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下流老人が続々 年金減と消費増税、物価高と医療費値上げで
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150826-00000019-pseven-life
週刊ポスト2015年9月4日号
昨今「下流老人」という言葉が取り沙汰されるようになっている。老後のおカネを計算してはいても、ちょっとしたマイナス因子によって一気に負のスパイラルに突入する危険は、誰にでもある。
年金収入減の苦しい状況下でいま、「下流老人」を大量発生させるトリガー(引き金)になる、といわれる政策が、8%から10%へのアップが予定される2017年4月の「消費増税」だ。
そもそもは今年10月に予定されていたが、2013年のGDPが前年比マイナス2%を記録したため、延期された。消費増税は財務省の悲願である上、政府としては内外に財政再建の意志を示す必要もある。安倍政権が再延期を決断するのは難しいというのが永田町ウォッチャーたちの見立てだ。
この2%は、まさに「たかが2%、されど2%」となる。みずほ総研は消費税を8%に上げる時の議論の際に「消費増税で家計負担はどうなる、住宅購入は?」と題したレポートを発表(2013年10月)。そこでは、5%だった消費税が8%に上がると、年収300万円未満の世帯では、負担増は年5万7529円(月約4800円)になり、これが10%になれば、年9万5882円(月約8000円)になると試算している。
また消費税アップは、目に見えないさまざまなマイナス効果をもたらす。経済ジャーナリストの荻原博子氏がいう。
「政府は、円安誘導で輸出で儲けるという政策を取っていますが、実際には8月17日に発表された4〜6月期のGDP速報値は輸出の4.4%減が大きく影響しマイナスになった。企業は輸出で儲かっていないのです。しかも、食品などの輸入原材料は円安のせいでコストが上がっている。値上げをしたくて仕方ない状態ですので、そういうなかで10%への消費増税があれば、便乗して値上げに踏み切る企業は多く出るでしょう」
事実、5%から8%へ引き上げて以降の食料品の物価指数を見ると、3%以上の上げ幅となっている。
仮に値上げされなかったとしても、警戒が必要だ。近年、食料品では、ソーセージの一袋あたりの本数を減らすなど、価格をそのままに内容量を減らす「隠れ値上げ」が行なわれてきたからだ。消費者に気づかれないよう、こっそり商品の量や質を下げる実質的な値上げは、また繰り返されるに違いない。
医療費には消費税は掛からないが、8%へ引き上げの際には、医療機関等に実質的な負担が生じないように、診療報酬が引き上げられた。「平成26年度診療報酬改定」では、消費税引き上げ対応分として診療報酬が1.36%引き上げられ、事実上の“増税”となった。再来年の10%へのアップ時にも、同様に報酬が引き上げられる可能性が高い。
自民党の有力支持基盤である医師への報酬は増やす一方で、政府は医療費の財政支出を抑えにかかっている。しわ寄せは患者にいく。
「6月30日に閣議決定した『骨太の方針』では、社会保障費の自然増を3年間で1.5兆円削減する方針を打ち出しました。これは健康保険料や患者の自己負担を高める方針を示したも同然です。高齢者の医療費負担が高まるでしょう」(前出・荻原氏)
高齢者にとって医療費は命の値段そのものだ。政府は長生きするなといっているに等しい。 このように、年金減と消費増税というダブルショックに加え、物価高と医療費値上げという波状攻撃で下流老人が続々と生み出されていくのである。
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