http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/127.html
Tweet |
内閣府のHPより
東京五輪後の日本経済破綻、現実味高まる GDPマイナスに潜む「重大な事態」
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11260.html
2015.08.26 文=町田徹/経済ジャーナリスト Business Journal
個人消費と輸出の落ち込みが響いて、四半期の実質国内総生産(GDP)の伸びがまたマイナスに陥った。これで安倍晋三政権発足以来の11の四半期のうち、5つの四半期がマイナス成長となり、一枚看板だったアベノミクスがすっかり色褪せてしまった格好だ。
背景にあるのは、足元で0.7%前後とされる潜在成長率の低さである。日本経済は地力がない。それゆえ、内外のちょっとしたショックで四半期GDPがマイナスに落ち込んでしまう構造になっている。
このままでは、先行きも悲観せざるを得ない。成長を支える大黒柱である個人消費は人口減少や高齢化社会の本格化を問題として抱えているし、企業の投資も生産性の低迷が続いており、そろって先行きの見通しが暗い。もちろん、財政再建という重荷を背負った政府支出も期待薄だ。まったく成長のけん引役が見当たらないのである。
ついに老舗のシンクタンクの中にも、必要な経済成長戦略(第3の矢)をこのまま掛け声倒れに終わらせると、「(東京オリンピック後の)2020年代後半、経済破綻の可能性」があるというショッキングな中期経済予測を出すところが現れた。
残念なことに、心中では外れてほしかった8月5日付本連載記事『GDP、再びマイナス成長か 円安不況の懸念濃厚 消費支出減、貿易赤字連続赤字…』が的中してしまった。内閣府が先週月曜日(8月17日)に発表した4〜6月期の実質GDP(速報値、季節調整済)の伸びが、前期比0.4%減(年率換算で1.6%減)となったのである。四半期GDPがマイナスになるのは昨年7〜9月期以来3四半期ぶり。2012年10〜12月期に、第2次安倍晋三政権が発足してからの11四半期のうち、これで5回がマイナスに転落した格好なのである。
今回のマイナス転落の最大の原因は、個人消費が前期比0.8%減と4四半期ぶりにマイナスに転落したことだ。実質賃金の伸び悩みが続く中で、日本銀行の異次元金融緩和の副作用である円安に伴い食料品などの値上げが相次ぎ、消費者が財布のひもをきつく締めたことが響いた。
外需のGDPへの寄与度もマイナス0.3%と振るわなかった。輸入は国内消費の低迷に伴い前期比2.6%減となったものの、輸出が4.4%減とそれを上回る勢いで減ったことが足を引っ張ったのだ。特に、中国景気の下振れと、そのアジア全体への波及が輸出の壁になった。
■予断を許さない状況
こうした状況に、弁明に躍起になっているのが政府である。甘利明経済再生担当大臣は四半期GDPの発表直後の記者会見で、「すべてとは言いませんが、一時的な要素はかなり大きいと思います。天候不順、特に6月は低温で降雨量が非常に多かったわけであります。そこで夏物衣料品や、あるいはエアコンを中心とする白物家電の伸びがかなり落ちました」とマイナスへの転落は一時的な現象だと主張したうえで、「7月下旬、そして8月は非常に真夏日が連続して、記録更新で、エアコン需要も随分伸びてきたわけであります。それらを勘案しますと、回復見込みはかなりあるのではないかと思っております」と楽観論を述べた。
とはいえ、自信が持てないのだろう。「もちろん、それがすべてではないと思っておりますから、しっかりと市場の動向を注視しながら、適切な経済財政運営に努めていきたいと思っております」と補足することも忘れなかった。
今のところ、短期の予測では概して保守的で、政府の見方を追認することが多い民間のシンクタンクも、7〜9月期GDPの回復に期待をみせている。8月18日付の朝刊によると、日本経済新聞が民間シンクタンク10社の予測を集計したところ、7〜9月期の実質GDPの見通しは平均で年率1.9%増。猛暑で飲料などの季節商品の売れ行きが伸びて、個人消費が持ち直すのが原動力という。筆者の取材でも、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)の航空2社が、初めて実現する9月の大型連休(シルバーウィーク)まで予約が順調で、個人消費に明るい材料があるのは事実といってよいだろう。
ただ、猛暑や連休の旅行需要は一過性のものだ。しかも、各シンクタンクは揃って、このところ世界同時株安の火元になっている中国経済の下振れリスクが現実化しないことを、7〜9月の実質GDP回復の条件としている。それゆえ、実際のところは、予断を許さない状況と見たほうがよいだろう。
■潜在成長率の下落傾向
また、四半期GDPのような3カ月単位の短期の浮き沈みに一喜一憂するよりも、懸念すべき問題があることも見逃せない。それは、歯止めがかからない潜在成長率の下落傾向の問題である。
日本の成長率は、1980年代は年率4〜5%を維持していたが、90年代半ばに1%前後まで下がり、さらに11年以降は0.7%程度に下がってしまった。ちょっとした国内個人消費の落ち込みや輸出減少によって、四半期GDPが簡単にマイナスに転落してしまうのも、実は、この潜在成長率が低水準に落ち込んでしまったことが根本的な原因だ。
老舗のシンクタンクである日本経済研究センターは8月20日、そういった観点から憂うべき中期経済予測(対象期間:15〜30年度)を公表した。それによると、今後15年間にわたって日本の(潜在)成長力は「徐々に低下する」。その理由は、「人口減少・高齢化の進展と投資効率・生産性の低迷」だ。特に「東京五輪が開催される2020年度以降、成長力は低下し、20年代後半は恒常的にマイナスに陥る」という。
そして、「アベノミクスの第3の矢として期待される成長力の押し上げ策なしでは、財政破綻の危機に直面するか、生活水準の低下を甘受するか、苦渋の選択を突きつけられる恐れも強い」と結論づけている。
このところ、終戦記念日を挟んで安倍首相の戦後70周年談話や安全保障法制をめぐる参議院での審議ばかりが関心を集め、経済やアベノミクスの話題はすっかり影が薄くなってしまった。
しかし、4〜6月期の四半期GDPの3四半期ぶりのマイナス転落は、その根底にある潜在成長力の低下に警鐘を鳴らす指標にほかならない。経済の立て直しは、これ以上怠ることのできない大きな課題である。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民100掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。