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[大機小機]粘り腰の中国経済
中国経済の先行きに不安が高まり、経済運営が批判されている。だが、景気減速の引き金は米国の出口戦略によるドル高だ。米中戦略経済対話の開始以来、中国人民銀行(中央銀行)は9年間に対ドルレートを3割弱切り上げたが、今回のドル高で人民元の実質実効レートの上昇率は5割を超えた。意図せざる人民元高で中国経済は国際競争力を失い、輸出に急ブレーキがかかった。自動車、鉄鋼など主要産業で減産が広がり株価は急落、中国経済の悲観論が一挙に広がった。
中国は人民元を切り下げたが、今回の切り下げは経済の市場化の一環として、市場実勢に合わせる形で過去1年間の上昇分の約3割を調整したものだ。今後、一段の調整は容易ではないにしても、人民元の市場化は歓迎すべきことだ。
また、利下げと同時に1年超の預金金利の上限を撤廃した。すでに貸出金利の規制を撤廃しており、短期預金金利の上限規制を残すだけだ。金利の完全自由化が近づいた。金利自由化で「影の銀行(シャドーバンキング)」への資金流入を抑え、資本市場の健全な拡大が可能になる。
4年前、国内総生産(GDP)と貿易の世界シェアが10%を超えると同時に、中国経済と国際商品価格の連動性が高まった。中国の景気が拡大すると国際商品価格が高騰、1次産品収支の悪化が景気を抑え、景気が減速すると価格下落で景気を下支えする関係が見られる。昨今の国際商品価格下落で2%以上の景気浮揚効果が見込まれる。加えて、国際商品価格下落で景気浮揚が期待される国に対する中国の輸出は1次産品輸出国に対するよりはるかに多い。いずれ輸出減少にも歯止めがかかるだろう。
経済構造の変化にも留意すべきだ。GDPに占める第3次産業の比率は5割に達した。賃上げで所得が増え、消費はいぜん堅調だ。第3次産業は実質8%成長を維持している。仮に第2次産業がゼロ成長でも4%台の成長を維持できる計算だ。貯蓄率は3割と高く、家計の純貯蓄はリーマン・ショック後に30兆元以上増え、格段に豊かになった。株価下落で直ちに消費が失速することもなさそうだ。
過剰設備と過剰債務を抱え、成長率の低下は避けられないが、中国経済の粘り腰を過小評価すべきではないだろう。
(富民)
[日経新聞9月8日朝刊P.17]
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