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[月曜経済観測]減速懸念の中国景気 財政・金融で下支え可能
アジア開発銀行総裁 中尾武彦氏
世界同時株安の震源地となった中国経済の行方は、当面の世界経済の焦点だ。アジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁に中国経済やアジア経済の見通しを聞いた。
消費なお旺盛
――中国の景気減速懸念が世界の金融市場の混乱を増幅させました。
「中国経済が全体として減速しているのは確かだ。資源を多く使った10%を超える成長から、サービスや消費により軸足を置いた『調和のとれた成長』に移っていく。ある程度、成長率が下がることは予想されていた。ADBは今春に今年の実質経済成長率を7.2%としていたが、7月に7.0%に下げた」
「減速の背景には賃金が上がり、労働人口がほぼピークを迎えている事情がある。一方で不動産市場が盛り返し、消費は引き続き旺盛だ。高い賃金に応じた生産性を確保できるか、地方の債務問題をうまく処理していけるかが課題だ。リスクは下方にあるが、非常に大きく減速することはないとみている」
――金融市場の反応と比べると楽観的な見方のように聞こえます。
「中国の財政は他の国に比べて健全で、2014年の財政赤字は国内総生産(GDP)の1.8%と、13年(1.9%)よりも改善している。財政政策も、金融政策もまだ発動の余地はある。また国有企業の改革や社会保障制度の充実といった措置をとることで、成長を維持できる」
調整あり得る
――失速はない、と。
「もちろん調整はあり得る。最近までの上海の株価の上げ幅は急速だったので、いまは逆回りをしている。それでも中国経済はまだキャッチアップ(追い上げ)の過程にあり、1990年の日本のバブル崩壊との類似にはあたらない」
――中国の人民元切り下げの評価は。
「人民元はリーマン危機後に米ドルに対して相当切り上がっていた。今回の対応は市場の実勢に任せた面が強いので『競争的通貨切り下げ』とはいえない。ただ、ベトナムやカザフスタンでも追随する動きがあるので、各国に与える影響はよくみていきたい」
――米国が利上げ開始を検討しているなか、アジアの新興国経済の耐久力が問われる局面です。
「米国が金利を上げようというのは米経済が強くなっていることの表れだ。ただ、米国の金融政策は新興国を含めて世界経済への影響が大きいので、政策の変更のタイミングやスピードはよく考えてほしい」
「アジア経済は堅実だ。インドもインドネシアも通貨が安くなっているが、市場は(米利上げを)相当織り込んでいると思う。両国ともに経常収支は改善し、耐性がある。いずれにしろ、新興国はマクロ経済の安定と構造改革に引き続き努める必要がある」
――中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立でアジアのインフラ整備が注目されています。
「域内のインフラ需要は11年間で8兆ドル(960兆円前後)ある。ADBが融資能力を拡大したり、AIIBとも協調融資を考えたりしている。環境・社会面の配慮が大事という点でAIIBとは合意済みだ」
(聞き手は編集委員 瀬能繁)
なかお・たけひこ 財務官を経て、2013年4月から現職。59歳。
[日経新聞9月7日朝刊P.3]
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