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フザけるな、年金機構! 「年金払いすぎたので、200万円返して」だと 支払いミス1万件で、突然電話が……
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45164
2015年09月09日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
なけなしの給料から長年、掛け金を出し老後のためにと備えてきた。その年金を「すいません、金額、間違ってました」と言われる人が続出している。あなたにも明日、その連絡が来るかもしれない。
■自分たちのミスを棚に上げ
失敗や過失も、二度までなら仏さまが許してくれると言うが、不祥事を繰り返すこの組織を、はたして許せる人がいるだろうか。
私たちの生活に直結する年金を取り扱う日本年金機構で、またまた業務の杜撰さが明らかになった。8月24日、朝日新聞が1面トップで報じたところによると、年金機構では発足から5年で、事務処理のミスが1万件を超えたという。
「ミス」と呼べば軽く聞こえるが、事態は深刻だ。同紙の集計によると、このミスによって、年金の「未払い」や「過払い」など、私たちが受け取る年金額に間違いがあったというミスの合計金額は、あわせて約89億円分。
さらには、2014年度だけで、年金額が100万円以上間違っていた事例が、656件もあったというのだ。
職員の中には、「年金制度が複雑で覚えられない」などとミスの責任を制度の煩雑さに転嫁する声もあるようだが、年金機構と同じく、多数の顧客を抱え、複雑な業務をこなしている銀行や郵便貯金の窓口で、「すみません、手続きミスで100万円以上、間違えました」などと、あなたは言われたことがあるだろうか?
さらに異様な事態が、前出の記事に紹介されている。埼玉県在住の70歳の男性。その妻が、昨年11月、自身の年金の金額を確かめようと年金事務所を訪れた。
すると年金機構側に、「これまで支払った年金には、過払いがあった」、「本来は男性が届け出をして、受け取りを止めるべきものだった」と責められた上、過去5年分の過払い金、約197万円の返納を求められた。
男性と妻は、さぞ仰天したことだろう。何の悪気もなく、振り込まれる年金額が正しいものと信じて家計をやりくりしてきたのだ。5年で197万円ということは、月々にならせば3万3000円弱。この年金が、夏場のクーラーにかかる電気代や、高騰する食費などに充てられ、夫婦の生活全般の質を高めていたことは想像に難くない。
ところが、事態は一転。200万円近いカネの返納を求められ、男性は今後10年間、毎年20万円を返していかなければならないのだという。月々に直せば約1万6000円の支払いだ。
毎月、プラス3万3000円だったものが、今度はマイナス1万6000円に。月々の家計のやりくりで考えれば、一気に支出を5万円近くも切り詰めなければいけない。
本当に、自分が手続きを怠ったがために、こんな間違いが起こったのか? 疑問を感じた男性は、機構側に調査を求めた。
その結果、発覚から半年以上経った今年7月になって、年金機構は「本来は機構がチェックできていなければならなかった」と認め、謝罪したという。だがもちろん、謝られても男性の支払いが免除されたわけではない。
なぜ、こんなとんでもないミスを乱発するのか。
年金機構の前身である旧社会保険庁時代から、その異様さを指摘し続けてきたジャーナリストの岩瀬達哉氏は、こう話す。
「年金機構の業務マニュアルでは、『年金の支払いに関する職員の事務処理については管理者がチェックすること』となっているのですが、そのチェックがなされていないことが最大の原因です。
機構側は『人手不足』を理由に上げますが、実際は管理者や職員の能力不足、使命感・責任感の欠如が原因だと思います」
■「法律上、決まっています」
責任感が薄れる一因は、旧社保庁時代から清算しきれていない、人事の歪みだと岩瀬氏は指摘する。
「たとえば、年金機構では、旧社保庁の怠慢な業務に対する反省から、管理職に就くには全国異動の経験を必要とする、と定めました。
社保庁時代、職員は採用された土地から基本的には異動しなかった。職員は、そこで組合活動を続け、発言力を高めないと、人事の上でも偉くなれなかった。要するに、組合が組織を牛耳ってきたわけです。
それを防ぐため全国異動という条件がつけられたわけですが、年金機構はこれを骨抜きにした。『同じブロック内でも都府県をまたげば全国異動』と定義したのです。
たとえば南関東ブロックの職員なら、東京から神奈川に異動しただけで全国異動となる。当然、組織風土の改革は進まず、風通しの悪さは一向に改善されないままです」
いずれにしても、たまらないのはわれわれ、一般の年金受給者の側だ。
他人事ではない年金機構の「過払い」や「未払い」。あなたにも、ある日突然、年金機構から「あなたの年金額に疑問があるので、年金事務所までお越しください」などと電話があるかもしれない。
「振り込め詐欺か?」と疑いながらも、年金事務所の窓口に行くと、「200万円は過払いでしたので、返してください」などと言われるのだ。
もし、私たちが、手続きミスの被害者となったら、一体何が起きるのか。
まずは「過払い」、つまり知らぬ間に年金を多くもらってしまっていた場合だ。本誌の質問に対し、日本年金機構経営企画部広報室はこう回答した。
「過払いについては、本来、受け取れない部分ですので、不手際があったにせよ、十分にご理解をいただいて、お返しをいただくよう手続きを進めているところです。
過払いがあった場合は、会計法では過去5年分についてはご返金をいただくことが、法律上、決まっており、返納をお願いしています。
本来は一括で即返納をいただくものですが、経済的にどうしても困難だという方には、分割によってご返納いただくようお願いをしています。
ただ、それぞれのご生活もあり、経済的なご事情もおありでしょうから、たとえば返納期間を5年間延長して、月々いくらという形で返納していただくとか、さらに期間を延長して、分割での返納をお願いする可能性もゼロではありません」
■「未払い」のケースでは…
もし返納は無理だとか、そもそも機構のミスなのだから納得などできないと、受給者が支払いを拒否したら、どうなるのか。
「返納を拒否された方に機構側が裁判を起こすことは考えておりません。また、税金の不払いなら、国税庁が資産を差し押さえることもありますが、年金の過払い分の返納について、基本的に差し押さえをすることはありません」(同広報室)
しかしそれでは、実際には回収の困難が予想されるのではないか、と重ねて問うと、こんな答えが返ってきた。
「そうですね。ただ、これは不当利得ということになります。本来、受け取るべきでないものを受け取ったのですから。懇切丁寧に説明を尽くして、お返しいただくことになります」(同広報室)
いまはこう話す年金機構。だが、年金財政も逼迫する現在、年金の行く末に不安を持つ人々からは、「過払いでもらい過ぎた人から、キッチリ回収するべきだ」という意見も出るかもしれない。
たしかに、年金財源のパイは縮むばかりなのだ。結果、年金機構が裁判も辞さないと方向転換する可能性もゼロではない。そうなれば、もともとは機構側の手続きミスにもかかわらず、過払いを受けた人は社会的に責められ、裁判所に訴えられることになる。
そして、その裁判費用のために、また国民の貴重な税金が浪費されていくのだ。
行政訴訟などに詳しい梅本・栗原・上田法律事務所の上田啓子弁護士によると、裁判になれば過払い分を受け取っていた受給者のほうが、やはり立場は弱いという。
「年金機構のミスにより発生した過払いであっても、受給者はその年金をもらう法的根拠がないので、機構側からの返還要請には応じざるを得ません。残念ながら法的には返還を拒否できません」
では、一方の「未払い」、つまり本来もらえるはずの年金がもらえていなかった場合はどうか。急に思いがけない未払い金を受け取れるとなれば、少しは溜飲も下がるかもしれないが、問題となるのは、未払いのあった人が、すでに亡くなっていた場合だ。
「年金は、相続の対象ではありません。一身専属の権利、つまりご本人さまに対して給付させていただくものです。ですから、お亡くなりになった方には支払えません。
ただし、個人と生計を共にされていた配偶者や子供には死去された方への未払い金をお支払いしています。
転勤や病気療養で、故人とは別居されていた方でも、故人から仕送りや援助を受けていたことを示す書類などを提出いただければ、支給させていただきます」(前出・年金機構広報室)
■未納が増えるのも当然
自分の年金にミスはないのか。「ねんきん特別便」など各種の資料はあるが、複雑すぎて個人で理解するには限界がある。確認するためには、現状では年金機構の窓口である年金事務所で問い合わせるしかない。
不祥事を繰り返した旧社保庁と決別し、生まれ変わったはずの年金機構。だが、ここにきてハッカーによる年金情報流出など、再びトラブルが相次ぐ。
「手違いがあるのは仕方ないにしても、報道によればミスが増加傾向にある。それが問題だ」(元年金業務監視委員会委員長・郷原信郎弁護士)。
その裏事情を、旧社保庁の年金問題を追及し、「ミスター年金」の異名をとった民主党代表代行の長妻昭元厚労相は、こう明かす。
「厚労省は、旧社保庁で『消えた年金』問題が注目されて以降、エース級の人材を機構に出向させて、年金機構プロパーの人材育成とガバナンスの確立を目指してきました。ところが、安倍政権になってから、年金問題への関心が薄れ、厚労省は優秀な人材を引き上げてしまった。
そもそも、年金機構のように、政策立案ができず、現場で事務をする部隊を、キャリア官僚は一段、格下に見る傾向がある。その意識を変えないといけません。旧社保庁時代と比べれば、窓口の対応など格段に改善された部分もあるのですが、こう、年中行事のようにミスを繰り返されては、国民はたまりません」
官僚の傲慢、職員の怠慢。そのツケを、なけなしの年金で生活する私たちが払う。
何よりも足りないのは、当事者である年金機構の、職員の想像力だろう。
長寿社会になったいま、年金は国民にとって、老後の短くない人生を、不安なく暮らすための「頼みの綱」だ。
そう信じてきたからこそ、ときには生活が苦しくとも、どうにかやりくりをして掛け金を支払い続けてきたのではなかったか。それがはたして、どれだけの労苦だったのか。それを想う想像力が感じられないのである。
職員にとっては、ただの書類上の数字に過ぎないだろう。だが、100万単位のカネを動かすことは、私たち一般国民には容易なことではない。
こうした事態が繰り返されれば、「年金は信用できない」という不安が一層広がり、現役世代の未納も増加。結局は年金崩壊を、それを司る組織が自ら招くことにもなりかねない。本当に、フザけるな、年金機構である。
「週刊現代」2015年9月12日号より
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