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農村への移住が増加中?
祖父母の元へ「孫ターン」 子育て世代の集落移住が増加中〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150825-00000002-sasahi-life
週刊朝日 2015年8月28日号より抜粋
「過疎」や「限界集落」といわれる農山村に、子育て世代の移住者が増えているという。
農村政策に詳しい小田切徳美・明治大学教授(農業経済学)は、[1]都市から地方へ、[2]両親いずれかの出身地に、[3]親世代を1世代飛ばして、移住する孫たちの動きを「孫ターン」と分類している。Uターンでも、Iターンでもない動きだ。
広島市から車で1時間半、山に囲まれた島根県邑南(おおなん)町では、孫ターンした人がいる。
町内に住む中村亜沙美さん(32)にとって、92歳の中村繁実さんは父方の祖父だ。移住後に「帰ってきたんじゃね」とすぐに地元民に受け入れられた孫ターン者だ。
「じいちゃーん」
繁実さんが精米の手を止めて見上げると、納屋の窓からひょっこりと亜沙美さんの5歳になる子どもの顔が飛び出す。繁実さんが幸せを感じるひとときだ。
「ひ孫と過ごして成長を見るのが生きがいでね。一緒に晩ご飯を食べていると心があったかくなる。亜沙美ちゃんのおかげだよ」
繁実さんが顔をクシャクシャにしながら、亜沙美さんに笑いかける。亜沙美さんは3年前まで広島などのホテルや宝石店などで働いていた。2012年に夫(31)と子とともに繁実さんが住む集落へ移住してきた。きっかけは祖母の急逝だった。
「親戚が祖父の世話をしてくれるかと期待しましたが……」と当時を振り返る。繁実さんの3人の子はみな、自分の親元に帰る選択肢は持っていなかったという。
「食事をつくれない祖父を一人にするわけにもいかず、移住を決めました」(亜沙美さん)
町内には医療・福祉系の仕事は多かった。看護師だった夫はハローワークを通して、町内の特別養護老人ホームに再就職が決まった。亜沙美さん自身は、1歳になる2人目の子どもの世話が中心の日々だが、まもなく仕事に復帰しようと医療事務の仕事を探している。
アパート暮らしも頭に浮かんだが、祖父宅の敷地内にある納屋の2階を改造することにした。眼下に広がる田んぼの風景、子どもたちがのびのびと遊べる環境、何より農作業が大好きな祖父をそばで見ていられる安心感が決め手だった。
「子どもが通う保育所までは家の前から無料バスが出る。家では子どもに泣きわめかれても、近隣住民を気にする必要もなく、窓の外は一面緑で気が紛れます。町からは離れていて交通は不便ですけど、子育てには最高です」
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