の1カ月定期の金利0.03%になります」ということなのです。
■どう転んでも、銀行はしっかり儲かる!
1カ月間だけ金利が高いなら、その期間だけ預けようという人もいるかもしれませんね。けれども、しっかり計算してみると、それでは損になる可能性があります。
1ドル120万円で、200万円を預けたとします。ドルになおすと1万6666ドル。これに1カ月間だけは15%の利息がつくので、利息額は税引きで165ドル99セント。仮に、為替が預けたと時とまったく同じだったとすれば、利息は日本円で1万9919円つくことになります。「200万円預けて2万円弱も利息がつくならいいじゃない」、などと思うかもしれません。
しかしここで忘れてはいけないのが、外貨預金を預ける時、すでに1万7000円ほどの手数料がレートに含まれていて、しかも出すときも、同じくらいの手数料を払わなくてはならないという事実。つまり、手数料だけで合計3万円以上を銀行に払うのです。もちろん、預け入れたときよりも為替が円安になっていれば、預けた人も儲かるかもしれませんが、少なくとも銀行は、為替が円高になろうか円安になろうが、関係なくしっかりと儲かるのです。
大手銀行だから、大手証券会社だから安心だという常識は、今は通用しない。大切なのは、自ら学び、自分の頭で考え、しっかり計算して損得を把握すること。その指針となる内容をしっかり記した私の新刊が『ちょい投資』なのです。
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荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954年生まれ。経済ジャーナリスト。経済事務所勤務後、82年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。88年より、女性誌『Hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌に女性向けの経済・マネー記事を連載。家計経済のパイオニアとして、難しい経済やお金の仕組みを生活に根ざしてわかりやすく解説。バブル崩壊直後から、地価の下落やデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛を提唱し続けている。『貯め込むな! お金は死ぬ前に使え。』(マガジンハウス)『荻原博子のどんと来い! 老後』(毎日新聞出版)『ちょい投資』(中央公論新社)など、著書多数。
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経済ジャーナリスト 荻原博子=文
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