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日の米雇用統計後のNYダウは272ドル安。7日以降、クジラも「救えなかった」日本株はどうなる(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
米雇用統計後の日本株はどこで下げ止まるか 鯨の実態は金魚!?市場から消えた3つの「夢」
http://toyokeizai.net/articles/-/83286
2015年09月05日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
筆者はこれまで、日経平均が1万8000円を割れると予想してきたが、残念ながら的中してしまった(前回8月23日のコラム「日経平均、現実味を増す『1万8000円割れ』などを参照http://toyokeizai.net/articles/-/81456)。ただ、当コラムの読者は、下げ相場に的確に対応したのではないかと安堵している。
■消え去った3つの根拠なき「夢」
前回のコラム直後に、日経平均はザラ場ベースで1万7714円(8月26日)、終値ベースでは1万7806円(8月25日)の安値を付けたこともあり、筆者は「いったんは調整が完了したか」と考えた。しかし、内外投資家の間に不安心理が残り、9月4日はザラ場安値1万7608円、終値1万7792円と、わずかではあるが安値を更新して週を終えている。
1万8000円割れまで下落した要因は、以下のような3つの根拠なき「夢」が破れ、消え去ったからだ。しかし夢破れた後は、「緩やかではあるが改善する日米等の経済実態」という、地道な現実に足が届きそうだ。今後、株式市況は徐々に手探りで、底値形成から持ち直しへの道を探るだろう。
破れた夢の第1は、米国株式市場の大幅調整だ。米国の経済環境の堅調さや、依然として緩和気味の金融政策から、「米国株は大崩れしないだろう」との夢を、多くの投資家はみていた。
しかし、当コラムで何度も述べたように、S&P500指数の予想PER(株価収益率)は、2006年以降、概ね12〜18倍で推移してきたが、つい最近まで17倍台後半と、上限の18倍に近い位置を続けていた(米調査機関ファクトセット調べ)。つまり、米企業の収益は堅調だが、それ以上に株価が上がり過ぎていたわけだ。さすがに割高さの無理がたたり、夢は破れた。
■株価調整進む米国、9月の利上げはあるのか
しかし、同PERは、8月25日の終値ベースの最安値時点では、15.8倍まで低下した。2006年以降の平均値である14.9倍とはまだやや差があるが、何も平均までぴったりPERが下がらなければいけないわけではなく、株価調整は概ね完了してもおかしくない。
なお、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げのタイミングが注目されている。9月4日発表の8月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数前月比が17.3万人増と20万人の大台を下回った。
しかし一方で、6月分、7月分が遡って上方修正されており、失業率は7月の5.3%から5.1%に改善、労働時間も賃金も伸びている。このため、9月のFOMC(米公開市場委員会、16〜17日)での利上げの可能性が否定できないとして、4日の米株価は大きく下落した。
実際FRB内部では、9月利上げかどうか、腹は固め切っていないだろう。ただ、FRBも市場を動揺させたいわけではないので、9月利上げの場合でも、「利上げは金融引き締めではなく、ゼロ金利という「異常」な金融政策を正常に戻すだけであり、2回目の利上げはかなり先のことになる」というメッセージを強く出して、市場に対する配慮を行なうだろう。
とすれば、4日の米国株価の下振れは、利上げの影響を懸念し過ぎであったと言える。そもそも、仮に0.25%幅利上げしたところで、大崩れするほど米国経済の足腰は弱くない。
第2は、中国では景気対策、株価対策を強力に打つから大丈夫、という夢が破れたことだ。豪州から中国向けの輸出額(豪州からの全輸出のほぼ3分の1)をみると、2013年12月がピークで、そこから長い減少が続いていた。
つまり2014年にはすでに中国経済の悪化は明白であったわけで、いまさら「チャイナショック」と言って騒いでいる人たちは、惰眠をむさぼっていたのだろう。
■中国経済は一段と悪化へ、他国への影響がカギ
筆者は、中国経済はまだ悪くなると見込む。ただし、それが日米等、他国の経済にどの程度影響するかがカギだ。米国は輸出のうち中国向けは7%程度に過ぎず、輸入の2割超が中国からだ。
つまり、米国は中国からモノを買う「お客さん」だが、中国は米国の「お客さん」ではない。中国経済が悪化しても、米国が中国向け輸出の減少で困る度合いは限定的だ。
日本の場合は、中国向け輸出が全体の18%を占める。この輸出の減少は避けがたいが、電子部品や液晶の部材などを日本から輸出し、中国で組み立てて、他国(たとえば米国など)に製品として輸出していることが多い。WTOの統計によれば、そうした電子部品など「中間財」と呼ばれるモノの中国の輸入は、全輸入の7〜8割ある。中国で組み立てた製品を中国で消費しているものもあろうが、中国で組み立てて他国に輸出している製品については、最終需要国の景気が落ちない限り、日本からの中国向け中間財輸出に影響を与えにくい。
第3は、海外株が下落しようが、日本株は上昇する、という「夢」が破れたことだ。
■「クジラ」ではなく、「金魚」だった?
日本株が逆行高する理由にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「5頭のクジラ」を挙げる人が多かったが、世界的な潮流には抗しようがなかったといえる。したがって、「5匹の金魚」くらいだと考えた方がよかろう。
とは言っても、国内の投資環境については、たとえば今期の企業増益が覆るわけでもない。日本国内の諸要因は、海外発の悪材料を跳ね返して日本株を押し上げるほどの力はないが、海外市場や為替相場が落ち着けば、日本株の再上昇をもたらすことは可能とみる。
述べてきたたように、3つの「夢」は消え去った。夢敗れた後には経済・企業収益実態という、現実が残るばかりだ。
幸いにして、現実は華やかではないが、捨てたものではない。米国の実体経済は引き続き堅調だ。日本の企業収益も、今期は2ケタ増益が見込まれている。中国経済は悪材料であり続けるが、前述の通り、日米等の景気を泥沼に引きずり込むようなものではなく、中国だけがぶくぶく沈んでいくイメージだ。
このあとの華々しい株価の暴騰はないだろう。薄皮がはげるように、現在市場を覆っている不安心理が後退することで、日経平均株価は、まず目先の底値圏を形成した後、二進一退、三進一退と、地道に上昇基調をたどると見込まれる。個別にも、全面底上げ相場は来ず、良い企業の株価は上がり、悪い企業の株価は下がるという、極めて健全な市場動向となるだろう。
このところの相場の変動が激しく、日経平均の週内変動幅(週内のザラ場最安値〜ザラ場最高値)は、8月第3週は1233円、第4週は1479円、9月第1週は1411円と、軽く1000円を超えていた。
ただし、さすがに7日からの1週間は、週末に向けて国内株式市況がやや落ち着いてくると考えている。
9月7日(月)〜11日(金)の日経平均の予想レンジは1万7500〜1万8200円と、週初に1万7500円水準を叩いたあと、徐々に持ち直しに入っていくと見込む。
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