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中国経済ショック、日本の不動産「爆買い」消滅か 業界を覆う深刻な停滞ムード
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11386.html
2015.09.04 文=平賀功一/e住まい探しドットコム代表、住宅コンサルタント Business Journal
リーマンショックならぬ“上海ショック”が世界の株式市場の動揺を招いている。中国がくしゃみをすると、全世界が風邪を引きかねない構図が垣間見える。
これまでも中国経済の下振れ懸念は不安視されていた。今年7月15日に公表された中国の4〜6月期実質GDP成長率は前年同期比プラス7.0%となり、かろうじて7%台を死守した。日本の同期のそれがマイナス0.4%であるのと比較すれば、格段に高い水準ではあるが、世界経済の成長エンジン(牽引役)として2ケタ成長してきた過去の水準と比べると、成長の失速は否めない。
こうした景気に対する悲観論の高まりを受け、中国の株価は下落局面へと突入した。上海総合指数は6月12日の5166ポイントをピークに、7月初旬には3割以上も急落した。1日で4%以上も下落する日もあり、手のひらを返したような暗転相場となった。そこで中国政府は株価対策に乗り出し、公的資本の市場投入や信用取引に関する規制緩和、さらに新規上場株式に対する承認の一時停止など、暴落する株価の下支えに躍起となった。
しかし、それでも反転上昇とはならず、引き続き下値を探る展開となった。そのため、8月11日には人民元の切り下げを実施し、元相場を大幅に安値誘導することで輸出促進による景気の下支えを目指そうという異例の措置に打って出た。
にもかかわらず効果は限定的で、株価への下押し圧力は強まるばかりだった。株安の連鎖は日本にも伝播し、日経平均株価は8月18日から6営業日連続で下落した。この間の値下がり幅は2800円余りとなり、あっさり1万8000円台を割り込んでしまった。米ニューヨーク株式市場ではダウ平均が週末の21日・週明けの24日と2日続けて500ドル以上も値下がりした。同時にユーロ圏にも不安の連鎖は飛び火し、中国経済の減速を背景とした「世界同時株安」が現実のものとなった。
慌てた中国政府は8月26日に追加の金融緩和を実施し、以後、一定の歯止め効果は出ているが、警戒感の払拭までには至っていない。依然、中国政府に対する不信感が根強く残っているからだ。いまだ混乱収束への不透明感はなくならない。
上海ショックに過剰反応する必要はないが、軽視するのも危険だ。08年9月に米証券業界4位のリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界金融危機のリーマンショックが勃発したとき、日本の市場関係者は「海の向こう、アメリカの話。日本の金融市場ならまだしも、日本の実体経済にまで影響を及ぼす心配はない」と誰もが楽観視していた。
しかし、その余波は全世界へと伝染し、世界恐慌と化したのは周知の通りだ。日本では多くのマンションデベロッパーが連鎖倒産し、“ドミノ倒し”と揶揄された。上海ショックが再燃・深刻化した場合、少なからず日本の住宅市場にも影響を及ぼすだろう。
では、一体どのような影響が日本のマンション市場にもたらされるのかについて、以下に独自の分析を試みることにする。
■「爆買い」は失速、様子見ムードへ
いまや「爆買い」という言葉を聞くと、誰もが中国を連想するほど旺盛な購買力を有する中国人。そのチャイナパワー(爆買い)の矛先は高級ブランド品や日本製の家電製品にとどまらず、都心のタワーマンションへも向かっている。五輪特需による将来の値上がりを見込み、湾岸マンションへの関心も根強い。
そのせいか、近年では東京の現地モデルルームを直接見ようと、中国の富裕層が不動産ツアーを組んで来日するのも珍しくない。数日間かけて販売センターを何軒か見て回り、高額マンションを即決して帰国するという。
その原動力となっているのが資産効果だ。昨年末から急上昇してきた上海総合指数は、今年6月中旬までの1年間で約2.5倍に値上がった。こうした資産効果(株式の含み益)が富裕層をマンション投資へと駆り立てている。相対的な価格の割安感や円安にも後押しされ、チャイナマネーが日本の不動産へ環流し、都心のマンション販売を下支えする。
しかし、わずか2カ月間で3割も中国株が下落すると、中国の富裕層といえどもダメージは免れない。当然、株価が下落局面へと突入すれば、その資産効果も剥落する。含み損を抱えたまま、不動産投資を続けるとは考えにくく、中国人による都心マンションの爆買いは失速する可能性が高まる。株の損失を不動産投資でリカバリー(穴埋め)しようという発想は起きないだろう。投資意欲は減退し、様子見ムードとなるのは必至だ。
■緩和マネーが株式市場に戻るか
あくまで上海ショックが再燃・深刻化した場合という前提ではあるが、爆買いがスローダウンすれば、対する日本のマンション分譲業者も販売戦略の見直しを迫られる。特に中国人を当て込んでいたような物件は、販売時期の先送りが避けられないだろう。
日本国内には相続税対策として都心のタワーマンションを買いたいという富裕層がいるため、マンションデベロッパーは値下げ販売に踏み切ってまで売り切ろうとはしないはずだ。そのため、マーケットは大口の顧客(中国人)を失い、地合い(投資環境)は停滞ムードへと突入。新規の供給数は先細りを余儀なくされるだろう。中国経済の下振れ不安が払拭されない限り、爆買いの復活は期待しにくい。
唯一、東京都心のマンション市場が負のスパイラルへ突入するのを抑止できるのが低位安定する住宅ローン金利だ。国内に目をやると「2年間で物価上昇率を2%まで引き上げる」という日本銀行の物価目標は、いまだ到達できていない。引き続き異次元の金融政策が続けられるため、住宅ローン金利が大きく上昇する可能性は低い。当面、住宅ローンの「借り手市場」は不変というわけだ。
日本同様、欧州でも緩和的な金融政策が続けられており、溢れる世界の緩和マネーが行き場(投資先)を探している。その受け皿として再び株式市場が選ばれるかが「世界同時株安」脱出のカギを握る。
震源となった中国に残された課題は、対策が後手に回った中国政府に対する失望感の回復だ。世界第2位の経済大国にふさわしい成長戦略の策定が急がれる。その成果が日本のマンション市場停滞の先行きも左右することになるのだ。
(文=平賀功一/e住まい探しドットコム代表、住宅コンサルタント)
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