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8月中旬には記者会見で新経営体制を発表、イメージを刷新すると訴えたばかりだが・・・【PHOTO】gettyimages
なぜだ? 東芝「決算発表再延期」をあっさり容認。金融庁「ありえない判断」の裏事情
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45057
2015年09月02日(水) 磯山 友幸「経済ニュースの裏側」 現代ビジネス
■これは、異常事態だ
東芝は8月31日、同日に予定していた2015年3月期の決算発表を再度延期した。金融庁(関東財務局)は6月末だった有価証券報告書(以下、有報)の提出期限を同日まで延長することを特例として認めていたが、東芝の申請を受けて、9月7日まで再延期することを承認した。
東京証券取引所の上場廃止基準では、有報提出期限の延長を承認された場合には、その期限経過後、8日目までに提出しない場合、上場廃止にすると規定している。本来なら9月8日に上場廃止となる可能性があったわけだが、金融庁がこれを救った格好だ。
有報は決算期末から3ヵ月以内に提出することが金商法(金融商品取引法)で定められている。東芝は3月期決算なので、提出期限は6月末だったが、4月に表面化した不正会計問題で、有報が作成できない異常事態が続いている。
本来ならば期限の6月末を過ぎた段階で、東証は東芝株を「監理ポスト」に入れ、上場廃止規定で定める1ヵ月以内に提出できなければ、上場廃止になる可能性があった。
ところが、東芝は6月末の期限が来る前に、金商法が定める特例を使って提出期限の延長を申請。8月末までの延長が認められた。上場廃止の可能性があることを投資家に注意喚起する「監理ポスト」入りを巧妙に避けたのである。
提出期限延長の特例とはどんなものか。そう簡単に提出期限を動かせるのなら、法律で定めた提出期限など何の意味も持たなくなってしまう。上場廃止基準も空文になってしまいかねない。
有報の提出期限を定めた金融商品取引法24条にはこうある。
「内国会社にあっては当該事業年度経過後三月以内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)」
つまり、3ヵ月以内だが、「やむを得ない理由」がある場合には承認を受ければ延期できるという特例が書かれているのだ。
この「やむを得ない理由」とは何か。法律には明示されていないが、明らかに外部要因による不可抗力を想定している。鳥インフルエンザの感染拡大が懸念された際、インフルエンザの流行も状況次第で「やむを得ない理由」に該当するのではないか、という議論が行われている。
不正決算を行ってきたのは会社自身の責任で、その修正に手間取り決算がまとめられないのを「やむを得ない理由」と言えるはずがない。そんな事をすれば、決算延期が山ほど出てきてしまいかねない。
にもかかわらず、金融庁はなぜ、いとも容易く延長を認め、さらに再延長も承認したのか。法律の拡大解釈、「裁量行政」の最たるものだろう。
では、金融庁はなぜ、そうまでして東芝を守ろうとするのだろうか。
■安倍官邸と東芝の距離の近さ
オリンパスの粉飾決算が表面化した際には、当時の政権幹部が東証に圧力をかけていた。
「上場廃止にすれば世界に冠たる日本の医療機器技術が中国に買われることになりかねない」
日本の国益を守るために目をつぶれと東証幹部に指示したという。オリンパスに比べれば、東芝がより一層「「政治銘柄」であることは誰の目にも明らかだ。国策に沿う原子力発電を事業として持つほか、防衛装備品も扱う。
まして、安倍官邸は経産省が力を握っている。東芝と経産省は当然、蜜月の関係である。金融庁がそうした官邸の空気を呼んで、東芝防衛に動いている、という見方も根強くある。
一方で、「そんな高度な話ではない」という声も金融庁関係者からは聞こえてくる。「上場廃止にできないスネの傷があんじゃないの」というのである。スネの傷とは何か。金融庁自身が東芝の不正会計を見逃していたのではないか、というのだ。
東芝の監査は新日本監査法人が行ってきたが、新日本は日本航空やIHI、オリンパスなどの粉飾決算を見逃してきた「前科」がある。このため、金融庁などから繰り返し検査や指導を受けていた。
日本公認会計士協会や、金融庁の公認会計士・監査審査会が新日本の監査品質を検査する過程で、東芝の決算を抽出してチェックしていたというのだ。つまり、新日本が出してきた監査証明の「適正」意見に、金融庁や会計士協会もお墨付きを与えていたというのである。
それだけではない。東芝の決算を巡って、会社側と新日本の見解が対立していたのを、金融庁が間に入ったという証言もある。東芝の決算には金融庁自身が少なからずコミットしていたというのだ。実際、新日本の幹部の口からも「金融庁裁定」という言葉が出て来る。
それが、会計不正が表面化したことで、金融庁のメンツが丸つぶれになったというのだ。金融庁が東芝や新日本に強く出られない理由はそこにあるのではないか、と関係者の間ではささやかれ始めている。
いくら金融庁に弱みがあるとしても、特例の期限再延長はそう何度も使える手ではない。7日までに提出できなければ、東証もさすがに監理ポストに入れざるを得ない。さらに提出できなければ8日後の15日には規定上、上場廃止になってしまう。
再延長した理由は、別の不正会計が発覚したからだが、その一因には東芝社員からの内部告発がある。すべて問題は出尽くしたと思われていたものが、新たに不正が出てきたわけだ。いかに組織的に広く利益のかさ上げが行われていたかを示している。
■投資家を欺く「大罪」
問題は、そんな中で、新日本が監査証明を出せるのかどうか。適正意見を出した後で、さらなる内部告発で不正が発覚でもすれば、新日本にとっては恥の上塗りでは済まされない。
会計不正を見抜けなかった新日本が、東芝とグルだったのではなく、騙されていたとするならば、「意見差し控え」で監査報告書を出すことも可能なはずだ。それで、まがりなりにも有報を提出できれば、提出遅延を理由に上場廃止になることはなくなる。
かつては、「意見差し控え」の監査意見を受けた企業は上場廃止になる規定があったが、東証はオリンパス事件後にその規定を変えている。不適正や意見差し控えを受けた場合でも、「直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認める」ことがなければ、上場廃止にはならない。今度は、東証の裁量で東芝を救うことができるわけだ。
もっとも、決算すら本当かどうか分からない企業を上場させ続ければ、市場そのものの信頼を崩壊させることにつながる。
「この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする」
金融商品取引法の第1条にはこう書かれている。利益をかさ上げする不正会計が、公正な価格形成を歪め、投資家を欺く大罪であることを東芝の幹部だけでなく、公認会計士も監督当局も、肝に銘じるべきだろう。金融庁の幹部はもういちど、金商法第1条を読み直すべきだろう。
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