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雑感。お金の話
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2015年09月04日 在野のアナリスト
7月毎月勤労統計が発表されました。現金給与総額は前年同月比0.6%増、実質賃金も0.3%増となり、良好な結果です。ただ家計調査との齟齬が気がかりです。家計調査では臨時収入・賞与が前年同月比、実質で11.5%増と、ボーナスが7月に後ズレした影響が顕著で、実収入も5.4%増と押し上げられた形です。しかし毎月勤労統計では、特別に支払われた給与が前年同月比0.3%増のみです。給与総額をみるとはっきりと、統計上のクセが示されますが、毎月勤労統計が367551円、家計調査が587156円。毎月勤労統計は事業者に、家計調査は2人以上の世帯に限って家計に調査をとるもので、対象に差があるとはいえ、統計上の整合がとりづらくなっています。
しかし毎月勤労統計でも、事業規模30人以上の製造業に限ってみると、給与総額が579440円、家計調査に近い数字であることが分かります。つまり家計調査は、円安の恩恵をうける製造業に勤める家計に、調査を依頼している傾向があり、さらに家計調査で消費支出が実質で0.2%も減となっていることも重ねると、円安の恩恵が国内に寄与していない。円安で稼いでいる製造業の従業員が、消費に回さない傾向もみてとれるのです。さらに毎月勤労統計で、事業規模の小さな企業の給与がほとんど増えていないように全国、全体へ波及していないことが、こうした点からも指摘できます。市場はここ数週間で、外国人投資家が今年買った分をすべて吐き出し、さらに安倍ノミクス開始以来、買ってきた分まで売ろうとしている、と指摘されます。安倍ノミクスの失敗が意識され、長期投資家まで逃げ出し始めた。これは市場にとってかなり重しとなる材料なのでしょう。
インドネシアで計画されていた高速鉄道、日中が受注競争を繰り広げる中、インドネシアは計画を白紙撤回しました。距離が短い、日中どちらに決めても禍根を残す、という以上に、インドネシアの経済不安も大きいのでしょう。中国の人民元切り下げ以後、不安定化する東南アジア経済の余波を見極めないと、大型の公共工事を発注できなくなった。この案件は様々な意味で注目していましたが、これは今後、世界の潮流となっていく動きです。そんな中、日本はAIIBに対抗するため、国際協力機構(JICA)はアジア開発銀とくんで、国際協力銀行(JBIC)もアジア向けインフラ投資を条件を緩和して拡大する、と言います。どうかしているとしか思えませんが、一度走りだしたら止まらない、行政の悪しき慣習によって、この2つは不良債権を大量に抱えこむのかもしれません。
来年度の概算要求が102兆4099億円と発表されました。国債の利払い費が2.6兆円増加する見通しですが、今の低い金利ですら、これだけ増えるのですから、仮に金利が上昇し始めると財政を著しく圧迫します。現状、この利払いは日銀からかなり還元されることにもなりますが、その日銀も今後、ETFやJ-REIT市場が変調し、債券安に見舞われれば、還元されることもなくなります。安倍政権では一貫して、財政再建には後ろ向きで、かつ成長もしていないのですから、国債の問題は日本の成長にとっても、極めて深刻な影響を及ぼしてくることでしょう。
江戸時代初期の人で、石田梅岩が「商人は買ってもらう人に自分が養われていると考え、相手を大切にして正直にすれば、大抵の場合に買い手の満足が得られます」と語っています。ずっと商家に奉公した人が感得した境地で、後に無料塾を開いて思想や経験を広めたのですが、今はこれに「企業は従業員を大切にして正直にすれば…」と、「政治家、公務員は国民を大切にして正直にすれば…」などが加わるのでしょう。日本が陥りかけている現状は『誰も幸せになれない国』です。実質賃金は上がらない、海外の市場も萎縮し、縮減するかもしれない、財政も悪化の一途、と良いところがまったくないのが現状なのです。安倍ノミクスが失敗した、その認識が世界中で共有されるかどうか、G20でも「相手を大切にして正直に」せず、ウソをつきつづけるなら、相手の満足はまったく得られない事態に陥りかねないのでしょうね。
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