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米経済、元FRB議長「停滞の影」 米利上げ判断難しく[日経新聞]
2015/9/12 2:00
中国の景気減速が発端となり、金融市場の不安定さが増している。米国が利上げを探っていることもあって、世界経済の先行きには不透明感が漂う。主要国はどんなリスクを抱えているのか。米連邦準備理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン元議長に聞いた。(聞き手はワシントン支局長 小竹洋之)
Alan Greenspan 米大統領経済諮問委員長などを経て、1987年から2006年まで米連邦準備理事会(FRB)議長を務めた。柔軟な金融政策運営と巧みな市場対話術で、米経済の長期安定を演出して「マエストロ(名指揮者)」と呼ばれた。ただ08年9月の金融危機を招いた住宅バブルを放置したとの批判もある。米で出版した著作の日本語版「リスク、人間の本性、経済予測の未来」を24日に日本経済新聞出版社から発売する。現在はワシントンのコンサルティング会社「グリーンスパン・アソシエイツ」の代表。89歳。
――株式市場などの値動きが荒くなっています。一時的な調整局面でしょうか。それとも新たな危機の予兆ですか。
「その判断を下すのは早すぎる。前から懸念していた市場の調整が始まったとみているが、峠を越えたかどうかはわからない。私が目にしている予測の多くも、現時点では根拠が疑わしい」
「市場取引を規制し、株価の下落を抑えようという中国の努力は逆効果だ。当局の介入で流動性が低下すると、かえって悪い結果を招く。投資家に不安を与え、資金の回収に追い込みかねない。不安は金融の構造をむしばむ最大の要素だ」
――混乱の引き金は中国経済の変調です。
「中国の実質成長率は標準的な予測よりも低いだろう。足元の数字は年率6.5%程度ではないかと考えている」
「中国は他国の技術を借用して、目覚ましい経済発展を遂げてきた。だが生産性が米国に近い水準まで向上し、借り物の技術で成長できる余地が小さくなりつつある。影の銀行(シャドーバンキング)を通じた債務の拡大も深刻な問題だ」
「中国が7〜8%の成長率を維持するのはもはや難しい。これから加速するとすれば驚きだ。中国経済は資本主義の要素を取り入れることで成功してきた。創造的破壊が起きるかどうかが今後のカギを握るだろう」
――米経済は緩やかに回復しています。現状をどうみていますか。
「世界的に同じ問題を抱えているのだが、米国でも生産性の伸びが劇的に低下している。国内総生産(GDP)に占める設備投資の比率が落ちているのが主因だ。労働力の伸びも鈍りつつある。これらの要因が重なって潜在成長率が2%程度にとどまっている」
「このままでは停滞という言葉がふさわしい状態に陥る。にもかかわらず与党・民主党と野党・共和党の対立が解けず、有効な対策を打てないのは問題だ。米国は金融政策を可能な限り活用してきた。今度は政治の力で米経済の成長力を強化しなければならない」
「米国では社会保障給付の増加が貯蓄率の低下につながっている。そのせいで設備投資に回る資金が減り、生産性の伸びが鈍っている。だが国民に痛みを強いる社会保障の改革は、電車に電気を送る『第3のレール』にたとえられる。触ると感電するという意味で、政治家はまともに取り上げようとしない。この改革を俎上(そじょう)に載せる必要がある」
――米国の物価上昇率が低いのも心配です。
「需要の減退が根本的な原因だが、金融緩和の効果でいずれは上がり始める。問題は物価上昇率目標の近辺で安定させるのが難しい点だ。日銀が前年比2%の目標を達成できたとしても、そこで止められる保証はない。ほかの中央銀行にも同じことがいえる」
――FRBはいつ利上げを始めますか。
「議長を退任してから、そういう特定の質問には答えないようにしている。重要なのはFRBの経済予測だ。経済の動きを正しく予測できれば、金融政策の判断はもっと単純になるだろう」
――市場の動揺もあって、FRBは難しい判断を迫られています。
「確かに難しい。私の議長時代に量的金融緩和はなかった。これほど低い物価上昇率が長く続いたこともない。(そういう難しい環境下で異例の金融政策を正常化するのは)だれも経験したことのない仕事だ」
――FRBのイエレン議長は、市場との対話に成功していますか。
「私の議長時代に、彼女はFRB理事とサンフランシスコ連銀総裁を務めた。とても賢明で、経済問題に関する助言は常に有益だった。彼女には全幅の信頼を置いている。だれにもできないことをやり遂げる能力がある。彼女よりもうまく対処できる人はいない」
――日本経済の行方をどうみていますか。
「多くの人々にとって4〜6月期のマイナス成長はやや驚きだったのではないか。だが日本経済の基本的な姿は大きく変わっていない」
「深刻なのは人口減の影響だ。労働力が減少し、ビルや住宅の建設需要も減退する恐れがある。成長力の著しい向上を期待するのは難しい」
「ただイノベーション(技術革新)を生む力はまだあるようにみえる。革新的な企業の世界ランキングでは、日本企業の順位が上がっているようだ。日本経済の将来がそう暗いわけでもない」
――ギリシャの財政危機が響き、ユーロ圏の信認が揺らいでいます。
「現在のユーロ相場がギリシャにとって適正だとはいえない。ユーロが誕生する前ならギリシャが自国通貨のドラクマを切り下げ、国際競争力を回復すればよかったが、いまや通貨の調整ができない。そこにユーロ圏の大きな問題がある」
「ギリシャの財政改革を条件とする欧州連合(EU)の金融支援が長続きするとは思えない。ギリシャの文化は、厳格なドイツと全く違う。問題はまだ続くだろう」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM10H3I_R10C15A9FF2000/
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