2. 2015年9月11日 22:09:32
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コラム:ドル円とユーロドルの「かい離」進むか=村上尚己氏 村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト [東京 11日] - 8月後半から世界同時株安が発生し金融市場が大きく動揺すると、為替市場ではこれまでのドル高の巻き戻しが起きて、円、ユーロに対してドルが急落した。株式市場のパニック売りが起きた8月24日、ドル円は116円台、ユーロドルは1.17ドル台まで大幅にドル安が進行。米国や世界経済の回復を背景とした株高が続き、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが始まるとのドル高シナリオの前提が大きく揺らいだ。 ドル円などが乱高下する中で、国債市場の値動きは相対的に落ち着いている。株式市場急落とそれに連動するドル円の乱高下という金融市場の動揺は、1)中国など新興国経済の停滞、2)FRBの利上げ開始、という双方の疑念が増幅し合い、投資家の不安心理を極度に高めたことが引き起こしたと考える。 8月分までの経済指標を踏まえれば、米国のファンダメンタルズにほとんど陰りはみられない。金融市場の突然の動揺がなければ、国内需要や労働市場の改善を理由に、FRBは9月16―17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み出すだろう。 ただ、9月利上げに慎重な姿勢をみせるFRB高官の声も出ており、株式市場の乱高下が収まるまで、利上げ開始について柔軟に判断を行う可能性が高まっているのは否定し難い。 <「かい離」の背景にECBのハト派姿勢> 世界の株式市場が急落した直後に、米国株はいったん落ち着き、下落分の半値戻しとなった。ドルも米国株の反発に連動し上昇。ドル円は121円台、ユーロドルも1.12ドル前後まで同様に戻した。 ただ、その後のドル円とユーロドルの値動きに乖(かい)離がみられている。すなわち、米国を中心に株式市場では不安定な動きが続き、ドル円は株価に連動して再び円高・ドル安に振れて一時は120円割れで推移。一方、ユーロドルは1.11ドル前後まで一時ユーロ安が進み8月中旬以降の水準まで戻った。7月半ばにギリシャのユーロ離脱懸念が収まってから、ドル円とユーロドルはほぼ連動していたが、異なる値動きとなっている。 両者の異なる値動きは、米国側ではなく欧州側の要因でユーロ安に振れたと説明できる。8月末に欧州中央銀行(ECB)高官から現行の量的金融緩和を修正する可能性があることを示す言及があったが、今月3日のECB理事会後の記者会見において、ドラギECB総裁が追加緩和に対して柔軟な姿勢を示した。欧州国債金利の低下によってユーロ安となり、株式市場が乱高下する中で、ユーロドルはドル高地合いとなった。 注目すべき点は、米国ほど堅調ではないものの足元までの欧州経済指標が総じて堅調な中で、ECBが追加緩和に前向きな姿勢を示したことである。成長率見通しは微修正にとどまっているし、足元のサーベイ指標でもドイツを中心に景気変調の兆しはみられない。インフレ率の下方修正は、足元の原油価格の下落を反映させた分に過ぎない。金融市場の動揺や中国経済の下振れへの警戒を理由に、ECBが追加緩和にかなり柔軟で、予防的に緩和強化に動く可能性を示している。 当社のエコノミストは、ECBの政策スタンスが予想以上にハト派姿勢が強いと評価し、2016年後半以降も現行の量的緩和政策が継続する可能性が高いと判断をやや変更した。 <日銀に求められる柔軟な金融政策判断> 一方、ドル円については、米国など株式市場と連動性が高いままで動く場面が多い。米国株安は先行きのリスク上昇を意味しFRBの利上げを遅らせる、という構図がドル円の値動きを支配している。ユーロと異なり、日本側の要因がドル円を左右する要因としてあまり意識されていない。 1つには日銀の政策姿勢が変わらず、追加緩和への思惑がわずかしか高まっていないことがある。当社は、日本経済の回復基調は崩れておらず、追加緩和の可能性は低いと現状みている。4―6月の国内総生産(GDP)がマイナス成長となったのは、1―3月の高成長からの反動でほぼ説明できる。7―9月にどの程度持ち直すか次第だが、鉱工業生産や輸出数量指数は5月が大底だったとみられる。また、個人消費も落ち込んだ6月対比で7月に持ち直した模様で、GDP成長率はプラスに回帰する可能性が高い。 ただ、8月の景気ウォッチャー指数が低下するなど、個人消費回復が遅れる兆しはある。今後原油安でコア消費者物価指数(CPI)がマイナスに陥っても、プラスで推移する基調的なインフレ率が保たれているという日銀の認識は変わらないだろうが、7―9月の成長率が停滞し「回復の好循環」が滞っているとすれば、「基調的なインフレ率」が今後低下するリスクが高まることを意味する。 また、追加緩和に柔軟な姿勢をみせたECBよりも、日銀が金融緩和に前向きではないと認識されれば、円高リスクを高め、脱デフレを目指す金融政策への信認を低下させかねない。デフレに陥るリスクという観点で欧州と日本の経済状況をみれば、ほぼ同様だろう。 現状判明しているハードデータを踏まえると、緩慢ながらも日本経済は持ち直しており、日銀が現行の金融政策を保つというメインシナリオは変わらない。ただ、今後の経済指標次第ではECBと同様に、日銀に対する追加緩和への期待が高まってもおかしくない。 さらなる円安を望まない声に配慮し、日銀は追加緩和に躊躇(ちゅうちょ)するとの見方もあるが、それは脱デフレに全力を果たすという政策姿勢と矛盾する。2014年同様に、景気失速リスクが高いと判断すれば、日銀は柔軟に金融政策の判断を行うのではないか。 *村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) http://jp.reuters.com/article/2015/09/11/column-naokimurakami-idJPKCN0RB0L620150911?sp=true 中国減速で「内需強化」提言、個人消費拡大狙う=諮問会議 [東京 11日 ロイター] - 政府は11日夕、首相官邸で経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)を開いた。伊藤元重東大教授ら民間議員は、中国経済の減速を念頭に、内需強化に向けた「民間需要構造強化プログラム」を提言した。
個人消費がけん引する成長を実現し、国内総生産(GDP)に占める個人消費の割合を現状の6割から米国並みの7割程度に拡大する目標も打ち出した。 提言で示された優先課題は、1)雇用・所得環境の改善などによる消費活発化、2)投資を通じた企業の生産性と潜在成長力の向上、3)女性や高齢者が能力を発揮して働ける環境整備、4)資金と人材を引き付けた地方経済の活性化──が柱。 子育て支援策を拡充することで個人消費の拡大につなげたり、外国人材の積極活用を踏まえ、滞在期間を最長8年に延長したりする具体策を盛り込んだ。 内需に主眼を置く背景には、中国経済の減速など外部環境の変化がある。提言では中国経済に「弱い動きと不透明感がみられる」と指摘したうえで、「海外経済リスクにも強靭(きょうじん)な経済構造を構築する」と強調した。 4─6月期の実質GDP改定値が年率マイナス1.2%と落ち込む中、個人消費や企業の設備投資を活性化させることで、「2017年4月の消費税増税に向けて経済環境を整える狙いもある」(政府筋)。 一方、少子化対策に関する提言では、貧困世帯の幼児教育無償化や、ひとり親世帯への子育て支援強化を打ち出した。 (梅川崇) http://jp.reuters.com/article/2015/09/11/shimon-kaigi-idJPKCN0RB0XG20150911
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