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価格競争の起きない各電力会社に談合してきたからだと推測する古賀氏
セブン−イレブンが東電に乗換えられた理由。電力会社の談合体質は小売り全面自由化後も続く
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150908-00053233-playboyz-pol
週プレNEWS 9月8日(火)6時0分配信
来年には、小売り全面自由化が実現する電力業界。
しかし、その自由化もほとんど無駄になるというのは、『週刊プレイボーイ』本誌でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏だ。
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関西圏にあるセブン−イレブン約1千店舗が、電力の調達先を関西電力(関電)から東京電力(東電)に切り替える。これにより、セブン−イレブンは年間2%、数億円のコストを削減できるという。
関電は今年4月から企業向けなど高圧部門の電気料金を約14%値上げした。その結果、東電の電気料金が関電よりも数%安くなっていた。それを見たセブン−イレブンは電力会社の供給エリアを越えて、調達先を関電から東電へと乗り換えたのだ。
電力会社の利益の約3割を占める高圧市場は1995年から自由化が始まり、05年には50kWまでその範囲が拡大された。そして、来年4月1日からは家庭向けなど50kW以下の低圧部門も自由化される。実現すれば、一般の家庭も各電力会社の料金やサービス内容を比べながら、自由に電気の調達先を選べるようになる。そのため、高圧市場でセブン−イレブンをめぐって関電と東電がせめぎ合ったように電力会社間の販売競争が勃発すると予測する声もある。
だが、そうはならない。電力会社は本気で自由競争をするつもりなどないからだ。
家庭向けなどの低圧部門は各電力会社にとって利益の約7割を叩き出す重要な市場だ。その低圧部門で熾烈(しれつ)な競争が始まれば、電気という商品は“中身”の差別化ができないだけに電力会社はひたすら安売り競争をする以外に手がなくなってしまう。そうなれば、これまでのような高収益は望めない。
そもそも自由化してから10年が経過した高圧市場ですら、電力会社間の競争はほとんど起きていないのだ。なぜか? 高圧市場で競争が起きないよう、各電力会社が電気事業連合会内で談合してきたからだとしか思えない。
事実、企業などが他エリアの電力会社に小売りを打診しても電力会社は積極的に応じてくれない。もちろん、電力会社が越境して大口需要家に営業を仕掛けることもない。
今回のセブン−イレブンのケースは例外なのだ。福島第一原発事故で公的資金が投入されたこともあって、東電には多くの社外取締役が経営陣に入っている。さすがに「電力ムラ」では外様である彼らの目が光っている前で、談合めいたことはやれない。そこで東電だけが、このインナーサークルから外されてしまった。その結果、東電だけは「談合」の縛りがなく、関電とセブン−イレブンをめぐって電気の安売り競争をすることができたというわけだ。
本来なら、関電との安売り競争に名乗りを上げるのは北陸電力や中部電力、中国電力だったはず。関西圏に近く、電力を越境販売した場合の送電コストも安い。供給エリア外に振り向ける余剰電力にもゆとりがある。だが、実際にセブン−イレブンの新たな電力供給者となったのはこれらの電力会社ではなく東電だった。北陸電力を含む他の電力会社は入札に名乗りすら上げなかったのだ。
小売電力市場が完全自由化されても、こうした談合構造にメスを入れない限り電力会社間の競争は起きない可能性が高い。あったとしても東電vs他の電力会社、あるいは普及率5%未満の新電力vs既存の電力会社といった「局地戦」がせいぜいだろう。
●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。著著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)
(撮影/山形健司)
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