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[大機小機]インバウンド消費の経済効果
内閣府が8日発表した今年4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算の実質で前期比マイナス1.2%となった。とりわけ家計消費の落ち込みは顕著で、国内消費の回復力の鈍さを裏付けた。総務省による7月の家計の消費支出でも、実質で前年同月比0.2%減であった。
一方で小売業の販売額はこのところ順調な伸びを示している。日本百貨店協会による7月の全国百貨店売上高は、前年同月比3.4%増と4カ月連続のプラスであった。伸び悩む国内消費とは対照的に、小売販売額は堅調に推移している。この矛盾する数字を理解するカギは、増え続ける訪日外国人観光客による「インバウンド消費」にある。
実際、7月の外国人観光客招致会委員店での免税手続き総売上高は約185億円と、前年同月の3.5倍となった。特に高額品の販売が好調だ。もはや日本経済にとって、国内消費には含まれないインバウンド消費の経済効果は無視できないものとなっている。
もっとも、足元の日本経済では、インバウンド消費の増加によって国内消費の回復力が逆に鈍くなっている可能性があることには注意が必要だ。これは、好調なインバウンド消費によって本来は下落すべき価格が高止まる結果、国内消費にマイナスの影響が及ぶからである。標準的な価格理論に従えば、国内消費が低迷すれば価格が下落してその低迷を抑制する効果があるはずである。しかし、インバウンド消費によって小売業の販売額が好調な場合、このような価格調整が起こりにくくなる。
このところの消費者物価指数をみても、「生鮮食品を除いた総合」は大幅な原油安の影響でほぼ横ばいであるが、「食料及びエネルギーを除く総合」は6月と7月いずれも上昇した。インバウンド消費が大きく増加した結果、国内消費の回復力が鈍くても消費者物価が下がりにくくなっていることを示唆している。
中国経済の減速が懸念されるとはいえ、今後も訪日外国人によるインバウンド消費は増え続けることが予想される。国内消費が弱くても物価が下がらない傾向は、ますます顕著になると考えられる。これからの政策運営では、消費者物価をこれまで以上に注意深く吟味する姿勢が重要となってくる。
(甲虫)
[日経新聞9月12日朝刊P.17]
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