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陸側遮水壁の凍結作業の様子(東京電力提供)
「凍土壁」では汚染水対応の根本解決にならない 永田町の裏を読む 高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/175487
2016年2月18日 日刊ゲンダイ
福島第1原発の事故を起こした4基の原発をスッポリ囲んで、地下水が建屋に流れ込まないようにするための「凍土壁」の工事が、国費345億円をつぎ込んで完成し、3月から運用に入ろうとしている。これをめぐるマスコミ報道は東京電力の発表を垂れ流しして、これで汚染水問題が快方に向かうかのような印象を振りまいているが、不届き千万である。
私は13年暮れに出版した小出裕章さんとの共著「アウト・オブ・コントロール」で図入りで解説しておいたが、この凍土壁は構想そのものが間違っている。福島第1の敷地には山側から1日1000トンの地下水が流れ込んできて、そのうち約400トンが4基の建屋にぶつかり、その一部が建屋の壁や床の破損個所から建屋の中に流れ込むので、建屋内の高濃度汚染水が果てしもなく増え続ける。
そこで、4基の建屋全体の周りに、深さ30メートルのパイプを1メートル間隔で埋め込んで、中に冷却剤を通して土を凍らせて壁にして、地下水を海に逃がそうというのが、国と東電の考え方である。
ところが第1に、その凍土壁より上流には、建屋から抜き取った高濃度汚染水を貯蔵するタンクが1000基以上も所狭しと並んでいて、その一部はすでに老朽化して漏れて、周辺を汚染している。ということは、凍土壁にたどり着いた地下水は既に汚染されていて、そのままでは海に流せない可能性が大きい。何人もの専門家が指摘してきたように、サイトの山側全体を覆うダムを造って1000トンの地下水流入を大本で止めないと根本的な解決にならない。
第2に、凍土壁は、トンネル工事などで一時的に地下水を止めるのに使われることがある工法で、これほど大がかりに、しかも何十年かかるか分からない廃炉完了までの恒久的な施設として適当なのかどうか、疑問である。
第3に、今回、原子力規制委が懸念を示したように、建屋周りに押し寄せる地下水は、一部は建屋内に流れ込むが、他面では、その水圧が建屋内の高度汚染水が外に流れ出ないよう抑えているため、凍土壁をいきなり運用すると、壁の内部の水圧が下がって、高度汚染水が流れ出てくる。だから少しずつ運用して様子を見ようというわけだが、ということは、壁よりもまず建屋内の汚染水を全部吸い上げて、それをためるタンクの漏れを防ぐ方が先でなければおかしい。
要するに福島第1の汚染水は依然として「アウト・オブ・コントロール」状態にあるということである。
高野孟
ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
- <福島第1>凍土遮水壁凍結完了は秋以降に(年度中との予定は実施不可能に!) 戦争とはこういう物 2016/2/19 11:37:21
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