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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第139回 エアコン経済(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/307.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 02 日 21:41:05: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第139回 エアコン経済
http://wjn.jp/article/detail/2717068/
週刊実話 2015年9月10日号


 1年前の今ごろ、政府が経済の低迷についていかに「言い訳」をしていたか覚えておいでだろうか。

 筆者らが散々に警告したにもかかわらず、消費税の増税を経て日本の国民経済は“ガケ”に突っ込んだ。4〜6月期の実質GDPの対前期比▲1.9%という結果を受け、日本政府は当初は「V字回復する」と強気の姿勢を崩そうとしなかった。

 その後、いつまでたっても景気は好転する気配がなく、政府は「天候のせいだ」「自然災害(台風)のせいだ」と、子供でも“嘘”と分かりそうな言い訳を繰り返していたわけである。

 8月17日。'15年4〜6月期の経済成長率が発表になったのだが、予想通り対前期比▲0.4%と、マイナス成長に終わった。特に、個人消費(GDP上の民間最終消費支出)が対前期比▲0.8%と大幅な落ち込みになったのだが、これを受けて甘利経済再生担当大臣が「先月から今月にかけては真夏日が続き、エアコンの需要も伸びているので、個人消費が回復する見込みはかなりあると思う」と発言。

 筆者は知らなかった。わが国の国民経済は、エアコン需要に左右されるそうである。まさか、日本経済がエアコン経済だったとは。

 もちろん、甘利大臣が思い付いたレトリックではなく、官僚の創作なのだろうが、国民はとことんバカにされている。エアコンが売れなかったからマイナス成長。分かりやすいことこの上ない。そして、分かりやすいが正しくない。

 筆者は別に甘利大臣を揶揄したくて、本稿を書いているわけではない。経済成長率がマイナスになったならば「原因」を追究し、「対策」を講じるべき。と、ごく当たり前のことを言いたいだけだ。

 今回の経済成長率のマイナスは、消費税増税による実質賃金の低下(物価「だけ」が上がった)により、国民の購買力が痛めつけられた結果なのである。何しろ、最大の需要項目である民間最終消費支出が「対前期比▲0.8%」となってしまったのだ。

 GDP発表を受けた翌日、8月18日の日本の株式市場は、景気減速を受け、夏休み明けに安倍政権が補正予算を組む「のではないか」という期待から、建設株が大幅高になった。と言うよりも、当たり前の話として補正予算が組まれなければならない局面だ。

 実は、安倍政権は当初予算で公共事業関係費をほとんど増やしていない。このまま補正予算を組まなかった場合、'15年度は普通に「緊縮財政」ということになってしまう。デフレ期に、消費増税と公共事業費削減。まさに、日本をデフレに叩き落とした橋本龍太郎政権そのままだ。

 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶというが、経験にも歴史にも学べない安倍政権を、果たして何と呼ぶべきなのだろうか。

 とりあえず、日本国民は、せめて1年前の経験からは学べる愚者になるべきだ。年間500兆円規模の日本経済が、エアコンの需要ごときで大きく変動するはずがない。それ以前に、日本の民間最終消費支出が減ったのは、別に「涼しくて、エアコンを買わない」と、国民が判断したためではないのだ。

 単に、実質賃金という所得が減り続けているためだ。実質賃金の低下とは、国民の貧困化とイコールである。国民が貧乏になっている以上、消費が増えなくて当たり前だ。「涼しくて、エアコンを買わない」が消費に大きく影響を与えるとしたら、それはあくまで「国民の所得が十分で、エアコンを買おうと思ったら買える」という環境が成立した場合のみである。

 下の図(本誌参照)の通り、消費税増税後の日本の実質消費は、ひたすら低迷を続けた。'15年5月にV字回復しているように見えるが、'14年5月の落ち込みがひどかった反動だ。逆に'15年3月の激しい落ち込みは、'14年3月の駆け込み消費の反動になる。

 いずれにせよ、日本国民は中期的に実質消費を減らし続けている。すなわち「ご飯を食べられなくなっていっている」のだ。国民の実質消費が減るとは、そういう意味である。

 また、実質賃金は、消費者物価指数がゼロに接近しているため、「決まって支給する給与」が対前年比±ゼロとなった。要は、「物価が下がった結果、実質賃金がプラス化しそう」というのが現状なのだ。

 インフレ目標2%は、どこに消えてしまったのだろうか。

 ミクロ的に見た正しいデフレ脱却は、例えばインフレ率が2%で推移し、名目賃金が3%のペースで上昇し、実質賃金が1%増の状況が継続することになる。「物価が下がり、実質賃金がプラス化した」ではデフレ脱却にはならない。

 実質賃金の継続的な引き下げを実現するためには、いかなる環境が必要だろうか。マクロ的にはインフレギャップ(総需要>供給能力)、ミクロ的には人手不足である。

 人手不足の環境で「十分な給与」が支払われる状況になれば、実質賃金は上がる。日本政府は、介護分野や医療分、インフラ整備野など、需要が拡大し、人手不足が深刻化しようとしている産業に「給与を高める」形で率先しておカネを使うべきなのだ。

 ところが、現実の安倍政権は公共事業を増やさず、介護報酬は削減。次は医療費抑制を狙っているわけで、これでデフレ脱却できたら「日本史上最大の奇跡」になる。

 政府が実質賃金を増やすための「需要創出」に踏み切らない限り、日本経済の問題は解決しない。繰り返すが、補正予算が必要な局面である。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
1. 2015年9月03日 00:15:10 : v1gbxz7HNs
官僚と政治家は責任を追及されることを避けるため、消費税その他の増税をしたせいだ、という真実を指摘されることだけは避けたいわけよ。

だから言い訳をする。どれだけ説得力に欠ける内容でも、自分がしゃべっているうちは相手の発言を封じること、自分の責任が追及されること、失態を暴露されることを防ぐことができる。

相手が反論しようとするとすかさず大声でしゃべり続けて発言を妨害する手口があるだろう。論戦では絶対に勝てない相手の発言を封じて自分が負けることだけは避けるという卑劣な手口だ。官僚や政治家がやっているのは、あれと同じだ。

これを打破するためには通常、暴力を使い制圧する。
つまり無理矢理に反論を聞かせる。
革命もその一種だ。
間違っても独裁者が悔い改めて自発的に民主化することなどありえないことを知れ。


2. 2015年9月03日 00:45:36 : nJF6kGWndY

>消費税増税後の日本の実質消費は、ひたすら低迷を続けた
>インフレ目標2%は、どこに消えてしまったのだろうか

世間には財政再建しないとハイパーインフレになるという妄想を信じる人が多いせいだよ。

だから欧州危機で、ギリシャなどが財政破綻になりそうになると

国民は増税に賛成になり、急に民主党も日銀への緩和要求を弱めて増税に転換したわけだ。

まあ、実際に、緩和と財政拡張を続ければ、いずれはインフレが亢進することは間違いはないから、

量的緩和による財政ファイナンスを不安視する専門家もあながち間違いではない。

ただし、何度も言うように、国内生産力とその効率、つまり常に生産性であることがわからない人々が多いというのが、政治経済問題の本質だな。



3. 2015年9月03日 00:55:10 : nJF6kGWndY
補足

>>02 国内生産力とその効率、つまり常に生産性
であることがわからない人々が多いというのが、政治経済問題の本質だな。


最終的な国民の平均生活水準を決めるのは、国内生産力とその効率、つまり常に生産性であり、
労働生産性が低い(または労働市場で価値のない)人々の生活を支えるのが適切な再分配政策
であることがわからない人々が多いというのが、政治経済問題の本質だな。



4. 2015年9月03日 01:14:16 : C31aL3EEO2
このバカは、日本を財政破綻するようなことばかり言っている。
正しいことは言っているのだが、、、、

無駄な税金を使わないように、書きなさい。
オスプレイ購入、思いやり予算は削減しないといかんだろう。米軍基地提供でも膨大な税金を使っている。
こんな無駄遣いをなくせ!と何故書かない。

安保法制に賛成している御仁だから、無理な話か?
お前は、アメリカの犬か?

竹中平蔵と同じ仲間のようだ。
正直、ガックリしたよ。


5. 2015年9月03日 11:36:14 : OO6Zlan35k
2015-08-31 デフレ日本で通貨発行益は財政再建の鍵
今日8月31日のの日経朝刊「経済教室」に法政大学教授・小黒一正氏の「政府・日銀の通貨発行益 財政再建に活用は困難 」という記事が載っていました。

小黒氏の主張を簡単に言えば、
通貨発行益を財政再建に使った場合、
○資金供給量の増分はやがて「出口」で減少せざるを得ない
○通貨発行益で仮に高インフレとなれば大きな国民負担
そのため、通貨発行益を財政再建に使おうとしても困難 というものです。

今日はこの論点について考えてみたいと思います。

■不景気こそ財政健全性悪化の主役
図1は政府債務の対前年増減額の推移です。

政府純債務は不況で増え、好況で減る

図1 政府純債務増減
出所:日銀資金循環統計

バブル景気のころは特に意図せずとも日本の財政はプライマリー均衡を達成し、財政黒字でした。
ところがバブルが崩壊すると、税収は落ちました。

橋本内閣が5%への消費税増税と緊縮財政を打ち出すと、消費税の税収は増えたものの、不況により法人税や所得税が落ち込み、総税収は却って減りました。これに伴い、消費税増税後に政府債務は急増しています。

その後、2005年前後に世界的なバブル傾向で好況となると政府債務の増加は止まりました。
ところが2007年以降リーマン・ショックで景気が落ち込むと再び政府債務が増大してしまいました。

そして2012年以降のアベノミクスで景気が上向くと税収が大きく増え、政府債務の増大が鈍化しています。

近年のギリシャの場合、ユーロ圏諸国からの強制的な緊縮財政によりプライマリー均衡は達成しましたが、この緊縮財政により日本同様のデフレに陥ってしまい、財政健全性は緊縮財政以前より悪化しています。

家計の場合財政健全化には財政の引き締めが必要です。ところがマクロで政府を含む経済を考えた場合、政府が緊縮財政を取ればこれら日本・ギリシャの失敗を含め多くの場合政府財政は却って悪化します。


■デフレなら政府が企業の負債を肩代わりせざるを得ない
図2は、主な経済主体の純資産・純債務の推移を示しています。

不況では、政府が企業の負債の肩代わりをしている

図2 主体別純資産純負債推移
出所:日銀資金循環統計

1997年の橋本内閣消費税増税後デフレ傾向がはっきりした後に企業純負債は減り、逆に政府債務は増大しました。

一方、2005年前後の世界的好況や、昨今のアベノミクスでは企業は純負債を増やしています。

誰かの金融資産は誰かの負債という関係があります。 
日本では家計が1,300兆円以上の純資産を持ち、企業・政府・海外などの主体がそれに対応する負債を負っている状況です。

消費税増税によるデフレ不況では企業は負債を負って投資をしても、回収できる見通しが立ちにくく、しかもデフレでモノの価格が下がっても不負債の名目額は減らないため、企業は負債の返済に励みました。

経済が伸びないため法人税や所得税も落ち、減った税収を国債で補わざるを得ず、財政健全化を目指したはずの消費税によるデフレでは、政府純債務が却って大きく増えました。
これは見方を変えれば、デフレ不況期には家計純資産に見合う負債を企業に変わって政府が肩代わりしているとも言えます。

従って、デフレ不況を脱却しないことには、政府財政の健全化は望めないでしょう。

■通貨発行益はデフレ脱却の特効薬
80年前の昭和恐慌期は現代日本のデフレよりも激しいデフレでした。
ところが高橋是清が日銀に新規国債を直接引き受けさせその通貨発行益で拡張財政を始めるとわずか1年程度でデフレは終息しました。

この例に限らずデフレを通貨発行益で脱却した事例は多数あります。

これは当然の話で、もし中央銀行の通貨発行益で財政がまかなえ、インフレにもならないならそもそも税金も要らないはずですから、通貨発行益で財政運営すれば好況から更には高インフレになることは目に見えています。

小黒氏は通貨発行益で財政再建しても出口政策で「行って来い」となり、実質的に通貨発行益は財源にならない、と主張します。

しかし通貨発行益でデフレ脱却すれば、企業はリスクを取れるようになり、企業の負債は増えるのですから、政府債務比率は下がるでしょう。

小黒氏はデフレ脱却や経済成長の効果を無視して議論を進めていますが、現実には政府財政健全性に支配的な因子は経済成長であり、緊縮財政はこれを阻害するため、橋本内閣以降での緊縮財政こそが財政健全性を失わせた元凶で、通貨発行益の活用によりデフレ脱却するならば、財政も健全化するでしょう。


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Gokai2015/08/31 21:52shavetailさま

>小黒氏は通貨発行益で財政再建しても出口政策で「行って来い」となり、実質的に通貨発行益は財源にならない、と主張します。

出口戦略を採用するということは、景気を冷やすということですが、どのような政策で景気を冷やすと想定されておられますか?
shavetail12015/08/31 21:57小黒氏は政府だろうが中央銀行だろうが借金は返さねばならないというトンデモをベースに財政学を語っておられます。
しかし実際は政府にしても中央銀行にしても自国通貨での返済はいつでも自由にできるし、逆に借り換えなどで債務を維持してもいいわけです。

現実に出口政策を考えた場合、高橋財政でも実際そうだったように、デフレを脱却してインフレが高進し過ぎないように国債の売りオペをするといった局面でこそ出口戦略が活きるのであり、借金は返すものだから出口戦略をという小黒理論は本末転倒しているでしょう。
Gokai2015/09/01 08:38shavetail1さま、
>小黒氏はデフレ脱却や経済成長の効果を無視して議論を進めていますが、現実には政府財政健全性に支配的な因子は経済成長であり、緊縮財政はこれを阻害するため、橋本内閣以降での緊縮財政こそが財政健全性を失わせた元凶で、通貨発行益の活用によりデフレ脱却するならば、財政も健全化するでしょう。

因果関係で言えば、
経済成長は、税収の因になります。
しかし、お金の増減との関係でみれば、
経済成長は、お金の増減の直接的な因ではないのではありませんか。

であるなら、お金の増加を無視してプラスの経済成長の持続もないように思いますが間違いですか?

http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20150831 


[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

6. 2015年9月03日 15:21:59 : OO6Zlan35k

三橋貴明第321回 金融政策と財政政策 

2015/09/01 (火) 12:53
実体経済の指標が悪化し、金融経済も中国発の混乱が始まっているが、我が国のこれまでのパターンだと、補正予算という真っ当な対策より先に、
「金融緩和をさらに拡大しろ!」
という、意味不明な提言がなされることになるだろう。とはいえ、現実には日本銀行の金融政策は、すでに限界に達している。
『2015年8月21日 ブルームバーグ紙「黒田緩和にイエローカード、国債売買高が7割減−札割れ不可避か」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTEK0Y6K50XU01.html 
日本国債の売買高が過去最低に落ち込んだ。日本銀行による市場流動性の低下に関する最新のデータが明らかになる中、市場では中央銀行の巨額の国債買い入れがもたらす副作用への懸念が強まっている。
日本証券業協会の統計を基にブルームバーグが算出した国債売買高(政府・日銀や日本郵政などを除く)は7月に合計15.6兆円とデータでさかのぼれる2004年以降で最低だった。この期間で高水準を記録した12年4月の57.4兆円から7割を超える減少だ。
日銀が18日に公表した国債市場の流動性指標では、現物の取引高は低迷が長期化。買い戻しを条件とする債券貸借(レポ)市場では、現金を借りても利息を払わなくて済む異例のマイナス金利の取引が目立った。3月に公表された日銀職員の研究論文は、追加緩和した昨秋以降の流動性低下について触れている。
黒田東彦総裁は今年度の新規財源債36.9兆円の2倍超に当たる国債を積み増す方針を示している。国債等の発行残高1038兆円に占める日銀の保有割合は3月末に26.5%と最大だ。市場関係者からは、日銀がいずれ巨額の購入予定額を集め切れない札割れに陥るとの声や、今回の流動性指標を受け、レポ市場の歪みが深刻だとの指摘も出ている。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、異次元緩和は「買い入れ額が大き過ぎて、市場に流通する国債は顕著に減っており、何年も続くと持続可能ではないとの疑念が広がり始める」と指摘。日銀オペの「応札倍率が徐々に低下していき、いずれ札割れが起こる可能性がある」として、「どこかで軟着陸を図る必要がある」と言う。(後略)』
現在、すでに政府の負債(「国の借金」でも「日本の借金」でもない)の25%以上を、「政府の子会社」である日銀が保有する状況になっている。
当たり前だが、「銀行の国債が尽きるまで、量的緩和を継続する」などということはできない。今回の経済混乱を受け、「量的緩和拡大!」とやったところで、ブルームバーグの記事にもある通り、「札割れ」が頻発するだけの結果になるだろう。
ここで言う「札割れ」とは、
「日銀が銀行から国債を買おうとしても、銀行側が売ってくれない」
という意味の札割れであり、
「政府の国債が買われなくなって破綻する」
とは「逆の話」になるので、注意して欲しい。
しかも、呆れかえってしまうことに、日本政府はこの状況で「新規国債抑制」という緊縮財政路線をひた走っている。
逆に言えば、現在の日本は「量的緩和政策を継続するため」にも、政府が国債を増発し、財政政策を推進しなければならないのだ。
このままだと、ブルームバーグ紙の記事にある山下周氏の発言の通り、
「買い入れ額が大き過ぎて、市場に流通する国債は顕著に減っており、何年も続くと持続可能ではないとの疑念が広がり始める」
ことになるだろう。そうなると、日本銀行は追い詰められることになる。ECBが量的緩和を宣言したときの、スイス国立銀行のような事態になってしまのだ。
現在の日本では、金融政策を混乱させないためにも、国債発行と財政政策の拡大が必要なのである。

第321回 金融政策と財政政策(2/3)
2015/09/02 (水) 12:56
ところで、7月の消費者物価指数が発表になった。日銀がインフレ目標に採用しているコアCPI(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)は「ゼロ」。我が国は、再び物価上昇率がマイナスになるデフレ経済へと向かっている。
改めて書いておくが、筆者は日本銀行がコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)をインフレ率と定義していることについて、すでに何年も批判を続けている。「エネルギー及び食料(酒類除く)を除く消費者物価指数」であるコアコアCPIに、インフレ率の定義を変えるべきだと、繰り返し語ってきた。
 とはいえ、日銀がコアCPIをインフレ目標として採用している以上、それに基づき論評するしかないわけである。
【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸)】

出典:総務省統計局、日本銀行
コアCPI(インフレ率)とマネタリーベースの推移は上記になる。
すでに、日本銀行は13年4月以降、マネタリーベースを150兆円から325兆円に拡大した。何と、170兆円も「日本円」が増えたのだ(主に日銀当座預金として)。
ところが、コアCPIというインフレ率は、予想通り「ゼロ」に戻ってしまった。「2年でインフレ目標2%」は、どこに消えたのだろうか。
原油が下がっているからなのか。
その影響もあるのだろうが、そもそも外国の情勢に左右される原油価格を「インフレ率」に含めている時点で、現在の日本のインフレ率は「狂った羅針盤」としか言いようがないのだ。また、日銀副総裁である岩田規久男氏の主張によると、個別価格は一般物価に影響を与えないはずではなかったのか。岩田副総裁は、個別価格が一般物価に影響を与えると主張する論者(筆者もそうだが)を「足し算エコノミスト」と批判していたはずなのだが。
それはともかく、インフレ率がゼロに戻ってしまったことを受け、甘利大臣は、
「安定的に物価上昇を目指すとなると、急激な変動要因は割り引いて考えたほうがよい。原油などのエネルギー価格がこのところ一段と下がっているという特殊要因を除けば、物価は、そこそこで推移しているのではないかと思っている」
と、呑気な発言をしている。本気で「エネルギー価格のせい」と思っているなら、エネルギー価格を除いたコアコアCPIでインフレ率を設定するよう、自ら政治家として動くべきではないのだろうか。
皮肉なことに、エネルギーと食料を除いたコアコアCPIは、対前年比で0.6%と、プラス化している。コアコアCPIでインフレ率を設定した方が、「インフレ目標2%」を早く達成できる可能性があるわけだ。
とにもかくにも、「狂った羅針盤」の一つであるコアCPIとはいえ、日本政府公認のインフレ率が「0」となってしまったのだ。安倍政権のデフレ対策は失敗した。理由は、今更言うまでもないが、消費税増税に代表される緊縮財政で、需要を抑制してきたためである。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2015/09/02/024390.php
第321回 金融政策と財政政策(3/3)
2015/09/03 (木) 13:59
安倍政権は「間違っていた」という非を認め、
「インフレ目標の定義をコアコアCPIに変える」
「需要創出による物価上昇を目指す」
と、二つの方向転換をする必要がある。さもなければ、今年はじめから何度も警告しているとおり、今年の日本経済は普通に再デフレ化するだろう。
ところで、前回「エアコン経済」において取り上げた甘利大臣の発言、
「先月から今月にかけては真夏日が続き、エアコンの需要も伸びているので、個人消費が回復する見込みはかなりあると思う」
の元ネタが判明した。
総務省が8月28日に発表した7月の家計の消費支出は、実質で前年同月比0.2%減と2カ月連続で減少したのだが、「エアコン」の売上は確かに伸びていたのだ。
7月の消費支出の事前の市場予測は、前年同月比1%増だった。理由がまさに、猛暑によるエアコンや飲料への支出の増加だったわけである。
7月にエアコンなどの家具・家事用品への消費支出が3.7%増となっていることを受け、どこぞの官僚が編み出したレトリックが「エアコン経済」というわけである。
猛暑でエアコン購入が増え(それは、増えるだろう)、消費支出の7月の市場予測が前年同月比1%増となり、甘利大臣に「エアコン需要が伸びているから、大丈夫」という、意味不明な発言をさせたわけである。
とはいえ、現実は厳しく、実際の7月の消費支出は実質でマイナス0.2%に終わった。さらに、先述の通り、生鮮食品を除く消費者物価指数、すなわち「コアCPI」は、再びゼロに落ちこんだ。
官僚や一部の政治家が理解していないと思うのは、我々日本国民は、別に「買いたいものがない」から消費を増やしていないわけではないという点だ。実質賃金が減少し、貧困化していっているからこそ、消費をしないのである。
そして、実質賃金が小さくなった国民が消費を減らすと、その分だけ「別の誰かの所得」が縮小する。というわけで、更なる実質賃金の減少を招く悪循環に陥ってしまっているのが、現在の日本経済なのである。日本国民は、
「貧乏になっていっているため、消費を減らしている」
という現実を、いい加減に政治家や官僚は理解するべきなのだ。
というよりも、実質賃金が減少している、つまりは国民の購買力が減っている状況で、いかにして「消費」や「投資」の合計であるGDPを成長させるつもりなのだろうか? 筆者には、さっぱり理解できない。
 無論、政府や官僚は、 
「グローバル市場を目指せ!」
と、無責任なことを言うのだろうが、グローバル市場で「価格競争力」を高めるには、国民の実質賃金を引き下げるしかない。もちろん、世界需要が順調に拡大しているならば、いずれは国民の実質賃金は上向くかも知れないが、残念なことに現在の世界では、貿易(輸出+輸入)の総量が減少していっている。
すなわち、「実質賃金を下げて、グローバル市場で成長」などというモデルは、前提から成立していないのだ。
それ以前に、国民を貧困化させる成長モデルなど、筆者個人としては認めることができない。
日本政府は早急に国民の実質賃金、つまりは「購買力」に重点を置いた政策に舵を切り直すべきである。すなわち、財政政策の拡大だ。
このまま金融政策のみにデフレ対策を委ねたままでは、我が国は「実質賃金下落⇒実質消費縮小⇒実質賃金下落」の悪循環から抜けられないだろう。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2015/09/03/024391.php


http://ameblo.jp/yuta0328t/entry-10863744173.html 
一般物価と個別価格
2011-04-16 22:59:24
テーマ:ブログ
この違いの理解は非常に重要である。
教科書的なことを書いても芸がないので、ちょっと変化形で。
デフレとかインフレとか言われているが、これは何を意味するかと言うと一般物価です。
つまり世の中にあるいろんな財やサービスをバスケットの中に入れてぐちゃぐちゃにして、加重平均したものが一般物価。この代表的な指数が消費者物価指数です。
一方、個別価格は読んで字のごとく、車とか住宅とかエネルギーなどの個別の価格のことです。
そんなのわかってるよ、バカにしてんのか?って声が聞こえてきそうですが・・・。

では、一般物価は何で決まるんでしょう?ズバリ、金融政策によって決まります。
つまり、世の中に出回っている全体のおカネの量が一般物価を決めるのです。
一般物価は人口も個別の需要や供給も、何にも関係ありません。
日本国の発行するおカネ全てが入る財布があるとします。
財布に入っているおカネの量が一般物価を決めるんです。
逆に個別価格は、個別の需要と供給で決まるのです。

一般物価は金融政策による全体のおカネの量で決まり、個別価格は需給で決まる、いいですね。
次はすごく大事な論点です。
今、ある財の供給が過多になり、個別価格が下がりました。
例えば、自動車の価格やパソコンの価格が需要減で下がりました。
そして、マスコミではデフレが深刻化する〜〜〜と騒ぐかもしれません。
ちょっと、待って下さい。
一般物価は何で決まるんでしたっけ?そうです、金融政策です。
金融政策が一定なら一般物価は変わらないはずです。
そうです、変わらないんです。
ということは、パソコンや自動車以外の価格が上がっているということです。
この議論の間違いが非常に多いんです。個別価格の低下をデフレを招くと騒ぎたてる。
違うんです。金融政策が一定で消費性向が変化しなければある個別価格の低下は他の製品の需要を押し上げるはずなんです。例えば給与が30万円で貯蓄が10万円なら消費に回せるおカネは20万円です。金融政策が同じなら、個別の価格が下がろうが上がろうが、使うお金は20万円と考えるのです。
インフレデフレは個別価格の低下によって引き起こされるものではなく、あくまで金融政策によって決定される消費に回せるおカネの量で決まるんです。
そこが非常に大事な論点です。


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