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リクシル本店ビル(「Wikipedia」より/Rs1421)
プロ経営者大量起用が大失敗…不正会計で巨額損失、株主が退陣要求
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11346.html
2015.09.01 文=編集部 Business Journal
東京証券取引所が6月から適用を開始した企業統治の指針「コーポレートガバナンス・コード」は、上場企業に対して社外取締役の複数選任を求めている。上場各社は社外取締役の起用に知恵を絞る。
中国で事業展開していた子会社で不正会計が発覚したLIXILグループは、英国経営者協会理事長のバーバラ・ジャッジ氏を社外取締役に招いた。同社では外国人の取締役は初めてだ。
ジャッジ氏は2012年9月から東京電力の原子力改革監視委員会の副委員長を務めている。東電の社外取締役でもあるLIXILの藤森義明社長と昨年9月、国際会議で女性の活躍について意見を交換。藤森氏や創業家出身の潮田洋一郎会長が社外取締役への就任を打診し、彼女が快諾した。
潮田氏は「LIXILグループがグローバル企業へ移行するにあたり、大いに貢献してくださることと確信します」とのコメントを発表した。
■ババをつかまされた中国の衛生陶器メーカーの買収
今年4月1日、藤森氏は「変革への新たなステージ」と宣言、LIXILグループはグローバル企業に変身するべく新体制に移行した。水回り(衛生陶器、ユニットバス、水洗金具)、ハウジング(窓サッシ、エクステリア、玄関ドア)、ビルディング(カーテンウォール)、キッチン(システムキッチン)の世界共通の4事業と、流通・小売り、住宅・サービスなど国内だけで展開している事業に再編した。国内はひとつに大きく括った。
各事業のトップは外部から招聘し、最高経営責任者(CEO)に就けた。組織再編で事業会社LIXILの取締役10人のうち4人が外国人。10人中9人がヘッドハンティングなどで入社した“傭兵部隊”となった。日本企業で、これほど経営者のプロ化を進めた事例は、ほとんどない。
しかし、グローバル企業へ移行するために、新体制で走り出した途端に躓いた。中国で衛生陶器や水栓金具を手掛けていた子会社、ジョウユウで不正会計が発覚したのだ。ジョウユウは14年にLIXILと日本政策投資銀行が共同で買収した独水栓金具大手グローエの子会社で、フランクフルト証券取引所に上場しており、会計事務所大手のグラント・ソントン・グループの監査証明もあった。買収時には、経営陣が現地に赴いて創業者に会い、専門家が調査を行うなど、「デューデリジェンス(資産査定)はしっかりやった」と同社関係者は説明している。
ところが、ジョウユウの創業者らは監査直前に銀行預金を増額するなど、巧妙な手口で赤字を偽装していた。5月にジョウユウが破産手続きに入り関連損失は拡大。LIXILグループは14年3月期から3年間で最大660億円の損失の計上を迫られた。
海外のM&A(合併・買収)を成長の柱に据えた藤森氏のグローバル戦略に綻びが生じた。
■3年間で結果を出せず
「3年で結果を出さねば、5年やっても同じ」
これは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)日本法人の会長から三顧の礼で迎えられた「プロ経営者」藤森氏の持論である。11年8月1日に住生活グループ(現・LIXILグループ)の取締役代表執行役社長兼CEOに就いてから4年。藤森氏は結果を出せなかった。
LIXILグループは6月26日、東京・江東区の本店ビルで株主総会を開催した。総会では、ジョウユウの不正会計問題についての質問や意見が相次いだ。総会で最も注目を集めたのは、藤森氏の不信任票がどのくらい出るかだった。
議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、藤森氏と數土文夫氏の取締役再任に、「反対を推奨する」レポートを出していたからだ。
ISSは藤森氏の再任に反対する理由について「トップマネジメントはROE(株主資本利益率)に責任を負う」ことを挙げた。LIXILのROEは、15年3月期が3.7%で、過去5年間の平均は2.9%。
ISSは直近と5年平均ROEが5%未満の企業に対して経営責任者の取締役就任に反対する方針を15年度に決めた。藤森氏は「経営トップとして結果を出していない」と見なされたわけだ。
數土氏については、同氏が特別顧問を務めるJFEホールディングスがLIXILの取引先であり、社外取締役として独立性に欠けることを理由に挙げた。
同社が開示した臨時報告書によると、藤森氏の取締役再任の賛成の割合は80.40%、數土氏は72.45%にとどまった。他の取締役が95%前後の賛成を得た中で、厳しい評価となった。新任のジャッジ氏は98.62%と全取締役のなかで最も高い賛成票を得た。
■英国の経営者協会で女性初の理事長
ジャッジ氏の経歴は多彩だ。1946年12月28日、米ニューヨーク市のマンハッタンで生まれた。母親はニューヨーク工科大学の副学長だった。ペンシルバニア大学で歴史博士号、ニューヨーク大学のロースクールで法学博士号を取得。34歳の時に、ワシントン特別区の証券取引委員会の委員に最年少で選ばれた。
私生活では3度結婚。米国と英国の弁護士資格を持ち、両国の国籍を有する。現在は英国年金保護基金の会長を務めている。米国証券取引委員会のコミッショナー、英国原子力公社会長、英国貿易投資総省のビジネスアンバサダーを歴任し、最近、英国経営者協会の初の女性理事長に選出された。
日本で彼女の名が知られるようになったのは、東電の原子力改革監視委員会の副委員長に就任してからだ。
■原子力安全のPR大使
原子力改革監視委員会は東電の諮問機関で、原発運営の改善の取り組みを外部の視点で監視・監督するために12年9月に設置された。委員長は元米国原子力規制委員会委員長のデール・クライン氏、副委員長が英国原子力公社名誉会長のジャッジ氏。ビジネス・ブレークスルー社長の大前研一氏、国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員だった櫻井正史氏、東電取締役会長の數土氏の5人で構成されている。
12年4月20日、国際会議出席のために来日したジャッジ氏はメディアのインタビューに応じた。「日本に原発が必要か」という質問に、「日本も英国も資源の乏しい島国。液化天然ガス(LNG)や原油だけに頼っていたら、自国の命運を他国に委ねることになる。エネルギーの安全保障上、原発は必要だ。また、発電の効率性や温暖化ガス削減を現実的に考えたら、原発しかない」と回答した。
ジャッジ氏が東電の原子力改革監視委員会の副委員長に任命されたのは、その直後だ。彼女は就任挨拶で、「日本だけでなくどの国でも、さまざまなグループの中で最も原子力に反対しているのが女性、特に中流階級以上の女性だと思っています。従って、私は女性の視点を持った専門家が原子力安全文化に取り組むことが重要だと思っています」と語った。東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働が喫緊の経営課題となっており、ジャッジ氏は「原子力の信頼回復に向けて女性に働きかけることが自分の使命」と明言している。
LIXILグループの社外取締役として、どんな提言をするのだろうか。「これまでの経験を生かし、一歩先を行く企業統治の導入を手助けする」と抱負を述べた。ダイバーシティー(多様性)の推進、すなわち女性幹部の登用など女性が活躍できる企業文化づくりを目指すことになる。
(文=編集部)
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