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株式市場の乱高下(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/308.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 02 日 23:38:11: igsppGRN/E9PQ
 

株式市場の乱高下
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52741061.html
2015年09月02日 在野のアナリスト


東京五輪エンブレムの問題を報じる米紙では、英語の『disgrace』をつかって『恥』とします。『shame』より屈辱的な意味合いが強く、新国立競技場の見直しから『新たな』をつけるなど、非常に辛らつです。つまり安倍ノミクス「3本の矢」から、安倍政権の施政下でおきた「3つの恥」と、今後は海外からの評価も定着しそうです。3つの恥、1つは新国立競技場、1つは東京五輪エンブレム、そしてもう1つは株価です。8月後半から、日本市場だけが異様にボラティリティーの高い展開をつづけており、ヘッジファンドから個人まで、アルゴリズム取引が浸透している米国では、稀にフラッシュクラッシュと呼ばれる急落を引き起こしたりはしますが、そうした状況でない日本が、これだけボラタイルな展開をつづけているのは先進国としては異例です。

今日の取引は、日中値幅が600円を越え、朝方の急落から急騰、小幅安までジェットコースター相場だったにも関わらず、現物株の売買代金は3兆円を割るなど、先物のぶん回しといった様相が強まっています。来週のメジャーSQにむけた思惑があるにしろ、中国株の動向を横目でみつつ、といった展開ではあるものの、この大相場の主因はやはり日本に原因があります。

言ってみれば、日本は背伸びした状態です。企業の2桁増益を市場はおりこんでいる。簡単に言えば、本当は180cmの人が、来年は成長するからといって今年の測定で背伸びして200cmと記録していた。そんな背伸びをしているから足元がぐらぐら、背伸びして、もどって、疲れて腰を屈めて、といったように上下動、振幅を大きくしてしまう市場が、現在です。

そんな企業動向を知る上で、昨日は4-6月期の法人企業統計が出てきました。業種別の売上高動向をみると、増益期待が萎むことが分かります。前年同期比では、例えば輸送用機械など6.2%増ですが、前期比では7%を越える下落幅。昨年度は右肩上がりで円安ボーナスが加算された形であり、それが1-3月期をピークとし、騰勢をつづけられなかった。今後はそのボーナスが剥落するばかりか、対ドルで120円を割る場面が増えたように、円高がマイナス面として作用しそうです。

これは円安メリットをうけてきた業種で、すべて同じ結果です。経常利益でも、実は黒田バズーカ第2弾のメリットを最大にうけた4-6月期の好調は想定済み、それが年度を通じて維持できる見込みはありません。何より売上高が落ちた影響が、今後は出てくることにもなります。

設備投資が前年同期比5.6%増、ということばかり盛んに喧伝されますが、増税の影響で手控えられた前年同期比と比べても、大した意味がありません。むしろこの1年通してみると最低額です。また今後も増加はみこめず、むしろ設備投資は今後、GDPでも重しとなっていくでしょう。何より昨年度は4-6月期を除いて9兆円を大きく越えており、その水準を超えるのは困難です。

法人企業統計の数字は、あくまで過去のものですが、市場が混乱をはじめた7-9月期以降、企業の売上高が高かった昨年を越えることは難しい。経常利益でさえ、円安ボーナスがなくなったからには、一進一退どころか、マイナスになるかもしれない。それが現状、日本の企業に対する正しい見方です。2桁増益の幻想、それにむけて一生懸命背伸びをし、株価だけを高値に誘導してきた安倍政権ですが、息切れが目立ってきた。ずっとムリして背伸びしてきた分、かがみこむ機会が今後も増えるのなら、水準感など無視した暴落がおきたとしても、決して不思議ではない。disgraceによって、discountになっても致し方ない局面に来ているのかもしれませんね。

 

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コメント
 
1. 2015年9月03日 11:52:39 : OO6Zlan35k
日銀のETF買い入れ
[2014/10/31]日本銀行は2014年10月31日の金融政策決定会合で、株価連動型上場投資信託(ETF)を年3兆円買い入れる事としました。
これは、今まで実施してきた内容の3倍の資金流入となります。
 (それ以前の内容:日本銀行は2%の「物価安定の目標」を目的として「ETF、J-REITの買入れの拡大: 資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFの保有残高が、それぞれ年間約1兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。」としています。)
REIT(リート)の買い入れについては日銀のREIT買い入れをごらんください。
 日銀のETF買い入れは住友信託銀行が実務を行っています。(以下、管理会社)
管理会社から注文を受けた証券会社は、ETFを構成する銘柄を流通市場から購入し、管理会社に持ちこみ新たなETFと交換します。
購入の際に株式市場に大量の資金で買いがはいり、その結果株価全体を押し上げるといった流れになります。
 
本日のTOPIX
計算式: 前日比(%)=(現在値(前場終値)-前日終値)÷前日終値×100

本日のTOPIX
時間 前日比 現在値 前日終値
2015-09-03 11:30 +1.81 1492.55 1465.99

 ★前場の終値の時点で前日比が+1.81%で-0.14%以下になっていないため、日銀ETFの買い入れ条件には達していません。(2015年※あくまで推測です)

 
TOPIX前日比とETF買い入れ実績の相関関係
 日銀発表のETFの買い入れ実績とTOPIX前日比(前日終値と当日前場終値の比較)との相関関係を整理してみました。
 調査期間は2010年10月〜現在 までの期間となり、 ※当日分のデータについてはTOPIX前日比が12:00頃、ETF買い入れ額については夕方の日銀発表後に反映されるため、一時的に未反映の時間帯がございますがご了承願います。

テーブル内容の全表示


ETF買い入れに対して条件(※-1%からマイナスに変更)が合致したか
日付
ETF買い入れ額 条件合致日 TOPIX前日比※1
2015-09-01(火) 337億円 ○ -2.45
2015-08-31(月) 337億円 △ -0.78
2015-08-24(月) 337億円 ○ -3.86
2015-08-21(金) 337億円 ○ -2.46
2015-08-20(木) 337億円 △ -0.94
2015-08-19(水) 337億円 △ -0.41
2015-08-18(火) 0億円 × -0.02
2015-08-13(木) 337億円 △ -0.37
2015-08-12(水) 337億円 △ -0.99
2015-08-11(火) 0億円 × -0.13
 ・・・表のデータを省略して表示中

※1TOPIX前日比は前日終値と当日前場の終値の比較です。
※2 ○が-1%以下のルールに合致した日、△がマイナスになった場合に合致した日です。×はマイナスでも買い入れが無い、もしくはプラスで買い入れがされた日です。

最近(2014年1月)はTOPIX前日比-1%という条件が成立しなくなってきているため、2013年以降のTOPIXの前日比全体の流れとETF買い入れが発動された日の相関関係を見てみます。
縦軸がTOPIX前日比、赤色が日銀によりETFの買い入れが発生した日です。
このグラフを見ると黒田総裁に変わってから-1%→-0.5%にまず条件が緩和され、9月頃から-0.5%から基本0%以下で発動、そして2015年にはいってまた少し条件が変更になり-0.14%で発動(あくまで推測)といった流れのように想像できます。


2013年1月以降のTOPIX前日比に対するETF買い入れ状況


ETF買い入れ残高(推定)
 以下の仮定をたてて、ETFの買い入れ残高の概算を推測してみました。

・ETFは日経平均連動型のETFを購入したとする。(実際の買い入れ対象は「指数連動型上場投資信託(ETF)であって、東証株価指数(TOPIX)または日経平均株価(日経225)に連動するもの。」とあるのでTOPIX連動型のETFも購入されています。 )
・購入時の価格は購入日14:00の225先物の価格とする。(※時間は購入日午後のただの決めです。)
・保有額は現在の円建てCME値と比較して算出する。保有額=(現在のCME値/購入価格)×購入額
・年間買い入れ額は約1兆円とする。(日銀政策決定会合の議事要旨では「ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300 億円に相当する ペースで増加するよう買入れを行うこと」と記載されています。)
・年間のまとめは年度(4月〜3月)ではなく1月〜12月で算出

市場名 限月 価格(円) 変化 更新時間(日本時間)
CME円建て 18255.00 55.00(0.30%) 2015-09-03 11:28

※残: 3兆円 − 年間の保有額の合計

2015年 ETF買い入れ残高(推定)

※残: 1兆円 − 年間の保有額の合計

2014年 ETF買い入れ残高(推定)


年別月毎のETF買い入れ額および保有額(推定)
月 2010年買入額 保有額 2011年買入額 保有額 2012年買入額 保有額 2013年買入額 保有額 2014年買入額 保有額 2015年買入額 保有額
1 0 0 438 776 188 410 227 390 1,104 1,290 3,443 3,640
2 0 0 141 241 0 0 238 388 989 1,237 1,322 1,377
3 0 0 1,179 2,235 262 469 574 854 949 1,190 2,464 2,344
4 0 0 552 1,055 855 1,642 1,266 1,782 696 878 2,907 2,693
5 0 0 388 733 2,382 4,940 752 956 476 614 2,170 2,010
6 0 0 201 384 789 1,712 1,574 2,211 390 468 4,431 3,969
7 0 0 221 406 204 438 744 952 720 859 2,592 2,337
8 0 0 1,732 3,435 702 1,476 1,664 2,206 1,236 1,472 3,020 2,766
9 0 0 1,561 3,307 510 1,050 1,056 1,329 438 493 337 338
10 0 0 742 1,586 314 667 917 1,180 1,323 1,582 0 0
11 0 0 492 1,053 191 394 485 622 2,280 2,425 0 0
12 284 504 356 767 0 0 1,456 1,709 2,244 2,336 0 0
残 - 9,496 - - - - - - - - - 8,526
※単位は億円
年別のETF買い入れ額および保有額の総計(推定)
年度 買い入れ額 保有額
評価額 損益
2010年 284 504 220
2011年 8,003 15,978 7,975
2012年 6,397 13,198 6,801
2013年 10,953 14,579 3,626
2014年 12,845 14,844 1,999
2015年 22,686 21,474 -1,212
総額 61,168 80,577 +19,409
※単位は億円  損益分岐点(買い入れ額=保有額となる価格)は 13,870円


ETF買い入れ時に株価が上昇する確率
よくニュースで「日銀のETF買い期待で・・・」といったフレーズをよくききますが、日銀がETF買い入れを行った日に225が実際値上がりしているかどうかは興味のあるところです。
そこで225ミニの価格を元に11:30の価格を開始価格、15:15の価格を終了時の価格として、その日の225ミニの価格が上下のどちらに推移したか調べてみました。


テーブル内容の全表示
年月 上昇した確率
(%) 上昇日 下降日 上昇時値幅
平均:最小:最大 下降時値幅
平均:最小:最大
2015/09 0 0 1 0: 0: 0 -330: -330: -330
2015/08 33 4 8 100: 40: 160 -141: -50: -380
2015/07 50 5 5 125: 10: 265 -101: -15: -410
2015/06 54 7 6 66: 25: 135 -113: -5: -245
2015/05 75 6 2 94: 45: 160 -103: -90: -115
まとめ 日銀がETFを購入した日に株価が上昇する確率は 46.97 %です。。。


ETF買い入れ時の日経225先物(mini)の動き
日銀がETF買い入れを行った日の直近の4日分の日経225先物(mini)のチャートを載せておきます。
太いローソク足が前日までの日足、細いローソク足が当日の60分足です。
2015-09-01(火)
2015-08-31(月)
2015-08-24(月)
2015-08-21(金)
ETF買い入れ実績確認先
 日銀ETFの買い入れ実績は日銀 買入結果で確認できます。
 ※2014年4月からURLが変更になりました。

 日銀のHP
 統計→
 日本銀行関連統計 金融市場調節関連 オペレーション→
 日時公表分 公表データ→
 指数連動型投資信託受益権(ETF)および不動産投資信託投資口(J-REIT)の買入結果

ETF買い入れの推移
ETF買い入れ条件[2015/8/14]
 ETFの買い入れ条件について最近はTOPIX前日比がマイナスでは発動していないのでは?というご指摘が何名かの方からございました。
最近のデータを確認してみると、7/3,8/11 -0.13%→発動せず 7/24 -0.14%→発動となっているデータがでているため、ここらへんあたりが分岐点になっているようにも推測できます。

TOPIX前日比と関連性の無いETF買い入れの実施[2014/12/8-12/10]
 12/14日に実施される衆院選まではかなり強引にETFを買ってくるとは思いましたが、さすがに前日比プラスでのETF買い入れは予想外でした。
当日朝に発表された2014年7-9月期のGDP改定値が、実質ベースで前期比の0.5%減、年率換算で1.9%減となり、速報値から下方修正されたのがかなりのインパクトだったようですね。
選挙まではかなり無理やりやりそうですが、無条件に買い入れをする理由がない限り、あくまで今回は特別ではないかと個人的に思っています。
 念のため、新規に日銀の買い入れ対象となったJPX日経インデックス400での判定に変更されていないかをチェックしましたがこちらも前日終値と前場終値の比較はプラスになっており、関連性は今のところなさそうです。
 12/10は、逆にマイナスにも係わらずETFの買い入れは行われませんでした。今後も注意が必要です。

「量的・質的金融緩和」の拡大[2014/11/5]
 ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。新たにJPX日経400に連動するETFを買入れの対象に加える。
引用元:日銀 2%の「物価安定の目標」


 発表後の一回目の買い入れ額(2014/11/5)が380億円と約3倍になっており、今までの傾向から同月内の買取り額は変化しない(月頭の打合せあたりで決めているような印象)ため、11月は380億円で買い入れが実施される事になるでしょう。また、黒田総裁の発言から考えて消費税増税までは TOPIX前日比はマイナスになれば発動といったところでしょうか。

ETF関連ニュースの注意点[2014/10/5]
 2014/8/4〜2014/8/8の5日連続で日銀のETF買い入れが実施されました。主要なニュースメディアでも取り上げられていましたが、ニュースタイトルが少し気になったため整理しておきます。

・ロイター 「日銀がETFを4日連続買い入れ、計576億円 過去最長に並ぶ」←事実
・WSJ 「日銀、ETF買い入れペースを加速」←事実だがミスリード

 あくまで管理人の推測でしかありませんが、単に相場が5日連続(※ニュース発表時は4日)で悪くTOPIX前日比がマイナスをつけただけであり、日銀のETF買い入れの条件は8月時点では変更はなかった事はその後のETF買い入れ実績からも明白です。
WSJのニュースタイトルだけを見て早合点をして、ポジティブなイメージを持たず、内容をよく確認したほうがよいですね。

日銀 1%ルールの緩和か?[2013/4/15]
  日銀黒田新総裁の元、TOPIX前日比が-1%に満たないにも関わらずETF買い入れが実施されました。それ以降、日銀内部での条件が緩和され-1%に満たない場合でも買い入れが継続されて実施されてます。
 年間の買い入れ枠は1兆円で変化はありませんが、全体的に一回あたりの金額が抑えられ、その分こまめに実施されている傾向がでています。

日銀の1%ルール[2011/6/19]
 「日銀の1%ルール」――。日銀が昨年12月15日に指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れという異例の政策を始めてからほぼ半年、株式市場でこんな言葉が聞かれるようになった。東証株価指数(TOPIX)の前場終値が前日比1%超下がると、午後にETF購入による株価下支えが実施されるというのだ。
 2011/06/19の日本経済新聞 より

ページ更新日:2015/09/03
http://tradememo.biz/pub/etf

[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

2. 2015年9月03日 18:55:55 : OO6Zlan35k
日銀、追加緩和の公算小さい−物価基調の改善を意識
By TAKASHI NAKAMICHI
2015 年 9 月 3 日 00:07 JST

 【東京】最近のさえない経済指標で、日本銀行の追加緩和観測が再び強まっている。だが日銀に近い複数の関係者は、追加緩和の必要性が高まってはいないとの見方を示した。

 日本経済は4-6月期にマイナス成長に沈み、一部のエコノミストは7-9月期でリセッション(景気後退)に入る恐れがあるとみている。2年間上昇を続けていたコアの消費者物価指数(CPI)は7月に上昇率ゼロに低下し、原油価格の下落を考慮すると物価の急激な回復はなさそうな状況だ。

 日銀は昨年10月、予想外の追加緩和を決定した。この決定には、国際原油価格がそれ以前の数カ月間でほぼ半値になり、壊れやすい日本のインフレ期待に影響が及ぶという恐れが背景にあった。日銀はこの追加緩和をインフレ低下観測を防ぐための「予防的」な措置だと表現した。

 だが関係者によると、最近の国際原油価格の下落幅が昨年に比べはるかに小さいことから、一部の日銀幹部はインフレ期待に対する懸念はいまやそれほどでもないと考えている。

 関係者の1人は「期待インフレ率への不安が高まっている状況ではない」と述べた。

 労働市場が改善し、緩やかとはいえ賃金の伸びも加速しているため、物価の基調的な動きは昨年よりもしっかりしていることが示唆されるという。

 7月の失業率は3.3%で、昨年7-9月期の平均である3.6%よりも低い。同月の有効求人倍率は1.21倍だった。100人の求職者に対して121件の求人がある計算で、過去20年間で最高に上った。関係者は高齢者介護や2020年東京五輪に向けたインフラ建設で強い求人需要があることを挙げ、労働市場の改善は続く公算が大きいとみている。

 コアCPIの上昇率がゼロに低下したことについては、原油安の効果が時間差で表れ、膨らみつつあるインフレ期待を覆い隠しているとして、重視しない姿勢を示した。

 関係者によると、日銀にとってより重要なのは、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)だ。この「コアコアCPI」は5月と6月に前年同月比でいずれも0.7%上昇し、7月はさらに上昇率が加速したもようだ。また最近の統計から加工食品や生活必需品で企業の値上げ姿勢が見てとれるという。

 日銀内での強気見通しにもかかわらず、追加緩和に対する臆測は続く公算が大きい。昨年10月の追加緩和も、日銀から低迷する経済について同様に楽観的な発言が続いていたのに実施が決まったという経緯があるためだ。エコノミストの多くは、実体経済が年初に日銀が示したバラ色の見通しから外れたとみなしている。

 

木内日銀委員:短期に物価2%達成目指すと円安で経済不安定に−会見
2015/09/03 16:34 JST

    (ブルームバーグ):日本銀行の木内登英審議委員は3日午後、青森市内で会見し、日銀の目標である物価2%を短期的に達成しようとすると、「無理に景気を過熱させるとか、あるいは円安を通じたコストアップ型の物価上昇になってしまって、むしろ経済の安定を損ねてしまう」と述べた。

木内氏は「われわれの目標は物価を上げることではなく、実体経済を改善させて、人々の生活を良くすることなので、無理に物価だけに焦点を当てた政策は本末転倒というか、国民の生活の改善にマイナスに働く可能性もある」と語った。

黒田東彦総裁が主導する期待に働きかける手法についても、量的・質的金融緩和の導入から「既に2年、2年半経って、果たして期待に働きかけるメッセージがどれほど重要性があるのか」と疑問を呈した。「むしろ消費にマイナスの面も出てきている。一時的には期待への影響を配慮することは否定しないが、持続的には期待に影響を与え続けるのは難しい」と述べた。

木内氏は4月8日の金融政策決定会合以降、6会合連続で、「マネタリーベース及び長期国債保有残高が年間約45兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節及び資産買い入れを行う」「資産買い入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続する」との議案を提出したが、1対8で否決され続けている。

円安は地方ではマイナス大きい可能性も

木内氏は3日に青森市内で開いた金融経済懇談会で、「『日本経済といっても格差が大きい。円安にしても、都市ではプラスの方が大きいかもしれないが、地方ではマイナス面も大きい。金融政策を運営する上でも、大都市と地方の格差、あるいは大企業と中小企業の格差に十分配慮した政策運営をしてほしい』というご意見があった。私もその通りだと思う」と述べた。

その上で、「金融政策を運営する上で、特に量的・質的緩和が長期化する中でいろいろな副作用があって、たとえば円安についても、大都市より地方でマイナス面、副作用が大きく出やすいという可能性があるので、それに十分配慮した政策運営を心がけたいと申し上げた」と述べた。

中国発で世界的に株価が不安定になっていることについては、「中国経済が世界経済の大きなリスクであること、それに対して中国の当局が政策対応でうまく対応できるのかに対する心配が浮上している」と指摘。

その上で、「中国経済、そして世界経済が急激に悪化しているということはない。中国の金融市場は世界とはやや遊離、隔離されている部分が依然としてあるので、中国発の世界的な金融危機はなかなか起こりにくい」と述べた。

日本経済への影響については「既に今の時点で日本経済の下方リスクになってきている。日本経済全体としては4−6月にマイナス成長になり、7−9月は持ち直してはいるが、あまり強くない。非常にさえない動きを続けている。中国などを中心とする輸出環境の悪化と、一部は値上げ懸念による消費の弱さが景気の足を引っ張っている部分がある」と語った。

一方で、「過去の金融緩和の累積された効果もあるので、これらがややバランスする形で経済の安定が大きく損なわれるということにはならない」との見方を示した。

追加緩和の効果に疑問

金融政策運営については「量的・質的緩和の効果はかなり逓減しているので、仮に国債の買い入れを増やす、マネタリーベースを増やしたからといって、追加的な効果がどれだけあるのか、非常に疑問である」と指摘。

「もちろん、必要であればいろいろな対応はあるが、必ずしも量的・質的緩和の方針を変更するというだけではなくて、一時的に流動性を拡大するとか、政策手段はほかにもある」と述べた。

さらに、「景気の下振れに対して量的・質的緩和を強化するのは、たとえば1つの問題点として、グローバルに金融危機のような状況になったとき、おそらく金融機関は安全資産にお金をシフトさせるので、国債の需要が非常に増える。そのときにわれわれがもっと国債を買うと、国債の需給がさらにひっ迫し、国債の買い入れという今の政策の持続性がさらに落ちてしまう」と指摘。

「それが行き詰れば金融市場が大きく混乱してしまう。そういうことを考えると、単純に中国発の足元の景気の下振れに対して今の政策をさらに強化していくということは妥当ではない」と語った。

市場の反応を恐れて動かないのは無責任

木内氏は「今の政策を永遠に続けることはできない。国債を永遠に買い続けることはできない。いずれは正常化に向かわなければならない。今の政策は、方針を変えなければどんどん買い続ける政策で、どんどん国債を蓄積していく政策だ。そうすると、続ければ続けるほど正常化に向かうときの金融市場の変動のリスクは高まる」と指摘。

「今の時点で政策変更をしないほうが、今の時点では波風が立たなくてよいが、それは無責任ではないか。中長期の立場から経済・物価の安定を確保できる政策運営を確保する必要がある。現状、政策効果が大きく出ているなら考え方が違うかもしれないが、政策効果が大きく逓減している中で、市場の混乱を抑えることを大きな目的として政策を維持するというのは本末転倒ではないか」と語った。

関連ニュースと情報:
7月の消費者物価は横ばい、予想は上回る−原油下落で下押し続く (1)
日銀総裁:追加緩和なしで2%物価目標の達成は可能−NYで講演
インフレ期待の低下が黒田日銀の頭痛の種に、昨年10月と状況が類似
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記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 上野英治郎
更新日時: 2015/09/03 16:34 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NU2XNE6S972L01.html


中国発の金融危機起こらない、買い入れ減額は妥当=木内委員

[青森市 3日 ロイター] - 日銀の木内登英審議委員は3日午後、青森市で記者会見し、国際金融市場の急変は、中国当局の政策対応能力が懸念されているためと指摘した。しかし中国発の世界的な金融危機が発生する可能性は少ないとし、日銀の追加緩和は効果が限定的と強調。

国債買い入れ額を現在の年80兆円(残高ベース)から45兆円に減額する従来提案を続けるのが妥当と言い切った。

木内氏は「中国の金融市場は世界からやや乖離(かいり)している」ほか、「世界的に金融緩和状態が続いている」ことを理由に、「中国発の世界的な金融危機はなかなか起こらない」との見解を示した。

同時に「世界の株式市場が中国市場と連動して不安定化しているのは、中国が世界経済に大きなリスクだから」と指摘。「中国当局が政策でリスクを軽減できるか、との心配が浮上している」と解説した。中国当局が構造改革と両立した形で景気対策を打ち出せば「市場の信頼を回復する」と述べた。

米利上げ判断をめぐっては「米国が新興国への影響を通じた自国への影響も考慮して判断する」と述べた。利上げが実施されても「すでに市場で十分予見されているため、日本への影響は大きくない」との見解も示した。

中国経済の影響で「今の時点、日本経済に下方リスクがある」と指摘したが、現行の「量的・質的緩和(QQE)」は「1─2年先ではなく、10─20年先の副作用を考慮する必要がある政策」だとして、「緩和強化との発想には私はならない」と言い切った。

理由として「QQEの効果自体はかなりてい減しており、追加的な買い入れ増額の効果は限定的」と説明した。

仮に「グローバルな金融危機となれば、金融機関は安全資産にシフトし国債の需要が非常に増え、日銀の増額で国債需給がさらにひっ迫。QQE政策の持続性がさらに落ちてしまう」との懸念を挙げた。

2013年に米国が緩和縮小を打ち出した際、「新興国市場に大きな影響を与えたが、米市場は早期に回復した」と指摘。日銀が国債買い入れの減額に踏み出しても、市場への影響は限定的との見方を強調した。

*内容を追加します。

(竹本能文 編集:内田慎一)

中国人民銀行、ネット金融の指針公表
国の借金、6月末に過去最大1057兆円=財務省
コラム:中国の利下げが発する危険なシグナル
中国の6月新築住宅価格、前月比で2カ月連続上昇
米9月利上げ論再び、FRB当局者が可能性排除しない立場鮮明に
http://jp.reuters.com/article/2015/09/03/boj-china-idJPKCN0R30FQ20150903?sp=true


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3. 2015年9月03日 18:57:31 : OO6Zlan35k

アングル:8月米雇用統計に上方改定の傾向、利上げ判断厄介に
[ワシントン 2日 ロイター] - 8月の米雇用統計は過去10年間、ほぼ毎回速報値から上方改定されている。米連邦準備理事会(FRB)は9月に利上げを開始するかどうかの判断で8月統計を重視する構えだが、見極めが難しくなりそうだ。

FRBは7月、利上げには雇用市場の「もう一段の」改善が必要だとの認識を示した。4日発表の8月統計は9月16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)前に発表される最後の雇用統計となる。

しかし、雇用主による質問票の提出が遅れたり、当局が季節要因を再推計したりする関係で、雇用統計も他の経済指標と同様に後の改定を免れない。

ロイターの分析によると、2005年から14年にかけて、8月の雇用統計速報はその後2カ月間に発表される改定値との比較で見て、最も低く出ていたことが分かった。非農業部門就業者数は平均5万8000人上方改定されており、下方改定されたのは05年と08年の2回にとどまった。

ロイター調査によると、4日発表の8月の就業者数は市場予想が22万人増で、ここ数カ月の実績とほぼ同じ増加幅になると予想されている。これを大幅に下回れば、9月利上げ観測は急速に後退するだろう。

ウニクレディト(ニューヨーク)のエコノミスト、ハーム・バンドホルツ氏は「8月分が予想を下回る可能性は、上回る可能性よりずっと大きそうだ」と言う。

労働省も8月統計が上方改定される傾向にあることを認めている。

雇用統計の発表元である労働統計局(BLS)のエコノミスト、ジョン・マリンズ氏は電子メールで、さまざまな産業分野で改定が見られるが、季節変動の激しいセクターでの改定が最も多いと説明した。

当局にとって一番の問題は、季節要因が常に変化することだ。マリンズ氏によると、教育セクターの季節調整は「多くの学校が秋の始業日を変えることで季節性が移動するため、8月は特に厄介だ」という。

マリンズ氏は8月分が上方改定される傾向にある理由については言及しなかった。

先の景気後退以来、8月以外の月についても上方改定の傾向が強まっている。

2007─09年の景気後退を経て労働市場が持ち直し始めた2010年以来、4月と6月を除くすべての月で平均すると上方改定が行われてきた。

対照的に景気後退期には、ほぼすべての月で平均すると下方改定が見られた。

景気循環が改定の方向性に影響する理由は不明だが、8月は景気後退期とその後の時期を通じて、おおむね上方改定が行われる数少ない月の一つとなっている。

(Jason Lange記者)
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FRBの年内利上げ観測、米経済の強さの表れ=SF地区連銀総裁
米国株は大幅続落、ダウ1万7000ドル割れ 世界経済への懸念で
アングル:ドイツ、対中輸出の強さ裏目に 中国経済失速で退潮鮮明
米利上げ前に指標見極め必要、ギリシャ危機を懸念=FOMC議事要旨
テニス=全米オープン、錦織は自己最高の第4シード
http://jp.reuters.com/article/2015/09/03/us-jobs-data-idJPKCN0R30HE20150903?sp=true

ユーロ圏:8月に景気回復のペース速まる−フランス後れ取る
2015/09/03 18:04 JST

  (ブルームバーグ):ユーロ圏では8月にサービス業と製造業の活動が拡大し、景気回復が進んでいる状況が示された。経済規模が大きいドイツとフランス、イタリア、スペインの4カ国では、フランスだけが予想を下回った。マークイット・エコノミクスが3日発表した指標で明らかになった。

それによると、製造業とサービス業を合わせた8月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI )改定値は54.3と、前月の53.9から上昇し、2011年5月以来の高水準に達した。先月21日公表の速報値(54.1)から上方修正された。同指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目。

特に第3次ギリシャ救済プログラムがまとまり同国のユーロ圏残留が確定して以降、域内の景気回復への信頼感は高まっている。とはいえ、中国経済減速や金融市場の再混乱が成長を脅かした側面もある。

マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ここ数週間で世界経済への懸念は強まったものの、Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)懸念が薄れたことでユーロ圏全体のビジネス環境が改善された」と指摘。その上で、「当局者に自己満足している余裕はほとんどない。新興国市場の成長鈍化と最近の金融市場のボラティリティ、ユーロ高が向こう数カ月の経済パフォーマンスに打撃を与える可能性はある」と分析した。

ウィリアムソン氏によれば、PMI指数は7−9月(第3四半期)の経済成長率が0.4%に近い状況を示している。4大経済大国の中ではスペインの拡大ペースが最も速く、ドイツとイタリアでもより力強い活動が確認された。一方、フランスの指数はほぼ停滞に近い状況を示した。

原題:Euro-Area Recovery Gathers Speed With Only France as Laggard(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Jana Randow jrandow@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net; Jeff Black jblack25@bloomberg.net; Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net
更新日時: 2015/09/03 18:04 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NU3EEI6S972K01.html

ゴールドマンは1年後のユーロの1ドル割れ予想堅持−弱気派後退でも
2015/09/03 17:30 JST

    (ブルームバーグ):このところのユーロ上昇で同通貨がドルとパリティ(等価)に達するとの予想を棚上げしたアナリストも多いが、ゴールドマン・サックス・グループは引き続きユーロの1ドル割れを見込んでいる。

ゴールドマンは向こう1年にユーロが1ユーロ=0.95ドルまで下落すると予想。リスク回避志向が収まれば2017年末には0.80ドルにも達するとみている。一方で、ブルームバーグがまとめた市場の予想中央値によれば、ユーロの今年末時点の水準は1.07ドル。この見通しは過去1カ月で0.02ドル上方修正された。

ゴールドマンのチーフ通貨ストラテジスト、ロビン・ブルックス氏と他の同社アナリストらは8月24日のリポートで、中国の人民元切り下げに端を発した混乱で投資家がキャリートレードを巻き戻したことでユーロが上昇したが、このリスク回避によるユーロ反発は短期にとどまる公算が大きいと記述した。

欧州中央銀行(ECB)は3日に政策委員会を開く。エコノミストらは追加措置が打ち出される公算は低いとみているが、量的緩和(QE)プログラムに関するドラギ総裁の発言が注目される。

1兆1000億ユーロ規模のQEプログラムは少なくとも2016年9月まで継続されることになっている。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のシニア市場ストラテジスト、マンスール・モヒウディン氏は「ECBが少なくともあと1年は紙幣を印刷し続けるのだから、パリティが試されるリスクは明らかにある」と述べた。

ロンドン時間3日午前8時25分現在は1ユーロ=1.1230ドル。8月24日に7カ月ぶり高値の1.1714ドルを付けた。

原題:Euro Bears Tamed Even as Goldman Sachs Sees Drop to Parity (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Netty Ismail nismail3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net
更新日時: 2015/09/03 17:30 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NU3CGF6S972B01.html


 

スウェーデン中銀:政策金利を過去最低に据え置き−デフレ脱却の兆し
2015/09/03 17:36 JST 
    (ブルームバーグ):スウェーデン中央銀行は3日、政策金利を過去最低に据え置くことを決めた。前例のない金融刺激によって同国経済がデフレを脱しつつある兆候が出ているためだ。
中銀は政策金利であるレポ金利をマイナス0.35%に維持した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト16人の予想中央値とも一致した。中銀は今年の国債購入プログラムの規模も1350億クローナ (約2兆円)に据え置いた。
原題:Sweden Keeps Rate Unchanged at a Record Low in Inflation Bet (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ストックホルム Amanda Billner abillner@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jonas Bergman jbergman@bloomberg.net
更新日時: 2015/09/03 17:36 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NU3CT36S972J01.html

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4. 2015年9月03日 19:03:54 : OO6Zlan35k
9月のECB定例理事会、5つの注目点
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁 ENLARGE
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁 PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By BRIAN BLACKSTONE
2015 年 9 月 3 日 14:46 JST

 欧州中央銀行(ECB)にとって今は、刺激策のペースについて抑制を解除すべき時期なのだろうか。

 3日の定例理事会に向けては、これが重要な問題となっている。ECBは3月以降、月額約600億ユーロ(約8兆1000億円)相当の各種債券(主に国債)を購入している。この債券購入プログラム、いわゆる量的緩和策(QE)は少なくとも2016年9月までは継続されることとなっている。

 エコノミストらは最近まで、ECBがこの計画を着実に進め、購入拡大についての議論は来年まで出てこないと見込んでいた。

 ところが、金融市場の混乱と中国問題(そして原油価格の下落)のため、こうした日程は前倒しされている。ユーロ圏のインフレ率は8月、前年比0.2%となり、ECBが目標としている2%弱を大きく下回った。同月は原油急落の影響がまだ浸透していなかったことを考えると、今後何カ月か消費者物価は超低空飛行を続けるだろう。

 ユーロ圏の経済指標が回復(緩慢だとはいえ)の継続を示唆しているため、ECBはある程度安心している可能性がある。企業や家計向け融資は回復し、失業率は低下している。

 以下は、3日のECB定例理事会に関する5つの注目点だ。

 1. 状況の変化

 ドラギ総裁が前回、7月16日に行った会見の主役は、他の欧州諸国との債務交渉でいちかばちかの賭けを繰り返すギリシャの問題だった。以来、状況は大きく変わった。いま総裁が対処を迫られているのは、中国の成長減速、最近のユーロ高、商品(コモディティー)価格の下落であり、このいずれもが、今後数カ月間ユーロ圏のインフレ率がゼロ近辺で推移することを示唆している。

 2. ECBスタッフ見通し

 ECBスタッフによる経済・インフレ見通しは、総裁会見に対する補完となる場合が多い。今回は2017年のインフレ見通しを中心にいつにも増して重要性が高い。6月発表された前回見通しでは1.8%とされていた。これが大幅に下方修正されていれば、ドラギ総裁は追加緩和策を実施しない理由の説明を迫られるだろう。

 3. シグナリング

 ECBが新たな刺激策を講じない場合は、将来の方策についてドラギ総裁が示すヒントが重要になるだろう。JPモルガン・チェースのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は調査報告で、「ドラギ総裁は、インフレについて下ぶれリスクへ変化しているとの見方を示したうえで、ECBが行動するにあたっての能力やその意向を強調することになるだろう」と指摘する。

 一つの方法として考えられるのは、QEの終了時期を当初予定の2016年9月以降に先送りするとか、購入対象の債券に新たな種類を加えるといった形で、最終的にECBがQEの規模を月額600億ユーロから引き上げられるようにすることだ。

ユーロは対ドルで大幅に下落した ENLARGE
ユーロは対ドルで大幅に下落した PHOTO: PHILIPPE HUGUEN/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 4. ユーロの状況

 約1年前に決定されたECBのQEにより、ユーロは大幅に減価した。通常、通貨下落は輸出やインフレを押し上げる。ユーロ相場は今年3月のQE開始後、昨年9月の1.31ドル超から1.05ドルまで下落したが、このところの市場の混乱を受け、8月下旬には1.16ドル前後まで戻した。ただ、その後は再度軟化している。

 中央銀行関係者は、為替レートに関する発言を控えるのが普通だが、3日の記者会見はドラギ総裁にとって、年内利上げを視野に入れる米連邦準備制度理事会(FRB)と緩和策を続けているECBの違いを強調する機会となるだろう。

今回はギリシャ問題が主役ではない ENLARGE
今回はギリシャ問題が主役ではない PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 5. ギリシャ問題

 今回の理事会でギリシャ問題が重要議題になったり会見で話題の中心となったりすることはまずないだろう。ただ、ギリシャは今月総選挙を控えている。世論調査によると接戦が予想されており、政治的不透明感が再度台頭する恐れもあるため、総裁がこの問題を扱わずに済むのは今回だけかもしれない。

米国の金融機関、健全性が回復

DAVID REILLY
2015 年 9 月 3 日 13:08 JST
 世界で続く株式市場の動揺は、過去の金融危機ほど深刻でないにせよ、当時の不愉快な記憶をよみがえらせた。だが、当時と今で大きく異なる点が一つある。それは、米国の銀行の健全性を心配する必要はないとみられることだ。
 米銀の健全さは、米連邦預金保険公社(FDIC)が2日発表した4-6月期の報告書が示している。金融機関は、超低金利が依然として重荷となる中、資本や信用の質などの点で堅調さを維持している。
 FDICに加盟する米国の商業銀行と貯蓄金融機関のうち、4-6月期に破綻したのは一つだけだ。FDICによると、加盟金融機関が破綻したのは2007年10-12月期以来初。今回の報告書は、市場の動揺が始まる前の経営状態を示したものだが、それでも、米銀が金融危機から立ち直り、問題に対処するだけの豊富な資金を確保していることが分かる。
ENLARGE
米商業銀行の融資残高の推移(四半期ベース、前年同期比)
 報告書によると、米銀が4-6月期に計上した総利益は前年同期比7.3%増となる一方、融資残高は5.6%伸びた。同残高は、過去5四半期のうち4四半期で5%を超える伸びを記録したことになる。
 さらに、4主要融資部門(商業用不動産、住宅、事業、消費者)のいずれもが2期連続で残高を伸ばした。2期連続の増加は、08年初頭以降初めて。
 融資残高が増えれば引当金増加は避けられないが、住宅ローン向けを含めた信用の質は改善している。銀行の純貸倒償却額は、06年秋以降の最低にまで低下した。
 気になるのは、利ざや、つまり貸出金利と借入金利の差が縮小したままということだ。これは超低金利によるものであり、下押し圧力はすぐには弱まりそうにない。
 ただ、たとえ市場が荒れた場合であっても、こうした圧力なら銀行、そして投資家はなんとか耐えることができる。
http://jp.wsj.com/articles/SB10327460236075474355904581209762429168104 

インドで大規模な労働者のストライキ
 インドで2日、全国規模の労働者によるストが実施された。一部の地域では交通が乱れ、銀行が閉鎖された。国営銀行、工場、運輸分野で働く数百万人の労働者は、最低賃金の引き上げを求めて大規模なストを行った。
2015 年 9 月 3 日 14:20 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB12096842380967064583604581209772351086158?mod=wsj_nview_latest



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