★阿修羅♪ > 経世済民100 > 412.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
中国発「鉄冷え」加速 鋼材輸出、初の1億トンへ:雇用維持で大幅減産は難しく
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/412.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 9 月 08 日 03:46:11: Mo7ApAlflbQ6s
 


中国発「鉄冷え」加速 鋼材輸出、初の1億トンへ
雇用維持で大幅減産は難しく

 中国製鋼材が世界の鋼材市況を揺さぶっている。景気減速で国内で消費しきれない安価な中国製鋼材が世界にあふれ、代表的な鉄鋼製品のアジア価格は1年で4割下がった。鉄鋼各社は雇用対策から大幅な減産に動きにくく、今年の輸出量は日本の粗鋼生産量に匹敵する1億トンを初めて突破する見通し。新たな高炉の稼働計画もあり、世界は中国発の一段の「鉄冷え」に警戒感を強めている。

 中国当局によると、2015年上半期(1〜6月)の鋼材輸出量は5240万トンと、前年同期に比べ約28%増えた。通年では過去最高だった14年の約9400万トンを上回り、初めて1億トンを超えるのがほぼ確実だ。日本の14年度の粗鋼生産量は約1億1千万トンだ。

 中国の鉄鋼各社は異例の生産調整を進めている。粗鋼生産量は今年上半期に4億1千万トンと1.3%減少。9月3日の北京での抗日戦勝70年式典に向け、当局は河北省など北京近郊の鉄鋼メーカーに大規模な減産を指示しており、年後半も前年割れで推移する公算が大きい。年間を通じてマイナスとなれば、実に35年ぶりとなる。

 それでも、中国製鋼材が海外に流れ出る。背景には景気減速による需要減に生産調整が追いついていないことがある。鉄鋼メーカーにとっては減産幅を大きくすると、共産党指導部が重視する雇用に手を付けざるを得ない。減産は小幅にとどまり、国内で余った鋼材が海外に回る構図だ。

 焦りは価格に表れる。15年1〜6月の中国製鋼材の平均輸出単価は1トン約620ドル(約7万5千円)と、前年同期に比べ2割以上安くなった。中国勢の安値攻勢がアジアの鋼材市況を直撃、鋼板の主要品種である熱延コイルのアジア価格は足元で1トン300〜350ドル前後と、この1カ月だけで1割超下がった。

 江蘇省南部にある江陰華西鋼鉄の製鉄所。配管用など低位品の鋼材を生産し、陸路と海路で国内外に運び出す。「以前は毎月1億元(約20億円)あった工場の利益は10分の1に減ったらしい」。作業員は漏らす。

 鉄鋼各社の業績は苦しい。宝鋼集団傘下の上場企業、宝山鋼鉄など主要各社の1〜6月期は軒並み減収減益。中堅の馬鞍山鋼鉄(安徽省)は輸出額が5割近く増えたが、営業赤字が拡大した。

 宝鋼集団は9月、広東省湛江で最新鋭の高炉を稼働する。年産能力は最終的に1千万トン。同社は自動車や家電向けの需要が大きい「中国南部向けの供給拠点」に位置づけるが、地理的にも近いベトナムなど東南アジアは有望な輸出先に違いない。「日本メーカーの製品より1割程度安く生産できる」(業界関係者)とみられ、実際に輸出に回れば、一段と市況を冷え込ませかねない。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
市況対策「焼け石に水」 タイ、稼働率3割未満/米大手、高炉を閉鎖

 割安な中国製鋼材の輸出増が世界の鉄鋼業界に影響を広げる。各国は緊急輸入制限措置(セーフガード)などで対抗するが、「焼け石に水」(タイの業界関係者)だ。

 「市況は非常に厳しい」。タイ鉄鋼最大手のサハウィリア・スチール・インダストリーズのウィン・ウィリヤプラパイキット社長は危機感を募らせる。タイでは1〜6月期に中国から11億ドル分の鉄鋼製品を輸入した。前年同期と比べると12%増えた。全体の鉄鋼製品の輸入額は10%減。中国からの伸びが突出している。

 急増する中国製鋼材に各国の地場産業が疲弊する。タイ鋼管製造者協会によれば、同国鉄鋼業界の設備稼働率は3割未満。インドのタタ製鉄は英国拠点で一部の圧延設備の操業休止を決めた。

 米国でも鉄鋼最大手のUSスチールの高炉の一つが閉鎖に追い込まれ、1100人を解雇する方針を打ち出した。

 日本勢も無縁ではいられない。1〜7月の鉄鋼輸入額が中国産を中心に前年同期比で15%増えたベトナムではJFEスチールが台湾の台湾塑膠工業(台湾プラスチック)の製鉄所運営に参画する。今秋稼働を予定するが、安価な中国製鋼材との競争が待ち受ける。

 各国は中国に対して、反ダンピング(不当廉売)措置やセーフガード発動などで対抗するものの効果は乏しい。来年秋の大統領選を控える米国では、強硬措置を求める声も強まっており、通商摩擦が激しくなる恐れもある。

(上海=小高航、ハノイ=富山篤、バンコク=京塚環、東京=今橋瑠璃華)

[日経新聞9月1日朝刊P.9]

=============================================================================================================================
中国、赤字企業が最多 1〜6月、鉄鋼など国有が大半

 【上海=土居倫之】中国上場企業の業績の伸び悩みが鮮明になっている。2015年1〜6月期中間決算は最終損益が赤字の企業数が440社となり、過去最多だった前年同期の362社を上回った。上場企業全体の最終利益の伸びは前年同期比8.6%にとどまり、3年ぶりの低水準となった。鉄鋼や石炭など供給過剰業種で最終赤字が相次いだ。


 31日までに出そろった中国の上海と深圳証券取引所に上場する2800社の1〜6月期中間決算をまとめた。純利益合計は1兆4175億元(約27兆円)だった。最終赤字企業数は全体の16%だった。

 赤字額上位は鉄鋼や石炭など地方の国有企業が大半を占めた。成長鈍化という環境変化への対応が遅れている。こうした企業は4兆元の景気対策をきっかけに生産能力を大幅に拡大したが、需要の減少で供給過剰が激しく、多くが苦境に陥っている。

 「財務援助の受領に同意した」。赤字額が22億元と上場企業で最大だった重慶鋼鉄は21日、非上場の国有親会社である重慶鋼鉄集団から3億元の財務援助を受けると発表した。「資金繰りを維持する」ことが理由だ。これで同社の親会社からの年間の援助額は25億元を超える。

 国有企業で建設機械最大手の中聯重科は3億元の最終赤字に転落した。赤字は2000年の上場以来初だ。建機業界は「過剰供給と需要不振で深い調整期に入った」という。

 一方、これまで中間層の所得向上を追い風に業績を急激に伸ばしてきた自動車大手や家電大手も業績伸び悩みが鮮明だ。

 自動車最大手の上海汽車集団の純利益は前年同期比4%増と前年同期実績(18%増)から減速。15年の販売計画は前年比10%増の620万台だが、達成は難しい状況だ。同社は「中国経済の減速圧力が強まり、自動車市場の成長速度も明らかに下降している」との見方を示した。

 31日の上海株式市場で、上海総合指数の終値は前週末比0.81%安の3205だった。信用取引の縮小に加えて、企業業績の減速が先行き不透明感につながっている。中国人民銀行(中央銀行)は31日、短期資金を1400億元供給したが、効果は限られた。

[日経新聞9月1日朝刊P.7]

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年9月08日 07:26:38 : jXbiWWJBCA
仲間を作るはずが四面楚歌にも、中国の一帯一路政策
シルクロード構想に参加は表明しつつも警戒心を解かない周辺国
2015.9.8(火) 矢野 義昭
中国北西部初の高速鉄道「蘭新線第二複線」、全線で開業
新疆ウイグル自治区のウルムチ南駅のプラットホームに止まっている、中国の高速鉄道、蘭新線第二複線の甘粛省蘭州行き列車(2014年12月26日)〔AFPBB News〕
 いま中国の習近平政権が世界に対して発展戦略として提唱している「一帯一路」とは、どのような政策であり、その狙いは何であろうか。また、それに対して関係国、特に利害関係の深い周辺国はどのように対応しようとしているのであろうか。

1 発展戦略としての一帯一路政策の形成とその狙い

 馮并著『"一帯一路": グローバルな発展のための中国の論理』(中国出版集団、2015年)によれば、初めて「一帯一路」の概念が提唱されたのは、2013年9月の習近平主席のカザフスタン訪問時である。

 習近平主席は、欧州とアジアを東西に連接し、シルクロードを創ることを提唱した。その協力内容として挙げられたのは、物流、貿易と投資、金融、エネルギー、食糧安全保障などの分野である。

 同年10月のインドネシア訪問時には、21世紀の海上のシルクロードの建設を提唱し、中国は「ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国が協力し合い、緊密な運命共同体を建設すること」を望んでいるとして、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設を提唱している。

 2014年初めの欧州訪問時には、アジアと欧州の間で一大市場を建設することを目標として、人、企業、資金、技術の交流を深め、中国と欧州が世界経済の牽引役となることを提唱し、同年5月には、中国国内で中国対外友好協会に対し、陸と海のシルクロードの建設への協力を呼びかけている。

 このように、一帯一路は、表向きには、旅行、貿易、金融、エネルギー、食糧など、主に経済面での協力関係の強化が謳われている。前記の書では、その沿線の50カ国以上が参加に応じており、中国と沿線の諸国と地区がともに、共通の地政学的な経済的富裕の発展と、経済のグローバル化の推進に向けて、いまだかつてない重大な理論が創造されたとしている。

 また、経済のグローバル化と地域経済の一体化が新たな段階に入り、中国の発展も経済が典型的な新常態に入っており、一帯一路をめぐり、中国のすべての新たな視点に立つシルクロード発展戦略学が現れ始め、様々の国内外の発展戦略の中心的な戦略となったと、その意義を述べている。

 このように一帯一路が、今後の習近平体制下における発展戦略の基本となることが明示されている。

 中国国内では、一帯一路の重点地区について、いくつも候補が挙げられているが、最も重視されているのは、西部地区、なかでも新疆である。

 中国国内では2013年末に、国家発展改革委員会と外交部が共同で、シルクロード経済帯と21世紀の海上シルクロードについて、座談会を開催し、その戦略構想に含まれる重大な意義について分析検討した。

 その際には、西部の9省市と国家の12部門の責任者が出席し、戦略構想の全般計画と枠組みの制定などの推進について研究を進めるよう提議されている。このように、早くから西部の省市が、国家レベルの一帯一路の検討会に正式参加している。

 2014年には甘粛省と外交部が共同で、シルクロード共同事業についてのアジア共同フォーラムを開催し、2012年創設時の参加国33カ国のうち、28カ国が参加した。2014年6月には、「シルクロード国際帯検討会」が新疆のウルムチ市で開催された。

 その中では、新疆が持つ、欧亜を結ぶ陸橋の核心地帯、四大文明の交流点、豊富な資源、経済社会の発展の黄金期の利用という、4つの優位性を発揮して、新疆をシルクロード経済帯の地域内の、交通、商業物流、金融、文化と科学技術、医療サービスの中心とすることが提案されている。

 なお、この検討会には、中国、ロシア、インド、カザフスタン、キルギスタン、アフガニスタン、トルコ、米国など20カ国が参加した。このように、西部の中でも新疆が陸路の経済帯の戦略拠点として重視されており、ロシア、インド、中央アジア諸国との連携が呼びかけられている。

 中国国内の一帯一路研究拠点として、中国科学院は「海上シルクロード研究基地」を北京に設立している。その研究者の間では、以下のような見解が出されている。

(1)一帯一路の構築に当たっては、経済協力と人文交流を主とし、相互交流と貿易投資の促進を優先して、利益共同体にすることを目標とする。そのため、平等の協力関係のもと、順を追い漸進的に基礎を築き、沿線国とともに通商し、共に建設し、共に成果を分かち合い、共に勝利するべきである。

(2)アジアは複雑多様であり、各国が積極的に参加する貿易自由化と地区経済の一体化の建設のためには、新しい協力の方法を創造的に推進する必要がある。

(3)今後の一帯一路の建設には、「AIIB」という基盤の上に、アジア太平洋と欧州を相互に結合し、中国とシルクロード沿線国の積極的参加および欧亜の相互交流を推進し、海上の相互交通と汎アジア・エネルギー・ネットワークを構築する必要がある。

 そのため、中国の新たな工業化と農業現代化が形成する経済力を最大限に発揮し、対外開放戦略と沿線国家との隣接・拡散効果を拡大し、陸と海のシルクロードを共に建設するべきである。

 これらの見解からは、沿線国、周辺国の積極的参加を得るために、特に欧州を終着点とし、多様なアジア諸国を陸路と海路からネットワークで結んで、通商や物流を盛んにし、貿易の自由化、さらには地域の一体化を進めようとする、習近平政権の発展戦略の意図が垣間見られる。AIIBもその資金面での基盤と位置づけられている。

 しかし、関係国が中国の意図通りに動く保証はない。陸上国境を接する大陸国は互いに領土の争奪、少数民族問題などの紛争要因を抱えている場合が多く、国境を越えた開放的な通商や物流の拡大は円滑に進むとは思われない。

 特に、冷戦時代には厳しい敵対関係にあった旧ソ連圏のロシアや中央アジア諸国、また中国に領域を侵略され軍事的圧力を受けているインドや東南アジア諸国などが、対中警戒心を捨てることはないであろう。

2 一帯一路政策の呼びかけと中国側が主張する各国の反応

 中国の一帯一路への参加の呼びかけに対し、関係国はどのように反応しているのであろうか。以下は、前記の書に述べられている、中国側が主張している各国の反応である。

 中国は、陸上では各正面の諸国と共同博覧会を開催し、貿易、投資などの促進を図っている。

 アラブ諸国とは2013年に「中国・アラブ博覧会」が開催された。31個の案件、664.1億元が成約した。中国も30億元の観光協力を締結した。投資問題解決コンサルタント委員会と投資基金の設立も合意された。これは中国にとり初の大規模な金融協力であった。

 同年には、「中国・東北アジア博覧会」が開催され、331件の投資契約が成立し、そのうち10億元以上の契約が75件に上った。「中国・欧州博覧会」も開催され、2013年に成約したのは対外貿易額56億ドル、対外経済技術協力10億ドルに上ったが、2014年は、成約額は2000億ドルを超えた。

 中国と東南アジアの間では、2012年に雲南省とASEANとの双方の貿易額は66.8億ドルに達していたが、2014年6月には、中国とASEANとの双方の投資額は1200億ドルを超えている。「中国・ASEAN博覧会」では、南寧、湛江、海口などとの一体化が進められ、ますます活気づいているとしている。

 ただし、「中国・南アジア博覧会」については、具体的な成果は紹介されていない。これら5大博覧会の多国間貿易拠点は中国の西部と東北地区に分布し、全国土の80%以上、全人口の62%を占めている。

 シルクロード経済帯は、多くの路線が伸び、扇面状に拡大し、国内外の経済協力のための縦横に通ずる、1つの幅広い陸路帯を形成している。

 これらの陸路と中国東部の海のシルクロードの沿海都市とは連接され、さらに完全な経済影響圏を形成しており、一帯一路構想全体の中で、それぞれの機能を発揮し、中国の西、北、東、南の全方位において、新しく発展する地政学的な経済的原動力をもたらしているとしている。

 一帯一路に対する国際的な反響も大きいと中国はその成果を自賛し、多くの国も共通の認識に立ち、ますます多くの国と地区が吸い寄せられ、発展の効果が強まっているとしている。

 欧州ではドイツとの協力を重視している。2014年にはドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ドイツ産業界代表団を伴い7度目の訪中を行い、成都でフォルクスワーゲンの現地工場の生産台数が70万台を達成した状況を視察し、西部の発展に極めて大きな関心を示したとしている。

 またイタリアとギリシアの首脳は訪中時、陸上と海上のシルクロードへの積極的な参加と欧州と中国の協力の橋頭堡、中継国となることを重ねて表明している。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2014年2月、この中国の提案に積極的に対応するとの意向を示し、「欧州とアジアを結ぶ鉄道と「一帯一路」はさらなる利益をもたらすであろう」との期待感を示した。中国は、ロシアの極東地区と西シベリアの鉄道は、北方草原のシルクロードに造られるとしている。

 また、キルギスタンでの中国、ロシア、モンゴル3首脳の会議では、中国のシルクロードとロシアの欧亜大陸橋とモンゴルの草原の道を互いに連接し、以下の3本の経済回廊を造ることが提起された。

 すなわち、中国と中央アジアと西欧を結ぶ経済回廊、新欧亜大陸橋の経済回廊および中国、モンゴル、ロシアを結ぶ経済回廊である。

 その際に重点とされたのは、道路輸送の利便性向上、路線開放の確保、貿易と投資の一本化、融資保障機構の設立、エネルギー保有国クラブとしての機能の発揮、構成国のエネルギー政策の調和と協力の強化であった。

 韓国も、中国とともに経済の大発展期にあり、東北アジアにおける重要な隣国であり友好国であるとして、重視している。

 中韓は、共に発展し、地域の平和的友好関係をもたらし、戦略的協力・友好関係が全面的に深まり、さらに成熟した段階に進んでいる。双方は、エネルギー、通信電子、情報関連機器の製造、環境、ハイテク、クリーンな低炭素技術などの新産業分野での協力に取り組もうとしている。

 中韓は2015年に自由貿易協定に署名し、また韓国は初めて人民元を、ドルに次いで2番目の、韓国ウォンとの直接兌換可能な通貨とした。朴槿恵大統領は中国での中韓経済貿易フォーラムの席上、一帯一路は韓国の「欧亜提案(欧亜倡議)」に相当すると表明している。

 中韓両国はアジアの重要国家、主要な世界の経済体でもあり、両国は自由貿易協定を発効し、地域経済の一体化及び欧亜提案と一帯一路の建設を連携して推進することになるとしている。

 東南アジアでは、シンガポール、マレーシア、タイが重視されている。マレーシアは友好国であり、シンガポールは中国の西南のシルクロードの終着点であるが、同時に汎アジア鉄道と東南アジアの陸のシルクロードの新しい起点となり、海上のシルクロードの交流点となる。

 タイの議会は中国の雲南に直接通ずる2本の高速鉄道に対する233億ドルの投資を批准した。なお、南シナ海での領土紛争を抱えるベトナム、フィリピンは外されている。

 南アジアでは、パキスタンが、パキスタンと中国を結ぶ経済回廊の建設と海上のシルクロードの提案の重要部分を高く評価しているとし、最重視しているが、その具体的な内容は示されていない。

 また、スリランカのラジャパクサ前大統領は、21世紀の海上シルクロードの提案に積極的に参加することを希望すると表明したことを紹介している。

 習近平主席のインド訪問に対し、インドの国家安全保障顧問が、中印の大国関係は飛躍的発展を遂げたと述べている。中印双方は、国境問題を両国関係に影響させないことを提案した。

 インドは特に、チベットが中国の領土の一部であることを重ねて表明し、中国、バングラデッシュ、ミャンマーとインドの経済回廊建設と、中国企業による鉄道建設への投資を求めることを明確に示したとしている。

 ペルシア湾岸諸国では、サウジアラビアとクウェートが一帯一路に賛意を表明し、カタール訪問時には、一帯一路は、中国とカタール両国のエネルギー源とインフラの整備のための重要な機会となることが明確にされたとしている。

3 関係国の真意と反応からみた一帯一路の成否

 以上は、いずれも相手国の良好な反応だけをとり上げており、相手国の真意は必ずしも反映されていない。

 中でもインドは、AIIBでも約1割の出資比率を割り当てられたにもかかわらず、慎重な反応にとどまっている。同様にAIIBの出資比率で優遇されたロシアの反応も、自国の利益となることへの期待感の表明であり、必ずしも積極的に参加あるいは投資する意向は示していない。

 冷戦時代から緊密な関係にあるインドとロシアは現在も、貿易、特にエネルギーや武器輸出面で緊密な協力関係が続いている。中国の一帯一路は、中央アジアへの中国の進出を重点に置いており、そのことは印露間を結んできた中央アジア正面にくさびを打ち込むことを意味している。

 特に、ロシアにとって、ソ連時代一体であった、中央アジアのカザフ、キルギスなどの諸国は、武器輸出、資源確保、その他貿易面で、今でも自国の影響圏内にあると見ている国である。

 これに対し、一帯一路では、中国は、自国の西部と連絡するインフラ整備を進め、これら中央アジア諸国に対する貿易や武器輸出を拡大することを最重視している。

 ロシアにとって、一帯一路は自国の経済圏を侵食されることを意味しており、警戒感を強めているに違いない。ロシアと中央アジア諸国の間の経済共同体として、これまでは、2000年10月に調印された、ロシア、ベラルーシ及び中央アジアの4か国からなるユーラシア経済共同体(EAEC、EurAsEC)があった。

 これに代わる新たな経済共同体として、ロシアは、自ら主導しカザフ、ベラルーシとともに、2014年5月に関税同盟、2015年1月1日には「ユーラシア経済連合」を発足させている。同連合には、アルメニア、キルギスも続いて加盟している。なお、同連合の発足とともに、EAECは自然解消された。

 2015年7月の中露首脳会談では、ユーラシア経済連合とAIIBの連携についても話し合われた。なおロシアは同年3月にAIIB参加を表明している。ウクライナ問題で欧米から経済制裁を受けているロシアとしては、中国によるユーラシア経済連合承認を条件として、AIIBに参加し一帯一路を黙認するのもやむなしと判断したと見られる。

 ユーラシア経済連合も、ウクライナのEU接近に対する自国経済圏の結束強化のみではなく、近年中国に急接近しているカザフに対する中国の進出への歯止めの意味合いも持っていると見られる。ウクライナ問題が沈静化すれば、中央アジアの経済支配権をめぐり、中露間で対立が再燃する可能性は高い。

 インドも、バングラデッシュなどこれまで自国の影響下にあった周辺国への中国の進出に警戒心を強めている。このような点から見れば、印露両国が積極的に一帯一路に乗る可能性は少なく、両国の反応もそのことを示している。

 中国の隣国モンゴルも、大統領が、「歴史的に見ても、モンゴルと中国の参加と協力は、シルクロード・プロジェクトにとり不可欠である」と述べ、鉄道の建設と天然ガスパイプライン敷設での協力を進める必要があるとされたものの、具体的な協力案件については言及されていない。

 モンゴルは世界的な資源国であるが、今では中国にモンゴル国内の資源を大量に持ち出され、中国による経済支配が強まっている。これ以上、中国とのインフラ整備を進めて、中国への資源輸出依存の経済体質を強めることに、慎重になるのは当然であろう。

 東南アジアでは、戦略的重要性を指摘されたシンガポール側が、一帯一路に積極的に賛同し、具体的案件が成立したとはされていない。スリランカでも、積極的であったマヒンダ・ラジャパクサ大統領(当時)は、親中政策を批判されて大統領選でシリセーナ前保健相に敗北している。

 このように、全般的に中国の周辺国は一帯一路の呼びかけに対し、表面的に賛意は示しても、本音では警戒心をむしろ強めていると見られる。

 それに対し、直接の利害関係を有しない遠国の、アラブ諸国や欧州諸国は、中国との経済協力関係強化に前向きである。そのことは、前述された成約案件の伸びなどからも明らかである。

 一帯一路に積極的な諸国の中でも、韓国の対中接近ぶりは突出している。また欧州では、中国は特にドイツとの関係を重視している。中国が、韓国とドイツを重視していることは、AIIBへの出資比率で両国が約4%を割り当てられていることにも表れている。

 ドイツはEU経済の中心的存在であり、中国は、一帯一路の目標となっている欧州との連携を探るうえで、ドイツとの協力関係強化がカギになると見ているのであろう。

 ドイツとしても、車両などのEU外での重要な輸出市場として、中国を重視していると見られる。ただし、ドイツは一帯一路に賛意を表した国として列挙はされていない。代わってフランスが列挙されている。

 ドイツは経済的には対中関係を重視しているが、政治的外交的には、中国の呼びかけに応じないとの姿勢を維持していると見られる。

 韓国の対中接近には、中華帝国の冊封体制に組み込まれていた歴史と、中韓両国の近年の経済発展、日米の相対的な国力低下を踏まえた、対外戦略の転換が背景にあると見られる。

 しかし、最近は中国経済も失速し、国内では事故やテロ、政争が相次ぐなど、不安定化している。このような状況を見れば、韓国の選択が誤りであった可能性も高まっている。

 中国への警戒感を捨てないロシア、インド、東南アジア、モンゴルなどの諸国は、なおのこと、一帯一路の呼びかけには今後も慎重に対応すると見られる。直接の利害関係の薄い、ドイツやアラブ諸国も、中国の今後の国内情勢の推移、経済成長を見極めたうえで、対応を決めるであろう。

 また、中央アジアや南アジアのインド周辺国は、米露印などの大国と中国との力関係の推移を見ながら、対応していくだろう。このように、習近平政権の呼びかける一帯一路の政策も、AIIBも思惑通り進む可能性はあまり期待できない考えるべきだろう。

4 一帯一路の具体的なルートとその戦略的な狙い

 2015年3月に習近平主席は、「運命共同体に向かい進み、アジアの新未来を創る」ことを呼びかけた。その中で、シルクロードの経済帯として、その重点を、以下の3つに置くことを表明している。

(1)中国から中央アジア、ロシアを経て欧州に至るルート
(2)中国から中央アジアを経て、ペルシア湾から地中海に至るルート
(3)中国から東南アジア、南アジア、インド洋を通過するルート

 また、21世紀の海上のシルクロードの重点方向として、次の2つを挙げている。

(1)中国沿海部の港湾から南シナ海を経てインドに至る航路を欧州に延伸する航路
(2)中国沿海部の港湾から南シナ海を経て南太平洋に至る航路

 陸上においては、国際的な幹線道路を利用して、

(1)新しいアジアと欧州を結ぶ大陸橋
(2)中国、モンゴル、ロシアを結ぶ経済回廊
(3)中国と中央アジアと西アジアを結ぶ経済回廊
(4)中国と中央アジアからインド半島を結ぶ経済回廊

 を共同で建設することを呼びかけた。さらに、

(5)中国とパキスタンを結ぶ経済回廊
(6)バングラディシュ、中国、インド、ビルマを結ぶ経済回廊

 の建設も呼びかけている。また海上では、重点港湾を、安全で高効率な輸送の大回廊の結節点として建設するとしている。

 積極的に同じ沿線の諸国が共同し、共に自国の貿易区を建設し、国境を越えてネット事業などの新しい業態を発展させ、旅行者を増やすために協力することも呼びかけている。
さらに、以下の中国国内の重点も、省区と都市にわたり明確に位置が示された。

(1)西北6省区と新疆はシルクロードの経済帯の核心地区に
(2)陝西省西安市は内陸型の改革開放の新高地になり
(3)蘭州と西寧は開発と開放を進め
(4)寧夏では内陸の開放型試験区建設を推進し
(5)内モンゴルはロシアとモンゴルに通ずるという立地の優位性を発揮し
(6)東北3省は、北への開放の重要な窓口となり、黒竜江省のロシアとの間の鉄道と区域内の鉄道網を完成し、黒竜江省、吉林省、遼寧省とロシアの極東地区との陸海路を連接しなければならないとしている。

(7)西南地区、広西は一帯一路につながった重要な門戸とし、大湄公河次区域を経済協力の新高地にし、南アジア、東南アジアに対する経済的影響力発散の中心となり、チベットは、国家的な国境貿易と旅行文化の協力を進めねばならない。重慶市を西部開発開放の重要拠点とし、成都、武漢、長沙、南昌、合肥などを内陸の開放型経済の高地とし、欧州に並ぶブランド品を作らねばならないとしている。

 沿海部の5省市は、福建の21世紀の海のシルクロードの中核区建設を支持し、上海、天津、寧波・舟山、広州、深圳、湛江、汕頭、青島、烟台、大連、福州、厦門、泉州、海口、三亜等の沿海都市の港湾建設を強化しなければならない。海外同胞華僑の香港、澳門特別行政区の独特の優位性の発揮と、併せて台湾の一帯一路への参加を生み出すように適切に配慮しなければならないとしている。

 以上が、一帯一路の中国国内との連接に明確に言及した発言であるが、その中で注意を要するのは、最後に挙げられた、沿海部の港湾の多くが、海軍の軍港と重なり、内陸の中心都市とされた地区も、少数民族の中心都市が多く、治安維持の要としての軍都、公安の拠点が多いことである。

 対外的には、経済面を主にした協力を表に出しているが、国内的には、少数民族の土地を再開発して漢族と外資で支配し、治安を改善するとともに国境警備や辺境防衛の態勢を有利にしようとする意図が垣間見られる。

 内陸部の都市についても、蘭州、西寧は新疆ウィグル正面、成都はチベット正面、武漢、長沙、南昌、合肥はいずれも長江流域の省都であるとともに、軍事的な戦略上の要衝でもある。長江流域からは台湾、チベット、雲南いずれの正面にも進出が容易である。東北3省は瀋陽などロシアと朝鮮半島に対する軍事的要衝でもある。

 また、海上の一帯一路の出発点とも言える、上海、天津、寧波・舟山、青島、烟台、大連はいずれも東海艦隊や北海艦隊の軍港地帯でもあり、しかも在日米軍などから海空戦力による脅威を受けやすい戦略要域でもある。

 東シナ海での一方的な日中中間線付近での海底ガス田の掘削施設の増設も、防空識別圏の設定も、これら港湾、都市群に対する日米の海空脅威に、できるだけ前方で対処するための措置ととることもできる。

 広州、深圳、湛江、三亜、海口などにも、南海艦隊の根拠地となる海軍基地群が所在する。海のシルクロード構想では、これらの港湾の重点港湾としての機能強化をうたっており、軍港の機能もそれに伴い強化されるであろう。

 またシーレーンの航行船舶を多国籍化することにより、中国沿岸部の脆弱なシーレーンへの攻撃に対する抑止力を間接的に強化しようとする狙いもあると見られる。

 現在米中間で緊張が高まっている、中国による南シナ海の岩礁埋め立てと滑走路増設の動きも、海のシルクロードを近海防御戦略に基づき、米海軍や領有権を争っている東南アジア諸国の軍事的脅威から守るために、前方に戦略拠点を推進する動きの一環と見ることができる。

 このように、東シナ海南シナ海での中国の力による現状変更の動きの背景には、中国の海のシルクロードの安全保障という、国家発展戦略がある。そのように見れば、今後も中国の力を背景とする両海空域支配拡大の動きはやまないと考えるべきだろう。

まとめ: むしろ紛争の種になりかねない一帯一路政策

 前掲書『"一帯一路": グローバルな発展のための中国の論理』によれば、ロシア、モンゴル、アフガニスタン、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、インド、サウジアラビア、フランスなどが、賛意を示したとされ、「中国国内でも国際的にも巨大な反響を呼んだ」と自賛している。

 しかし、中国が提示した各経済回廊も、見方を代えれば敵対関係になれば軍事的侵略路にもなりかねない。対中警戒心を崩していないと見られる、ロシア、インド、モンゴル、東南アジアなどの周辺国が、中国との開放的な政策を歓迎し、大規模な輸送網建設へのインフラ投資に簡単に乗り出すとは思われない。

 国内でも、少数民族はむしろ新たな漢族による支配拡大の企みとして警戒を強めると見られる。

 日本や東南アジア諸国に対する中国の海洋正面での力を背景とする現状変更の動きは、一帯一路という美名の陰に隠された戦略的意図に基づく、計算づくの行動と言えよう。

 いずれ、大陸内部でも他の海洋正面でも、同様の動きが表面化し、地域国との摩擦を引き起こす可能性がある。混迷の度を深め不安定化する中国の内政の成り行きとともに、今後注目される点である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44691


2. 2015年9月08日 14:54:26 : OO6Zlan35k
中国、8月輸出は想定ほど落ち込まず 輸入‐13.8%で予想以上の急減
[北京 8日 ロイター] - 中国税関当局が発表した8月の貿易統計では、輸出は予想ほど落ち込まなかったが、輸入は急減し、景気減速への懸念が強まった。

8月の輸出はドル建てで前年比5.5%減、市場予想は6.0%減、前月は8.3%減だった。

輸入は13.8%減で10カ月連続で減少、予想は8.2%減、7月は8.1%減だった。

輸出入とも、コモディティ価格下落や国内需要の減少を反映した。貿易収支は602億3600万ドルの黒字で、予想は482億ドルの黒字だった。

華宝信託(上海)のアナリストは「楽観的な展望は持っておらず、今年の輸出目標は達成できない可能性がある。資本流出に対応するため、年内に預金準備率の引き下げが少なくともあと3回あるだろう」との見方を示した。

人民元建てでは、輸出が前年比6.1%減、輸入は14.3%減、貿易収支は3680億3000万元の黒字だった。
http://jp.reuters.com/article/2015/09/08/china-trade-aug-idJPKCN0R80AG20150908

8月中国貿易統計、輸入が予想以上の急減:識者はこうみる
[東京 8日 ロイター] - 中国税関当局は8日、8月の中国の輸出はドル建てで前年比5.5%減、輸入は13.8%減、貿易収支は602億3600万ドルの黒字となったと発表した。輸入が急減し、景気減速への懸念が強まった。識者の見方は以下のとおり。

<キャピタル・エコノミクス(香港)のエコノミスト、 ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏>

中国の貿易のさらなる減少は同国経済の見通し悪化の証拠だと、一部で受け止められることは間違いないだろう。だが、明確な悪化とみなすのは誤解があると考えている。

今後数四半期、貿易は回復すると当社は予想する。天津の爆発事故や抗日戦勝記念式典による影響は8月でほぼ出尽くした。中国の貿易主要相手国は順調に成長しており、輸出が増加する一方、投資が上向くことで輸入も増えるだろう。

コモディティ価格は、比較対象となる昨年後半の価格が急速に下落していたため、減少率としては縮小する見通しであり、商品価格の下落による貿易額の減少は今後落ち着くはずだ。

<ANZリサーチのエコノミスト>

先月の人民元切り下げは当面、中国の輸出に大きく影響するとは思えない。元は8月に対ドルで2―3%下落したが、名目実効為替レート(NEER)は依然として非常に高水準だ。国際決済銀(BIS)のデータではNEERは7月は前年比プラス14.3%だった。

人民元切り下げ観測は引き続きあるが、大幅な貿易黒字は大規模な純資本流出が起きていないことが分かる。資本規制が有効で外貨準備も大きいことから、人民銀行は為替を望ましいレンジに維持することが可能だ。元の急落を抑制するため人民銀は市場介入しており、元は8月後半からある程度上昇した。

月内の習近平国家主席の訪米までは、元の一段の下落を抑えるため介入は続くだろう。

<中国商務省傘下シンクタンク(北京)の貿易調査責任者、LI JIAN氏>

世界経済、とくに主要国経済のパフォーマンスは予想以上に悪い。年内残り4─5カ月の状況は、上半期より悲観的なものとなる可能性がある。その主な理由は世界情勢だが、(中国の)競争力低下も一因であり、中国は輸出と輸入の構造を調整する必要がある。

人民元切り下げの輸出への影響は限定的だろう。輸出の落ち込みは需要減退が理由であり、価格が問題ではない。

<フォーキャスト(シンガポール)のエコノミスト、チェスター・リァオ氏>

輸出がわれわれの予想通り5.5%減少したことにやや失望した。国家発展改革委員会(NDRC)が、輸出は8月に大幅に改善する見通しだとしていたからだ。

中国人民銀行(中央銀行)が8月11日に人民元を切り下げた一因は輸出の弱さだが、今回のデータを受けて同様の措置が取られる可能性は低い。

人民銀の介入で外貨準備が過去最大の減少となったことが懸念され始めており、これも当局が人民元安を誘導しない要因になると予想する。

<華宝信託(上海)のアナリスト、NIE WEN氏>

輸出は予想と一致したものの、輸入はかなり弱い数字だった。輸入の落ち込みは国際商品価格の下落や内需低迷が原因だ。

また、中国の輸出は、輸入した物資を加工して再輸出する加工貿易が半分程度を占める。したがって、輸入は輸出の先行指標と言える。

輸出について、楽観的な展望は持っておらず、今年の輸出目標は達成できない可能性がある。

資本流出に対応するため、年内に預金準備率の引き下げが少なくともあと3回あるだろう。

<国都証券の株式アナリスト XIAO SHIJUN氏>

8月の貿易統計(人民元建て)はおおむね市場予想と一致した。世界的な原油安を反映し、輸入が大幅に減少した。

中国の投資家は、貿易統計から購買担当者景気指数(PMI)、鉱工業生産にいたる一連の経済指標がさえない結果となることを織り込み済みだ。もはや比較的弱い数字は気にしていない。

このため、下振れ方向で新たなサプライズがないかぎり、市場への影響は限定されるだろう。

*内容を追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/2015/09/08/instant-view-china-idJPKCN0R80A020150908

中国の8月輸出は6.1%減、米以外の需要不振で成長へ圧力強まる (1)
2015/09/08 13:24 JST
    (ブルームバーグ):中国の輸出が8月に減少し、同国の成長への圧力が強まった。
税関総署の8日の発表によると、8月の輸出は人民元建てベースで前年同月比6.1%減。7月は8.9%減少だった。輸入は同14.3%減少し、7月の8.6%減より大幅な落ち込みとなった。貿易収支は3680億元(約6兆9000億円)の黒字。
今回の貿易統計では、米国以外の世界的な需要不振が浮き彫りになった。中国当局は景気刺激策として、中国人民銀行(中央銀行)が昨年11月以降で5回目となる利下げを8月に決定し、予想外の人民元の実質切り下げも実施した。
交通銀行のマクロ経済アナリスト、劉学智氏(上海在勤)は「中国は今年の輸出の伸び率目標を達成できない見通しであり、外需からの成長支援は期待できないだろう」と指摘。「中国の人民元切り下げが輸出業者に与える効果はこれまでのところ示されていない」と指摘した。
ゴールドマン・サックス・グループの宋宇氏らアナリストは統計発表前のリポートで、天津の爆発事故でさらに悪影響が高まったとしながら、この影響は一時的なものにとどまるとの見通しを示した。
香港オフショア人民元は一時の下げから上昇に転じ、現地時間午前10時52分(日本時間同11時52分)現在、0.09%高の1ドル=6.4762元。貿易黒字が7月の2630億元から拡大したことが影響した。
原題:China Exports Slide as Tepid Demand Adds to Growth Challenges (1)(抜粋)
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:北京 Xiaoqing Pi xpi1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Malcolm Scott mscott23@bloomberg.net
更新日時: 2015/09/08 13:24 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NUC8FJ6TTDS101.html


[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

3. 2015年9月08日 14:55:16 : OO6Zlan35k

中国経済の減速は日本経済にどう影響するのか、改めて考える
2015/9/8
 東京株式市場はこのところ乱高下を繰り広げています。日経平均株価は高値と安値の差が600円以上にも上る日もあり、結構大きな値動きです。私は1日に1%以上相場が動くと結構大きく動いたと判断しますが、このところはこの比較的大きな値動きが続いています。これは上海株式市場の乱調が大きく影響しています。
 上海株式市場の動きが、日本だけでなく、世界の株価をも動かしていますが、実体経済を見ても、中国経済の影響は、日本経済にも及んでくることは避けられません。最近の中国経済の動きを見ていますと、予想以上に減速のスピードが速く、日本を含む周辺国にも悪影響が広がるのではないかと感じます。
 今後、中国経済はどのように動き、日本経済にどれだけ影響を与えていくのでしょうか。現状と先行きを分析します。
現金給与総額の伸びはマイナスに
 私は、2015年の日本経済について、年後半は比較的好調に推移するのではないかと予想していました。なぜかといいますと、「現金給与総額」の伸びが、「消費者物価指数(前年比)」の伸び率を上回り、「実質賃金」が増えると考えていたからです。

 ところが、実際はどうでしょうか。消費者物価指数は、2015年4月以降、前年比0.1%程度で推移する一方、現金給与総額の伸びは前年比0.7%に留まり、6月については同比マイナス2.5%まで落ち込んでいます。
 つまり、実質賃金はそれほど増えていないというわけです。この状況を裏付けるかのように、「消費支出2人以上世帯」を見ますと、5月は昨年の消費増税の反動から前年比4.8%まで上昇していますが、6月は同比マイナス2.0%まで減少しています。消費は今も減り続けているのです。GDPの6割弱を支える家計の消費が弱い状況が続いているのです。
>> 好調なインバウンド消費はいつまで続くのか
好調なインバウンド消費はいつまで続くのか
 もう一つ、懸念材料があります。「全国百貨店売上高」を見てください。

 意外にも、順調な様子が窺えますね。4月は前年比13.7%。これは、昨年の消費増税の反動によるものです。そして、5月は同比6.3%、6月は0.4%となっています。消費支出2人以上世帯よりいい数字が並んでいるのです。
 これは、外国人観光客による国内消費(インバウンド消費)が伸びているからです。中でも、特に中国人観光客による“爆買い”が支えているところが大きいのです。
 こうした動き自体は喜ばしいことですが、問題は、この状況がいつまで続くのかということです。インバウンド消費は今後も伸びていくと考える人が多いかもしれませんが、それは分かりません。
 皆さんもご存じのように、7月以降、上海株式が乱高下を続けているのと同時に、同国政府は人民元の切り下げを行いました。この二つの要素が、中国からの消費を冷え込ませる恐れがあるのです。
 特に、中国からの訪日観光客は、経済的にも豊かな中間層以上で占められていますので、ここで株安が起こると資産効果が失われ、中国人観光客によるインバウンド消費が急減する可能性があるのです。
 また、元安が進めば、日本製品の割安感が損なわれ、日本での爆買いが抑えられてしまうことも考えられます。
>> 早くも中国経済減速の影響が現れはじめている
早くも中国経済減速の影響が現れはじめている
 私は仕事上、全国各地を訪れていますが、最近ホテルに滞在していると、中国人の数が以前より少し減っているように感じます。もちろん、これはあくまでも私の感覚でしかありませんが、以前ほど中国人を見かけなくなったのです。
 例えば、ホテルの朝食会場が静かになりました。基本的に、中国本土からやってきた人たちは、声が大きく騒々しいので、すぐに中国人だと分かるのですが、最近は彼らの存在が目立たなくなりました。
 ただし、これはあくまでも感覚ですので、今後の百貨店売上高やホテル稼働率の数字を注視しなければなりません。7月までの数字ですと、東京や大阪のホテルの稼働率は高止まりしています。8月以降の数字に注意が必要です。
 こういった状況とあわせて、気になる記事がありました。
中国、生産調整が拡大 日立建機、工場の稼働半分に/独VW、販売落ち込み減産 減速経済、政策で下支え
 景気が減速する中国で、製造業の生産調整が本格化している。自動車や建設向けの需要が落ち込む鉄鋼の生産は今年、1980年代以降で初めて前年を下回るのが確実な情勢だ。(略)生産減は中国景気を一段と下押ししかねず、世界経済の不安要因になっている。
(2015年8月21日付 日本経済新聞朝刊)
 中国で生産が抑制されているのです。このようなことは、数年前までは全く考えられないことでした。中国経済は破竹の勢いで伸びていましたからね。
>> 消費関連の銘柄が落ち込んでいる
消費関連の銘柄が落ち込んでいる
 中国での景気が減速し、消費が落ち込み、企業の生産も抑制され、さらに景気が冷え込むというサイクルに陥りますと、中国国内の消費だけでなく、日本のインバウンド消費が増え続けるとは考えにくいでしょう。日本でも株価が急落しましたが、こういった見通しを先取りした部分もあるのではないかと感じます。特に消費関連の銘柄が落ち込んでいるからです。
 今のところ、日本のインバウンド消費が日本経済全体に与える影響はそれほど大きくありませんが、百貨店や一部のドラッグストアなどは大きな収益源となりつつあります。中国経済が脆弱になりつつあること自体が、日本だけでなく、周辺国へ悪影響を及ぼし、最終的に日本の経済を冷え込ませる大きな原因となり得る可能性が高いと私は考えています。
 本コラムでは何度かお話ししていますが、今、世界経済が全体的に脆弱になりつつあると感じます。今のところ、欧州のギリシャ危機は小康状態となり、米国経済も比較的堅調ではありますが、最終的には世界経済の動きに抗うことはできません。
 しかも、世界中が通貨安競争に突入していますから、米ドルが堅調になりますと、米国の輸出産業がさらに落ち込み、米国経済を減速させてしまう可能性もあります。
 特に心配なのは、新興国です。タイやインドネシア、アルゼンチンなどの新興国は、早くも減速し始めています。この状況が続けば、財政事情の悪い国がデフォルトを起こす可能性も高まります。このあたりの動きを、株価は織り込み始めているのではないでしょうか。
 今、中国政府は株価の下落を抑えようと必死になっていますが、再び上海株が暴落するようなことがあれば、日本経済にも影響してきます。比較的安定に推移すると思われていた年後半の日本経済が、減速傾向に陥るかもしれません。
>> 中国の「財政出動」も懸念材料に
中国の「財政出動」も懸念材料に
 中国経済の先行きについて、いくつか注意すべきポイントがあります。一つは、「財政出動」です。このまま中国経済の落ち込みが続きますと、中国政府は年後半にかけて、財政出動を行うと考えられます。
 これが、インフラなどの過剰設備をつくりだしてしまう可能性があるのです。かつて、リーマン・ショック後に世界同時不況が起こった時、中国政府は約4兆元(当時の為替レートで約56兆円)という巨額の景気刺激策を行いました。これによって、インフラ整備とともに製鉄所などの生産設備の大規模な建設が行われたわけですが、逆に供給過剰を生み続けてしまい、それが今の経済低迷に拍車をかけることになっています。
 もし、ここで中国政府が財政出動を行いますと、供給過剰を助長する可能性があります。しかも、今は世界的に経済が減速していますから、過剰設備を持ちますと、余計にデフレ傾向が進んでしまう恐れがあるのです。
 かつて中国は10%成長をしていましたから、市場は中国に大きな期待を寄せており、資金がかなり集まっていました。それが10%成長を維持していた面もありました。ところが、今は賃金が上昇し、また減速懸念が大きいですから、投資自体が抑制されています。国内の情勢も複雑ですから、投資先としてふさわしくないのではないかと考える企業が増えているのです。これも、中国の減速に拍車をかけている理由ではないでしょうか。
 今の中国は、消費地としての魅力はありますが、投資先としての魅力は激減しているのです。
>> 中国発の「激震」が起こる可能性は?
中国発の「激震」が起こる可能性は?
 もう一つのポイントは、中国発の「激震」が起こる可能性です。激震とは、一つは不動産バブルの崩壊。もう一つは、地方政府の借入金返済です。
 特に注意したいのは、後者です。地方政府の借金返済の期日が、今年末から来年にかけて続いていくと言われており、それをどのようにファイナンスしていくのかが注目されているのです。
 ファイナンス自体は、中央政府が貸せば済む話ですから、乗り切れるでしょう。ただ、それによって今まで行われてきた投資がかなり抑制される可能性があります。最近、中国の中堅鉄鋼会社が倒産したという報道を目にしますが、これも投資の抑制の影響が出たものと思われます。また、「腐敗撲滅」を過激に進めたことで、地方政府高官が投資にとても慎重になっているとの話も聞きます。これまで開発が腐敗の温床になっていたところもあるからです。
 今、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利上げをするかどうか、世界中が注目しています。予想通り、米国で利上げが始まりますと、中国だけでなく、周辺の新興国から資金が引き上げられる可能性がありますから、ますます中国の減速に拍車がかかる恐れがあります。FRBの動きからも目を離せないところです。
 現状の延長線上で、不動産バブルや株式バブルの崩壊が起こらないことを願うばかりです。
(構成=森脇早絵)
>> 本連載は、BizCOLLEGEのコンテンツを転載したものです
◇   ◇   ◇

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』(日経BP社)――絶賛発売中!
小宮コンサルタンツ facebookページ:
http://www.facebook.com/komiyaconsultants
http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/suisui_keizai/article.aspx?id=MMACl6000004092015&waad=fAS3oiky 


[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

4. 2015年9月08日 22:56:19 : hcmnoAvomH
どうやっても日本が一路一帯に参加するのは無理だから気にしなくていいよW。
少しづつしか進まないから大丈夫。肝焼きなさんなw


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民100掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民100掲示板  
次へ