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9月9日、21年ぶりの「爆上げ」を演じた日経平均の主役はだれか──。市場では、前日の米株式市場で大幅な切り返しを演じた米系ファンドなどの海外勢が、日経平均を買い上げたとの声が出ている。都内で撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
焦点:米系など海外短期筋、日本株「爆上げ」の主役に
http://jp.reuters.com/article/2015/09/09/stx-idJPKCN0R90TE20150909
2015年 09月 9日 18:41 JST
[東京 9日 ロイター] - 21年ぶりの「爆上げ」となった9日の日経平均.N225の主役は誰か──。市場では、前日の米株式市場で大幅な切り返しを演じた米系ファンドなどの海外勢が、日経平均を買い上げたとの声が出ている。
8月に大幅な売り越しとなった海外勢の中には空売りを積み上げていた向きも多く、買い戻しの主体となった可能性がありそうだ。ただ、本格的な買い参戦は少ないとみられ、投資家は依然、半身の構えを崩せずにいる。
<下げ過ぎの反動も>
昨年来の上昇分を帳消しにした8日の弱気相場から一転、9日は強気相場へと持ち直した。9日の日経平均は終値で1343円高と、1994年1月31日の1471円高以来、21年ぶりの大幅高を記録。取引時間中で9月1日以来、1週間ぶりに節目の1万8700円台を回復した。
もっとも「下げ過ぎていた分の反動に過ぎない」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏)と、市場の声は冷ややかだ。前日の日経平均は433円安とアジア市場の中では独歩安。東京市場が引けた後の中国株上昇を織り込んでいないため、「その分を割り引いて考えるべきで、(きょうの上げ幅を)額面通り受け取る必要はない」と広木氏は一蹴する。
7日終値から9日終値のパフォーマンスをみると、日経平均はプラス5.0%。これに対し、上海総合指数.SSECは同5.2%、香港ハンセン指数.HSIが同7.0%(日本時間午後4時時点)と、日本株が突出して高いわけではない。
<薄商いと大幅上昇の裏側>
日経平均の「爆上げ」については「国内公的年金とみられる長期資金の流入」(準大手証券ストラテジスト)や「日本郵政のローンチに向けた株価対策」(大手証券)が背景にあったとの声もあったが、市場の大勢は売り方の買い戻しなどを主体とする自律反発との見方だ。
裏付けるのは、高水準に推移していた空売り比率。東証が公表している空売り比率は前日まで6日連続で過去最高水準の40%超えとなっていた。「海外ヘッジファンドなどの短期筋を中心に買い戻さなければならない玉が積み上がっており、一気に買い戻しに傾いた」(国内証券トレーダー)という。
複数の市場関係者によると、前日の欧米市場から株を買い戻していた米系ファンドなどの海外短期筋が中心となり、日経平均の1万8000円や1万8500円など節目を突破した水準で、オプション絡みの買い上げが集中したという。
また、記録的な上げ幅に比べて商いが盛り上がりに欠けたことも、一部投資家の買い戻しが主体だったとの見方を強めている。9日の東証1部の売買代金は3兆1483億円と20日移動平均の2兆8880億円を上回ったが、8月中旬以降の急落後に570円高と切り返した8月26日の3兆8000億円を下回っている。
ある外資系証券トレーダーは「短期売買のみで、ロングマネーなど腰の据わった買いは入っていない。長期投資家は高いボラティリティを嫌うため、安値圏とはいえ積極的に買いを入れにくいことが、商いの乏しさにつながっている」と指摘する。
9月期末が接近し、配当権利取りの動きが出てもおかしくはないが、値動きが激しい中で配当利回り3%の銘柄を買っても、翌日に5%下がれば意味がない。そのため「個人投資家などの配当取りの手も引っ込みがち」(松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)とみられている。
<米FOMC待ち>
16─17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)待ち──。ほとんどの市場関係者がこう口をそろえる。米利上げに対する不透明感が長期投資家の動きを縛り、短期筋の独壇場になっていることも、ボラティリティの高さにつながっている。
米利上げに関しては、9月見送りを見込む声が強まっている。岩井コスモ証券・執行役員投資調査部長の木村勝氏は「今のところ9月の利上げはないとの予想が優勢」と指摘。利上げ見送りで「中国や新興国経済に米国が配慮した形となり、株式市場にはプラス」とみる一方、利上げに踏み切れば「世界の株式市場を重視していないとの受け止めから、株価にはネガティブ」との見方を示す。
ただ「9月利上げが見送られれば、不透明要因が払しょくされずあく抜けできない」(いちよしアセットマネジメント・執行役員の秋野充成氏)との見方もある。年内に実施されるとしても、向こう3カ月は投資家の足かせは取れないままだ。
年末にかけては日本郵政の新規上場も控え、需給面での不安要素が頭をもたげる。いったんは急速に切り返した日本株だが、方向感は定まらず、目先はなお不安定な値動きが続きそうだ。
*写真を更新しました。
(杉山容俊 編集:田巻一彦)
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