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『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書)山崎元、水瀬ケンイチ著定価:821円(税込み)
忙しい人でもできる! 簡単で安心な投資術とは〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150830-00000001-sasahi-bus_all
dot. 8月30日(日)7時4分配信
少し前になるが、6月29日、日本銀行が発表した2015年第1四半期の資金循環統計(速報)によると、個人保有の金融資産の残高が前年同時期に比べ5%増加し、1707兆5130億円にまで上った。個人の金融資産が1700兆円を超えたのは平成9年以降初めて。その内訳をみると、特に目を引くのが「株式と出資金」と「投資信託」の伸び率で、それぞれ21%と大幅に増加している。
背景には、株価の値上がり傾向を受け、これまで手元にあったお金を「貯蓄」ではなく「投資」に回す人が増えたことがある。昨年スタートしたNISA(少額投資非課税制度)など、新たな優遇制度も投資のハードルを下げているようだ。
しかし金融商品を買ったはいいが「いつ、どのタイミングで売ればよいのか?」という問いは、一度投資家デビューをしたことのある人なら誰もが抱いたことがあるはず。株価は日々上がり下がりを繰り返す生き物のようなもの。ちょっとしたスキに自分が投資している銘柄に悪いニュースが出ることもあるし、せっかくの株がただの紙きれになる可能性もゼロではない。とはいえ、仕事が手に付かなくなるほど、いつも株のことばかり気にしているわけにもいかない。
経済評論家・山崎元氏と共に『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書)を上梓した水瀬ケンイチ氏は、過去に、株価に踊らされたされた苦い体験があると告白する。なんと同氏は仕事をしながらYahoo!ファイナンスをチェックしつつ、悪材料が出ると一目散にトイレに駆け込み、携帯で売却と、「『デイトレーダー』ならぬ『トイレトレーダー』」と化していたというのだ。
そんな、生活に支障を来すまでの経験をした同氏と山崎氏が推薦するのが、「ほったらかし投資術」と二人が名づけたインデックス運用である。これは簡単に言えば、TOPIXや日経平均などをベンチマークとし、これに連動するよう運用をしていくというスタイルだ。個人の場合は、これを自分で運用するのではなく、通称「インデックスファンド」と呼ばれる運用を行う投資信託に投資することになる。
両氏は同書の中で、時価総額荷重の市場平均を表現しようとするTOPIXなどを用いるインデックス運用は、バリュー重視型のアクティブ運用に比べ、明らかに“負けにくい”性質があると断言する。というのも、「インデックス運用は原理的に同類の運用の中で平均的な運用成績をほぼ確実に得ることができて、同時に支払う手数料が相対的に安いので、長期的に見ると、同類の他の商品の平均に勝つ運用成果を労せずして得る」(本書より)ことができるのだという。このスタイルで運用すれば、大勝ちはしないものの、“買って保持”するだけという、その名の通り“ほったらかし”で成果を得られるというわけだ。
また、インデックス運用の場合、投資家は自分が投資した指数の値をフォローするだけで自分の投資状態を把握できることから「シンプルで分かりやすい」などの利点が挙げられる。投資に割く時間のない忙しい人であればあるほど、ぴったりの運用法と言えるインデックス運用。投資にギャンブル的なスリルを求めている人ではなく、着実に「お金を増やしたい」という人には有効な運用術の一つといえるだろう。
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