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7月初旬に上海株が急落し始めると、中国当局は矢継ぎ早に株価対策を打ち出したが、8月24日には大幅安をよそに介入を見送った〔AFPBB News〕
中国当局、株買い支えに2000億ドル投じた末に白旗 市場の重力との不毛な戦いを断念? 為替介入は継続
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44628
2015.8.26 Financial Times JBpress
(2015年8月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
下落する株価を買い支えようと過去7週間で約2000億ドルもの買い注文を入れてきた中国政府が24日、市場の力に降伏し、介入を打ち切った。代表的な株価指数である上海総合指数は8.5%安となった。
24日の下落は2007年2月以降で最悪の下げだった。
中国政府は先月、下落する株価を反転上昇させようと未曾有の介入に乗りだしたが、24日はこれまでとは様子が異なり、国有企業で構成される「ナショナルチーム」が買い支えに現れなかった。
政府の指導者たちは遅まきながら、株式市場の重力に逆らうのは高くつくし結局は実も結ばない、一段の通貨安を食い止める大規模介入も別途進めているとなれば特にそうだという判断に行き着いたようだ。
■為替市場では大規模な元買い・ドル売り介入
中国人民銀行(中央銀行)とその市場介入に詳しい筋によれば、人民銀行は人民元を切り下げて「市場志向」の為替レート基準値設定メカニズムを導入した8月11日以降、人民元が政府の希望以上に下落するのを防ぐために2000億ドルもの外貨準備を使わざるを得なかった。
この額は、人民銀行が元の対ドルレートを望ましい範囲内に収めるための介入に過去2年間で投じた金額の合計をも上回るという。
株式と為替の両市場における介入の規模から、多くの人が、中国当局は状況をコントロールできているのか、政策面で大間違いをしていないかといった疑問を抱くようになった。
「当局がいま直面している問題は、為替市場と株式市場の買い支えに4000億ドルものカネを使ってしまい、介入を始めた時よりも悪い状況に置かれていることだ」。人民銀行に近いある人物はこう語る。「当局は自信過剰に陥り、人民元切り下げに対する世界の反応の強さを甘く見ていたんではないかと思う」
人民銀行は、8月11日以降の数日間で人民元が約4.5%下落するのを容認した後、それ以降は事実上のドルペッグ制に戻したように見える。
しかし、それはひとえに為替市場への介入のおかげで達成できたものだ。
人民銀行の公開市場操作デスクにいる政府のトレーダーたちは、取引終了前の1時間にオンショア市場に介入し、1日当たり約100億ドルもの人民元買い・ドル売りを行っている。
そして、人民元のオンショア市場とオフショア市場での人民銀行の動きをチェックしている人々によれば、それ以上に重要なのは、人民銀行が香港とロンドンのオフショア市場で初めて大規模な介入を始めたことだという。
そのうちの1人はこう語る。「以前はあれ(CNHとして知られるオフショア人民元)を少しだけ売買していた。我々も気づいていた。だが例の切り下げ以降は、オフショア市場にも明らかに参加している様子がうかがえる」
中国は世界最大の外貨準備を誇る国であり、その額は今年7月末現在で3兆6500億ドルに達する。しかし今、これまでの積み上げとほぼ同じペースでこれを取り崩している。
■人民銀行の次の金融緩和策
中国の代表的な株価指数が先週12%近く下落した後、ほとんどのアナリストやエコノミストは、中国政府が週末のうちに新しい金融緩和策を発表すると予想していた。
市中銀行が人民銀行に預けなければならない準備預金の比率を引き下げる可能性が最も高いと見られていた。
かつて人民銀行金融政策委員会の学者委員を務めた余永定氏と李稲葵氏によれば、預金準備率が今後引き下げられることは今でも予想されるという。ただ、引き下げれば人民元に下落圧力を加えることになり、人民銀行の仕事がさらに複雑になる。
「現在、世界中の人々の目が中国経済に向けられている。中国の金融政策は(世界的な重要性の面で)米連邦準備理事会(FRB)のそれに次ぐものだ」。現在は清華大学の中国・世界経済研究センターに籍を置く経済学者の李稲葵氏はこう述べた。
「今後数日か数週間のうちに、さらなる(刺激)策が講じられると思う。この局面で何かをすれば、中国の中央銀行は中国経済だけでなく新興国をも下支えすることになる」
■沈黙貫く指導者たち
中国と中国が世界市場で招いている混乱がこれほど注目される中、一部のグローバルな投資家は、中国の権威主義的な指導者たちのお決まりの不透明さに困惑している。
人民銀行の周小川総裁は、8月11日の通貨切り下げ以降、公の場に姿を見せておらず、他の共産党幹部も最近、急落する市場にほとんど言及していない。
24日付の中国国営メディアの記事で、李克強首相は中国の3D(3次元)プリンティング産業を発展させるためにもっと対策を講じるよう党幹部に要請したが、市場の混乱や、次第に強まる経済全般の減速感については何も語らなかった。
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