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ラオックスは、敏腕中国人社長のもと躍進〔PHOTO〕gettyimages
この「円高」に強い会社、弱い会社 チャイナ・ショック!世界経済の「明日」を読む (4)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45106
2015年09月09日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
アベノミクスによる円安で、企業の業績は見かけ上、押し上げられてきた。しかし、人民元切り下げなどで、今後は一気に円高が進むかもしれない。三人のアナリストが注目企業の明日を占う。
■元切り下げで一気に円高に
真壁昭夫 アベノミクスで円安は進み、企業の業績は数字上、押し上げられました。ジャッキで持ち上げたように上がっています。しかし、これ以上は円安が進まない可能性が高い。実際、8月24日には1ドル=116円をつけました。経営者も慎重で、「もう円安が続くとは思っていない」と言う人が非常に多い。
まかべ・あきお/信州大学経済学部教授。第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)などを経て、'05年より現職
植木靖男 確かに円安の影響は大きかった。しかし、中国が元を切り下げましたし、これから通貨安戦争になるという見方もあります。そうなると、一気に円高が進む可能性もある。円高になれば各産業界に様々な影響が及びます。とくに影響が大きいのは、輸出に大きく依存する、自動車業界や電機業界でしょう。
うえき・やすお/証券アナリスト、株式評論家。元日興證券エクイティ本部部長、ラジオ出演、講演会などで人気を誇る
真壁 円高に強いと言えば、本田技研工業です。部品調達の現地比率が高く、自動車業界のなかでは為替の影響を受けにくい。しかも、ロボット工学に強みがあり、航空機も手掛けるなど、イノベーションの気風がある。こういう企業は、混乱の時代にも生き抜いていけると思います。
村瀬智一 トヨタ自動車は、円安の恩恵を大きく受けてきたので、伸びは期待しにくいでしょう。ただ、為替の影響の少ない国内市場をうまく開拓できれば話は別。国内で燃料電池車が普及すれば多少期待できます。
むらせ・ともかず/株式会社フィスコアナリスト。大東証券(現みずほインベスターズ証券)のディーラーを経て、'99年より現職
植木 富士重工業は現在、スバルのブランド力が米国でズバ抜けており、現地のディーラーが「まったく生産が足りない」と文句を言うほど。'15年3月期も過去最高益を出しました。
ただ、為替のリスクに加えて、米国の景気の問題がある。米国はリーマンショックの'08年から回復し続けて、もうピークを超えたと言われていますから、楽観視はできません。
真壁 日産自動車は、為替リスクには強いと言われますが、同社製品の販売台数が多い中国で、自動車市場が縮小しているのが気になる。7月の中国の新車総販売台数は、前年同月比で7・1%減の150万3000台でした。毎月のように販売台数が減っています。
植木 電機業界に目を転じると、どうでしょう。大リストラ中のシャープや、利益を不正に水増ししていた東芝は、業績悪化が懸念されています。
真壁 電機業界のなかで伸びる可能性があるとしたら、パナソニックくらいでしょう。円高での減益効果は限定的と聞きます。三洋電機を買収した効果も出始めている。同社で好調なのは車載用バッテリーです。車載用バッテリーのシェアが高いのは、韓国のLGとサムスン、そしてパナソニックですが、いまはパナソニックが優勢です。
村瀬 厳しい業界といえば、鉄鋼です。中国への輸出が多いので、円高に弱い。しかも、中国の景気の減速で、需要はどんどん減っていきます。ただでさえ中国は供給過剰ですから。業界2位のJFEホールディングスは、業績も悪くなっているし、株価もかなり下がっています。中長期的に厳しい。
真壁 新日鐵住金は、中国や韓国のメーカーなどがつくれない、技術力を必要とする鉄をつくっているので、円高が進んでも大失速はないでしょうが、中国が供給過剰であることは確かです。
植木 三菱商事などの総合商社は、円安の効果を受けて業績を上げていたので、今後は厳しいでしょう。世界的に景気が落ち込み、資源の取引が停滞しているのも懸念材料です。
それとは逆に、為替の影響を受けにくく、円高に強いのは、国内市場を主戦場にする産業です。筆頭は建設業界。ゼネコンでは、大成建設に注目しています。昨年、村田誉之社長が、「'16年3月期の決算からは利益が大きく計上できる」と喜んでいました。
■「円安」意識を変えられるか
真壁 たしかにゼネコンはいいと思います。最もいいのは、鹿島建設でしょう。ここ数年、業績の下方修正を繰り返してきましたが、東日本大震災前後に受注した不採算の工事を完工しました。ただ、大成建設のほうが、ほかの大手と比較して株がそれほど高くないので、株を買うなら大成建設がいいかもしれない。
村瀬 東京五輪を控えているし、老朽化した公共施設などの補修や補強工事が増えるので、需要も高まりますね。同じような視点で、不動産の情報サイトを運営しているネクストも大きく伸びる可能性があると思います。中古住宅をホテルにしたり、リノベーションによって新築よりも割安の中古住宅を販売したりして業績を伸ばしている。
植木 需要が安定的という観点で、為替などの短期的要因に左右されにくいのは、医療分野。世界的な高齢化で、需要が増えています。なかでも、「NASAより進んでいる」と言われた技術で、がんを検査する機械、PET(陽電子断層撮影法)装置をつくる浜松ホトニクスが注目です。世界トップシェアの製品も多いのです。
村瀬 医療分野は、アベノミクスの成長戦略の柱でもあります。医療関連で、私がとくに注目しているのはオリンパスです。消化器内視鏡では世界シェア7割を占めています。
植木 円高を吹き飛ばすパワーを持つ企業もある。中国の景気悪化にもかかわらず業績を伸ばす、ラオックスです。今年6月、新宿伊勢丹の近くに、新宿店をオープンして、いまも絶好調。注目すべきは、8月から、中国の大手IT企業アリババグループの中国のサイトで、ネット販売をスタートさせたこと。「3年間で売り上げが2倍」という計画を立てていますが、確実に達成できそうです。
真壁 M&Aも重要な視点です。世界で景気が悪くなると株価が下がるうえ、円高になれば、海外企業を買収しやすくなる。三菱UFJフィナンシャル・グループは'15年3月期に、日本の銀行で初めて最終利益が1兆円を超えましたが、今年1月、タイのアユタヤ銀行を買収したことが大きかった。
食品業界も、人口が減少する国内を出て、海外で伸ばすしかない。キリンホールディングスやアサヒビール、味の素などの大手は、どこもキャッシュリッチで、積極的にM&Aを進めているので、将来的にも期待できます。
植木 生命保険会社も再編に拍車がかかりそうです。日本生命は保険料収入で戦後初めて第一生命に抜かれた危機感もあって、三井生命の買収を決めています。国内では競争が激化するので、海外展開するしかありません。日本生命と第一生命は海外展開をうまくやる必要がありますが、円高が進めば海外進出に有利。これからはいいタイミングかもしれません。
真壁 今後、円安の意識から早く抜け出す企業に強みがありますね。
うえき・やすお/証券アナリスト、株式評論家。元日興證券エクイティ本部部長、ラジオ出演、講演会などで人気を誇る
まかべ・あきお/信州大学経済学部教授。第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)などを経て、'05年より現職
むらせ・ともかず/株式会社フィスコアナリスト。大東証券(現みずほインベスターズ証券)のディーラーを経て、'99年より現職
「週刊現代」2015年9月12日号より
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