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グーグル「自動運転車」の思わぬ落とし穴 〜最大の障害は"ヒト"だった!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45068
2015年09月03日(木) 小林 雅一 現代ビジネス
「生真面目な機械」と「適当な人間」は共存できるか?
グーグルが試験運転を進めている自動運転車が、人間との関係で困難にぶつかっている。自動運転車に組み込まれたプログラム(ソフトウエア)はあまりにも忠実に交通規則に従うが、その周りを走る普通のクルマのドライバー(人間)は規則を無視して運転することも少なくないので、両者の間に摩擦が生じてしまうのだ。
●"Google's Driverless Cars Run Into Problem: Cars With Drivers" The New York Times, SEPT.1, 2015
■融通が利かない機械は迷惑
上記NYTの記事によれば、そうしたケースはグーグルが最近、自動運転車の試験運転を本格化するにつれて、より深刻な問題として認識されるようになってきたという。
たとえば信号待ちの交差点で、自動運転車は対向車線のクルマがきっちり停車するのを待ち続ける。その間にそれらのクルマは、お人好しのグーグル車(自動運転車)を無視して、どんどん行ってしまうので、グーグル車はその場で立ち往生したり、後ろから別のクルマに追突されるといったケースが目立ち始めている。
高速道などにおける法定速度についても同じことが言える。大抵のドライバーは周囲のクルマの流れに合わせてアクセルを踏むので、厳密にはスピード違反になる恐れもあるが、結果的にはその方が安全だったりもする。しかし自動運転車はあくまでも法定速度で走り続けるので、周りのクルマから迷惑がられたり、悪くすると間接的に事故を引き起こす恐れもある。
たとえば自動運転車とその前を走るクルマの車間距離が空いてしまうことが多くなるので、そこに隣接する車線からの割り込みが頻発して、むしろ事故の要因になりかねない。そうなるよりは、むしろ自動運転車が「適当に」判断して速度を増したり、緩めたりしてくれる方が安全だ。
前述の交差点での問題にしても、自動運転車が「適当に」判断して、対向車線のクルマを制して進んでくれた方が安全だし効率的だ。
Ready for the Road
■「適当に」判断する機械は作れない
が、問題はこの「適当に」という判断基準を自動運転車、つまりそこに搭載されたコンピュータ・プロセッサに教え込む(プログラムする)のが容易ではないことだ。「適当に」のレベルは、人によって、あるいは国や地域や文化によっても全く異なるからだ。
さらに前述の高速道のケースのように、周囲の流れに合わせて適当にスピードを増した結果、運悪く交通警察に見つかって違反切符を切られるドライバーも少なくないのである。つまり「適当に」運転することが、必ずしも良いこととは言い切れない。
そこで近い将来、本当に安全な運転を実現したいのであれば、いっそ全てのクルマを自動運転車にして、交通システムからドライバー(人間)を排除する、という極端な考え方も出てくるだろう。そうなれば全てのクルマが交通法規を厳守し、同一の判断基準で運転するようになるので、確かに事故件数は大幅に減ることだろう。
が、そうしたやり方は一種オーウェリアン的で不気味な未来社会を連想させるし、そもそも今現在、運転好きの人が多数存在する中で、社会的な合意を得ることは、まず不可能であろう。
少なくとも当面は、自動運転車と従来のクルマ(人間)は共存せざるを得ない。今後、自動運転車の実用化に当たって、以上の点は避けて通れない問題として技術者を悩ませることになるだろう。
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