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ソニー本社(「Wikipedia」より/Shuichi Aizawa)
ソニー凋落を招いた「親衛隊」 赤字垂れ流し、責任取らず多額報酬得る
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11469.html
2015.09.09 文=編集部 Business Journal
東京証券取引所と金融庁が策定したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が6月から適用開始となり、日本でも資本活用の効率化や株主への還元策、社外取締役の活用に注目が集まっている。
そんな「企業統治元年」に冷や水を浴びせたのが東芝だ。利益水増しの不正会計問題では4人の社外取締役が経営のチェック機能を十分に果たせていなかったが、東芝が例外ではない。
たとえば粉飾決算で信頼を失ったオリンパスには2人の社外取締役がいたが、経営の専門家とはいえない彼らは粉飾決算を見抜けなかった。また、ソニーはハワード・ストリンガー会長兼社長の時代には15人の取締役のうち13人が社外取締役だった。赤字を垂れ流し続けたのに、ストリンガー氏は経営責任を問われることはなかった。
「社外取締役はストリンガー氏を護衛する“親衛隊”となっていた。彼らはソニー凋落の共犯といっていいが、かなり高額な役員報酬を手にしていた。ソニーに限らず、社外取締役は経営陣のお友達でお飾り、役に立っていないというのが、これまでの常識だった」(金融筋)
■株式持ち合いの解消
三菱UFJフィナンシャル・グループは6月の定時株主総会で承認を得て、委員会設置会社に移行した。取締役会の下に、指名委員会、報酬委員会、監査委員会と任意のリスク委員会を設けた。リスク委員会はグループ全体のリスク管理に関する重要事項を審議する。独立性が高い社外取締役によって、業務執行に対する監督権限を強化する体制を整えた。
社外取締役は川本裕子・早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、松山遙・日比谷パーク法律事務所パートナー、岡本圀衛・日本生命保険会長、奥田務・J.フロント リテイリング相談役(元社長)、川上博・中部国際空港前社長(元トヨタ自動車専務)、佐藤行弘・三菱電機社友(元副社長)、山手章・公認会計士(元あらた監査法人代表社員)の7人。指名・ガバナンス委員会委員長に奥田氏、報酬委員会委員長に岡本氏、監査委員会委員長に山手氏、リスク委員会委員長に川本氏が就任した。
FSB(金融安定理事会)は、G−SIFIs(国際金融システム上重要な金融機関)と認定されている世界の大手金融機関に対して、経営の監督機能の強化などガバナンスの向上策を強く求めている。三菱UFJは海外の金融当局の要請に応えた。
国内大手行で委員会設置会社に移行したのは、2003年に実質国有化されたりそなホールディングスと、暴力団向け融資をきっかけにカバナンス改革に踏み出したみずほフィナンシャルグループに続き、三菱UFJが3例目だ。
コーポレートガバナンス・コードに基づき、上場企業の持ち合い株式の売却がはじまった。株式の持ち合いは、海外の投資家から日本企業の悪しき慣習と強く批判されてきた。大手銀行グループは持ち合い株式削減の方針を打ち出したが、メガバンク3行の決意表明には、かなり温度差がある。三菱UFJは残高削減が基本方針で、三井住友フィナンシャルグループは原則保有しないとし、みずほは保有しないことを基本方針とした。
メガバンクで持ち合い株式の解消を最初に打ち出したのは、みずほだ。背中を押したのは2人の社外取締役だった。
「『他の投資に振り向けるより資本効率が高くなければ、持つ意味はない』。元経済財政相で取締役会議長を務める大田弘子が取締役会でこう口火を切った。日立製作所相談役の川村隆も呼応した。『2兆円の株の含み益を今こそ有効に使うべきだ』」(8月4日付日本経済新聞より)
コーポレートガバナンス・コードのお墨付きを得て、株主主権を担う社外取締役は出番を迎えたようだ。だが、銀行にとって持ち合い株式の解消は、取引企業から「ウチはその程度の評価なのか」といった反発を招く副作用がつきまとう。個別事情をどこまで勘案するか、経営陣と営業現場とのせめぎ合いが激しさを増すことになる。
■バフェット基準
ジャーナリストの牧野洋氏は、2015年8月3日付現代ビジネス記事の中で、社外取締役に「バフェット基準」を取り入れるよう提唱している。バフェット基準とは、「投資の神様」といわれる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が掲げるコーポレートガバナンス基準のことだ。
「法的には、取締役会は株主利益を守る立場にある。ここでのポイントは株主との利害の一致であり、そのためには社外取締役は相当数の自社株を保有しなければならない。そうすることによって、株主利益を守ろうとの意欲が湧いてくる」
みずほ銀行は、企業役員などが自社株を購入するのを支援するサービスを始めた。みずほ銀行が購入のための資金を融資する。購入資金は、みずほ銀が企業と提携し、通常より低い金利で貸し付ける。
委員会設置会社制度は米国企業をモデルに、業務執行と監督権の分離を明確にした。組織上は米国企業の相似形が出来上がったが、多くの日本企業は社外取締役が意欲をかきたてるような役割を与えてこなかった。多くの企業で導入が進む社外取締役は、果たしてその機能を十分に果たすことができるのか。日本企業全体のコーポレートガバナンス強化に向けた試金石になるといえよう。
(文=編集部)
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